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平成26年度「第2回コーディネーター研修」
平成26年度「第2回コーディネーター研修」を実施しました。
ポイント
- 「ともに生き、ともに育つ地域づくりを」をテーマとした、発達障がい等についてのたくさんの事例相談にのって支援をされている講師による、特別な配慮を要する子どもたち、特性のある子どもたちのことや、実際の支援の事例についての講演
- 「活動のさらなる活性化のヒントを探す」をテーマに、様々な団体(企業やNPO、大学等)との連携を通じて、活動を活性化させた事例の紹介と、今後の取組みを進めていくための意見交流。
1. 日時・会場 等
平成26年9月10日(水曜日) 13時30分 から 16時 大阪府新別館北館4階多目的ホール
約200名もの多くの皆さまの参加をいただきました。
2. 研修のようす
講演 講師 大阪府発達障がい者支援センター アクトおおさか 堀内 桂 センター長
テーマ 「ともに生き、ともに育つ地域づくりを」 ー発達障害の理解と援助ー
- 広い意味で発達障がいとは乳幼児期から幼児期にかけて現れることの多い、心身の障がいを包括する概念であり、中枢神経系に強く関係する機能の偏りや遅れをいい、多くの精神障がいのように、軽快したり再発したりしません。
- 平成17年、発達障害者支援法ができ、知的な発達に遅れのない発達障がいの人達への公の支援について、国や地方自治体、教育機関の責務が決められました。
- この法律において「発達障がい」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障がい、学習障がい、注意欠陥多動性障がいその他これに類する脳機能の障がいとされています。その中で、広汎性発達障がい等については、想像力、コミュニケーション、社会性の障がいが組みあわさっていることから、自閉症スペクトラムという言葉が使われるようになっています。
- それぞれの特性を理解し、個々に応じた支援が必要です。たとえば、スキルとして身についていることでも、本人がその気になっていないとできない場合がある時は、どんなタイミングならのってくれるのかを、日課を調べることでヒントが得られことがあります。また、生活に見通しを持つ工夫(時間の構造化)として、一日の活動の順序がわかるスケジュールボードや、モバイルのスケジューラーなどの活用も考えられます。
- 「発達障がい者(児)」を支援する、ちょっとしたこつ
- 「支援者間で援助の方法を具体的な点まで統一する。」
- 「一度に多くの援助目標をつくらない。(必要度、緊急度によって的を絞る)」
- 「目標が達成できて定着してから、次の段階へ移る。」
- 「混乱したら、混乱していなかった段階へ一旦戻る。」
事例紹介 テーマ 「活動のさらなる活性化のヒントを求めて」
ー様々な団体(企業やNPO、大学等)との連携事例からー
- 今回は、活動のさらなる活性化にむけて「様々な団体との連携」に焦点を当ててみました。
- 活動をステップアップし、ステージを広げることにつながる様々な団体と連携した府内の3つの事例を紹介しながら、連携の実際とポイントについて考えます。
【事例1】大阪府立弥生文化博物館と羽曳野市立西浦小学校放課後子ども教室の連携
西浦小学校放課後子ども教室に、弥生文化博物館の出前講座に来ていただき、火おこし体験や石包丁による紙切り、脱穀、弓矢体験などを実施しています。他にも出前授業はいろいろな機関や団体が行っています。大阪ガスがいくつかの出張授業というものを行っており、「大阪ガス 出張授業」と検索すれば見つかります。携帯電話会社や自治体なども市民向けに講座を行っています。
【事例2】藤井寺市立藤井寺北小学校の放課後子ども教室と大阪府立藤井寺高校との連携
- 子ども達にとっては年齢の近い高校生と体を動かして遊ぶことができ大変喜んでいます。また、高校生にとっても貴重な経験が身近にできることなど、双方にメリットのある活動であることがポイントです。
- 近隣に大学がある場合は、市と大学が提携して、学生を派遣する仕組みが整っていることが多くあります。それ以外は、大学のボランティアセンターなどを活用する方法もあります。関西大学、大阪府立大学などには、ボランティアセンターという機関があり、ボランティア活動をしたい学生やサークルと学生ボランティアを引き合わせる役割をしています。
【事例3】商業施設(企業)と親学習サークルの連携
- 多くの人が買い物に立ち寄るスーパーマーケットを会場に開催されている育児サークルの事例を紹介します。学校支援や放課後子ども教室にとっても、企業と関わるポイントとして注目していただきたい内容です。
