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更新日:2011年6月9日

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平成23年5月教育委員会会議会議録

大阪府教育委員会会議会議録

1 会議開催の日時

平成23年5月13日(金曜日)午前9時30分開会
午前11時00分閉会

2 会議の場所

大阪府教育委員会委員会議室

3 会議に出席した者

  • 委員長
    生野 照子
  • 委員長職務代理者
    小河 勝
  • 委員
    川村 群太郎
  • 委員
    隂山 英男
  • 委員
    中尾 直史
  • 教育長
    中西 正人
  • 教育監
    川村 幸治
  • 教育次長
    藤井 睦子
  • 教育総務企画課長
    見浪 陽一
  • 教育振興室
    長津田 仁
  • 高等学校課長
    和田 良彦
  • 支援教育課長
    三ツ石 浩幸
  • 小中学校課長
    箸尾谷 知也
  • 教職員室長
    大西 弘之
  • 教職員企画課長
    秦 光広
  • 教職員人事課長
    中野 伸一

4 会議に付した案件等

  • 第1号議案
    知事からの意見聴取について
  • 第2号議案
    平成24年度使用府立学校教科用図書採択要領及び平成24年度使用高等学校用教科用図書選定の手引きについて
  • 報告事項
    平成24年度公立小中学校任期付校長及び府立学校任期付校長の募集概要について

5 議事等の要旨

  • (1)会議録署名委員の指定
    中尾委員を指定した。
  • (2)前回の会議録について
    全員異議なく承認した。
  • (3)議案の審議等

第1号議案

知事からの意見聴取について

議案の趣旨説明(教育総務企画課長)

地方教育行政の組織及び運営に関する法律第29条の規定により知事から意見を求められた平成23年5月定例会に提出される次の議案については、異議がないものとする件である。

条例案
  1. 府費負担教職員の給与の支給等に関する事務に係る事務処理の特例に関する条例一部改正の件
  2. 職員の育児休業等に関する条例一部改正の件

委員の質問及び意見

なし

採決の結果

原案どおり決定した。

第2号議案

平成24年度使用府立学校教科用図書採択要領及び平成24年度使用高等学校用教科用図書選定の手引きについて

議案の趣旨説明(高等学校課長)

