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更新日:2020年1月28日

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令和元年12月委員会会議会議録

大阪府教育委員会会議会議録

※印刷用は令和元年12月委員会会議会議録(PDF:283KB)をご参照ください。

1 会議開催の日時

令和元年12月6日(金曜日)午前10時00分開会

午前11時25分閉会

2 会議の場所

委員会議室(府庁別館6階)

3 会議に出席した者

  • 教育長
    酒井 隆行
  • 委員
    竹若 洋三
  • 委員
    井上 貴弘
  • 委員
    岩下 由利子
  • 委員
    良原 惠子
  • 委員
    岡部 美香
  • 教育監
    向畦地 昭雄
  • 教育次長
    水守 勝裕
  • 教育センター所長
    山上 浩一
  • 教育総務企画課長
    仲谷 元伸
  • 人権教育企画課長
    水田 克史
  • 教育振興室長
    村田 純子
  • 高等学校課長
    大久保 宣明
  • 支援教育課長
    黒田 一人
  • 保健体育課長
    田中 実
  • 市町村教育室長
    坂本 俊哉
  • 小中学校課長
    桝田 千佳
  • 地域教育振興課
    北川 辰弥
  • 教職員室長
    田村 真二
  • 教職員企画課長
    柳生 国良
  • 教職員人事課長
    伊庭 亨
  • 福利課長
    島   正子
  • 施設財務課長
    佐々木 浩之
  • 文化財保護課長
    大野 広

4 会議に付した案件等

5 議事等の要旨

  • (1)会議録署名委員の指定
    岩下委員を指定した。
  • (2)11月15日の会議録について
    全員異議なく承認した。
  • (3)議題の審議等

議題1 知事からの意見聴取について

議題の趣旨説明(教育総務企画課長)

地方教育行政の組織及び運営に関する法律第29条の規定により知事から意見を求められた令和元年9月定例府議会に提出予定の次の議案について、異議がないものと決定する件である。

事件議決案
  1. 指定管理者の指定の件(教育委員会所管施設)
条例案
  1. 職員の給与に関する条例等一部改正の件
  2. 府吏員退隠料等条例一部改正の件
  3. 大阪府福祉行政事務に係る事務処理の特例に関する条例一部改正の件
  4. 大阪府職員基本条例一部改正の件
  5. 大阪府文化財保護法に基づく事務に係る事務処理の特例に関する条例一部改正の件

質疑応答

  • (井上委員)1-3ページの「府吏員」と「退隠料」というのは何か教えていただきたい。
  • (教育総務企画課長)府吏員というのは昔の言い方で、地方公共団体の事務職員を吏員と呼んでいたもの。退隠料はいわゆる恩給のことである。共済年金の導入以前は退隠料というものがあり、その対象になっている方も、かなり高齢の方となっておられる。
  • 今回、地方自治法の改正により、新たな職員の任用形態である会計年度任用職員というフルタイムの非常勤の方々が追加されたが、その方々は、当然共済年金制度の対象であり、当然退隠料の対象にはならないので、それを除外する改正になっている。
  • (井上委員)1-5ページの大阪府立門真スポーツセンターのところの構成員のオージースポーツとパティネレジャーについて。オージースポーツは大阪ガスの関連会社のスポーツ関連会社か。パティネレジャーはどういった業種の会社なのかについて教えていただきたい。
  • (保健体育課長)オージースポーツは大阪ガスの系列のスポーツ関係の会社で、他の施設でも指定管理を受けている。パティネレジャーは、門真には冬の間、アイススケートリンクがあり、それを管理する会社である。

【採決の結果】賛成多数により、原案どおり決定した。
(賛成者 酒井教育長、竹若委員、井上委員、岩下委員、良原委員、岡部委員)

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議題2 令和2年度「府立学校に対する指示事項」及び「市町村教育委員会に対する指導・助言事項」について

議題の趣旨説明(高等学校課長・小中学校課長)

標記における「取組みの重点」(府立学校の校長及び准校長が令和2年度学校経営計画を作成するにあたり、府立学校の運営の指針となるべき事項として、また、市町村教育委員会に対する指導・助言の基本方針として、人権尊重、いじめ防止、職場におけるハラスメント防止、学校の組織力向上等、令和2年度に重点的に取り組むことを定め、周知徹底を図るもの)について決定するものである。