- 双方がメリットを感じる関係づくり以外に、粘り強く信頼関係を築くことが大切であることがわかる事例です。
様々な団体と連携を進め、長続きする関係作りの5つのポイント
- 「こんなことができないだろうか?という課題意識がスタートになる」
- 「アンテナを大きく広げることが何より大切」
- 「ニーズを明らかにし、地域の強みを活かす」
- 「中間的な支援機関を活用」
- 「Win・Winの関係を」
ミニワーク(交流)
地域や活動内容、年齢の異なる参加者がグループになり、連携した取組み事例についての感想や、現在行っている活動で、「様々な団体との連携」を意識して取り組んでいる事例を紹介するなど、それぞれの思いを自由に交流する時間をもちました。
3. 参加者アンケートより
講演
- 自閉症アスペルガー・多動の生徒がこんなに困っているんだと初めて知った。気をつけて活動したいと思う。
- 障がいのあるなしにかかわらず人と接する時の心構えとして今回のお話を胸に留めておきたいと思います。
- 工夫次第で可能性を広げることができるということを学びました。将来私は教師になりたいので今の学校支援に生かしていくことはもちろん、たくさんの子どもと接する中で“個”をしっかりと見て、分析し、可能性を広げることができたらと思いました。様々なアプローチ方法、とても勉強になりました。これからも私自身もっと発達障がいについて学んでいかなければと思いました。
- かなり詳しくわかりまた実例も多くよかったです。グレーゾーンの子どもたちへの支援方法の参考になりました。
- 発達障がいとはどのような障がいなのか具体的に知ることができました。外見からはわかりにくいので発達障がいのある当事者がどんなふうに困難を感じているのか具体的に知ることができて勉強になりました。
- 私自身も“なぜ、あの人はこうなのだろう?”と…。受け入れられないことが多くあるので、相手を理解したり、コミュニケーションする考えのひとつとして、応用したいと思いました。テレビでも良く見ていましたが、今日のお話はすごくわかりやすかったです。
- 非常に詳しい話で興味深く聞かせてもらいました。「困った子」ではなく「困っている子」。適切な支援で「出来るようになる子」なんですね。もっと続きもきいてみたいものです。
- ADHDなど、報道されている情報しか知らなかったが、意識の流れからサポートまで体系的に理解できたので役立った。
- 数年前から自閉症や発達障がいの幼稚園児(4,5才)にかかわっています。詳しいことがわからないままかかわってきたので、今日の講演は、日々の出来事の解答集のようでした。とても参考になりました。一人一人、いろんなタイプの園児がいて大変ですが、むきあっていきたいと思います。ありがとうございました。
実践報告・ミニワーク
- 人のつながりと粘り強い働きかけ、地道な活動の輪を広げていくのが大切なんだと再認識しました。
- 学習ボランティアを集める事に苦労しています。ボランティアサークルの学生さんにお願いしていますが、人がなかなか集まりません。
- 活動を続けていくにあたって活動の広がりやつながりボランティアスタッフの確保が課題なので、スーパーマーケットなどのように多くの人に周知してもらう事も大事だと思いました。
- 共感できる点が多かったです。信頼関係をつくり育てていくこと、アンテナを常に張っておくこと等です。
- WIin-Winの関係の重要性を認識。リサーチに力を入れ社会教育の向上を図りたい。
- 放課後子ども教室には7年たずさわっていますが、やはり新しい風を求めています。今年、現PTA会員さんが学習アドバイザーになってくれて、その方から新しい人のつながりができました。
- 地域の大学、高校と連携を取って活動の内容が少しでも広げていきたいと思いました。ワンパターンになりがちなので、体力のある若い人達の力を借りて子ども達がより楽しくなる放課後子ども教室にしたいです。
- 連携に至る経緯を説明してくださったことが、非常に参考になりました。ボランティアというと無償や慈善と誤解されることもありますが、決してそうではなく、「WinーWin」が必要であることを改めて実感しました。
- 他の地域のコーディネーターの方達とお話できたことがとても私にとって大きかったです。いろいろなアドバイスをいただいて学校の先生ともう少し話し合うことが大切だとわかりました。
- 交流の時間がもう少しあればと思います。
- ベテランの方と新しい方がおられて有意義な交流でした。
※大阪府では、「障害」のがいの漢字を、法令名や講演タイトル等を除き、ひらがなで表記することとしています。