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PTA指導者のてびき
PTAのみちしるべ
目次 ※各項目をクリックするとそのページに移動します。
- PTAのおいたち
- PTAの加入と後援会的PTA
- PTAの目的と性格
- PTAの活動内容
- PTAと学校
- PTAと家庭教育
- PTAと地域活動
- PTAと生涯学習
- PTAと人権学習
- PTA間の連携
- 他団体や関係機関との連携
- PTAの規約と細則
- PTAの組織・機構
- PTAの専門委員会
- PTAの会費と予算
- PTAの広報活動
- 広報紙のつくり方
- 会議のすすめ方
参考資料
PTA指導者のための参考資料
PTAのみちしるべ(全文)
1.PTAのおいたち
PTAの誕生
PTA(Parent-Teacher Association)はアメリカで生まれたもので、その創始者はバーニー(A.M.Birney)夫人だと言われています。
19世紀の後半になると、アメリカは工業化や都市化が急速に進み、豊かな繁栄の時代を迎えます。しかし、物質的な豊かさとはうらはらに、子どもたちをとりまく環境は決して望ましいものではありませんでした。バーニー夫人は子どもたちが健やかに成長していくためには、まず何よりも教育環境を整備しなければならないと考え、「母親の会」をつくり運動を進めていきました。
1897(明治30)年2月17日、バーニー夫人はハースト(P.A.Hearst)夫人とともに全米母親大会をワシントンで開催し、子どもの健全育成と教育環境の浄化を訴え、多くの提案をしました。そして、全国的な組織として「全国母親協議会」(National Congress of Mothers)ができ、その活動を始めたのです。
その後、協議会では組織の拡充を図り、父親や教師にも参加を求め、1924(大正13)年には「全国父母教師協議会」(National Congress of Parents and Teachers)が結成されます。これが、今日のPTAの原点といえます。
日本のPTA
わが国では、第2次世界大戦後にPTAが生まれました。戦前には学校の後援会的な性格の強い父母会や保護者会がありましたが、戦後になってアメリカの例をモデルとしてPTAがつくられました。
昭和21(1946)年3月に、日本の教育の民主的改革のために来日していたアメリカ教育使節団が報告書を提出しました。その中で、民主化の一つとしてアメリカのPTAを紹介し、日本でも結成することを勧奨したのです。それを受けて、文部省は昭和22(1947)年3月に「父母と先生の会-教育民主化のために-」という冊子を作成し、各都道府県知事あてに配付して、PTAづくりを奨励しました。その結果、昭和25(1950)年までには全国のほとんどの小・中・高校にPTAが結成されました。
昭和27(1952)年10月には「日本父母と先生の会全国協議会」(現在の日本PTA全国協議会)、11月には「全国高等学校PTA連合会」が相次いでできました。
大阪府PTA協議会は昭和25(1950)年、大阪府立高等学校PTA協議会は昭和28(1953)年、大阪府立盲・聾・養護学校PTA協議会(現大阪府立支援学校PTA協議会)は昭和47(1972)年にできています。
2.PTAの加入と後援会的PTA
加入
「1.PTAのおいたち」で述べたように、PTAはアメリカで生まれ、戦後に日本に入ってきたものです。
会員の入退の方法はPTAの構成員の問題です。
アメリカでは、PTAがもともと教育環境改善のための母親運動から始まったという性格を受けて、現在でも教育環境改善に関心をもつ有志の任意加入となっています。また、必ずしも学校単位で組織されているわけでもありません。
日本のPTAの多くは、学校に在籍する児童生徒の保護者及び教職員によって、学校ごとに組織されています。また、PTAはそれぞれのPTAが掲げる「児童生徒の健全な育成を図ること」などの活動目的に賛同する人が加入する任意の団体となっています。
後援会的PTA
戦前には、学校への財政的援助や労務的援助を主たる目的とした父母会・保護者会・後援会などがありました。戦後、これらの組織がそのままPTAに衣替えしたケースも多く、PTAの意義が十分に理解されないままに、後援会的性格をそのまま持っている面もみられます。財政的に困窮していた戦後しばらくはその傾向が強かったのですが、その後のめざましい経済成長や、PTAの真の意義が問われていくにつれて、後援会的性格は徐々に薄れてきました。しかし、まだ完全に払拭できたわけではありません。
