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更新日:2024年5月24日

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病院・診療所における麻薬取扱者の手引き

目次
第1 免許
第2 譲受
第3 施用
第4 保管
第5 管理
第6 廃棄
第7 記録
第8 業務廃止
第9 事故
第10 報告(年間届)
第11 麻薬中毒者診断届、転帰届
第12 その他

第1 免許

  • (1)麻薬施用者(麻薬及び向精神薬取締法(以下「法」という。)第2条、第3条)
    麻薬施用者とは、都道府県知事の免許を受けて、疾病の治療の目的で、業務上麻薬を施用し、若しくは施用のため交付し、又は麻薬を記載した処方せん(以下「麻薬処方せん」という。)を交付する者です。
    麻薬施用者は、医師、歯科医師又は獣医師に限定されています。
    麻薬の施用等に従事しようとする麻薬診療施設を知事あてに申請してください。大阪府内の2カ所以上の診療施設で麻薬の診療に従事する場合は、主に従事する「麻薬業務所」の他、2カ所目以降を「従たる施設」として診療を行う施設の申請(追加の場合は記載事項変更届)をおこない、麻薬施用者免許証に記載してください。
    ただし、都道府県を異にする2カ所以上の診療施設で麻薬の診療に従事するためには、各々の都道府県において麻薬施用者免許を受ける必要があります。
  • (2)麻薬管理者(法第2条、第3条)
    麻薬管理者とは、都道府県知事の免許を受けて、麻薬診療施設で施用され、又は施用のため交付される麻薬を業務上管理する者です。2人以上の麻薬施用者が診療に従事する麻薬診療施設にあっては、麻薬管理者を1人置かなければなりません。この場合、麻薬施用者が麻薬管理者を兼ねてもかまいません。(別途麻薬管理者の免許申請が必要です)
    麻薬管理者は、医師、歯科医師、獣医師又は薬剤師に限定されています。
    なお、麻薬管理者を変更する場合は、事前に免許申請してください。事後におこなうと、麻薬管理者不在状態が生じ、法第33条に違反します。
  • (3)免許の有効期間等(法第5条)
    免許の有効期間は、免許の日から翌々年の12月31日までです。
  • (4)免許証の返納(法第8条)
    免許証の有効期間が満了し、又は免許を取り消されたときは、15日以内に「免許証返納届」(別記第4号様式)により免許証を返納してください。
  • (5)免許証の記載事項変更届(法第9条)
    免許証に記載されている次の事項に変更が生じたときは、15日以内に「免許証記載事項変更届」(別記第5号様式)に免許証を添えて届け出て、免許証の書換え手続きをおこなってください

麻薬施用者

  • 住所、氏名、麻薬診療施設の名称及び所在地
  • 従として診療する麻薬診療施設の名称及び所在地
  • 従として診療する麻薬診療施設の追加又は廃止(府内に限る)

麻薬管理者

  • 住所、氏名、麻薬診療施設の名称
    (ただし、開設者が変わる場合及び麻薬診療施設の移転の場合は新たに免許を受ける必要があります。)
  • (6)免許証の再交付(法第10条)
    免許証をき損し、又は亡失したときは、15日以内に、その事由を記載して、免許証の再交付の申請(別記第6号様式)をしてください。き損したときは、その免許証を添えてください。

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第2 譲受

  • (1)麻薬卸売業者からの譲受け
    • 1)譲受(法第26条)
      麻薬診療施設の開設者が麻薬を譲り受けるときは、大阪府内の麻薬卸売業者から直接譲り受けてください。
    • 2)麻薬譲受証、麻薬譲渡証の交換(法第32条)
      麻薬を譲り受ける場合は、麻薬譲渡証及び麻薬譲受証の交換が必要です。麻薬譲受証をあらかじめ麻薬卸売業者に交付するか、あるいは同時交換でなければ麻薬を受け取ることができませんので十分注意してください。
      麻薬譲受証には、譲受人の氏名(法人にあっては名称、代表者の職名及び氏名)、麻薬管理者(麻薬管理者のいない施設にあっては麻薬施用者)の免許番号及び氏名、譲り受けようとする麻薬の品名・数量等必要事項を記載し、押印(法人にあっては代表者印又は麻薬専用印(他の用務と併用する印は認められません。ただし、覚醒剤原料用の印を除く)を押印)してください。【P14記載例参照】
      麻薬譲受証は、麻薬診療施設の開設者の責任において作成してください。

