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更新日:2010年10月1日

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第116回大阪府原子炉問題審議会会議録

第116回大阪府原子炉問題審議会の概要について

  • 日時 平成22年8月17日(火曜日)午後2時から3時21分まで
  • 場所 大阪府庁新別館南館8階大研修室
  • 議題
    • (1)役員の選任について
    • (2)京都大学原子炉実験所定例報告について
    • (3)京都大学研究用原子炉(KUR)の運転再開等について
    • (4)ホウ素中性子捕捉療法について
    • (5)その他
  • 出席者 審議会委員28名中25名が出席
    (欠席:奥野委員、中田委員、伯井委員)
  • 事務局等 大阪府、京都大学原子炉実験所、地元町市

議事に先立ち、審議会事務局(大阪府政策企画部企画室)から、議事進行の説明と委員の紹介。

議題1.役員の選任について

1月17日の委員改選以降、初めての審議会のため、審議会規則第5条第2項の規定に基づき委員の互選による会長及び副会長の選任が行われ、会長に南努委員(前大阪府立大学長、大阪府立産業技術総合研究所長・再任)が、副会長に小川たか子委員(関西研究用原子炉対策民主団体協議会代表・再任)松浪耕造委員(大阪府議会議員(自由民主党)・再任)が選任された。

議題2.京都大学原子炉実験所定例報告について

定例報告に先立ち、京都大学原子炉実験所森山所長から、挨拶と実験所陪席者の紹介。

この後、配布資料をもとに、中島研究炉部長・臨界装置部長から原子炉の運転状況と平成22年度の共同利用研究等の採択状況について、高橋安全管理本部長・放射線管理部長から環境放射能の測定結果について、それぞれ次のとおり報告が行われ、特に質疑もなく了承された。

(報告内容)

(イ)中島研究炉部長・臨界装置部長から、配布資料の「大阪府原子炉問題審議会への報告書(その1)」をもとに、次のことについて説明が行われた。

  • (1)KURの運転再開のこと。
  • (2)報告対象期間(平成21年6月~平成22年5月)におけるKUR・KUCAの運転状況、役割等のこと。
  • (3)平成22年の法律に基づく施設定期検査に合格し、KURは平成22年5月26日付け、KUCAは平成22年5月24日付けで合格証が文部科学大臣から発給されたこと。
  • (4)平成22年度の共同利用研究及び研究会の採択状況のこと。

(配付資料)

  • 大阪府原子炉問題審議会への報告書(その1)
    原子炉の運転状況(平成21年6月~平成22年5月)
    平成22年原子炉の施設定期検査の状況
    平成22年度共同利用研究及び研究会の採択状況

(ロ)高橋安全管理本部長・放射線管理部長から、配布資料の「大阪府原子炉問題審議会への報告書(その2)・(その3)」をもとに、京都大学原子炉実験所における環境放射能測定報告(平成21年4月~平成22年3月)に関し、次のおり説明が行われた。

  • (1)実験所では、原子炉施設の排水口及び排気口から放出される放射能の量や濃度及び敷地境界での線量評価の結果について、6ヶ月に1回、監督官庁である文部科学省へ報告していること。
  • (2)これらに加えて、実験所と熊取町、泉佐野市及び貝塚市との間で締結している安全協定に基づき、実験所の周辺地域での放射線の積算線量を測定していること及び実験所周辺の環境試料に含まれる放射能の濃度を年2回測定していること。
  • (3)実験所では、自然に存在する放射性物質だけでなく、それよりもはるかに低い濃度の人工の放射性物質もその核種毎に分けて測定していること。このような核種別測定の結果を一覧表にしており、原子炉施設からの新たな放出と思われる核種が検出されたり、放射能の量や濃度が増加しているようなことはないこと。また、実験所外の周辺9カ所における放射線の積算線量についても、自然放射線によるバックグラウンドレベルを示していること。
  • (4)環境試料中のうち、土壌や底質については、全国的にも検出されている核実験による放射性物質以外に原子炉の運転に由来すると思われる人工の放射性物質は検出されていないこと。また、野菜等の植物については、自然に存在する放射性物質しか検出されておらず、その濃度の変動も全国的な調査で明らかになっている変動の範囲内であること。
  • (5)実験所周辺の環境中における放射能及び放射線は、自然放射能及び自然放射線のレベルであり、一般住民の方々にご心配をおかけするようなレベルではないこと。