会員の一人ひとりがPTAの本来の目的をしっかりと把握し、子どもたちの健全育成をはかるための諸活動を活性化することが大切です。
3.PTAの目的と性格
PTAの目的
わが国にPTAができてから20年後の昭和42(1967)年6月、PTAはまだ後援会的な性格を多分に残しており、本来のPTAのあり方が十分に理解されていないということから、国の社会教育審議会が、PTAの基本的な問題である目的・性格を中心に検討を加え、「父母と先生の会のあり方について」と題した報告を行いました。この中で、PTAの目的については次のように述べられています。
「父母と先生の会(PTA)は、児童生徒の健全な成長をはかることを目的とし、親と教師とが協力して、学校および家庭における教育に関し、理解を深め、その教育の振興につとめ、さらに、児童生徒の校外における生活の指導、地域における教育環境の改善、充実をはかるため会員相互の学習その他必要な活動を行う団体である。」(父母と先生のあり方について[昭和42年6月23日社会教育審議会報告])
つまりPTAとは、子どもたちの健やかな成長のために、保護者と教師が協力し、連携を深め、互いに学びあう団体だということです。
PTAの性格
昭和24(1949)年6月の社会教育法公布に伴い、PTAは同法に規定する社会教育関係団体としての取り扱いをうけることとなりました。
同法の規定によれば、社会教育関係団体とは、「公の支配に属しない団体で社会教育に関する事業を行うことを主たる目的とするもの」(第10条)であり、社会教育関係団体に対して、「国および地方公共団体は、不当に統制的支配を及ぼし、又はその事業に干渉を加えてはならない」(第12条)のです。つまりPTAは、あくまでも自主的、民主的に運営される団体なのです。さらに、PTAの多くは、学校に在籍する児童生徒の親および教師によって学校ごとに組織され、「会員の総意によって民主的に運営され、特定の政党、宗派にかたよる活動や、もっぱら営利を目的とする行為を行わない」団体だと述べています。
よくPTAと学校の関係とか、PTAの行うべき活動としてふさわしいかどうかといったことが問題となりますが、このPTAの性格を正しく理解して、適切な判断ができるようにしたいものです。
4.PTAの活動内容
PTAの活動
「3.PTAの目的と性格」で述べたように、PTAは子どもの健全な成長をはかることを目的とした団体でありその目的を達成するために会員相互が学習活動など必要な活動を行うことになります。この場合の学習活動とは、単に「学ぶ」「理解する」だけではなく、そのうえに立った実践活動をも含む広い活動を意味しています。
PTAの活動を、「父母と先生の会のあり方について」に沿って大きく分けると、次のようになります。
- (1)学校教育の理解・振興のための活動
保護者が学校教育の目標や内容、学校の教育方針や指導内容などを十分に理解することは、極めて重要なことです。
学校教育についての理解を深めることによって、その教育効果を高めるためにどのような活動を実施すればよいかを考えていくことができます。
保護者は、学校の主催する授業参観や懇談会に積極的に参加するとともに、PTAの活動の中に学校教育の理解とその振興のための活動を位置づけ、計画・実践していくことが必要です。 - (2)家庭教育の理解・振興のための活動
家庭は人間形成の基礎を培う基本的な場であり、子どもの価値観や生活文化を形成していく場でもありますが、近年、家庭の教育力の低下が指摘されています。家庭の本来の役割を理解し、家庭教育の振興を図るために、どのような活動をすればよいのかを考え、計画・実践していくことが必要です。 - (3)校外の生活指導のための活動
学校の教育方針に基づいて、校外の生活指導に協力するとともに、子どもの健全な成長を図るための校外の集団活動など、適切な活動を計画・実践していくことが必要です。 - (4)地域の教育環境の改善・充実のための活動
地域の教育環境の改善を図るため、好ましくない施設や出版物に対処した活動や、危険な地域の改善、交通安全施設や通学路の設置などの活動も、PTAの重要な活動となります。
その他には、PTAのあり方や運営・組織に関する学習活動、会員の資質向上のために行う一般教養・趣味・技能などを習得する学習活動、レクリエーション活動、社会見学など多彩な活動があります。
5.PTAと学校
PTAと学校の関係
