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第114回大阪府原子炉問題審議会会議録
第114回大阪府原子炉問題審議会の概要について
- 日時 平成20年8月8日(金曜日)午後2時から2時50分まで
- 場所 ホテルプリムローズ大阪(2階「鳳凰東」)
- 議題
- (1)役員の選任について
- (2)京都大学原子炉実験所定例報告について
- (3)使用済燃料の返送について
- (4)京都大学研究用原子炉(KUR)及び京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)の今後について
- (5)その他
- 出席者 審議会委員28名中23名が出席
(欠席:川本委員、酒井委員、新田谷委員、山裾委員、山脇委員) - 事務局等 大阪府、京都大学原子炉実験所、地元町市
議事に先立ち、審議会事務局(大阪府政策企画部企画室)から、議事進行の説明と委員の紹介。
議題1.役員の選任について
1月17日の委員改選以降、初めての審議会のため、審議会規則第5条第2項の規定に基づき委員の互選による会長及び副会長の選任が行われ、会長に南努委員(大阪府立大学長)が、副会長に小川たか子委員(関西研究用原子炉対策民主団体協議会代表・再任)と松浪耕造委員(大阪府議会議員・再任)が選任された。
議題2.京都大学原子炉実験所定例報告について(京都大学原子炉実験所から報告)
定例報告に先立ち、代谷所長から、実験所陪席者の紹介と挨拶。
この後、配布資料に基づき、三島安全管理本部長から原子炉の運転状況と平成20年度の共同利用研究等の採択状況について、高橋放射線管理部長から環境放射能の測定結果について、釜江中央管理室長から試験研究用原子炉施設の耐震安全性の評価状況等について、それぞれ次のとおり報告の後、意見交換が行われた。
(報告内容)
(イ)三島安全管理本部長から、配布資料の「大阪府原子炉問題審議会への報告書(その1)」をもとに、次のことについて説明が行われた。
- (1)報告対象期間(平成19年6月から平成20年5月)におけるKUR・KUCAの運転状況、役割等のこと。
- (2)平成20年の法律に基づく施設定期検査に合格し、KUCAは平成20年5月14日付けで合格証が文部科学大臣から発給されたこと。
- (3)平成20年度の共同利用研究及び研究会の採択状況のこと。
(配付資料)
- 大阪府原子炉問題審議会への報告書(その1)
原子炉の運転状況(平成19年6月から平成20年5月)
平成20年原子炉の施設定期検査の状況
平成20年度共同利用研究及び研究会の採択状況
(ロ)高橋放射線管理部長から、配布資料の「大阪府原子炉問題審議会への報告書(その2)(その3)」をもとに、京都大学原子炉実験所における環境放射能測定報告(平成19年4月から平成20年3月)に関し、次のとおり説明が行われた。
- (1)実験所では、原子炉施設の排水口及び排気口から放出される放射能の量や濃度及び敷地境界での線量評価の結果について、6ヶ月に1回、監督官庁である文部科学省へ報告していること。
- (2)これらに加えて、実験所と熊取町、泉佐野市及び貝塚市との間で締結している安全協定に基づき、実験所の周辺地域での放射線の積算線量を測定していること及び実験所周辺の環境試料に含まれる放射能の濃度を年2回測定していること。
- (3)実験所では、自然に存在する放射性物質だけでなく、それよりもはるかに低い濃度の人工の放射性物質もその核種毎に分けて測定していること。このような核種別測定の結果を一覧表にしており、原子炉施設からの新たな放出と思われる核種が検出されたり、放射能の量や濃度が増加しているようなことはないこと。また、実験所外の周辺9カ所における放射線の積算線量についても、自然放射線によるバックグラウンドレベルを示していること。
- (4)環境試料中のうち、土壌や底質については、全国的にも検出されている核実験による放射性物質以外に原子炉の運転に由来すると思われる人工の放射性物質は検出されていないこと。また、野菜等の植物については、自然に存在する放射性物質しか検出されておらず、その濃度の変動も全国的な調査で明らかになっている変動の範囲内であること。
- (5)実験所周辺の環境中における放射能及び放射線は、自然放射能及び自然放射線のレベルであり、一般住民の方々にご心配をおかけするようなレベルではないこと。
(配布資料)
- 大阪府原子炉問題審議会への報告書(その2)
京都大学原子炉実験所における環境放射能測定報告
(平成19年4月から平成19年9月) - 大阪府原子炉問題審議会への報告書(その3)
京都大学原子炉実験所における環境放射能測定報告
(平成19年10月から平成20年3月)
(ハ)釜江中央管理室長から、試験研究用原子炉施設の耐震安全性の評価の実施状況等について、次のとおり説明が行われた。