【麻薬専用印の例】

医療法人 ○○会 △病院

麻薬専用印の例

【麻薬・覚醒剤原料を兼用する専用印の例】

医療法人 ○○会 △病院

麻薬・覚醒剤原料専用印の例

    • 3)譲受け時の確認
      麻薬を譲り受ける場合は、麻薬卸売業者の立会いのもとに
      • 麻薬譲渡証の記載事項及び押印等に不備はないか。
      • 麻薬譲渡証の品名、数量、製品番号と現品が相違しないか。
      • 麻薬の容器には証紙による封かんがなされているか。
        を確認してください。
        麻薬を譲り受けた後に破損等を発見した場合は、麻薬管理者(麻薬管理者のいない麻薬診療施設においては、麻薬施用者)が「麻薬事故届」を提出してください。
    • 4)麻薬譲渡証の保存等(法第32条)
      麻薬譲渡証は2年間保存してください。
      麻薬譲渡証を万一紛失又は亡失したときは、理由書等(き損した場合は、麻薬譲渡証を添付)を取引のあった麻薬卸売業者に提出し、再交付を受けてください。
  • (2)外来患者等からの譲受け(法第24条第1項)
    麻薬の交付を受けた患者の遺族等から麻薬を譲り受けた場合は、麻薬帳簿に記載の上、当該施設で廃棄してください。また、廃棄後30日以内に「調剤済麻薬廃棄届」(別記第19号様式)を提出してください。