学校は、子どもたちの教育を推進するために校長・准校長を中心として教職員がそれぞれに校務を分担し、組織化された公の教育機関です。当然、法的な制約を受け、「学校教育法」などの法律に基づいて運営されることになります。
一方、PTAは、子どもたちの幸せのために保護者と教職員が自主的に組織し運営する任意団体です。ですから、法的制約もなく、自ら作成する規約(会則)により、運営されることになります。したがって、学校の教育活動とPTAの活動は当然別個のものであり、区別されなければならないものです。
また、保護者も学校教育を受けている子どもの保護者としての立場と、PTAの保護者会員としての立場は違いますし、教職員も学校教育に携わり校務を執行する教職員としての立場と、PTAの教職員会員としての立場は違います。
とかく、あいまいになりやすいのではないかと思われますが、区別すべきところは明確に区別しておかなければなりません。
学校への協力と学校の姿勢
PTAは、学校に対し積極的に協力していかなければなりません。学校とPTAが相反した考え方や行動をしていたのでは、子どもの健全な成長と幸せを求めることはできません。
学校に協力するためには、まず、学校の教育活動がよく理解されていることが重要です。そのため、PTAは、その活動の中に学校の教育目標や教育内容、指導方針などを理解するための学習を組み入れていく必要があります。
一方、学校は、あらゆる機会をとらえて保護者に学校の考え方を示し、理解を得る努力をしなければなりません。また、教職員には保護者や地域社会の人々と積極的に連携していく姿勢が求められます。
教職員と保護者が互いにそれぞれの立場を理解し合えるよう、話し合える場をできるだけ多くもって、信頼関係をつくりあげていくことが大切です。非難する中からは、前向きの発想は生まれてきません。
6.PTAと家庭教育
家庭教育の重要性
家庭においては、核家族化や少子化の進行、保護者の仕事中心のライフ・スタイル、家庭教育に対する保護者の意識の多様化、保護者の過保護や無責任な放任などから、その教育力は低下していると指摘されています。
また、現在の子どもたちは、物質的な豊かさや便利さの中で生活する一方で、過度な受験競争等によるゆとりのない生活、生活体験や社会体験が少なくなり、いじめや不登校問題などさまざまな課題を抱えています。
このような状況のもと、保護者は、「子の教育について第一義的責任を有するもの」(教育基本法第10条「家庭教育」)であることを再確認するとともに、子どもの教育を学校だけに任せるのではなく、これからの社会を生きる子どもにとって何が重要でどのような資質や能力を身につけていけばよいか考える必要があります。
PTAと家庭教育
家庭における子どもの教育は、保護者の責任で行われるものであり、基本的には他人が介入できないものです。それだけに、保護者は子どもの教育を自分たちだけの問題としてとらえる一方で、何か悩みがあっても自分たちだけで解決しようとする傾向があります。
PTAは、それぞれの家庭の教育を尊重しながら、側面的に支援できる体制をつくることが必要です。家庭や家族、家庭教育や子育てなどをテーマとして、講演や研修、体験発表や意見交換などの場を設け、保護者が広く情報を得られるようにしたいものです。
7.PTAと地域活動
PTAと地域活動
家庭や学校とともに、地域社会が子どもの健全育成に大きな意義をもっていることは、言うまでもありません。子どもは地域社会から多くのものを学び、いろいろな影響を受けて成長していきます。
しかし、現在の地域社会については、都市化の進行や地域社会における人間関係の希簿化などから、地域社会の教育力は低下していると言われています。
子どもは地域社会の中で育っていくのですから、子どもの健全育成を目的とするPTAは、地域社会が抱えている課題を解決し、よりよい地域づくりに積極的に取り組む必要があります。地域の課題が解決されることは、子どもたちが健やかに育つことにつながり、すべての地域住民にとっても住みよい豊かな生活の場になっていくことなのです。
地域活動を進めていく際には、他の地域活動団体と連携・協力していくことが必要です。PTAだけではどうしても活動に限界がありますし、連携・協力によってより多くの地域住民の理解を得て、活動の成果をあげることが可能となります。PTAは学校・家庭・地域社会を結ぶかけ橋であるとともに、三者の連携をすすめる中核的な役割を担っています。
地域活動の内容
PTAの行う地域活動には、さまざまなものが考えられます。たとえば、地域の環境を改善するための活動、校外の生活指導のための活動、青少年団体を育成するための活動、交通の安全を図るための活動、コミュニティづくりのための活動、スポーツや文化活動などがあげられます。
