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自信をもってコミュニケーション <気持ち、わかる・言える>
(6)自信をもってコミュニケーション <気持ち、わかる・言える>
単元名
- 「牧場の動物」「こんなとき何て言う?」(特別活動)
- 「町のコマーシャルづくり」(生活科・社会科)
観点
◎コミュニケーション力 ○自己肯定感 ○思いやり ○共に生きる
ねらい
- 自分の思いや考えを自信をもって表現できるようにする。また、相手を認め信頼することで、人とのコミュニケーションが好きになるようにする。
- 展開例1では、コミュニケーションで大切なことは、相手の気持ちを受けとめ信頼し合うということに気づく。また、さまざまな場面において相手の意見を聞くと同時に自分の意見をきちんと言うスキルを身につけていく。
- 展開例2では、校区探険から発見したことや自分たちの町の良さを、友だちと協力しながら発表することで、自分の意見や考えを自信をもって相手にわかりやすく表現する力をつける。
展開例1
「牧場の動物」から「こんなとき何て言う?」
学習活動 | 指導者の働きかけ・留意点 | 予想される反応 |
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1 牧場の動物
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2 こんなとき何て言う?
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<指導上の工夫>
- 子どもたちは、自分の感情を抑え込んでしまったり、人前で意見が言えないということも多い。「いま、どんなきもち?」(大阪府人権教育研究協議会)のポスターやカードを使うなどして、いろいろな感情があっていいこと、自分や友だちの感情に気づくこと、自分を開くような取り組みをすることが大切である。
- 「わたしメッセージ」のような、相手の気持ちを傷つけずに自分の言いたいことを素直に伝えるという考え方と方法をアサーション[アサーティブネス](積極的な自己表現)と言う。子どもたちの生活でよく起こる場面を取り上げるとよい。いきなり「わたしメッセージ」が言えなくても、気持ちを表現していくことから始めることが大切である。
展開例2
町のコマーシャルづくり
学習活動 | 指導者の働きかけ・留意点 | 予想される反応 |
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1 取材してきたことを元に、学校のキャッチコピーを考える (グループごとに) |
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2 コマーシャルにする方法を考え、コマーシャルを作る |
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3 ビデオに録って見る アドバイスを出し合う |
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4 次時(発表会)の予告 |
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プログラム例1
コミュニケーション大好き!
- (1)あいこジャンケン
- コミュニケーションの楽しさを感じる。
- (2)鏡のゲーム
- 2人組で、相手の動作の通りに体を動かす。次に表情をマネする。
- 体と心を開き、相手に応えることでコミュニケーションの基本を感じる。
- (3)牧場の動物(展開例)
- 相手の立場・気持ちを考え、相手を信頼する。
- (4)こんなとき何て言う?(展開例1)
- 主体的な言い方(「わたしメッセージ」)を身につける。
- (5)去年はできなかった、でも今年はできる
- 自分のいいところや成長を見つめる。
- お互いを認め合い、相手を信頼し合う人間関係をつくっていく。
プログラム例2
私たちの学校・コマーシャル大作戦!
- (1)学校探険
- 学校のいい所、ハテナを探しながら探検する。
- (2)学校の自慢探し
- 学校の自慢したい所、好きな所について、意見を出し合う。
- 自慢できる学校ってどんな学校か。
- (3)取材しよう
- グループごとに取材計画を立てる。
- 地域に出かけて取材をする。
- (4)学校のコマーシャルづくり(展開例2)
- キャッチコピーを考える。
- 発表方法を考え、ビデオに録って見る。
- (5)発表会
- 家の人にも見てもらう。
<指導上の工夫>
- ここでは「学校」を取り上げているが、「班」「クラス」「まち」等、興味関心と発達段階に合わせて、いろいろなテーマで取り組むことができる。(取組例では、「まち」について取り組んだものを紹介している。)
- 他にも、いろいろな取り組みについての学習発表会の中で、表現力やコミュニケーション力を高めることができる。
教材例
こんなとき、何て言う?