(配布資料)

  • 大阪府原子炉問題審議会への報告書(その2)
    京都大学原子炉実験所における環境放射能測定報告(平成21年4月~平成21年9月)
  • 大阪府原子炉問題審議会への報告書(その3)
    京都大学原子炉実験所における環境放射能測定報告(平成21年10月~平成22年3月)

議題3.京都大学研究用原子炉(KUR)の運転再開等について

中島研究炉部長・臨界装置部長、釜江中央管理室長、森山所長の順により、配付資料をもとに、KURの運転再開、それに伴う健全性調査・教育・訓練等、KURの耐震安全性評価、KURの今後について、それぞれ次のとおり説明が行われた後、南会長から発言があった。

  1. KURの運転再開について
    KUR用の低濃縮ウラン燃料30体を、3月4日に原子炉実験所へ搬入いたしました。その後は、KURの施設定期検査合格に向けて各種の調整作業を経て、5月26日の文部科学省による施設定期検査に合格し、5月28日から運転を再開しました。現在、順調に共同利用研究を実施しています。
    なお、運転の再開に当たっては、KURが長期に亘って運転を停止していたことから、従前にも増して慎重な運転管理に努めるとともに、職員に対して原子炉施設保安規定に基づく教育及び各管理部会における情報の周知・共有並びに年2回実施している緊急時訓練等により、安全管理等への意識の向上を図っています。
  2. KURの耐震安全性評価について
    平成18年9月に「発電用原子炉施設の耐震設計審査指針」が改訂されたことに伴う、KURにかかる施設の耐震安全性評価の中間報告書を、昨年6月30日付けで文部科学省へ提出しております。その後、中間報告書をもとに文部科学省のワーキンググループによる審議が行われ、原子炉実験所が行った耐震安全性評価の妥当性が確認され、その審議を踏まえ、先月の7月28日付けで最終報告書(別添概要版参照)を提出いたしました。なお、最終報告書は、8月4日開催のワーキンググループで審議され、一部修正(追加説明や図の追加)することで了承されました。耐震安全性の評価では、想定される地震動(震度6程度)に対してもKURの最重要安全機能(止める・冷やす・閉じ込める)が維持できることが確認されています。
  3. KURの今後
    KURの研究面における利用価値が高いことから、全国大学の共同利用・共同研究拠点としての責務を果たすため、新しい中性子源に関する研究を推進しながらも、KURの運転を当分の間継続したいと考えています。
    なお、運転を継続するためには、現在のところ米国が使用済燃料の引取期間を延長することが当面の条件であり、関係機関等との調整を進める予定です。低濃縮ウラン燃料への変更に当たっては10年間を要したことから、次のステップへは同程度の年数が必要であると考えており、そのためには、今後の展開、利用者の動向、BNCTによる燃料の使用方法や燃料の補給、国内の検討状況、世界的な動向などを勘案したうえで進めていきたいと考えています。

(配付資料)

  • 京都大学研究用原子炉(KUR)の運転再開等について
  • KURの取扱いについて(参考)
  • 京都大学原子炉実験所研究用原子炉(KUR)「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」の改訂に伴う耐震安全性評価結果の概要(別添概要版)
  • 大学における研究用原子炉の在り方について(報告)(別添資料)
  • 健全性調査・教育・訓練に関する資料

[発言(南会長)]

こういった場では非常に申し上げにくいのですが、意見を申し上げます。これだけの委員の先生方に集まって頂いて開催している審議会で、用意されたパワーポイントのデータをもとに説明を受けましたが、分かりやすい説明であったとは言えません。2つ問題があります。まず、プロジェクタが悪くて、画面が暗く見づらい。また、用意されたデータの画面も文字がかすれ活字が多すぎて説明を受けている方は分からない。せっかく用意したデータが意味をなさないことになるので、もっと分かりやすく理解されるような資料の作成やプロジェクタの用意など、今後のためにも善処を是非お願いしたいと思います。