地域活動を行い、さらに他の団体と連携する場合には、その活動の方法や取組み方がPTA本来の目的や立場から逸脱しないようにすることが重要です。実施する地域活動の内容が、社会教育関係団体としてのPTAが行うのにふさわしいかどうかを、常に考えていきましょう。
8.PTAと生涯学習
生涯学習の必要性
「生涯教育」という考え方は、昭和40(1965)年にユネスコが提唱し、世界各国で受け入れられていったのですが、この「生涯教育」という言葉は「教育を行う立場」からのニュアンスが強いので、「学習する立場」を重視するために、現在では「生涯学習」という言葉が使われています。
さて、わが国においては、教育は学校教育が中心であり、学校教育がすべてであるような考え方がありました。しかし、今日のように科学技術の急速な進展や、高度情報化社会においては、学校教育で学んだ知識や技術だけでは対応できなくなっており、常に学び続ける必要があります。
また、労働時間の短縮によって人々の余暇時間は増加し、学問や芸術、趣味やスポーツなどに対するさまざまな学習ニーズが高まってきています。さらには、高齢化社会と呼ばれるように著しく平均寿命が伸びる中で、人々は生きがいを求めて何かを学びたいという欲求が強くなってきました。
このように、今日においては、学校教育にすべてをまかせるのではなく、生涯の各時期をとおして自ら学ぶことによって急激に変化する社会に適切に対応し、それぞれの時期において自らの課題に取り組み、生きがいを創造することが求められています。
PTA活動と生涯学習
「3.PTAの目的と性格」でも述べましたが、PTAは「児童生徒の健全な成長をはかる」ために、「会員相互の学習その他必要な活動を行う団体」なのですから、PTAはまさに生涯学習の場であり、広く言えば「4.PTAの活動内容」で述べたようなPTA活動のすべてが生涯学習になります。つまり、会員としてPTA活動に参加することは、とりもなおさず生涯学習を行っていることになります。
PTAの会員である保護者も教職員も、子どもたちの幸せのために連携・協力して学習していくことは重要ですが、また、それぞれがひとりの人間として、自分を高めるために絶えず学んでいく姿勢をもつことが望まれます。常に学んでいる前向きの姿は、おそらく子どもにとって大きな影響を与えることと思われます。そういう意味において、一人ひとりが生涯学習の意義を理解し、自ら実践していくことが大切です。
9.PTAと人権学習
人権学習の意義
人権を尊重し、差別を許さない人間を育て、社会からすべての差別をなくしていくことが、人権学習の大きな目的だと言えます。この世に生を受けた人はだれもが幸せに生きる権利をもっており、みんなが力を合わせてこうした権利を守っていくことが、すべての人の幸せにつながっていきます。
大阪府においては、昭和42(1967)年に「大阪府同和教育基本方針」が策定され、教育の全領域にわたって、同和教育が積極的に推進されてきました。今後も引き続き、同和問題、子ども、男女平等、障がい者、在日外国人に係る人権問題など、さまざまな人権問題の解決に取り組む必要があります。
こうした問題を解決するためには、子どもだけではなく、まず大人自身の人権意識を高めることが求められます。そのため、PTA活動においては、保護者と教職員がともに努力して、人権問題についての学習を、一層推進することが大切です。
人権の保障はすべての人びとの願いであり、世界共通の課題でもあります。国際連合においては、1995年から2004年までを、人権という普遍的文化の創造をめざす「人権教育のための国連10年」としており、大阪府におきましても「人権教育のための国連10年大阪府後期行動計画」や「大阪府人権教育推進計画」を、また、大阪府教育委員会では「人権教育基本方針」・「人権教育推進プラン」を策定し、その具体化に取り組んでいます。
だれもが生きている喜びを感じとることのできる社会づくりを今の子どもたちに託すために、まず大人がしっかりと学習し、人権意識を高めることが必要です。PTAにおける人権学習は、「児童・生徒の健全な成長と幸せ」を実現するための基本です。
人権啓発委員会の設置
すべてのPTAで、全会員を対象に人権問題についての学習活動が積極的に展開されることが大切です。そして、この人権啓発活動が積極的に推進されるためには、これを担当する委員会を設置して、きめ細かな学習を広めていく必要があります。
昭和61年度に大阪府PTA協議会に、平成14年度に大阪府立高等学校PTA協議会に「人権啓発委員会」が設置され、人権啓発の活動が推進されています。