質疑応答

  • (良原委員)高等学校課は2-13ページのところ、小中学校課は2-34ページのところに、不祥事の防止ということで色々書いていただいていると思うが、確か、昨年度の終わりか今年度の初めに、教職員の不祥事に対してどう対応していくのかということを検討する中で、単に知識や情報の取得という研修ではなくて、他人事ではなくより自分自身のこととして考えられる研修を目指していきたいということが話題になったと思う。
  • そこで、実際に教職員の皆様が、短い時間であっても事例を検討するワークを行うという報告がなされ、それをさらに充実させたいということで、先日私も色々教えていただいた。このワークの事例集のようなものをこの参考資料の中に入れていくといいと思うが、どうお考えか。
  • (教職員人事課長)今ご意見いただきましたように、自己の意識や行動を再点検する契機とする方策として、昨年度末まずワークシートを一例作成した。それをより進化というか、様々な類型別に分けたワークシート集を作成している。まだ完成には至っていないが、それを早く完成させた上で、ご指摘があったように、四角囲みの中に「不祥事防止に向けたワークシート集」というようなことを記載したい。また(12)アのところについて、この文章の中にも、「不祥事の発生を防止し、未然防止を図るため」の次に「ワークシート集その他の関係資料」といった表現を書き加えることを検討したい。
  • (良原委員)今の教職員の不祥事は、大阪だけの問題ではなくて全国どこででも取り組まなくてはいけない課題の一つだと思うが、こういうワークシート集を作るのは大変素晴らしいことだと思う。せっかく作るのであれば、やはり研修などに関わっておられるセンターの意見とか、それから高等学校課や小中学校課や支援教育課、いろいろな立場におられる先生からの視点もそのワークシートに反映できると良いと思うので、どうぞよろしくお願いしたい。
  • (教職員人事課長)ご意見を踏まえまして、様々な意見を聞きながら完成させたい。
  • (岡部委員)ちょうど同じところに関連するので、加えて意見をいただきたいと思う。2-14ページの(14)のところ、市町村の方では2-35ページの(15)のエのところに当たるが、ハラスメントは、不祥事の中でも、法に触れるというような事項ではなく、倫理や道徳の領域あるいはマナーの領域ということで、被害者・加害者の被害者を救えばいいというだけの問題に収まらないところがある事象だと私は捉えている。むしろ職場の環境自体が、事案が起こったことを一つのきっかけとして改善を目指していくべき事象なのではないか。というのも、悪意を持って誰かを傷つけようとした場合は論外としても、ついつい指導がきつかったとか本当にこの人に変わってもらおうと思ったことがやりすぎてしまったであるとか、相手を褒めようと思ったのだけどそれがちょっと性的なことに触れてしまった、いわゆる年代別の文化の違い、性別の文化の違い、地方ごとの文化の違いなど、そういったことによって全く悪意がなくても引き起こされる部分も多いかと思う。だからといって、つらいという思いをされている方を救わないわけにはいかないので、従って、「被害者に寄り添いながら丁寧に対応すること」というこの一文は必ず必要だと思うが、一方で加害者に駄目と言えばいいという問題ではない。やはり何が悪かったのか原因を認識しなければいけない。よくあると捉えているのが、弱い立場の人が「嫌だ」と思うのだけれども、強く言えないからじっと黙っていたのを、「黙っていたからいいと思った」と誤解を生んでいくことである。そういうことは、別に本人たちの問題だけではなくて、立場の弱い人が言えない環境の問題、その学校や集団の先生方全員の問題になっていくと思うので、そういう意味では、このハラスメントということに関しては、被害加害というようなことを強調して被害者を救うというのはとても大事だと思うが、加害者を責めて指導するだけというのに収まることなく、職場の環境そのものをみんなで学び合って良くしていくのだという方向性を、前面に強調して出していただくような文章にしていただけると非常にありがたいと思う。この辺のところを、どのように考えているか、意見を伺いたい。
  • (教職員人事課長)おっしゃるように、風通しの良さや、同僚性が高いということは、ハラスメントが起こりにくいというようなことに繋がると思う。(14)ウのところでご指摘いただいたが、(14)リード文のところの2行目の後段、「快適で働きやすい職場環境づくり」のあたりに、今仰ったように、「年齢や性別、障がいの有無等に関わらず、すべての教職員にとって快適で働きやすい職場環境づくりを進める」といったような表現で検討したいと思う。
