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平成23年1月教育委員会会議会議録
大阪府教育委員会会議会議録
1 会議開催の日時
平成23年1月21日(金曜日)午前9時30分開会
午前11時30分閉会
2 会議の場所
大阪府教育委員会委員会議室
3 会議に出席した者
- 委員長
生野 照子 - 委員長職務代理者
小河 勝 - 委員
隂山 英男 - 委員
中尾 直史 - 教育長
中西 正人 - 教育監
田中 保和 - 教育次長
向井 正博 - 教育総務企画課長
藤井 睦子 - 教育振興室長
楠野 宣孝 - 高等学校課長
津田 仁 - 副理事兼保健体育課長
北川 憲一郎 - 市町村教育室長
藤村 裕爾 - 小中学校課長
角野 茂樹 - 児童生徒支援課長
梶谷 尚義 - 教職員人事課長
橋本 正司
4 会議に付した案件等
- 報告事項1
平成23年度「府立学校に対する指示事項」及び「市町村教育委員会に対する指導・助言事項」について - 報告事項2
平成23年度当初予算要求の状況について - 報告事項3
平成23年度教育委員会事務局の組織について - 報告事項4
平成22年8月21日以降における教職員の懲戒処分の状況について - 第1号議案
教育長に対する服務上の措置について
(注)非公開審議に係る資料及び個人情報等を含む資料については省略させていただいております。
(第1号議案は非公開審議)
5 議事等の要旨
- (1)会議録署名委員の指定
中尾委員を指定した。 - (2)前回の会議録について
全員異議なく承認した。 - (3)議案の審議等
報告事項1
平成23年度「府立学校に対する指示事項」及び「市町村教育委員会に対する指導・助言事項」について
報告の趣旨説明(高等学校課長)
前回の委員会会議の審議を踏まえた平成23年度「府立学校に対する指示事項」及び「市町村教育委員会に対する指導・助言事項」の「取組の重点」の修正及び「本編」の作成について、報告する件である。
委員の質問及び意見
- 生野委員長
先月の審議の後、修正したところはどこか。 - 津田高等学校課長
前文において、子どもたちの力を引き上げること、府立学校が一丸となって教育力向上に取り組むこと、社会をリードする人材の育成等を分かりやすく記載した。前回ご審議いただいた重点の取組みを踏まえ、教育長の下で後半部分を作成した。 - 隂山委員
要望だが、来年度からの学習指導要領の改訂を踏まえて新しい教科書が出てくるが、内容が盛りだくさんである。スパイラル学習で一年間に学習する内容も多岐にわたっており、学期中にすべてこなすのは不可能な状態である。今までと同じような発想で授業をしていたらパンクするので、教育課程の編成に当たっては現実的な対応をしてほしい。教科書をどの程度重視するかの考えを持って学校現場を指導してもらいたい。教科書が整理されていなければ客観的な分析も必要である。混乱が予想されるので、戦略的な方向をとるように。 - 中尾委員
同感である。教員の姿勢というのは、去年どおりで追加されたところだけ加えればという感じになりがちである。トップダウンでやっていかないと上滑りになってしまう。それともう一つ、府立学校への指示事項は基本方針だと思うが、それを具現化するときに、私学との関係で、学校経営計画において特色づくりをしっかりしないといけない。目標設定の時にしっかりとした指導が必要である。そこがずれると、評価・育成システムの方でもずれが生じる。 - 小河委員長職務代理者
管理職が本気で先頭に立たないといけない。教科書について言うと、スパイラルの組み方が複雑で、学校現場は大変である。各学校での生徒の状況に基づく分析と独自のプランニングが必要。学校に見合ったプランを立てないと根付かないだろう。 - 隂山委員
スパイラル学習といっても単に前倒しにするのではなく、最初に出てくるときは紹介だけにし、後で学習するときに定着を図るなどのように、学校全体で合意しておかなければ、先生も子どもたちも大変である。教育課程と教材の検討をきちっとするようお願いする。とりわけ今年である。今までゆとり教育で一番ゆるい指導をしてきて、今年から一番きつい指導に変わる。ありとあらゆる矛盾は今年出てくる。逆説的に言えば、今年しっかりとした分析をしておけば、2年目、3年目はうまくいく。4月冒頭から気合を入れて現場を指導していく必要がある。
報告事項2
平成23年度当初予算要求の状況について
報告の趣旨説明(教育総務企画課長)
平成23年度当初予算要求の状況(平成23年1月21日時点)について、報告する件である。
報告事項3 平成23年度教育委員会事務局の組織について
報告の趣旨説明(教育総務企画課長)
平成23年度の教育委員会の組織運営等体制方針について、報告する件である。