それぞれのPTAにおいて、今一度、人権学習について改めて考える場をもち、会員全員が人権学習の重要性を認識することが重要です。このため、すべてのPTAに「人権啓発委員会」が設置され、積極的な人権啓発活動を推進していくことが大切です。
10.PTA間の連携
連携の必要性
単位PTAには、それぞれ独自の課題やユニークな活動もありますが、それらの多くはすべての単位PTAにも共通するものです。また、活動を進めていく場合、単独で行うのでは十分な成果をあげることができないというものもあります。そこで、単位PTAが相互に連携し協力していくことが重要となります。
「父母と先生の会のあり方について」では、「父母と先生の会(PTA)相互の連絡を緊密にし、その発展をはかるとともに、共通の目的を達成するためには、その協力組織として、市町村、都道府県および全国等の各段階における連絡協議会の果たす役割が重要であると考えられる」と述べています。
各PTA協議会
- 大阪府PTA協議会
大阪府PTA協議会は、大阪市を除く府内の公立幼稚園・小学校・中学校の単位PTAから成っており、連絡協議をすすめ、研修等を行っています。
なお、大阪市には大阪市PTA協議会が組織されており、府P協議会は市P協議会と連携・協力しながら、PTA活動を行っています。 - 大阪府立高等学校PTA協議会
高等学校については、各府立高校PTAを会員とする大阪府立高等学校PTA協議会があり、連絡協議をすすめ、研修会等を行っています。
なお、大阪市には各大阪市立高校PTAによる大阪市立高等学校PTA協議会が組織されています。 - 大阪府立支援学校PTA協議会
支援学校については、各府立支援学校PTAを会員とする大阪府立支援学校PTA協議会があり、連絡協議をすすめ、研修会等を行っています。
11.他団体や関係機関との連携
他団体との連携
PTA活動にとって、他の団体等との連携・協力も必要です。
青少年の健全育成に係る主な団体としては、次のような団体があります。
- 子ども会
大阪府こども会育成連合会 - ボーイスカウト
日本ボーイスカウト大阪連盟 - ガールスカウト
ガールスカウト日本連盟大阪府支部 - スポーツ少年団
大阪府スポーツ少年団 - 青年団
大阪府青年団協議会
また、大阪府地域婦人団体協議会など、PTAが目的とする「青少年の健全育成」を活動目標のひとつとしている団体も多くあります。これらの団体と連携・協力していくことにより、PTA活動の一層の成果が期待できます。
関係機関との連携
PTA活動をすすめていくうえで、連携・協力したり、援助を求めることができる機関があります。
PTAは社会教育関係団体ですが、教育委員会(主に社会教育課)は社会教育関係団体の求めに応じて指導・助言する立場にあり、その活動を促進するための支援を任務としています。
交通安全では警察や交通安全協会の協力を求めたり、問題行動防止では少年サポートセンターと連携・協力していくことが考えられます。また子ども家庭センターなどの相談・支援機関も有効に活用していきたいものです。
12.PTAの規約と細則
規約と細則の意義
規約(会則)は、PTAの組織・運営・活動の基本的なルールを成文化したものであり、PTAの憲法と言えます。
さまざまな職業、年齢、考え方などを有する人びとが集まって集団を組織し、活動していくために、それを構成する会員に関する規約が必要です。PTAは、児童生徒の幸せな成長を願って組織される集団ですから、その目的を可能にできるような内容をもった規約を作成しなければなりません。
また、基本的項目だけを定めた規約では、具体的に何をどうすればよいのかわからないということが起こります。特にPTAは役員の交替が頻繁に生じますので、継続的な活動を可能にするためには、不文律によるあいまいさを避けるとともに、運営・活動の詳細なてびきとして、細則という形で具体的な事柄を文章化しておくことが有効です。慣習として行っていることでも必要なことはできるだけ細則に記載しておきましょう。細則は当然、規約に違反するものであってはなりません。
規約と細則は、会員に十分理解してもらうことが大切です。入学時などに一度だけ規約が配付されるといったPTAもありますが、いろいろな機会をとらえてできるだけ多くの会員に示すようにしたいものです。
規約・細則の改定
規約は、PTAの憲法とも言えるものですから、むやみに改定することは避けなければなりません。しかし、時代の流れや要請で改めなければならないことも生じてきます。