  • (岡部委員)子どもたちも多様になっていくが、先生方も外国にルーツのある方がいたり、障がいのある方が入ってきたり、多様化していかざるを得ないし、もちろん保護者の方も多様化していく。ハラスメントが起こらないということの方が少ない状況が、多分これからどんどんできていくかと思うので、防止をするという方向も大事であるが、お互いのことを理解するというような形で進めていけば良いと思う。単に、嫌がることをやめるということなら、必要なことも言えないというような状況ができないとも限らないので、必要なことを言いつつも何か起こったときはお互いを理解しながら合意を取っていくような、そういう方向性を打ち出していただければありがたい。
  • (教職員人事課長)検討した上で工夫したい。
  • (井上委員)神戸市の先生同士の、先生が先生をいじめていた事案について、あの直後に教育委員会会議がなかったので聞けなかったのだが、あれは神戸だけの特殊な事情で起こったと捉えたのか、それとも大阪府でも起こりうることとして、何か対応しようとなされたのかというところがあれば教えていただきたい。
  • (教職員人事課長)神戸市の事案はベテランの教員が長期に渡って1人の者を密室でいじめるというような行為で、極めて特殊な事例だと思っている。その後、大阪でも府立学校で教員間でのトラブルがあった。暴言を受けたこと等について現に過去から訴えがあって、今裁判にもなっている事象もある。改めてこの間もずっとハラスメント防止ということは徹底しているし、これからも今のご意見なども踏まえ徹底してまいる。またこの6月に法律が改正整備されて、国でハラスメント、パワハラについての指針というものが検討されている。その指針を踏まえ、府においてもすでに作成している指針を改正して周知してまいりたいと思っている。
  • (井上委員)この神戸の事案というのは非常にひどいし、特殊と思うが、やはり学校という職場環境が、役所や民間企業といった職場と少し違うということを先生方が自覚して職場づくりをしっかりやっていかないといけない。神戸だから起こったということではなく、全国どこの学校でも起こりうる可能性があると我々が捉えて、それで職場環境の整備をしないといけないと思う。また事件が起こった中で、生徒たちにいじめを防止しようと言っても、先生がやっていてはどうなのだと、子供も親も不安になる。神戸だからということではなくて、学校という職場環境が少し特殊であるということをしっかり先生方が自覚した上で、先生方もそうだし、教育委員会も対策をやっていかないといけないと思う。
    これに関連して、さっきから校長先生のリーダーシップを発揮してということが何度か出てきているが、ある程度の権限というものがないとリーダーシップを発揮できないというのは、どこの職場でも組織でも一緒だと思う。今すぐに校長先生の権限など、色々なものを変えるのは難しいと思うが、校長先生にお題目のように「リーダーシップを発揮してください」と言っても難しいと思うので、そこは中期的な課題としては考えていかないといけないと思う。
  • (教育監)校長のリーダーシップについては、これまでも例えば校長が経営マネジメントをするための予算をある程度配分するという形で取り組んできているが、おっしゃっていただいたように今後も考えていかければならないと思う。前段のご指摘の件についても意識しながら、今回改めて同僚性の高い職場づくりであるとか、全ての教職員の人権意識を高めるということが、ハラスメントや教員同士のいろんなトラブルにおいても、基本として求められていると思う。そうしたところを、この指示事項、指導助言事項の色々な箇所に書き加えている。メッセージとして、改めて校長あるいは市町村教育委員会に話をしていきたいと思う。
  • (岩下委員)今回は追記していただいたことが多かったように思う。保健安全のアレルギーの件に関してであるが、これから本当に色々なアレルギーの生徒が増える傾向にあると思う。危機管理、防災のところでも詳しいマニュアル化について記載されてきたと思うが、この指示事項を職員が一人一人本当に目を通すような指導を校長先生の方にしていただきたいというのを改めてお伝えしていただきたいと思う。
  • (岡部委員)アレルギーについて、1点確認のお願いをしたいと思う。
    食物アレルギーは、最近一般によく聞かれるようになったとは思うが、まだまだレストラン等を見ると、アレルギー性のものを書いていない、表示していないというところが多いというのもあって、まだ全体的に理解が進んでいないのではないかと思う。
    症状が出たときにどういうふうに救急車を呼べばいいかとか、どのように注射を打つか等、医学的な対応・看護の対応は必要だと思う。実は、食物アレルギーを持っているお子さんやお母様・お父様の負担というのは、普段、友だち同士でお菓子を一緒に食べようという時に一緒に食べられないということが、いじめや孤立する原因になってしまう、給食に対して、一つ一つ保護者の方が学校に言うことが、「あの保護者はうるさい」と、先生方がそう受け取ってなくても保護者の方が、「そういうふうに受け取られたら嫌だな」と思いながら負担感を抱えていくといった状況に陥るところにある。このように、アレルギー対応は、反応が起こったときの対応だけの話ではないと思うので、普段からそういった子どもや保護者と支えあったり、連携をとっていくところもマニュアルの策定の際には焦点を当てていただけるように大阪府教育委員会の方から各学校にお伝えいただければと思う。
