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更新日:2009年7月31日

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親学習教材「『親』をまなぶ・『親』をつたえる」

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「親」をまなぶ・「親」をつたえるの発刊によせて

少子化が進むとともに、保護者の育児ストレスや育児不安の増加、さらには育児放棄や子どもへの虐待など、「親であること」の危機的な状況があらわれています。

子育てを応援してくれる人が身近なところに多くいたころと違い、都市化・核家族化した中での子育ては保護者と子どもを行きづまりの状況に追い込んでいます。

子どもたちの生活からは屋外での遊びが激減するとともに、集団の中での交流や保護者以外の年長者とのふれあいも少なくなり、社会性がどんどん失われています。

「子育て」は保護者が子どもを大切に育む営みであると同時に、子どもの成長に寄り添いながら保護者自身も育っていく「親育ち」でもあります。

「親」としてのあり方や子育てについては、だれにでもあてはまる答えというものはありません。自信をもって子どもに向き合うことの大切さや、自分を大切にすると同時に相手を尊重する気持や、人と人とのつながりの大切さなどを、保護者自身が子どもとともにしっかりとまなびあい伝えることが私たちに求められていると考えています。
子育てや親を支援するためのさまざまなプログラムが提供されている中にあって、住民どうしの相互学習や学習の成果を実践につなげるという、社会教育の特質を活かした参加型の学習プログラムは、一人ひとりの「親」が持っている学び育つ力を引き出し、高めあっていくことに役立つものです。

平成14年度の大阪府社会教育委員会議の提言は、子どもに関わる課題をはじめとするさまざまな課題に主体的に取り組むことを通して、大人自身が学び育つことができる「大人のまなび」のための総合的なプログラムの必要性を示しました。

そこで平成15年度の大阪府社会教育委員会議では「親学習プログラム研究開発委員会」を設置し、地域のさまざまな集まりやグループで、親と子の関係や子育てについて学びあうための教材『「親」をまなぶ・「親」をつたえる』の研究開発に取り組むこととしました。

大人たちが子どもとの関わりをとおしてまなび、たがいにつながり合うことの大切さを認識することは、だれもが安心して暮らし愛着をもてる地域づくりにもつながるものです。

この教材をヒントに、多くの人々が「親であること」の大切さや子育てについて積極的に話しあい、子育ての楽しさやすばらしさをつたえあうことで、みんなが子育てに関心を持ち、ともに子どもたちをあたたかく見まもる関係づくりがすすむことを期待しています。

この教材はいろいろな場面で子育ての支援に取り組む多くの関係者の皆様の協力のもとに、試行実施と修正を繰り返しながら一応の完成をみたものです。

今後、さまざまな場でのまなびをきっかけとして、人と人とのつながりが広がりと深まりをみせ、また新たな視点が生まれるものと考えています。

そういった意味から、この教材にはこれで完成というところはなく、実践を通してさらに改良をくわえ、よりよいものにしていきたいと考えています。ご利用いただいた皆さまから、ご意見・ご感想をいただければ幸いです。

大阪府社会教育委員会議議長

親学習プログラム研究開発委員会委員長

岩堂 美智子

教材の構成と内容

親となるための準備期である中学生および高校生、子どもが乳幼児期の親、子どもが思春期までの親、子育てを支援する時期の幅広い世代を対象に構成しています。それぞれの期にメインテーマが設定され、さらに各期ごとに4つのキーワードを設定しています。

初対面の参加者に、単に「お互いの子育てについて話しあってください」と言ってもとまどってしまいます。身近な「エピソード」を題材に「話しあいのポイント」(または「グループワーク」)を示すことで、自分の経験と比較し、共感したり反発することから対話をひろげ、いろんな人の意見を聞くことから自分自身の子育てについて考え、学ぶことにつながるよう考えています。

また、「参考資料」は、話しあいの参考やさらに学習を発展させていくためのヒントとして活用してください。

教材の特質:参加型学習の教材

参加型学習では「参加者に力がある」と表現されることがあります。

学習に参加する人それぞれが経験や考え方などの「資源」を持ち寄り、話しあいを進める中から、たがいの理解や気づきを生み、一人ひとりをエンパワメントすること(持っている力を引き出し高めること)が参加型学習の目標です。

この教材は、保護者どうしや保護者と周囲の人との対話やふれあいをとおして、保護者自身が主体的に学ぶとともに、子育てを支えあう地域での人間関係づくりについて考えることをめざしています。

教材の「エピソード」には子育ての「正解」が書かれているわけではありません。むしろ、登場人物の行動などに問題点を感じることから、一人ひとりの参加者が意見を持ち、主体的に学習に参加できるよう工夫しています。

一人で読んで学習することもできますが、グループ活動や研修などの場で話しあったり、交流を深めるために活用してください。

「親」をまなぶ・「親」をつたえるを活用した学習の展開の例

親学習の流れ

時間

内容

ポイント

20分

アイスブレイキング
グループ分け
  1. 参加者の心をほぐすワークを行うなど、学習の場の雰囲気をなごませます。
  2. 学習の目的を共有し合って、人数に応じて話し合いやすいようにグループに分かれます。
  3. 初対面の人が多い場合などは、参加者どうしが話しやすい雰囲気を作り出すようにしましょう。

10分

エピソードの読みあげ
またはグループワーク
  1. 「エピソード」を読みます。状況に応じて役割分担して読みあうなどの工夫があれば楽しいです。全体の場で読んでもよいし、グループに分かれて読んでもよいでしょう。
  2. 「ワークショップ」の場合は、紹介してあるやり方を参考に、体験型のワークを行ってみましょう。

30分から60分

グループでの話し合い・学び合い
  1. 「話し合いのポイント」を参考に話し合います。この時間を大切にしましょう。
  2. 「ワークシート」や「参考資料」も対話を導き、深めるために活用してみましょう。
  3. 基本となる進め方
    • (1)「話し合いのポイント」をヒントにエピソードについて感じたことや意見を話し合う。
    • (2)自分自身の体験や思いをかさねたり、他の参加者の意見を聞くなどして対話を深める
    • (3)「グループワーク」の場合は、紹介している流れに沿ってグループで対話を進めましょう

30分

ふりかえり 他の人たちの意見を聞き、さらに学び深めましょう。学びを広げ、発展させるために「参考資料」等も活用してみましょう。

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