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第3 施用

  • (1)禁止行為(法第27条、第33条第3項)
    • 1)麻薬施用者でなければ、麻薬を施用し、施用のために交付し、又は麻薬処方せんを交付することはできません。
    • 2)麻薬施用者であっても、次の目的で麻薬を施用し、施用のために交付し、又は麻薬を記載した処方せんを交付することはできません。
      • ア)疾病の治療以外の目的
      • イ)麻薬中毒者の症状の緩和、又はその中毒の治療の目的
    • 3)麻薬施用者は、その診療施設において麻薬管理者(麻薬管理者を置かなくてもよい麻薬診療施設においては麻薬施用者)が管理する麻薬以外の麻薬を施用し、又は施用のために交付することはできません。
  • (2)麻薬処方せん(法第27条)
    • 1)麻薬処方せんには、次の事項を記載する必要があります。
      • ア)患者の氏名、年齢(又は生年月日)
      • イ)患者の住所
      • ウ)麻薬の品名、分量、用法、用量(投薬日数を含む)
      • エ)処方せんの使用期間(有効期間)
      • オ)処方せんの発行年月日
      • カ)麻薬施用者の記名押印又は署名
      • キ)麻薬施用者の免許番号
      • ク)麻薬診療施設の名称及び所在地
      • ただし、院内処方せんについては、上記のイ)、エ)、ク)の事項を省略することができます。
    • 2)麻薬注射剤について、原則として複数日(複数回)分の処方は行わないでください。
    • 3)調剤済の院内麻薬処方せんは2年間保存してください。(医療法第21条、同法施行規則第20条第10項)
  • (3)その他施用にあたっての注意事項
    • 1)麻薬注射剤を分割して2人以上の患者に施用することは、管理面、衛生面に問題がある場合は避けてください。(アンプル製剤は、開封後連続して施用する場合に限る。)
      また、同一患者に麻薬注射剤を施用する際、手術等で数回に分け連続して施用する場合であっても管理面、衛生面に問題がある場合は避けてください。なお、施用残液のあるアンプル及び空アンプルは麻薬管理者に返納してください。
    • 2)麻薬を調剤する場合、調剤の予備行為として、麻薬の10%散(水)、1%散(水)、坐剤等を調整することは可能です。(予製剤)この場合、麻薬帳簿に当該予製剤の口座を設けて記載してください。【麻薬帳簿記載例4参照】
    • 3)麻薬施用者は自ら指示をして、「診療施設の薬剤師」又は「患者の看護に当たる看護師」に麻薬及び麻薬処方せんを患者宅へ届けさせることができます。
    • 4)麻薬施用者は、患者の病状等の事情により、患者が麻薬を受領することが困難と認める場合には、患者又はその看護に当たる家族等の意を受けた看護又は介護に当たる以下の者
      • ア)看護師 イ)ホームヘルパー ウ)ボランティア等
        に麻薬及び麻薬処方せんを手渡すことができます。その際、不正流出等防止のため、当該者が患者又はその看護に当たる家族等の意を受けた者であることを書面、電話等で確認し、診察時等には患者が指示どおり麻薬を施用していることを患者、患者家族等を通じて随時確認してください。
    • 5)施用のため麻薬注射剤を在宅患者に交付するに当たって、直接に患者又はその看護に当たる家族等に交付するときは、薬液を取り出せない構造で麻薬施用者が指示した注入速度(麻薬施用者が指示した量及び頻度の範囲内で患者が痛みの程度に応じた追加投与を選択できる「レスキュー・ドーズ」として注入できる設定も含む。)を変更できないものにしてください。(ただし、看護師が麻薬施用者の指示・監督の下、患者宅で麻薬注射剤の施用を補助する場合はこの限りでありません。)
    • 6)フェンタニル経皮吸収型製剤の慢性疼痛患者への処方・施用にあたっては、次の手順によってください。
      • ア)医師は製造販売業者の提供する講習を受講してください。(製造販売業者は講習を終了した医師に対し当該医師専用の確認書を発行)
      • イ)医師及び患者は処方時に確認書に署名してください。
      • ウ)確認書の一方を医療機関が保管し、もう一方を患者に交付してください。
      • エ)薬剤師は患者から麻薬処方せんと共に確認書の提示を受け調剤してください。なお、確認書が確認できない場合には、処方医が講習を終了した医師であることを確認した上で調剤してください。

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第4 保管(法第34条)

麻薬管理者(麻薬管理者のいない施設にあっては麻薬施用者)が管理する麻薬は、麻薬診療施設内に設けた鍵をかけた堅固な設備内に保管してください。
なお、「鍵をかけた堅固な設備」とは、麻薬専用の固定した金庫又は容易に移動できない金庫(重量金庫)で、施錠設備のあるものをいいます。(手提げ金庫、スチール製のロッカー、事務机の引出し等は麻薬の保管庫とはなりません。)
麻薬の保管庫の設置場所は、薬局、調剤室、薬品倉庫等のうち、盗難防止を考慮し、人目につかず、関係者以外の出入がない場所を選ぶことが望まれます。
麻薬保管庫内には、麻薬のほか覚せい剤を一緒に保管することができますが、その他の医薬品、現金及び書類等を一緒に入れることはできません。(麻薬の出し入れを頻回に行う施設等にあって、1日の間の麻薬の出し入れを管理するための書類(いわゆる棚表)を除く。)
麻薬診療施設の麻薬施用者が院外処方せんのみを交付し、麻薬を保管する予定がない診療施設は必ずしも麻薬保管庫の設置を要しません。ただし、麻薬診療施設内で麻薬を施用する必要が生じ、保管することになった場合は堅固な保管庫を設置してください。

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第5 管理(法第33条)