  • (竹若委員)何点か申し述べたいと思う。まず一点目である。指示事項・指導助言事項ともに文言の中に資料の提示があるが、府立学校の指示は下に行くほど新しいものが入っており、つまり古いものから上から順番に書いてある。一方、市町村の方は逆に新しいものが上に来ている。大阪府教育委員会が出すものだから、どちらがいいかということは言えないが、できれば精査して、統一できればいいと思う。個人的には新しいものを上にして、積み重ねて来ているということも一つの表現かなと思う。
    二点目だが校長のリーダーシップについては、これは校長研修等でもう口が酸っぱくなるほど、校長の管理監督がどういうことかという研修もされていると思うが、その中には校務の管理、文書の管理は言われているが、人事の管理という視点が欠けてきているという感じもする。一つ間違うとパワハラなど、いろいろと間違った方向で報道されることもあるわけだが、本来校長は自分の学校の教職員の人事の管理をおこなうもの。それも、24時間公務員であるという前提のもと、公私含めた管理監督が必要だと思う。この際、改めて校長のリーダーシップということを謳うので、説明するときに、「本来こうあるべきだ」、「全体の奉仕者として、24時間公務員だ」ということを強調しながら、管理監督できる校長の育成を進めていただければと思う。
    三点目はいじめ防止で、2-9ページについて、市町村も一緒であるが、イのところで、「とりわけ」という言葉をあえて謳いながら「とりわけ、いじめは重大な人権侵害であり」という記載がある。この謳い方は非常に重要と思う。特に、その次の「いじめを許さない意識」であるが、分かっていながらこれがなかなか言えない。いじめということについて、対応策ばかりが表に出ているが、やはり、ここに謳われているように、いじめを許さない、そして絶対にあってはならないという意識を、児童生徒、さらには教職員に徹底させないといけないと思っている。
    先立って11月に中学生サミットが議場を借りて開催された。府内の中学生が90人集まり、立派なプレゼンをしてくれた。「私たちはいじめを許しませんよ」「私たちの力でいじめをなくしていきましょう」という子どもたちの思いが非常に力強く語られていた。私は、中学生サミットに限らず、大阪の一つの誇りとして、そういった力を伸ばすべきであり、そしてまた支援をしていく必要があるだろうとも思っている。小中高支援学校含めて、そういった子どもたち、児童生徒の力を最大限に活かせるように、ぜひこの指導助言事項・指示事項で強く説明をお願いしたいと思う。私も何度か経験する中で、周りの大人たちの力も確かに必要であろうけれども、しかしながら、子どもたちの力に勝る部分はないと思う。今、大阪のそれぞれの小・中学校で落ち着いた学校生活を送れるようになったのにも、児童・生徒たちの意識の高まりがあると思っているので、そういうところを重々強調して、説明をいただきたいと思っている。
  • (井上委員)2-38ページウのところの「1か月に1回以上、書面にて情報提供を行うよう指導すること」というのは、誰が誰に指導するということなのか。
  • (小中学校課長)これは市町村教育委員会に対する指導助言事項なので、市町村教育委員会が学校へ指導しなさいという意味である。
  • (井上委員)指導した内容がきちんと行われているかというチェックは行うのか。
  • (小中学校課長)どのようなやり方をするかは各市町村に任されているが、市町村教育委員会にチェックも含めて、こちらからは指導助言していきたいと思っている。
  • (井上委員)これだと指導で終わっているようにも読める。しっかりと言っただけではなくて、1か月に1回以上書面で情報提供が行われたことと、次の7日の欠席についても、指導後に情報提供されているかチェックすることが大事と思う。
  • (小中学校課長)虐待で対応が必要な子ども等の様子をヒアリングするという場合もあるので、その際にきちんとした対応がされているかも併せて、市町村教育委員会から聞き取りながら指導していきたいと思う。
  • (竹若委員)教職員の意識の問題で、かつて大阪は同和教育という名のもとに、人権の研修がずいぶんと盛んに行われた。その時には継続して研修があり、私どもも含めて府全体の教職員、さらには行政の職員にも、人権意識の高揚を見てきたわけだが、最近では、それがやや薄れているという感じがしないこともない。
    そういう意味では今、若い先生方がたくさん入ってきている。継続して研修をされておると思うけれども、繰り返し、繰り返し研修する必要があるだろう。敢えて言うならば、かつては「差別の実態から学べ」ということを繰り返し言っていた。その原点に戻るときもあるのかなと思う。いじめの実態を学ぶということについても、示し方は難しいかもしれないが、そういったことで研修も組んでいただけるようにあえてお願いしておきたい。