議題4.ホウ素中性子捕捉療法について

配付資料をもとに、ホウ素中性子捕捉療法について、森山所長及び中西熊取町長から次のとおり説明が行われ、特に質疑もなく了承された。

[森山所長]

先ほどの会長のご指摘については、今後注意してまいりたいと思います。

ホウ素中性子捕捉療法についてですが、熊取町・大阪府・京都大学の3者による「熊取アトムサイエンスパーク構想」の柱の一つであるホウ素中性子捕捉療法(中性子を利用したがん治療法)の実用化に向け、取組んでいます。

KURは、5月26日に文部科学省による施設定期検査に合格し、5月28日には医療照射を行い、その後も順調に実施してきています。

また、イノベーションリサーチラボ棟に設置したホウ素中性子捕捉療法用に特化した加速器の各種調整作業を続けるとともに、出来るだけ早く治験を開始したいと考えており、関係機関等と調整しています。

なお、昨年10月28日、ホウ素中性子捕捉療法の実用化に向けた諸課題について産学官で検討する「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)研究会」(事務局:大阪府、熊取町、京都大学)を設置しました。現在、医療に関する連携推進、人材育成、地域振興等の課題について、ワーキンググループにおいて検討を進めています。

[中西熊取町長]

去る8月5日に提出いたしました総合特区についての仮提案の経緯と内容について説明をさせて頂きます。去る6月18日に国におきまして新成長戦略-元気な日本-復活のシナリオが閣議決定されたことによりまして、地域の責任ある戦略、民間の知恵と資金、国の施策の「選択と集中」の観点を最大限活用し、規制の特例措置や税制・財政・金融上の支援措置等をパッケージ化して実施する「総合特区制度」の創設が予定されております。

このたび、その「総合特区制度」の制度設計を行うための提案募集が行われました。その提案募集に対しましてBNCT研究会での取り組みを基礎といたしまして、皆様方のお手元に配布いたしました別紙のような提案を、先日、8月5日に熊取町と大阪府が共同で提出させて頂きました。また、同日、8月5日に文部科学省、経済産業省、そして国土交通省の大臣政務官、19区選出の長安代議士に対しまして急遽出張いたしまして要望等を行いました。

提案のポイントとしましては、研究用原子炉の中性子源を利用したBNCT、いわゆるホウ素中性子捕捉療法について、中性子を利用したがん治療の医療承認を行うよう、規制の緩和を求め、併せて設備の整備拡充や研究費・人件費に係る財政支援、そういったものを強く求めるものです。このことによりまして世界的に遅れをとっています放射線治療分野の日本での地位確立を図り、なおかつ泉州地域の活性化に、大阪、広くは関西復権の医療分野での核になればと期待申し上げて申請をさせて頂きました。

9月21日の本提案に向けまして、現在研究会でも詳細の検討を深めてまいりたいと考えて、準備をしている最中でございます。是非皆様方のご協力をお願いしたいと思います。簡単な資料を配付させて頂いておりますが、今後BNCTが広まるための一つの大きな一歩になると思いますのでよろしくお願いします。

[発言(南会長)]

特区に申請して、これが認められますと地元、周辺自治体、大阪府全体の大きな活力になるものと思います。是非これが認められるよう大阪府、熊取町合同で頑張って頂きたいと思います。KURを医療に活用するという非常にユニークな研究テーマであり、世界的に認められることを強く願っています。

(配付資料)

  • ホウ素中性子捕捉療法について
  • 地域活性化総合特区の提案(中性子がん医療研究開発地区)

議題5.その他

[事務局(大阪府政策企画部企画室長)]

先ほど会長からご指摘をいただきましたが、プロジェクタ等の不手際がございまして、委員の皆様方にはご迷惑をおかけしました。今後、事務局としては、会議運営に万全を期してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。本日は、貴重なお時間をいただき、ご審議いただき、ありがとうございました。

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