規約を改定するためには、必ず総会の承認が必要です。規約改定の手続きについては、「総会において、出席者の3分の2以上の賛同を得て改正することができる。ただし、改正案は、総会の10日前までに全会員に通知されなければならない。」などというように、規約に規定されていますので、それにのっとって民主的に行うことが必要です。
細則の改定は、運営委員会等で行えるようになっているのが一般的です。規約に比べて簡単に改廃できるので、ともすると運営にあたる少人数の意見で変えられる危険性もあります。あくまでも改定には慎重に対処し、改定した結果は次の総会で必ず報告する必要があります。
13.PTAの組織・機構
権力分立の組織
国や地方公共団体でもそうであるように、民主的な組織を形づくる際の基本的な考え方は、権力分立です。PTAの運営組織も、権力分立をふまえ成り立っているのが一般的です。
すなわち、議決機関としての総会、執行機関としての役員会や運営委員会、監査機関としての会計監査委員会がそれにあたります。これらの機関は、お互いに束縛されることなく、それぞれに独立した権限と責任をもって行動することが大切です。
しかし、現実にはその独立性があいまいで、権力分立が十分に機能していないPTAも見受けられます。特に、役員会の権限が強くなりすぎ、本来執行機関であるべき役員会が、事実上議決機関の機能も果たしているという状況も見受けられます。総会への会員の関心が乏しく、出席者も少ないということが、そういう状況に拍車をかけているのではないでしょうか。
また、監査機関も、単に形式的に監査を行うといった活動だけで終わっていることも多いようです。もう一度、権力分立の考え方に立って、組織全体を見直してみたいものです。
次に、簡単に図示しておきます。
PTAの運営機構(ワード:61KB) PTAの運営機構(PDF:64KB)
この組織を基本として、さらに、学級委員会、学年委員会、地区委員会、各種専門委員会などを、それぞれのPTAの実情に応じて設け、さまざまな活動が活発に展開できるように組織されています。
14.PTAの専門委員会
専門委員会の役割
PTAの各種事業について研究・企画し、その執行を専門に担当する専門委員会(常置委員会)が、ほぼすべてのPTAに設けられています。委員会の中には、企画委員会や規約検討委員会などのように、調査・研究・立案を主としたスタッフ的なものや、校外補導委員会や成人教育委員会などのように、スタッフ機能と事業執行機能をもったものがあります。いずれにしても、PTAの活動を活性化するために、専門委員会の果たす役割には大きなものがあります。
専門委員会の種類と名称
どのような専門委員会を設けるかについては、それぞれのPTAがもつ本来の活動の内容をふまえ、学校や地域の特性を考慮して、設置が決定されます。昭和29年に文部省は参考規約を示しましたが、その中で例示されているものが、現在でも多く設けられているようです。
次に、PTA組織の一例を示しておきましょう。
PTA組織(ワード:37KB) PTA組織(PDF:41KB)
15.PTAの会費と予算
PTA会費
会員制度の団体は、会員から会費を徴収し、それを財源として活動することが基本です。PTAにおいても同様で、PTA会費は自らの活動や学習のために、自らの組織のために、自らの子どもの健全な成長と幸せのために会員が出し合うものであり、あくまでも本来の目的に使われなければなりません。
会費の類は、各PTAの会員数や活動状況などを考慮して決定されますが、基本的な考え方としては、保護者の負担軽減を図り、最小の会費で最大の活動の効果をあげるようにすることが大切です。
今後は、児童生徒の減少によりPTA財政が逼迫して、会費の増額が各PTAで議題になることが予想されます。この機会に、特別の専門委員会を設けて、これまでの活動の中でマンネリ化しているものや無駄なものはないかを点検するとともに、今後新たに実施すべき活動を検討して、適切な額を設定することが必要です。改定する場合は当然総会に諮らなければなりません。
予算の編成と執行
予算の編成にあたっては、PTAの方針や目標に従い、PTA本来の活動に使われるように編成することが大切です。さらに、運営的経常経費はできるだけ節約し、活動費に重点を置く方向で編成することが望まれます。
予算の編成には、役員・専門委員会代表・会計・学校側代表などで構成した予算委員会を設けて、十分な議論を経て編成作業を進めることが重要です。