  • (良原委員)先ほど竹若委員が中学生サミットについておっしゃったが、私も参加させていただいたので、お礼を申し上げたいと思う。中学生が真剣にプレゼンをしたり、意見を言ったりという様子を拝見させていただき、感激した。それは、多分学校の現場の先生方が日々積み重ねて指導してこられた賜物であり、市教委の先生方もそれをサポートしてこられた結果だと思うので、それを一同にまとめたサミットは準備の段から当日まで大変なことだったと思う。また、当日は政令都市の二市も入っていたし、限られてはいたが私学からも参加していて、政令都市だからとか、大阪府だからとか、私学だからではなくて、全て関係なく、大阪に住んでいる子どもたち全てという視点が非常に感じられ、感激した。本当に大変だったと思う。改めてお礼申し上げたい。
  • (岡部委員)お伺いしたい事項が一つある。高校の方では2-17ページで、市町村の方では2-39ページの危機管理・防災教育のところである。色々マニュアル・ハザードマップとかを作られるということなのだが、津波・地震のハザードマップは出ている。大阪も、もちろん地震・津波の被害を受けることは考えられるが、その他の災害に関して、近々で言えば大雨などが災害の中には入ってくるかと思う。その他の自然災害に関して危機マニュアルはどう作られるようになっているのか、あるいはもうすでに作られているのか。
  • (保健体育課長)その他の災害には、土砂災害等が含まれると思う。ハザードマップは各自治体が作成しており、各々津波の被害、大雨の浸水被害、土砂災害の被害等について、土木事務所や自治体が協力して作っており、それらを参考に各学校で防犯防災計画を作るということになっている。そういったことを想定している。
  • (岡部委員)どうしてこういうことを伺ったかというと、3週間程前に日本災害復興学会で発表させていただいた。私のそこでの発表は復興学会の全ての研究のレビューという形で、今まで復興学会がどういう形で活動してきたり研究してきたりしてきたかということをまとめたが、地震・津波のことはすごく扱われるのに、それ以外の災害については、なかなか扱われない、ということが明らかになった。地震・津波に関しては、国家の災害という形で捉えられるような新聞報道がなされていくが、なぜか大雨等になると、地域の災害という形になってしまって、国の援助・補助という話になっていかないというような特徴がある。それは京都大学の地震防災の研究センターの方が中心になって予算を取って研究されていることだが、そういった点で、自治体がどういうふうに支援していくかという点で地震・津波と他の災害は違うところがある。先生方には、もちろん、避難をどうするか、どこが危ないかということの情報を提供していくことも大事ではあるが、その後どう復興していくか、どう子どもたちや保護者を支えていくかというノウハウが地震・津波の場合と違ってくる可能性も出てくる。ハザードマップや、復興支援について学校の役割は大きいと思うので、その点ご留意されながら、マニュアルを作成していただければと思う。
  • (保健体育課長)わかりました。そのように致します。
  • (教育長)私から2点申し上げたい。
    1点目は、子どもの権利条約が採択されて30年、日本でも批准して25年となる。そういうことで近々に、大阪の子どもたちに、私からメッセージを出そうと思っている。ポイントは、やはり、子どもの権利ということを説明するわけだが、やはり自分を大切にしてほしいということ、そして、同様に、他の人、友だちも大切にしてほしいということ、いじめは重大な人権侵害だということを中心にしたメッセージを送らせていただこうと思っている。
    それから教員間のハラスメントだが、残念ながら大阪でも同時期に報じられたということもあり、府議会の場でもご説明をさせていただいた。神戸の事案とは、話があったように、複数が個人をいじめていたという点で、明らかに状態像・関係性が違うので、異質なものだとご理解いただいていると思うが、ハラスメントということを捉えれば、これはどこの学校でもあるというところもご指摘の通りである。先生方が仰っていたように、加害者・被害者と分断するだけではなく、全体として組織風土をどう変えていくかということも重要な課題だと認識をしている。その一方で、私としては、被害を受けた方、被害を受けて苦痛を感じている方、その先生がやはりどこにも相談することができない、誰にも言えないということが想定されるので、もう一度相談の窓口の点検ということをしっかりやりたい。また、これは他の府県でもやっているようなので、できるかどうかも検討中だが、直接アンケートをとるということも含めて考えたいと思うので、またご相談をさせていただきたい。
    それから、指示事項は、いろいろご議論をいただいた。表現について、私どもできっちりと協議・相談させていただいて、また先生方にお返しをするという形で進めさせていただきたいと思うので、表現については事務局預かりという形でよろしくお願いしたい。