府立学校の教科用図書を適正かつ公正に採択する基本方針として、毎年度当初に定める件である。

委員の質問及び意見

  • (川村委員)
    理科の実験等について、詳しく書くこととしたのはなぜか。
  • (和田高等学校課長)
    理数教育については来年度から先行実施されるなど、高等学校の学習指導要領において、その充実が図られている。例えば、実験、実習については「自ら考え、自ら実験する」要素が重視された。これらを、手引きに反映したものである。
  • (川村委員)
    実験については、安全を確保しつつ、生徒には「面白い」と思ってもらわなければならない。「怖い」と思われるようではいけない。日本人はノーベル賞受賞者が多いが、最近は理科離れが深刻である。改善しなければならない。
  • (中尾委員)
    教科書をどうするかという問題は、日本としてどのような人材を育てていくかということにつながる。グローバル化の中で技術立国の道を進んでいくためにどうするかということだが、その中で「実験」があり、広い視野でとらえないといけない。単に実験を増やして、教科書をパッと変えればいいというものではない。採用する先生も理系が多いか、文系が多いかというところから、広く考えないといけない。それと、学習指導要領の改正によるボリュームのことだが、本当に今のやり方でこなせるのか。この点を不安視している。
  • (津田教育振興室長)
    学力低下の問題もあり、今のままで十分なのかという課題意識からの改正だが、ご指摘いただいた部分については、現場も不安の声が上がっている。生徒の実態を見ながら、取組を積み上げていきたい。
  • (小河委員長職務代理者)
    低学年ほど破たんが深刻化しているのが実態である。この実態の問題は、すぐ表面化せず、表面化したときには極めて深刻な事態になっていることである。この問題を解決するポイントは、学習の定着をいかに強固に、短時間で、効率良くしていくかである。理数系に限って言えば、世界最先端の情報が国内に入ってきているのに、日本の教科書には反映されていない。外国では教科書は10倍ぐらい分厚く、興味を持てばどんどん学習していける内容になっている。国全体の認定の仕方に係わってくるとは思うが、教科書の全体構想について、もっと大胆に自由化と絞込みの両面で組換えが必要である。
  • (川村教育監)
    府教育センターは、研修研究機関としては日本で唯一国の科学研究費補助金の対象として認められている機関である。小中学校の教員を10人程度、6か月間の長期研修に受け入れたりもしており、安全で分かりやすい実験の方法について現場に落とし込んでいる。また、時代のニーズに合った研究についても、府立大学と連携してやっており、教育センター附属高等学校の教育にも落とし込んでいる。
  • (川村委員)
    10人と言わずに、人数を増やしていくべき。そういう連携のパイプを太くしていくこと。そうすれば、特色のある学校づくりで理系の教育に生かしていける。
  • (小河委員長職務代理者)
    高等学校等の教育については、流動的に実施していけばいい。義務教育の学習状況については、実態調査をして現場が総崩れにならないようすべきである。
  • (箸尾谷小中学校課長)
    教科書、授業の増加について、小学校では、6年間の授業時間が1割増えたところ、教科書は3割増えている。文科省は今までは「教科書を教える」となっていたが、現在は「教科書で教える」というふうに変わってきている。教科書が増えた理由として、補充、発展的な内容があったり、毎年教えるスパイラルな内容が増えたこともあるため、教科書の内容を検討した上で、学習指導要領に従いしっかり計画を立て、学校全体で協力してやっていくよう指導しているところである。
  • (中尾委員)
    学校の体制をチェックしないと、任せているだけでは駄目である。
  • (箸尾谷小中学校課長)
    各校の教育課程実施状況調査をしており、指導していきたい。
  • (小河委員長職務代理者)
    算数領域は土台となるものであるため、徹底して細かく調査をしていってもらいたい。
  • (箸尾谷小中学校課長)
    小学校の理科は、専門の教員が教えるわけではないので、文科省の事業を活用して、100人以上の理科支援員を配置している。こうした対策を引き続き活用していきたい。
  • (隂山委員)
    指導した内容のアウトプットの調査が必要である。つまづき調査でそこが本当に改善したのか調べることである。つまづき調査が多くの学校で取り組まれていないという声も聞く。アウトプットの目標が達成できているところが1割とかいう結果もある。何校か抽出してチェックする必要がある。それと、新しい指導要領で、算数の内容などはおそらくこなせないだろう。取捨選択しないと、学校はやろうとしてしまう。PISA型への対応と称して、新しい内容を採り入れているが、おそらく定着しないだろう。日本の教育課程はもともとPISAの調査でトップで、優れている。国のミスリードである。逆説的に言えば、算数・数学をおさえておけばまず大丈夫である。社会は小中高でつながっていない。理科は厄介である。生活科が入ってきたために、昔に比べ大幅にカットされた。行政的に元に戻しにくくなっている。そこで、理科特区を作るのはどうか。私は、京都で理科特区の構想を主張しているが、実態を知らない人も多く、進まない。どこかで突破口を見つけて、小中高大をひっくるめた先行事例として打ち出すしかない。例えば、教育センターの周辺地域で特区を認めてもらい、小中学校や府立大学などとも連携し、企業からも人材を送り込んでもらうなどして、大阪独自のものづくり人材の育成カリキュラムなどをすればよい。理科支援員の配置などは、単発で終わりがち。是非とも検討してもらいたい。
  • (川村教育監)
    人材交流等はすでに実施しているところでもある。他校との問題もあるので、そういう方向性も見ながら、検討していきたい。教育センターの強みは理科なので、センター附属高校のカリキュラムにも採り入れ、かなりしっかりした授業を行っている。
  • (中尾委員)
    東大阪市モノづくり再生特区などもあるが、戦略的にやっていくべき。実績を積み上げたものでやっていくのか、ある目標を目指してやっていくのか、これは戦略の問題である。そういうものは、トップから降ろしていかないといけない。
  • (川村委員)
    この学校の先生にはノーベル賞受賞者を配置するとか、戦略で考えていかないといけない。そうすれば予算が付く、人が集まってくるなど、全てにつながりを持たせるのである。特区が難しければ、附属高校だけでも変えるとか、核となるものを格上げしたり、プロジェクトの責任者をどうするかとか考えていけばいい。
  • (小河委員長職務代理者)
    シンボル的な目標地点を定めて具体化していくというのは高校教育にこそふさわしいだろう。生徒の実際の進路選択は数学ができるかどうかで決まってしまい、理科に関する情熱や関心、能力の高い人が文系にまわってしまうこともある。また、新指導要領では、小学校では6年はかなり楽になっていて、2年から5年がかなりしんどいカリキュラムになっている。低学年からの学習の積上げは落としこぼしのないよう指導していくことが大事である。現場の裁量に関して、指針、アドバイスをしていってほしい。
  • (隂山委員)
    例えば、100マス計算、3桁×3桁の計算の標準問題については、解くための標準時間を示していく必要がある。義務教育に関しては、問題の標準回答時間やテストをいつ実施するかとか決めれば、先生はそれに向けて努力する。テストを作問する人にも指標を伝えないといけない。指標を教えられていなければ、学習指導要領に従って作ってしまうだけになる。生徒が頑張っても、なかなか成果が出ないことになってしまう。
  • (小河委員長職務代理者)
    考える力というが、要は解く技術力が大事。基本的なスキルが身につかなければ、上級学年に進んだとき考えることはできない。重点の置き方を考えないと、指導要領そのままだと観点の違うものになる。実態に合わせた分析をした問題が必要となる。
  • (隂山委員)
    指導要領そのままでは駄目である。少し難しい問題となると、分析なく作りがちである。思考力は記憶の出し入れの高速性から生まれる。100マス計算でも正確にやろうとしたら速くならない。速さは正確性をひき出す。まず速さである。学力が向上している学校の成功事例を分析して、その内容を普及させていくべきである。成功事例のない学校に独自でさせると、失敗事例を繰り返すだけになる。教育委員会は、「成功事例に学ぶ」という形を作ってほしい。
  • (小河委員長職務代理者)
    義務教育に関する指針が大事である。府は、高度なレベルへの飛躍のためにも、独自の大胆な戦略を打ち出していくべきである。指導要領を早く完全にマスターさせるように指導すると、現場はしんどくなる。確実に生徒が力をつけていく方法を示した方がいい。
  • (中尾委員)
    教育委員会が何も言わなければ、現場は教科書を全部教えないといけないとなってしまう。社会に出れば、文系、理系なんてない。文理選択は、数学ができないから文系にとなっている。義務教育の低学年の段階できっちりやっておかないと、高校では取り戻せない。
  • (川村委員)
    企業でいうと、メーカーの役員の7割は技術系である。経営者になりたければ、まず理系を卒業して、そのあと経営を学べばいい。ただ、理系は原因と結果を追求しすぎる傾向がある。そうではなく、人を扱う世界では目的と手段を意識しないといけないこともある。それらを含めて思考力が必要となる。そのためにも、府が指針を示して変えていくことである。
  • (小河委員長職務代理者)
    府教委は現場に向け、単純明快なメッセージで伝えていく必要がある。
  • (中西教育長)
    色々とご指摘をいただいたが、教育センターについては附属高校を中心にしっかりとやっていきたいと考えている。また、義務教育の問題についても、学力向上をめぐって様々な議論をしているので、そこできっちりと検討していく。