  • (1)当該診療施設において、施用し、又は施用のために交付する麻薬は、麻薬管理者(麻薬管理者のいない施設にあっては麻薬施用者)が管理(受払、保管、廃棄等)しなければなりません。なお、定期的に帳簿残高と在庫現品と照合し、在庫の確認をおこなってください。また、薬局内だけでなく麻薬を施用する病棟、手術室等においても麻薬取扱いマニュアルを作成するなど適正に管理してください。
  • (2)病棟や手術室、集中治療室等の緊急に麻薬を施用する場所においては、麻薬を定数保管することができます。定数保管制を採用した場合は、次によってください。
    • ア)定数保管する麻薬の数量は盗難防止等を念頭におき、麻薬保管庫及び施設の麻薬の使用状況に応じて決めてください。
    • イ)定数保管する麻薬は麻薬保管庫に保管する必要があります。
    • ウ)麻薬を施用した場合は、診療施設で取り決めた時間内に、麻薬を施用した麻薬施用者が麻薬管理者に報告し、麻薬を定数に戻しておく必要があります。
    • エ)定数保管制にしても麻薬が施用されるまでは麻薬管理者に管理責任がありますので、病棟に補助者をおいて管理すると便利です。
  • (3)夜間、休日等で、麻薬管理者の不在により、麻薬の出し入れが困難な場合は、あらかじめ病棟看護師詰所等に設置した麻薬保管設備に仮払いを受けた必要最小量の麻薬を保管し、その保管設備のかぎは当直医師(麻薬施用者)が自ら所持し、管理してください。(注射剤以外の麻薬(錠剤等)についても同様に取り扱うことが出来ます。)
    なお、麻薬管理者又は補助者が出勤した後に、すみやかに施用票等(施用記録)とともに残余麻薬及び空アンプル等を麻薬管理者に返納してください。
  • (4)入院患者に施用のために交付された麻薬を病棟看護師詰所内において保管する場合は、他の医薬品やその他の物品等と区別して鍵をかけた麻薬保管庫に保管し、残余量についても記録し、把握してください。
  • (5)入院患者に麻薬を交付した際、患者自身が服薬管理できる状況であれば、患者に必要最小限の麻薬を保管させることは差し支えありません。患者が麻薬を保管する際には看護師詰所等で保管する場合のような麻薬保管庫等の設備は必要ありません。
    【留意事項】
    • ア)麻薬管理者は、紛失等の防止を図るため、患者に対して、保管方法を助言するなど注意喚起に努め、服用状況等を適宜確認し、施用記録等に記載するようにしてください。
    • イ)入院患者が交付された麻薬を不注意で紛失等した場合には、麻薬管理者は麻薬事故届を提出する必要はありませんが、紛失等した状況を患者に確認して原因を把握したうえで、盗難や詐取等された可能性が高い時は、薬務課又は所管の保健所に状況を報告するとともに、警察にも連絡してください。
  • (6)転院等で入院患者が、他の麻薬診療施設で処方を受けた麻薬を持参してきた場合、(4)、(5)の取扱いに準じてください。
  • (7)麻薬施用者が往診用として麻薬を所持する場合は、その都度必要最小限の麻薬を持ち出すこととし、施用しないで持ち帰った麻薬は、直ちに麻薬保管庫に戻し、常時往診鞄に麻薬を入れたままにしないでください。

