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更新日:2024年7月8日

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施設コンフリクト(資料1-3)

3.施設コンフリクトに対する行政の取り組み

(1) これまでの考え方

  • 施設コンフリクトは、一般的に「社会福祉施設の新設などにあたり、その存立が、地域社会の強力な反対運動に遭遇して頓挫したり、あるいは、その存立の同意と引き換えに、大きな譲歩を余儀なくされたりする施設と地域との間での紛争事態」と概念づけられており(古川孝順他「社会福祉施設-地域社会コンフリクト」1993,3 誠信書房)、社会福祉施設が、人権尊重に不可欠なシステムとして、地域社会にビルトイン(組み込まれていく)されていく過程で生じる問題である。
  • 人権尊重の社会づくりとは、つきつめれば、自己と異なる他者の存在を当然のこととする心や態度、行動を身につけ、あらゆる人々の人格が尊重される「共に生きる社会の実現」である。
  • 施設コンフリクトの問題も、このような視点から取り組むべきであるが、これまで、コンフリクトの問題は、主として施設と地域住民の問題として捉えられがちであり、コンフリクト解消に向けた行政の役割(積極的な関与、リ-ダ-シップ)が希薄であったと言える。
  • 施設コンフリクトは従来、施設の閉鎖性と地域の偏見という構図で捉えられており、このため、施設サイドはその閉鎖性を解消し地域に働きかけることによりコンフリクトの解決に努めてきたが、最近の状況は、強力な反対運動による頓挫、施設設置の代償措置としての社会資本整備要求など、施設サイドの努力を超える内容が増加しており、また、これまでのコンフリクトが施設開設後のものが多数であったのに比べ、施設開設前のコンフリクトが、顕在化していることが特徴である。
  • 施設コンフリクトは、施設・地域がその整備を巡って相対立するのではなく、「共に生きる社会の実現」という共通の目標の下で論議し、解決されるべきであり、行政は、 あらゆる人々の人権をまもり伸長するという原点に立ち、積極的な役割を発揮していくことが求められている。

(2) 大阪府のこれまでの対応

  • 大阪府のこれまでの対応も、行政が事業主体とならない場合や施設設置に関する公的な助成がない場合においては、以上に述べたように、施設コンフリクトは、第一義的には施設側と地域住民の問題であるとの考え方から、計画段階においては関与しないという立場をとってきたところである。
  • 大阪府が関与してきたケ-スとしては、国庫補助事業により福祉施設整備を実施する際に、法令に根拠規定がないが、事業の円滑な推進を図るという視点から、国の指導に基づき、地元の同意書の提出を施設側に対し求めてきた。
  • また、府営住宅を活用したグル-プホ-ムについては、1996年(平成8年)の公営住宅法の改正により、公営住宅の使用が位置付けられたが、国が定める承認基準は、「公営住宅の適正かつ合理的な管理に著しい支障のない範囲内で行われるものであること」とし、その内容として、「公営住宅の本来入居対象者である低額所得層の入居を阻害しないこと」「事業の円滑な実施が担保されていること」を示している。このため、グル-プホ-ム事業について、入居者の正しい理解のもとに、障害者が、一日も早く地域社会にとけ込み、自立した団地生活ができるよう、事前に住宅管理・運営に大きな役割を果している団地自治会に対する説明等を行っており、いわゆる自治会等の同意書は、開設要件とはしていないところである。

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