一昨年9月に、発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針(内閣府原子力安全委員会決定)が20数年ぶりに改訂されました。これに伴い、文部科学省から既設の試験研究用原子炉施設についても同指針を参考にして耐震安全性の評価を実施するよう通知がありましたので、慎重な調査・検討を行い、同指針に従っての耐震安全性の評価を実施しており、来年9月には最終報告書を文部科学省に提出する予定で作業を進めています。来年KURを再開する前に結果を出して本審議会に我々独自の評価結果を報告いたします。
現在、活断層の調査、次に活断層が動いた時の基準地震動の策定、地震動による耐震安全性の評価という流れで検討しています。活断層の調査については、文献調査を終えました。対象になる活断層は中央構造線断層帯及び上町断層で、さらにこれに発生が危ぶまれる南海地震、東南海地震を加えて計4つを検討用地震としております。中央構造線断層帯による地震については、耐震安全性の予備的な検討を行った結果、「止める」、「冷やす」、「閉じこめる」の3つの機能については維持できる見通しです。来年3月に向けてより詳細な検討をする予定で、その結果につきましては本審議会に報告させていただきます。
[発言(小松委員)]
昨年の会合でも説明のありました耐震安全性について質問します。来年9月には文部科学省に最終報告書を提出されるとのことですが、審議会との関係でいえば、来年8月本審議会に報告はしていただけますか。
[説明(釜江教授)]
来年9月文部科学省に最終報告書を提出した後、文部科学省と原子力安全委員会のダブルチェックを受けることになります。来年5月にはKURの運転を再開する予定ですので、来年4月までには最終報告書のベースとなる自己評価を行いたいと考えています。その自己評価については、来年の8月の本審議会に報告させていただきますが、国としての最終的な承認は、文部科学省と原子力安全委員会での審議を待ってからとなります。
[発言(南会長)]
最終報告は9月ということですが、KURの再開前に十分なバックチェック作業を行うということですね。
議題3.使用済燃料の返送について(京都大学原子炉実験所から報告)
三島安全管理本部長から、使用済燃料の返送について、次のとおり説明が行われた。
使用済燃料を米国政府へ返送するための輸送は、平成11年度から実施しておりますが、当初予定していた7回のうち6回は平成16年度までに無事終了しております。平成19年度に最終回となる7回目の返送を実施しました。これによりまして、実験所が保有していましたKUR用の高濃縮ウラン燃料の使用済燃料の米国政府への引き渡しは完了しました。
議題4.京都大学研究用原子炉(KUR)及び京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)の今後について(京都大学原子炉実験所から報告)
代谷所長から、配付資料をもとに、KURとKUCAの今後について、それぞれ次のとおり説明が行われ、特に質疑もなく了承された。
- (1)KURについて
原子炉等規制法上の原子炉設置変更承認を平成20年2月22日付けで文部科学大臣から受け、現在低濃縮ウラン燃料の製作中ですが、順調に行けば来年5月までに30本ができあがる予定です。なお、前回の本審議会において提示しました「KUCAの新展開とKURの燃料変更に伴う手続き等日程表(案)」の修正版は添付資料のとおりです。
KURの休止期間における共同利用研究のうち、放射化分析は引き続き韓国原子力研究所の研究用原子炉を利用し、医療照射は、脳腫瘍・皮膚癌以外に耳下腺癌・歯肉癌・舌癌・肺癌・肝臓癌・中皮腫など適用症例を拡大しつつ日本原子力研究開発機構の研究用原子炉を利用してきましたが、同炉は反射体要素の溶接部の不具合により約1年程度運転を停止することとなり、現在医療照射が実施できない状況となっています。それ以外の研究は原子炉実験所既設の諸設備を利用して行っています。 - (2)KUCAについて
新たな加速器(FFAG(固定磁場強集束型)加速器:FFAG-Fixed Field Alternating Gradient)については、ビームを加速して取り出すために、加速器の機器の調整作業を行っています。
FFAG加速器とKUCAを結合するビームラインの設置は、加速器の機器の調整作業の遅れ、KUCAの運転計画との関係により10月に使用前検査を受ける予定としています。
KUCAの新展開のためには、KUCA本体の整備、FFAG加速器を用いた高次医療や新テクノロジー材料物質の開発などの新しい基礎研究のための周辺設備・機器の整備の予算等を必要としますので、引き続き予算獲得のための努力を行っています。
(配付資料)
- 京都大学研究用原子炉(KUR)及び京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)の今後について
- KUCAの新展開とKURの燃料変更に伴う手続き等日程表(案)
議題5.その他
特になし。