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第6 廃棄

  • (1)陳旧麻薬等の廃棄の手続き(法第29条)
    古くなったり、変質等により使用しない麻薬、調剤過誤により使えなくなった麻薬等を廃棄しようとするときは、あらかじめ麻薬廃棄届(別記第11号様式)を提出し、麻薬取締員又は法第50条の38職員の立会いの下に廃棄してください。
  • (2)麻薬処方せんにより調剤された麻薬の廃棄の手続き(法第29条、第35条第2項)
    入院患者に交付される麻薬で患者の死亡等により施用する必要がなくなった場合、外来患者に施用のため交付された麻薬で患者の死亡等により麻薬診療施設に遺族等から届けられた場合、又は再入院、転入院の際に患者が持参し麻薬を施用する必要がなくなった場合は、麻薬管理者(麻薬管理者がいない麻薬診療施設においては麻薬施用者)が麻薬診療施設の他の職員の立会いの下に廃棄してください。
    廃棄は焼却、放流、酸・アルカリによる分解、希釈、他の薬剤との混合等、麻薬の回収が困難で適切な方法によってください。
    この場合、麻薬管理簿又は補助簿(廃棄簿)に、当該麻薬の受入年月日、受け入れた相手の氏名、麻薬の品名・数量、廃棄年月日、調剤済麻薬廃棄届提出年月日を記載し、麻薬の廃棄立会者が署名又は記名押印してください。
    また、廃棄後30日以内に調剤済麻薬廃棄届(別記第19号様式)を提出してください。なお、30日以内であればその間の複数の廃棄をまとめて一つの届出書で提出しても差し支えありません。
  • (3)麻薬注射液の使用残液の廃棄の手続き
    麻薬注射剤の施用残液及びIVH(中心静脈への点滴注射)に麻薬注射剤を注入して用いたものの残液は、都道府県知事に届け出ることなく、麻薬管理者(麻薬管理者がいない麻薬診療施設においては麻薬施用者)が、麻薬診療施設の他の職員の立会いの下に放流、焼却等の適切な方法で廃棄してください。この場合、麻薬帳簿の麻薬注射剤を払出したときの備考欄に廃棄数量を記載し、立会者の署名又は記名押印をしてください。
  • (4)経皮吸収型製剤の廃棄の方法
    (1)で発生した陳旧麻薬等、(2)で返却された未使用製剤は、焼却可能であれば焼却処分してください。焼却できない場合には、パッチのライナー層を剥がし、粘着面を内側に二つ折りにして貼り合わせた後、ハサミなどで細断し、通常の医薬品と同様に廃棄してください。なお、シュレッダーによる廃棄はおこなわないでください。
    患者が使用した後の使用済み製剤(貼付途中で剥がれたものを含む。)は、粘着面を内側に二つ折りにして貼り合わせた後、通常の医薬品と同様に廃棄してください。