委員の質問及び意見
- 中西教育長
かなりの予算要求をしているが、まずまず順調に進んでいる。あと、残っているのは英語教育とキャリア教育であるが、これらについては私学との関係でどう整理するかというところである。英語についてはTOEFLという知事の考えがあるが、もともと教育委員会が検討していた施策とのバランスをどう確保するかという問題がある。また、府税収入の改善で増収分のいくらかを財政調整基金に積み上げるが、その分知事は教育予算を充実させたいとの意向もある。事務局としてはこれで学校のトイレや空調といった施設面のテコ入れをしたい。このほか、知事の思いが強い中学校給食について、現在、府は全国的に突出して実施率が低いが、これを何とかできないかとの相談を受け、市町村に意向をリサーチをしているところである。これを全面的に打ち出していくかどうか全庁的な見極めをしていきたい。 - 生野委員長
給食は自校方式か、センター方式か。 - 中西教育長
そこは様々である。小学校がセンター方式の場合、それを中学校に拡充するなど方法はいろいろあると思う。府が画一的に指定するより、市町村の実情に合わせて実施されるべきであると考える。 - 生野委員長
センター方式もいいと思う。昔と違い、衛生設備も改善しているので、配送途中の感染の心配も低い。 - 隂山委員
給食が今までなかったことがおかしい。決断力ある知事の在任中に実施すべきである。子どもが社会的に自立していくということを考えたときに、生活習慣をしっかりしておかないと、それなしに他をテコ入れしても中途半端になるだけである。給食は、ある意味、学力向上以上の優先課題である。それとキャリア教育が少し心配である。就職内定率が落ちているというが、大企業と中小企業とでは倍率が違う。学生は選んでいるのである。テレビでは「なりたい自分になる」などと言っているが、全員の希望がかなうはずはない。やりたいことをやるのではなく、やるべきことをやることが自立だということを教えないといけない。本当は、就職状況は言われているほど悪くなく、自分たちで悪くしているのである。なりたい自分になれなくて希望する就職ができず、そのことがコンプレックスになって人生を送っている人がいるかもしれない。しかし、人は与えられた持ち場、持ち場で力を発揮して、キャリアを花ひらかせていくものである。世の中全体が「夢と志」と言い過ぎである。 - 小河委員長職務代理者
市町村の職員から、学力向上の支援策については非常にありがたいという話を聞く。しかし、予算を配分するだけでなく効果が上がっているかというところをもっと検証して、またそれを予算に反映させていきたい。 - 中尾委員
役所は先に予算が決まってそれをどう使っていくかという流れになっている。仕方ない部分もあるが、民間を経験した者から見ると、それは逆である。本来は、収入が変化するとその時々の状況によって対応していく。私学では生徒が減れば支出を絞り込まないといけない。公立と私立の関係もあって、私学への専願が増え、公立の生徒数が減った場合、予算を減らすのか。 - 向井教育次長
毎年5月1日時点の生徒数から教員数を割り出す。生徒数が減れば2月補正予算で減額する。 - 橋本教職員人事課長
そのつど補正予算を組むわけにはいかないので、実態に合わせて執行する。 - 中尾委員
人員についてはどうか。 - 向井教育次長
講師の採用を減らすことになる。 - 中西教育長
私学の専願率と収容人員との関係は極めて流動的だが、我々は穴をあけない努力はする。 - 藤井教育総務企画課長
1クラス分の穴があくなどとなれば、調整可能な人員の中で調整していく。予算はあくまで見積りなので、生徒が減れば、不要な執行をするのではなく、減額補正をする。執行は厳しく管理している。 - 生野委員長
昨今、経営マネジメントを重視しているので、制度全体の中で管理して自己チェックしていってほしい。近年特に変わってきたのは、重点項目をきっちり決めて、予算要求のときの方針がかなり分かりやすくなってきたことである。 - 隂山委員
英語教育についてだが、英語教育の目標が今までなかった中で、TOEFLを目標にするのはいいことだと思う。ただ、まだ今は英語教育の目標があいまいである。現状では、留学するためにはTOEFLを受けることになるが、制度変更で通りにくくなった。ところが、韓国、中国ではそれに対する対応を10数年前からやっていて、日本人は勝負にならない。そう考えると、TOEFLというのは、大阪の国際化の窓口になる。IT企業などは人材をどんどん海外に出しているし、一部上場企業で働くためには英語は必要である。この段階で使われるのはTOEFLでなくTOEICである。その意味で、生徒にTOEFL、TOEICを意識させるのは非常にいいことである。子どもたちの学習の視点も、受験用の読み書き英語でなく、音声系の英語にシフトしていくと思う。教員にとっても授業のあり方が明確になってくる。なぜ英語かとなると、海外にキャリアを広げるためである。ぜひ、検討いただきたい。 - 中西教育長