採決の結果

原案どおり決定した。

報告事項

平成24年度公立小中学校任期付校長及び府立学校任期付校長の募集概要について

報告の趣旨説明(教職員人事課長)

平成24年度公立学校任期付校長の選考に係る選考予定校種及び採用予定人数並びに今後のスケジュールについて、報告する件である。

委員の質問及び意見

  • (隂山委員)
    任期が3年で、最長5年とのことだが、その後の更新がなければ、35歳で採用された者はどうなるのか。こういうものに応募する人というのは意欲のある人だろうが、生活のことを考えると、さらなる再任用のことを考えないと、絵に描いた餅になる。
  • (中尾委員)
    人事に関する全体像や今の校長の年齢構成等が分からない。中長期の考え方で、こうしたいという方針があるべきなのに、これでは全然見えない。仕組みを含めて考えないと、今年はこれで進めるとしても検討しておくこと。それと、まったく経験がなければ、1年目は様子見になるし、2年目からようやく始められる。3年では、成果を出すのは、自分の経験からしんどい。
  • (隂山委員)
    教育の経験がなければ、マネジメントだけでは学校を変えるのはなかなか難しいだろう。学校マネジメントについて、大阪はまだまだ弱い。たとえば、ティーム・ティーチングでも「学年の先生同士でよく話し合ってください」という指示をして、任せきりになりがち。駄目だったら誰が責任を取るのか等の意識がない。中途半端な扱いではいけない。
  • (中尾委員)
    この学校を何年先にどうしたいのかという目標によって、それを達成するための年数も変わってくる。あるべき姿を目指して、中期の計画があり、人を選ぶことになる。先に任期があるのではない。学校経営計画と校長人事が連動しないといけない。
  • (川村委員)
    人事というのは、本当に一番難しいものである。そんな簡単にはいかない。我々委員も、どうやって校長を育てるかについて何も話し合っていない。校長人事が大事と考えるなら、例えば、有能な校長の下に教頭を配置してその校長から学ばせるとか、そのときには前校長と今の校長との連携も必要になってくる。なぜかと言うと、3年で生徒は入れ替わり、学校の成果は生徒で決まるからである。今回の募集について言うわけではないが、根本理念も含めた全体像を議論する必要がある。
  • (隂山委員)
    募集要項に「更新あり」とは書けないのか。
  • (大西教職員室長)
    人事委員会と協議しなければならないので、すぐにはできない。また、地方公務員法に規定されている任用期限の趣旨など、十分調べる必要がある。
  • (生野委員長)
    任期付校長の選考に関わっているが、学校現場の経験がまったくない人にとっては、研修が非常に重要である。プログラムの改変も必要になるかもしれないし、これをどういうスタンスで実施しているかが大事である。また、どう進化してきたかも伺いたいので、あらためて示してもらいたい。
  • (中尾委員)
    民間人校長予定者として研修している内容について、経験の長い校長、教頭が知らないことも多い。予算や支出に関すること等である。
  • (隂山委員)
    外部からの校長登用については、実際に人数が増えていけば素晴らしい。ぜひ、増やしていきたい。
  • (大西教職員室長)
    十分検討していきたい。

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