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第7 記録

  • (1)麻薬帳簿(法第39条)
    • 1)記載事項
      麻薬管理者(麻薬管理者がいない施設においては麻薬施用者)は、麻薬診療施設に麻薬帳簿を備え付け、麻薬の受払いについて、次の事項を記載してください。
      • ア)当該麻薬診療施設の開設者が譲り受けた麻薬の品名、数量及びその年月日
      • イ)当該麻薬診療施設の開設者が廃棄した麻薬の品名、数量及びその年月日
      • ウ)当該麻薬診療施設の開設者が譲り渡した麻薬(施用のため交付したコデイン、ジヒドロコデイン、エチルモルヒネ及びこれらの塩類を除く。)の品名、数量及びその年月日
      • エ)当該麻薬診療施設で施用した麻薬(コデイン、ジヒドロコデイン、エチルモルヒネ及びこれらの塩類を除く。)の品名、数量及びその年月日
      • オ)麻薬事故届を提出した場合は、届け出た麻薬の品名、数量及び事故年月日(届出年月日については備考欄に記載)
    • 2)記載上の注意事項
      • ア)帳簿の記載は、原則として、麻薬の受入れ又は払出しの都度おこなってください。
      • イ)帳簿の訂正は、管理者が訂正すべき事項を二本線等により判読可能なように抹消し、訂正印を押し、その脇に正しい文字等を書いてください。修正液等は使用しないでください。
      • ウ)麻薬の受け払い等をコンピュータを用いて処理し、帳簿とする場合は、帳簿に麻薬取締員等の立会署名等を必要とすることもありますので、原則として定期的に出力された印刷物を一ヶ所に整理し、立入検査等の際に提示できるようにしてください。
      • エ)麻薬の受入の年月日は、麻薬卸売業者が作成した麻薬譲渡証に記載された年月日を記載してください。なお、麻薬譲渡証と麻薬の到着年月日が相違するときも、麻薬譲渡証の日付を受入年月日とし、備考欄に実際の到着年月日を記載してください。
        また、購入先の麻薬卸売業者の氏名又は名称及び購入した麻薬の製品番号を記載してください。【麻薬帳簿記載例1参照】
      • オ)麻薬処方せんによって調剤された日をもって払出しの日として記載してください。
        また、麻薬を施用し、又は施用のため交付した患者の氏名又はカルテNo.を備考欄に記載してください。【麻薬帳簿記載例1参照】
      • カ)帳簿は、品名、剤型、濃度別に口座を設けて記載してください。たとえば、麻薬の原末から10%散を予製した場合においては、10%散の口座を新たに作成して記載してください。【麻薬帳簿記載例4参照】
      • キ)アヘンチンキの自然減量及びモルヒネ原末、倍散等の秤量誤差については、麻薬管理者(麻薬管理者がいない麻薬診療施設においては麻薬施用者)が他の職員の立会の下に確認のうえ、帳簿にその旨を記載し、備考欄に立会者が署名又は記名押印してください。【麻薬帳簿記載例4参照】
      • ク)入院患者に麻薬処方せんにより調剤された麻薬であって、返却された品質上問題のない麻薬を再び使用する場合は、その受入年月日、品名、数量及び患者の氏名を帳簿に記載してください。【麻薬帳簿記載例1参照】
      • ケ)麻薬注射剤の残液(施用残)を廃棄した場合は、麻薬帳簿の備考欄に廃棄年月日と廃棄数量(mL単位)、を記載し、廃棄の立会者の署名又は記名押印してください。【麻薬帳簿記載例2参照】
      • コ)麻薬処方せんにより調剤された麻薬であって、返却された麻薬を廃棄する場合は、その調剤済麻薬廃棄届提出年月日、廃棄年月日、立会者の記名・押印(署名でも可)を帳簿の備考欄に記載してください。また、注射筒に入れた後、処方変更等により全く使用しなかった麻薬を廃棄する場合も同様です。【麻薬帳簿記載例1参照】
      • サ)入院、外来にかかわらず、一旦交付された麻薬あるいは転院等の理由により、入院患者が持参した麻薬(他の麻薬診療施設で処方を受けた麻薬)について、廃棄する場合は補助簿を作成されると便利です。なお、この場合、補助簿(廃棄簿)に患者氏名、麻薬廃棄年月日及び調剤済麻薬廃棄届提出年月日を記載し、立会者が記名・押印又は署名してください。【麻薬帳簿記載例5参照】
        当該患者に継続施用する場合には麻薬帳簿に持参した患者の氏名と麻薬の品名及び数量を( )書で記載し、残高には加えないでください。【麻薬帳簿記載例1参照】
      • シ)古くなったり、不用となった麻薬はあらかじめ麻薬廃棄届(別記第11号様式)を提出し、麻薬取締員又は法第50条の38職員の立会いの下で廃棄した後、備考欄に麻薬廃棄届の提出日を記載し、麻薬取締員又は法第50条の38職員の立会いの上で立会者の記名・押印を受けてください。【麻薬帳簿記載例1参照】
      • ス)破損等の事故が起きた場合は、すみやかに事故届を提出し、届出日を備考欄に記載してください。【麻薬帳簿記載例2、例4参照】
      • セ)慢性疼痛緩和の目的でフェンタニル経皮吸収型製剤を払い出す際、また、転院等の理由で患者が携行した同剤を施設内で再利用する際には、帳簿の備考欄に、「慢」などと記載することにより、慢性疼痛緩和の目的での受け払いであることを明確にしてください。【麻薬帳簿記載例3参照】
    • 3)帳簿の保存
      帳簿は、最終記載の日から2年間保存しなければなりません。
  • (2)診療録への記載(法第41条)
    麻薬施用者が麻薬を施用し、又は施用のため交付したときは、医師法等に規定する診療録に次の事項を記載する必要があります。
    • 患者の氏名、性別、年齢、住所
    • 病名及び主症状
    • 麻薬の品名及び数量
    • 施用又は交付の年月日
  • ※麻薬を継続して施用し、若しくは施用のため交付する際には、2回目以降についても、do、前同、〃、約束処方番号、保険点数等のみを記載するのではなく、その都度麻薬の品名、数量を記載してください。

