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職員ロングインタビュー【心理】
【配属歴】
- 平成28年 入庁
子ども家庭センター 育成支援課 - 平成29年 子ども家庭センター 相談対応課
- 平成31年 障がい者自立センター 自立支援課
心理職を志したきっかけを教えてください。
高校時代、漠然と心理学を学びたいと思い、大学では心理学を専攻しました。主に臨床心理学について学びましたが、指導していただいた教官の人柄や、臨床心理士としてのスキルを目の当たりにして、私も同じような仕事をしたいと思いました。
大学院の修士課程修了後は、大阪府の障がい者自立相談支援センターや障がい者自立センターで臨時的任用職員として勤務し、同時に民間の児童養護施設でも、何らかの理由で家族と離れて暮らすことになった子どもに対する心理業務を担当していました。
大阪府に入庁した理由を教えてください。
臨時的任用職員として勤務する中で、大阪府の心理職は子どもの支援から障がい者支援まで、幅広い領域に携われる点に魅力を感じました。心理職としてさまざまな分野を経験することで、自分自身のスキルアップにつながり、よりよい支援を提供できるようになるのではと考えるようになりました。そんなときに職員採用の選考があることを知り、同僚から「受験してみたら?」と背中を押されたことも、大きなきっかけになりました。
入庁後に携わった仕事について教えてください。
入庁した平成28年からは、子ども家庭センターの育成支援課で、子どもの療育手帳の判定に関する業務に従事しました。0歳から17歳までの子どもを対象に、心理検査を実施したり、親御さんからの相談に対応するといった業務を担当していました。
翌年に子ども家庭センターの相談対応課に異動しました。そこでは、虐待などで一時保護された子どもたちに話を聴いたり、心理検査を行いました。必要な子どもには、心理教育も実施していました。
また、非行行為をした子どもにも話を聴いたり、心理検査を実施したり、再度非行行為をしないように保護者の方とも話をしながら対応していました。
現在の仕事内容を教えてください。
現在は障がい者自立センター自立支援課で心理業務を担当しています。障がい者自立センターには、身体に障がいがある方が入所しており、その内、9割が高次脳機能障がいを抱えている方です。心理検査を実施して利用者の方を客観的に理解したり、心理面接を通して利用者の方の話を聴き、気持ちに寄り添いながら精神面のフォローを行っています。
また、集団でのプログラムを運営し、認知機能などの改善を目的としたトレーニングも実施しています。例えば、高次脳機能障がいになると記憶することが難しくなる方が多いので、手帳を用いた予定管理の方法などを学んでいきます。
退所が近づいてくると、職能評価を実施します。職能評価の課題は、実際の仕事を想定した内容になっており、課題を通して利用者の方に自分の状態を知ってもらうことで自分自身と向き合えるようサポートしています。
現在感じている仕事のやりがいを教えてください。
障がい者自立センターを利用される方は、人生の半ばで病気や事故により、身体の障がいや高次脳機能障がいになった方がほとんどです。年齢的には40代の方が最も多く、身体機能を損なうだけでなく、失業したり、家族との関係も崩れてしまうケースもあり、多くの方が何重もの喪失体験を抱えています。
以前と違う自分に戸惑いや怒りを感じたり、落ち込んだりしながらも、何とか自分自身と向き合い、「今の自分で生きていくんだ」と受け入れて社会に戻っていく利用者の方の姿を間近に見るたびに、感動し、勇気づけられています。
これまでのキャリアの中で、自分なりにチャレンジしたことについて教えてください。
障がい者自立センターでは、利用者の方一人ひとりとの心理面接を定期的に行うようにしているのですが、それには子ども家庭センターでの経験が活きていると思います。普段は明るくても、内心はつらい想いを抱えているという点は、虐待を受けた子どもにも共通するものです。心理面接ではなるべく丁寧に話を伺って、その方に寄り添いながらこれまでの人生を振り返り、また将来について考えていくように努めています。
また、利用者の方の心の動きや変化にいち早く気づき、支援に活かすことも、障がい者自立センターでの心理職の大きな役割だと思っています。
うまく心を開いてもらえない場合もあるのでしょうか?
極端に拒否されることはないのですが、心理面接をしても初めの方は言葉数が少ないということはよくあります。障がい者自立センターでは年齢的にも、私より年上の利用者の方がほとんどなので、まずは信頼されなければ話をしてもらうことができません。面接時間以外にも、センターの中で会ったときは、「〇〇さん、おはようございます」と名前を呼んで声をかけたり、コミュニケーションを図ることを重視しています。
その他に、仕事をする上で、心がけていることを教えてください。
「この人を理解したい」という気持ちをもち続けることです。関わりを拒否されたり、きつい言葉を投げかけられても、そうした発言に至った背景を考え、その人の気持ちを推測していきます。例えば、一時保護された子どもは、親から無理やり離されて連れてこられているというケースもあります。そうした子どもと心理面接を行うためには、まずは信用してもらい、距離を近づけることからはじめています。
また、時には話を聴くより、見守ることが重要な場合もあり、常に相手の様子を細かく観察しながら、適切な支援方法を考えるように意識しています。
業務の中では、他の職種と連携することもあるのでしょうか?
子ども家庭センターでは社会福祉職と連携する場面が多くあります。社会福祉職は主に家庭との調整を行い、心理職は子どものアセスメント(心理状態を観察し、その結果を分析すること)を行います。お互いの情報を共有することで、最適な支援に結びつけます。
障がい者自立センターでは社会福祉職だけでなく、ケアワーカーや医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士と連携します。それぞれの職域を理解し、敬意をもつこと、またそれぞれの意見を聞きながら、心理職の立場として意見をわかりやすく伝えることを意識しています。
心理職として大阪府民に伝えたいことはありますか?
高次脳機能障がいは、一般的にはあまり知られていませんが、誰もがなり得る障がいです。「見えない障がい」とも呼ばれ、注意力や記憶力の欠如、疲労感といった症状が周囲に伝わりづらく、本人も家族も苦労されるケースが多くあります。府民の方にはこうした特徴についてしっかりと知っていただき、高次脳機能障がいのある方が生活しやすい大阪になればいいなと思っています。
そのためにも、当事者の方だけではなく、ご家族や関係者の方にも丁寧に説明し、よりスムーズな社会復帰を支援していきたいです。
大阪府で働くことを検討されている方にメッセージをお願いします。
大阪府の心理職は児童、障がいなど幅広い領域で仕事ができます。これまで興味がなかった分野でも「実際にやってみると興味深い」という発見もできるところが、大阪府の心理職の魅力だと思っています。
また、周囲の方々との関わりが深い点も特徴です。ともに働く上司や同僚からは温かい言葉をかけていただきます。異動をしても関わりが続くので、所属が変わっても切磋琢磨しながら業務にあたる事ができます。
障がい者自立センターの利用者の方からは、「利用者みんなの妹のような存在」「話しやすくて助かった」と感謝の言葉をいただくこともあり、やりがいに満ちた職場だと思います。
ある1日の流れ
- 9時00分 夜勤職員からの引継ぎ
- 9時30分 利用者との朝の会
- 10時00分 集団訓練のプログラム
- 11時00分 心理面接
- 12時15分 昼休み
- 13時10分 集団訓練のプログラム
- 14時10分 心理検査
- 16時10分 事務処理
- 17時00分 利用者面接
- 18時30分 退勤
※掲載されている職員の職務内容、所属及び所属名称は配属当時のものです。