友だちとの間で、いろいろな場面でトラブルが起きます。こんなとき、どうしたらケンカにならずに自分のいいたいことを言えるでしょう。
場面1:黒板を写しているAのヒジに、Bはまちがって体が当たってしまい、せっかく書いていたAの字がゆがんでしまいました。AはBに何て言うでしょう。……「 」
言い方の3パターン | 受け身的な言い方 (言われるまま) |
攻撃的な言い方 (「あなたメッセージ」:相手のことはおかまいなしにきつく言う) |
主体的な言い方 (「わたしメッセージ」:相手を攻撃せずに、自分の気持ちをキチンと表現する) |
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Aの言い方 | A「あっ、ゆがんだ……」 | A「何するん、ドジ!きたなくなったやんか。いっつもいらんことばっかりして!あっち行け」 | A「一生けんめい書いていたのに、残念。今度から気をつけてな。」 |
言われた時のBの気持ち | B[困ってないみたいだし、別にかまわないやろ。] | B[わざとじゃないのに、そんなにきつく言わなくても。“いつも”とか決めつけんといて!えらそうに] | B[ごめん。一生けんめい書いてたのに悪かったなあ。今後から気をつけよう。] |
では、次の場面では、どう言いますか。3通りで言ってみましょう。
場面2:Aはサッカーが大好きで、休けい時間が楽しみでした。ところが、Bがクラスのサッカーボールを一人じめして遊んでいます。サッカーをしたいAは、Bに……「 」
言い方 | 受け身的な言い方 | 攻撃的な言い方 | 主体的な言い方 |
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Aの言い方 | |||
言われた時のBの気持ち |
他にどんな場面がありましたか。
場面3:[ ]
さて、それに対して、3通りの言い方で言ってみましょう。……「 」
言い方 | 受け身的な言い方 | 攻撃的な言い方 | 主体的な言い方 |
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Aの言い方 | |||
言われた時のBの気持ち |
取組例(小学校)
- 私たちの町・コマーシャル大作戦!
3年生の子どもたちは積極性に欠ける面があり、自分の言葉で表現したり、自分から進んで取り組むのは苦手だった。そこで、社会科の校区・地域学習と重ねて、町の魅力や町に住む人と出会いながら、人と関わる力や自分の思いや考えを自信をもって表現できる力をつけたいと考えた。また、友だちを思いやり、一緒に協力しながら、見通しをもって自ら学び考える力をつけたいと考えた。
初めは、自分たちだけで話し合えなかったり、カメラの取り合いでもめたり、付いていくだけの子どももいたが、次第に生き生きと活動し始めるようになった。竹やぶグループは、自然を守ろうと活動している人の存在を知って自然をより身近に感じ、休日に竹林の保存のための活動にまで参加してきた。 - 完成したが失敗、そして変身
1学期末に完結する予定だったが、いざカメラの前に立つと声が出なかったり照れのためにふざけてしまったりで、作りたい作品とかけ離れたものになってしまった。「これでコマーシャル作りは終わり」と言うと、「もう一回やり直したい」という声が上がった。
2学期、子どもたちの意欲は残っているのか不安だったが、どんどん小道具の作り直しやセリフの書き換え、声の出し方の工夫など自主的に学習を進めていった。見通しを持てるということは、こんなにも学習の中身を変えていくものなのかと実感した。仲間といろいろな考えやアイデアを出す楽しさ、テーマを追求し発展していく面白さを感じてくれたと思う。 - 「Aくん、すごいやん」
Aくんは、ふだん、指名されても声を出さず、まわりの子との関わりのうすいのが気になる子だった。ところが、この学習を通じて、みんなと一緒にどんどん変わってきた。1学期と見違えるほど堂々と演じ、自信たっぷりの声で気持ちを込めて紙芝居を読んでいる。初めて聞いたAくんのはっきり話す声だった。「Aくん、すごいやん」「うまいやん」と感激の声をもらい、とても嬉しそうだった。その後の授業でも、発表をためらうと、「あの声で言いや」と励まされ、次第に自分から手を挙げて発表するようになった。秋の遠足の頃には、まわりの女子から「先生、Aくん、面白いねんで」と話してくれ、友だちとの関わりが広がってきたことを感じさせてくれた。
みんなが前より自分に自信を持ち、自分を出せるようになってきたこと、まわりの子どもたちも友だちのことを認め、待ってあげられるようになってきたことは確かである。
- 「自分が好き、友だちが好き」と言えるために
「最近の子どもたちは人の話が聞けない」、「コミュニケーションが苦手」という嘆きがよく聞かれる。そこで、話が聞ける子どもは聴いてもらう心地よさを知っている子ども、として子どもを丸ごと受けとめるようにした。友だちの話に耳を澄まし、体験を分かち合い共感する中でコミュニケーションは生まれる。 - コミュニケーション力は地道な積み重ねで
月曜の1限目を「お話し会」に充てた。月曜は日曜日の興奮を引きずって、気分がハイで、さかんに手が挙がる。前に出てきた子の肩をそからっと優しく抱きしめながら励ましてあげる。聴いてもらった満足感でいっぱいである。