今回の教育委員会の予算要求の中でも、すでにTOEFL、TOEICを含めたものをしていた。 - 中尾委員
将来どういう人材が必要とされるかというのは、今の学校でもあまり意識していない。生徒が10年後社会に出るとき、社会はどうなっているか、そのときどんな人材が必要か、そのためにどんなことを身に付けておかなければならないか、そういうことを意識しておかなければならない。それがないまま、いろんなことをしますと言っても徹底しないだろう。 - 生野委員長
TOEFLの事業については私学も入ってくるだろうが、公立としても準備態勢を整えないといけない。
報告事項4
平成22年8月21日以降における教職員の懲戒処分の状況について
報告の趣旨説明(教職員人事課長)
平成22年8月21日以降における教職員の懲戒処分の状況について、報告する件である。
委員の質問及び意見
- 隂山委員
不適切なことをしている教員というのは、自分は大丈夫と思っている。そうならないように、定期的に非違行為の内容と処分の量定等を告知するべきである。 - 中西教育長
服務通達で発出している。 - 田中教育監
職員会議でも配布している。 - 中尾委員
職場離脱事案は、公務員の甘いところである。民間や私学ではありえない。幼稚園でもスクールバスはあるが、運転手は運転後他の業務に就かせるなどしている。仕事の割り振りをきちんとすべきである。運転をしたら終りだと思っているから、こんなことが起こるのである。それに、起こってからこんな対策を講じているというのがおかしい。 - 小河委員長
職務代理者公務員体質を打開していかないといけない。 - 中西教育長
順次、民間委託に切り替えていっているが、残っている職員については位置づけを見直してやっていく。 - 生野委員長
体罰事案についてだが、生徒に非がある場合もあろう。その場合、生徒への罰則規定などはあるか。各学校での対応に任せているのか。統一的な内規などはあるのか。 - 梶谷児童生徒支援課長
いきなり出席停止等にするのではなく、各学校で生徒指導を行い、本人に自分のしたことを自覚させている。各学校のマニュアルに基づき、状況に応じて判断している。 - 田中教育監
高校では懲戒があるが、公立の小中学校ではそれはない。 - 小河委員長職務代理者
学校である程度の基準は持っているだろうが、個別事案が多いので、統一的に固定してしまうと弊害の方が大きい。 - 生野委員長
体罰は悪いことだが、生徒に反省を求めることとは別問題である。教員が個人的に決めるのではなく、例えば出席停止の前に何をさせるか等が決まっていれば、それが体罰の抑止効果になる。私が外来で診るような子どもの中でも、作文を書かせることによって体罰から守られると感じるところがある。体罰の代わりとなる罰の基準が必要である。 - 中尾委員
統一的な基準づくりは無理だろう。まず担任にしっかりやってもらって、それで無理なら学年主任に上げ、保護者に来てもらうなり、作文を書かせるなどの個別ケースごとの対応にならざるを得ない。 - 隂山委員
現行の体罰の解釈においては、教室の後ろに立たせる等もダメであろう。懲罰的なことは基本的にできない。だから基準を作るのは難しい。それに、私学であれば最終的に放校処分にすることがあるが、公立ではできない。そこが大きく違う。体罰を起こせばそれで終わりである。問題のある生徒には2、3年かけて皆で取り組んでいくことである。悪いことをすれば罰を受けるということを教えるべきであり、道徳教育だけでは無理である。 - 小河委員長職務代理者
問題を起こす生徒には、生い立ちや家庭事情など様々な要因がある。一挙に解決できない。 - 中尾委員
一人の教員だけに任せないことである。1対団体戦で、客観的に、のめり込まずやっていく必要がある。あとは、問題はエスカレートしていくので、小さい芽のうちに摘み取ることである。小さな変化を見逃さないことだと思う。 - 小河委員長職務代理者
本人に生きていく見通しが見えれば、変わっていく。学力向上は、そのきっかけとなるものである。 - 生野委員長
この問題については、また折を見て考えてみたい。
委員長から次の議案については、個人の情報等を含むものであることから非公開としてはとの動議があり、採決の結果、全会一致で非公開とすることを決定した。併せて、当該議案の内容に直接利害関係を有する者についても、後ほど退室を指示する予定である旨説明が行われた。
(傍聴人及び報道関係者、関係者以外の者 退席)
(教育長 退室)
以下非公開の審議に係る部分につき省略