予算の執行は計画的に行い、時期や回数など予算の枠内で適切に執行されなければなりません。執行すれば、領収書などそれにともなう証拠書類を整備しておくことは当然のことです。PTAの財政に関する最も大きな課題は、とかく会費の徴収から予算の編成・執行・決算までの一連の事務処理を、学校側に任せてしまいがちになるということです。事務手続きが煩雑であること、役員の交替により内容がよくわからないことなどの理由で、学校に一任するというような状況も多く見受けられます。会計や会計監査は名ばかりで、形式的な役割で終わってしまうこともあるようです。
会費の徴収や予算の編成・執行については、会員全体に対して責任をもって行われるべきものです。役員をはじめとして全会員に周知できるように、民主的に運営されることが重要です。
16.PTAの広報活動
広報活動の意義
PTAを活性化するためには、会員の一人ひとりが会員としての自覚をもち、相互に共通理解を深めてコミュニケーションを図ることが大切です。そのためには、PTAに関する的確な情報を会員に提供することが必要であり、そこに広報活動の重要性があります。
広報活動は「広く知らせる」活動ですから、まず、さまざまな情報を会員に知らせることがその中心となります。各種のPTA行事や会合の内容、学校の様子などを知らせるわけですが、その際、ともすれば終わったことの結果を報告するだけにとどまる傾向がありますので、将来実施することについての情報も、十分に知らせたいものです。
また、一方的な情報提供だけでは十分なコミュニケーションを図ることはできません。会員からの意見を掲載するなど、会員相互の意思の疎通を図ることも、広報活動の役割と言えましょう。
広報活動の方法
広報活動の方法としては、広報紙が中心になっており、広報委員会の活動は広報紙づくりがほとんどというPTAも多いようです。
これまでの広報紙には新鮮昧のないものもあったようです。広報紙は、適切な情報が得られる場であり、会員相互の意見や感想などを交換する場であり、さらには、会員が学習する場でもありたいものです。最近では、広報紙づくりにもさまざまな工夫が凝らされるようになってきましたが、一面には会長や校長のあいさつが必ず載っているというようにパターン化しているケース、年2から3回しか発行できないというケースも多く、十分にその目的を果たすことができないこともあります。
また、広報紙だけに力を入れるのではなく、インターネットのホームページ等を利用するなど、I C T(情報通信技術)を活用した広報活動の方法を検討したり、会員だけへの広報から会員以外への広報も考えるなど、さらに積極的な広報活動を展開していくことが望まれます。
このため、広報委員会の発行する広報紙だけでなく、各種委員会の独自の広報活動も考えていく必要があります。
17.広報紙のつくり方
広報紙発行の流れ
広報活動の中心が広報紙づくりであることが多いため、広報紙のつくり方について具体的に述べておきます。
広報紙を発行するまでの流れは、おおよそ次のようになります。
- (1)企画会議
発行回数やページ数、テーマや特集など広報紙発行の基本方針を話し合う重要な会議です。
企画の良し悪しで、広報紙の優劣が決まると言っても過言ではありません。
アイデアを出し合って、十分論議しましょう。 - (2)編集会議
企画会議を受けて、具体的に何をどのように載せるかを決めていきます。
できあがりを想定して、原稿の長さなども決めます。 - (3)取材
記事の取材や原稿依頼に行きます。人まかせにしたり電話ですませたりすることはできるだけ避けて、自分で直接取材したり依頼しましょう。 - (4)編集会議
集まった原稿を検討し、見出しをつけたりレイアウトを考えます。本文は、5W1Hをおさえておきましょう。
※5W1H When(いつ) Where(どこで) Who(だれが) What(なにを) Why(なぜ) How(どのように)
この編集会議は、必要に応じて何回か開くことになります。 - (5)印刷依頼
原稿、写真、イラスト、図表などとレイアウト表を印刷に出します。できるだけ日程に余裕をもって渡しましょう。 - (6)校正
ゲラ刷りができてきたら間違いを訂正するとともに、もう一度全体を見直して修正する箇所がないかを検討します。
必要なら何度か校正を重ねましょう。
これらの流れに従って、全体の日程表を最初につくっておきます。
広報紙ができあがった時は、何とも言えない充実した喜びを感じます。それは、ひとつのことを成し遂げた喜びであり、いっしょに協力してつくりあげた喜びでもあります。広報紙づくりに携わった人にしか味わえない喜びです。会員からのよい反応が返ってくれば、一層大きな喜びとなります。一方、批判や指摘があればそれにも謙虚に対応して、次回の広報紙づくりにいかすことも大切です。