麻薬帳簿記載例(錠剤)

麻薬帳簿記載例(注射剤)

麻薬帳簿記載例(貼付剤)

麻薬帳簿記載例(散剤)

麻薬帳簿記載例(廃棄簿)

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第8 業務廃止

  • (1)業務廃止届(法第7条)
    麻薬管理者又は麻薬施用者は、当該免許の有効期間中に麻薬に関する業務を廃止(転勤、退職等)したときは、15日以内に、「業務廃止届」(別記第3号様式)により知事に、免許証を添えて、その旨を届け出てください。
  • (2)現有量届(法第36条第1項)
    麻薬診療施設の開設者は、その診療施設が麻薬診療施設でなくなった場合(例えば、麻薬診療施設を廃止又移転したり、開設者が個人から法人に変更したり、法人が解散したり、その開設許可を取り消されたり、麻薬施用者が1人もいなくなった場合等)は、15日以内に「麻薬現有届」により、現に所有する麻薬の品名、数量を知事に届け出てください。
  • (3)業務廃止時に所有する麻薬の処置(法第36条第2項、第3項)
    麻薬診療施設でなくなったときは、所有する麻薬を麻薬診療施設でなくなった日から50日以内に限り、大阪府内の麻薬営業者(麻薬卸売業者等)、麻薬診療施設の開設者又は麻薬研究施設の設置者に譲り渡すことができます。ただし、譲り渡した日から15日以内に「免許の失効による麻薬譲渡届」により、次の事項を届け出てください。
    • 譲り渡した麻薬の品名、数量
    • 譲渡年月日
    • 譲受人の氏名(又は名称)、住所
      なお、麻薬が譲渡できない場合は、当該麻薬については麻薬診療施設でなくなった日から50日以内に知事に届け出て麻薬取締員等の立会の下に全て廃棄することができます。(第6を参照)
  • (注)業務廃止後50日を超えて麻薬を所有すると「不法所持」となります。

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第9 事故

麻薬管理者(麻薬管理者がいない麻薬診療施設においては麻薬施用者)は、管理している麻薬につき、滅失、盗取、破損、流失、所在不明その他の事故が生じたときは、すみやかにその麻薬の品名及び数量その他事故の状況を明らかにするために必要な事項を、「麻薬事故届」により知事に届け出てください。また、麻薬帳簿(麻薬受払簿)の備考欄にその旨記載し、事故届の写しを保管してください。
なお、麻薬を盗取された場合には、すみやかに警察署にも届け出てください。
通常、アンプル注射剤(プレフィルドシリンジやアンプルから調製した輸液等を含む)の
破損等による流失事故で一部でも回収できた麻薬については、医療上再利用できないものであり、本来回収できた麻薬とは認められず、事故及び経過を詳細に記入した麻薬事故届を提出することで、あらためて麻薬廃棄届や調剤済麻薬廃棄届の提出は必要ありません。この場合、一部回収できた麻薬については、麻薬診療施設の他の職員の立会の下に廃棄し、麻薬帳簿にその旨を記載してください。
麻薬帳簿記載例2参照】
*アンプルの麻薬注射剤以外の麻薬(散剤、液剤、バイアル等)については従来どおり、
回収できなかった麻薬:麻薬事故届
回収できた麻薬:麻薬廃棄届又は調剤済麻薬廃棄届をそれぞれ提出してください。

