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職員ロングインタビュー【栄養士】
和泉保健所 企画調整課
村川 映里 Murakawa Eri
平成28年 入庁
【配属歴】
平成28年 泉佐野保健所 企画調整課
令和2年 和泉保健所 企画調整課
栄養士を志したきっかけを教えてください。
母が栄養士でしたので、栄養士は身近な仕事でした。大学を卒業後、管理栄養士の資格を取得し、大学院で2年間「中学生への食育」をテーマに研究に取り組みました。食育プログラムを考えて学校に提供する他、私自身も実際に中学校に出かけて、中学生に直接食育の授業を行う機会もありました。
「中学生への食育」をテーマに選んだのは、栄養教諭制度が整備される中、まだ栄養教諭が配置されていない学校でも食育に取り組める環境を整えていきたいと考えたからです。また、中学生のうちから食育について考えてもらうことで、将来大人になってから食と健康への考え方に良い影響を与えられるのではないか、という思いもありました。
大阪府に入庁した理由を教えてください。
大学院生の時に取り組んだ研究の経験から、食行動を変えるには、本人への直接的な働きかけだけでなく、行動の変化を促す環境を整えることが大切だと気づきました。このことから地域の人々に対して、「食育推進」と「食環境整備」の両面から健康づくりにアプローチができる行政栄養士にとても魅力を感じるようになりました。
また、私自身大阪出身なので生まれ育った大阪で働きたい、貢献したいという思いもあり、大阪府を志望しました。
入庁後に携わった仕事について教えてください。
入庁後は、泉佐野保健所企画調整課の広域栄養チームに2年間所属していました。和泉・岸和田・泉佐野保健所管内の給食施設の栄養管理の指導や、飲食店に対してヘルシーメニューを提供できるように働きかけを行い、食を通じた環境整備に取り組みました。
ここでは、児童福祉施設を対象に災害時の食事提供体制の整備を進めることを目的とした「保育所・認定こども園 災害時食事提供ステップアップガイド」の作成にも携わることができました。各施設の取組み状況を把握するところからスタートしたのですが、施設によって取組みに差がある状況だったので、それぞれの施設が少しでもステップアップしてほしいという思いで作成しました。
そのため、現場をよく知る市町村の栄養士の方とも議論しながら、絵に描いた餅にならないよう、施設の方が取り組んでみようと思えるような内容にすることを心がけました。
平成30年度からは、同じ課の企画グループに異動しました。ここでは、食育推進の取組みや国民健康・栄養調査、給食研究会や地域活動栄養士会の活動支援、健康食品の表示相談や管理栄養士養成校の実習の受け入れなど、多岐にわたる業務に携わることができました。
現在の仕事内容を教えてください。
令和2年度から和泉保健所の企画調整課で、食環境の整備や健康づくりに関する業務に携わっています。異動先でも、広域栄養チームでの仕事を通じて知っている方が多かったので、心強かったです。
通常は飲食店や給食施設を巡回して指導などを行うのですが、令和2年度は新型コロナウイルス感染症対策の点から、電話やファックスで行うなど指導方法を変更して取り組んでいます。
また近年、高齢者の方に向けて、配食サービスを提供する事業者が増えてきました。そこで、地域で暮らす方の食生活支援になるとともに適切な栄養管理ができるよう、管内を配達エリアとする事業者の実態調査を行い、配食サービスを提供する事業者の一覧を作成しました。地域包括支援センターや市町村の保健センターなど、高齢者の食生活支援に携わる方が活用できるよう環境整備や情報発信に取り組んでいます。
現在、力を入れている活動について教えてください。
大阪府では、現在「V.O.S.メニュー」の推進に取り組んでいます。これは、野菜・油・塩の量に配慮した大阪府独自の基準を満たすヘルシーメニューです。「V.O.S.メニュー」を提供する飲食店や給食施設を増やす活動や、イベントなどに出展して府民の方に「V.O.S.メニュー」を知ってもらえるよう啓発活動をしています。
市町村の健康まつりなどイベントの場でロゴマークを知ってもらえるよう旗やノボリを作り、「こういうマークがついているメニューがあればぜひ食べてみてください」とPRしています。コンビニエンスストアとコラボしてお弁当を販売したり、大学や事業所と連携した食育イベントでメニューを提供してもらうなど、徐々にメニューの種類は増えていっていますが、もっと多くの方に知ってもらいたいと考えています。認知度が上がるように色々な取り組みを企画して頑張っていきたいと思います。
これまでのキャリアの中で自分なりにチャレンジしたことについて教えてください。
近年若い人の野菜摂取量が少ないという課題があり、泉佐野保健所在籍時に管内の大学で食育イベントを開催し、昼食時の食堂で啓発活動を行ったり、学生さんの生の声をヒアリングしました。
その中で、特に一人暮らしの学生さんは野菜を食べたいと思いながらも、調理のバリエーションが少なく、作るのが面倒という声がありました。そこで、クックパッドのページを立ち上げ、地域活動栄養士会や管理栄養士養成校の学生さんとも連携し、包丁も火も使わない野菜たっぷりの簡単なレシピなどを紹介しました。「身近な調味料、身近な野菜、1人分の材料で作れる」そういうレシピを学生さんに身近な媒体で発信するという、自分なりのアイデアが実現できた時は、大きなやりがいと喜びを感じました。
仕事をする上で心がけていることを教えてください。
地域全体の栄養改善を進めるには、市町村の保健センターの栄養士や地域活動栄養士会、給食研究会などの地域の関係機関・団体との連携が大切です。保健所だけでできることは限られているので、それぞれの役割をお互いに理解し合い、地域が一体となって取り組むことが大切だと思っています。
人と人とのつながりを大切にし、府民の方々の健康を栄養面から支えていけるよう、丁寧なコミュニケーションを重ねていきたいと思っています。
今後大阪府で栄養士として働くことを考えている方へメッセージをお願いします。
栄養士は人数の少ない職種ですが、その分、栄養士同士のつながりが深く、相談しやすい環境が整っています。現在、保健所の栄養士は2人ずつ配置されており、先輩とペアで仕事が進められるので、安心して仕事に取り組むことができます。
また、医師や薬剤師、保健師といった他の職種の方と連携しながら様々な業務を経験できるので、幅広い視点を持つことができます。自分とは違う専門家の意見を聞きながら仕事ができるのは、とてもありがたい環境だと思います。
栄養士として、府民の健康づくりに一緒に取り組む仲間ができることを楽しみにしていますので、ぜひチャレンジしてください。
- 9時15分 メールチェック、スケジュール確認
- 9時30分 健康食品の表示に関する相談・記録作成
- 12時15分 昼休み
- 13時00分 食育推進事業に関する資料作成
- 15時00分 特定給食施設への個別指導
- 17時00分 同指導記録作成
- 17時45分 退勤
※掲載されている職員の職務内容、所属及び所属名称は配属当時のものです。