話し手も聴き手も初めは決してうまくないが、回を重ねるごとに少しずつ上手になってきた。時には、「お立ち台」に立ってみんなの注目を浴びて話し、「おたずねします」という質問コーナーに対して、「お答えします」と言って応答する。また、袋に入れてきた自分の宝物や思い出の品をみんなに当ててもらうゲームもある。その宝物にまつわる自分のストーリーを物語るのである。 - 自己肯定感から、他者とのいい人間関係を
「どうせぼくはダメや」と自分を否定的にとらえ、自分を守るために攻撃的に生きている子も存在している。「自分が好き、友だちが好き」と言えるように、徹底して「いいところさがし」を続けてきた。初めは自分に何かをしてくれた相手の「いいところ」だったが、やがてクラスの出来事や仲間関係での「いいところ」報告に成長していった。 - 子どもの心の声に耳を傾けて
いわゆる「小1プロブレム」といわれるパニック的な状況に長い教員生活の中でも戸惑った。だが、子どもたちの「もっとかまって!こっち向いて!」という訴えだと受けとめ、あるがままの姿から出発して、「先生も一人ひとりが大好きだよ」というメッセージを伝えながら、乗り越えていくことができた。
取組例(小学校)
コミュニケーション意欲を育てるために
<難聴学級での取り組み>
難聴学級での指導は、「聞く-話す」という課題を軸において行っているが、その前提として、聞きたい・知りたい・話したい、というコミュニケーション意欲を引き出すことが大切である。その意欲が高まったとき、子どもたちは「聞く-話す」といった音声言語の枠を越えて、さまざまなコミュニケーション手段(絵・表情・身ぶり・動作・文字・手話等)を用い始める。そして、その中で、お互いのもちあじを交流し、高め合うようになる。
『ノンタン』シリーズのペープサートを使って、楽しみながら声を出す練習をした。声の強弱・抑揚をつけること、声をみんなと合わせること、間を取ること、気持ちを込めること等を課題に取り組んだ。
子どもたちの主要なコミュニケーション手段は口話法であるが、1年の二人は発音サイン、3年のBと4年のCは指文字も使って、意思の確認をしている。さらにコミュニケーション手段を増やすために、手話を取り入れていった。言葉だけに頼りがちな今日、手話のもっている、顔の表情や体全体の動きも含めた表現方法は、難聴児だけでなく、健常児にも、その表現の豊かさを実感させるものである。
そこで、「身ぶり・手話ごっこ」を行った。テーマを決めて交代で身ぶり・動作を行い、何を表現しているかを当て合うというものだ。的確に表現できる子どももいて、楽しみながら、手話へとつなげていった。
秋には、幼稚園と交流会を行い、その中で子どもたちは手話クイズを行った。……児童「これは何ですか?(「食べる」の手話をする)」、園児「2本」「おはし」「ごはん」、児童「これは“たべる”です」、園児「わあ、“食べる”かあ」……予想以上に盛り上がり、児童たちも、自分たちの手話に自信をもつとともに、コミュニケーションが好きになっていった。
取組例(幼稚園)
「お話大好き!」<思いをのせて生き生きと言葉を交わし合う子どもたちをめざして>
豊かな言葉を育てるために、子どもたちの実態を踏まえながら、見通しをもって取り組んだ。幼稚園での年度始めの時期での取り組みの概要を紹介する。
歳 | 特徴的な姿 | 説明 | ○初期の目標と、⇒方向性 |
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3歳児 |
いまを語るから主張 周りの人に親しみを持って話すことが楽しくなる |
新しい環境で、さまざまな人やものに出会う。興味をもったことを語ろうとする。こだわりにたいしては「やる!」と主張し続ける姿が見られる。 |
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4歳児 |
経験を伝えるから伝達 経験を自分なりの言葉で表現するおもしろさを味わう |
自分を意識し、他者の中で自己を発揮しようとする。「聞いてほしい」と積極的に思いを伝えようとしたり、自分と友だちの違いに気づいて比較したり、一緒のものを求めたりする。 |
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5歳児 |
互いを理解するから共有 人の話を集中して聞き、相手にわかるように話そうとする |
「○○したいけど□□だ」と自分を律しながら行動するようになる。友だちのわがままを注意したり、相手の思いを推し量って代弁する姿も見られる。自分や相手の体験をもとに、言葉の力によって思いを共有しあえる関係へと成長していく。 |
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<指導上の工夫>
豊かな言葉を育てるためには、環境構成を整えていくことが必要。子どもたちは体験したことを伝えたり、絵に再現したり、絵本で興味を広げたりしながら、自分の中にじっくりとふくらませていく。また、詩や言葉遊び歌など、美しい文章や快い響きを聴く体験は、言葉への興味関心を高め、感性を豊かにするために大切なので、保育の中に取り入れていきたい。
言葉の発達は個人差が大きいので、個に応じた言語力を伸ばしていく必要がある。
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