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第10 報告(年間届)(法第48条)

麻薬管理者(麻薬管理者がいない麻薬診療施設においては麻薬施用者)は、毎年11月30日までに、次の事項を「麻薬年間届」により知事に届け出てください。

  • 1)前年の10月1日に当該麻薬診療施設の開設者が所有した麻薬の品名及び数量
  • 2)前年の10月1日からその年の9月30日までの間に当該麻薬診療施設の開設者が譲り受けた麻薬及び同期間内に当該施設で施用し、又は施用のために交付した麻薬の品名及び数量
  • 3)その年の9月30日に当該麻薬診療施設の開設者が所有した麻薬の品名及び数量

届出に当たっては、次の事項に留意してください。

  • 1)同じ品目のものでも剤型や含有量が異なれば、別品目として記載してください。
  • 2)自家予製剤の%散、液は原末に換算することなく、それぞれ別品目として記載してください。
  • 3)麻薬廃棄届により廃棄した数量及び事故のあった数量を備考欄に記載してください。調剤済麻薬廃棄届を提出した数量は記載する必要はありません。
  • 4)所有する麻薬で、1年間使用しなかった麻薬についても報告してください。また、1年間麻薬を所有又は使用しなかった診療施設についてもその旨を報告してください。
  • 5)治験薬を所有する場合は、別葉で提出してください。

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第11 麻薬中毒者診断届、転帰届(法第58条の2)

  • (1)医師は、診察の結果その患者者が麻薬中毒者であると診断したときは、すみやかに「麻薬中毒者診断届」により、その氏名、住所、年令、性別及び中毒症状の概要、診断年月日、医師の住所(病院等の名称及び所在地)及び氏名等をその者の居住地の都道府県知事に届け出てください。
  • (2)麻薬中毒者診断届に係る患者が死亡、転院等したときは、すみやかにその患者の氏名、麻薬中毒者診断届の年月日、転帰等の事由、転帰等の年月日を「麻薬中毒者転帰届」により都道府県知事に届け出てください。

※麻薬中毒の概念等
麻薬中毒とは、麻薬(ヘロイン、モルヒネ、コカイン等)、大麻又はあへんの慢性中毒をいいます。
麻薬中毒とは、麻薬に対する精神的、身体的欲求を生じ、これらを自ら抑制することが困難な状態、即ち麻薬に対する精神的、身体的依存の状態をいい、必ずしも自覚的又は他覚的な禁断症状が認められることを要するものではありません。
麻薬を常用して通常二週間を超えるときは、麻薬に対する精神的身体的依存を発呈しうるものですが、これはヘロイン等の不正施用で中毒となるときの一応の目安であり、医療麻薬を適正に施用した際にはこのような目安は参考になりません。緩和医療等の目的で、医療用麻薬を適正に施用している場合には中毒にならないと学会等で報告されています。したがって、患者が麻薬中毒であるか否かの診断は、単に施用期間の長短によって診断することのないよう留意してください。

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第12 その他

  • (1)麻薬の携帯輸出入(法第13条、第17条)
    患者が自己の疾病の治療の目的で、麻薬を携帯して出国又は入国する場合は、事前に麻薬携帯輸出入許可申請を地方厚生(支)局長におこなう必要があります。詳細については、地方厚生局麻薬取締部「麻薬取締官」のホームページ等をご確認ください。
    「麻薬取締官」のホームページアドレス http://www.nco.go.jp/shinsei5.html
  • (2)麻薬の流通経路
    麻薬を譲り渡す場合の経路(流通経路)は、下図のとおり法律で定められておりますが、これによらない場合は、その都度厚生労働大臣の許可が必要ですから注意してください。

麻薬の流通経路

*患者等からの譲受については第2 譲受の(2)参照

立入検査を行う職員は、身分証を携帯していますので、必ず検査の前に提示を求めて確認してください。

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