18.会議のすすめ方
PTAでは、会議や話し合いを十分に行うことが大切です。会議には、総会のように一定のルールに従って進めていくものや、各種委員会・研修会のように話し合いを中心としたものもあります。
ここでは具体的な会議のすすめ方として、大阪府PTA協議会の総会を例にあげておきます。
- (1)開会の辞
- (2)成立宣言
出席者数、委任状数、欠席者数を調べ、総会が成立することを確認し、その旨を告げる。 - (3)議長選出
まず、立候補または推薦の有無をたずねる。なければ一任をとりつけ、あらかじめ依頼しておいた人に議長を委ねる。 - (4)議事
- 事業報告
報告、質疑応答、承認の採決(採決は拍手で行っているが、挙手や起立または投票などの方法も考えられ、
案件の重要性によりどの方法にするかを決める) - 決算報告
報告 - 監査報告
報告、質疑応答、承認の採決 - 役員選出
新年度の役員を選出。あらかじめ指名委員会で選出しておいた候補者を報告・提案し、採決する。
- 事業報告
- (5)役員挨拶
旧・新役員代表挨拶。これより新役員で議事をすすめる。 - (6)議長選出
旧役員から議長を選出していた場合は、改めて新議長を選出する。(必ずしも変える必要はない) - (7)議事
- 事業計画案
提案、質疑応答、採決 - 予算案
提案、質疑応答、採決
- 事業計画案
- (8)閉会宣言
なお、動議がでれば支持者の有無を確認し、賛否を採る。
以上は、あくまでも一例であり、それぞれのPTAの規模や会議の内容等により、最もよいと思われるすすめ方を工夫してください。いずれにしても、民主的にすすめることが大切です。
*PTA指導者のための参考資料(下の項目をクリックしてください)
- (1)教育基本法(外部サイトへリンク)
- (2)社会教育法(外部サイトへリンク)
- (3)教育3法の改正について(外部サイトへリンク)
- (4)父母と先生の会のあり方について(ワード:33KB)
- (昭和42年6月23日社会教育審議会報告)
- (5)第2次大阪府教育振興基本計画
- (6)社会教育委員会議の提言
- (7)「こころの再生」府民運動
- (8)世界人権宣言(外部サイトへリンク)
- (9)障害者の権利宣言に関する条約(外部サイトへリンク)
- (10)児童の権利に関する条約(外部サイトへリンク)
- (11)大阪府人権尊重の社会づくり条例
- (12)性的マイノリティの人権問題について
- (13)ヘイトスピーチと人権に関する取組み
- (14)大阪府個人情報の保護に関する法律施行条例
- (15)大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例
- (16)大阪府男女共同参画推進条例
- (17)大阪府青少年健全育成条例
- (18)大阪府子ども条例
- (19)大阪府人権教育推進計画
- (20)第5次大阪府障がい者計画
- (21)大阪府子ども総合計画
- (22)おおさか男女共同参画プラン(2021-2025)
- (23)人権教育基本方針
- (24)大阪府在日外国人施策に関する指針
- (25)在日外国人教育
- (26)人権教育に関する情報について
- (27)いじめ対策
- (28)大阪府いじめ防止基本方針(PDF:484KB)
- (29)文字・活字文化振興法(外部サイトへリンク)
- (30)子どもの読書活動の推進に関する法律(外部サイトへリンク)
- (31)新・放課後子ども総合プラン(外部サイトへリンク)
- (32)公立の学校における幼児、児童及び生徒の安全の確保に関する指針
- (33)私立の学校における幼児、児童及び生徒の安全の確保に関する指針
- (34)こども110番運動
- (35)大人が変われば、子どもも変わる。運動
- (36)薬物乱用防止ホームページ
- (37)大阪薬物乱用「ダメ。ゼッタイ。」第五次戦略
- (38)子育て・教育・虐待・悩み事等相談窓口の紹介
- (39)動詞からひろがる人権学習
- (40)親学習教材ダウンロードページ
(『親』をまなぶ・『親』をつたえる) - (41)人権教育啓発映画(大阪府教育委員会製作)について 人権教育啓発映画(大阪府教育委員会製作)について(ワード:73KB) 人権教育啓発映画(大阪府教育員会製作)について(PDF:323KB)
- (42)第4次大阪府子ども読書活動推進計画(令和3年3月)