【採決の結果】委員の意見を踏まえた修正を事務局に一任し、その他の箇所については原案どおりとすることを、賛成多数により決定した。
(賛成者 酒井教育長、竹若委員、井上委員、岩下委員、良原委員、岡部委員)

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報告事項1 平成30年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の調査結果について

報告の趣旨説明(高等学校課長・小中学校課長)

質疑応答

  • (井上委員)1-5ページのいじめ解消率というのは、何かしらトラブルがあったのが解決したということか。
  • (高等学校課長)解消している状態というのが、少なくとも3ヶ月間を目安としていじめに係る行為が解消されたこと、さらに被害を受けている児童生徒が心身の苦痛を感じていないということを前提に、それが満たされているということを対象にいじめ解消率を算出している。
  • (竹若委員)報告を聞かせていただいて、徐々にではあるが、教育活動の成果が生まれてきていると思う。ただ、例えば、不登校の状況も中学生の場合が全国と変わらなくなったということは、逆に言えば全国の数値が飛び跳ねてこの一年大きくなったということである。理由も様々だろうと思うが、根本的に小中高とも、学校が楽しければ子どもは学校に楽しく行くという基本的な考え方で、学校経営をやっていくのが大事と思う。例えば、不登校も千人率が中学でいうと30%未満の地域や学校の好事例をできるだけ広めてもらえたらと思う。これはただ単に不登校に焦点があてるという話ではなく、おそらく学校が楽しい状況が子どもたちに広まっているという要因がたくさんあるのだろうから、その点またデータがあれば教えてほしいと思う。
    それから暴力行為について、高校の話も出たが、1年生の段階で約半分を占める。これはやはり小学校も中学校も同じことが言えるのだが、子ども同士の人間関係のコミュニケーションのなさが、大きな要因を占めるのではないかと思う。特に府立学校では、いろんな地域から来るわけなので、その1年次の入学の段階での生徒間のコミュニケーションづくりをいかに進めるかが大きな課題だろうと思う。
    それから、中学1年生の段階で、小6から中1にかけては4倍不登校が増えるというのが全国のデータであるが、これも市町村によれば、小学校6年生の段階で同じ中学校に来る子ども達を一堂に集めて、ハートプログラムというような、いわゆるコミュニケーションづくりを一つのイベントとして取り組んでいるところがある。その成果として不登校が減っていたということもあるので、その好事例についても、また一度調べて報告していただけたらと思う。よろしくお願いしたい。
  • (岡部委員)1-6ページの不登校の調査について伺いたいが、不登校の要因として、この4項目から選びなさいという形で聞いているのか。
  • (小中学校課長)この4項目の中から選びなさいという形式である。子どもが選ぶというより、先生が分類して、こういう原因からのようですということである。前はもう少し項目があったが、平成28年ぐらいからこの4項目になってきている。
  • (岡部委員)検討していただきたいことなのだが、「無気力」というのが非常に気になる。無気力の原因については、貧困格差が関わっている可能性が考えられる。社会学では、一般的な定説になっていることなのだが、大阪府立大学の山野先生等が関わった貧困の調査では、年収の低い世帯の子どもたちは3時間勉強しても、年収の高い世帯の子どもたちが30分勉強するのにとても追いつけなくて点数の格差が30点近く開くというような衝撃的な事実をエビデンスで出してこられた。そういう場合に、年収の低い世帯の子どもたちは、どう努力しても自分はちょっとしんどいということを認識したら、頑張ろうということをやめてしまう。もちろん自分の心身を壊さないためというのもあるが、人間としてのプライドを壊さないためということがあって、「そんなことしなくても僕は幸せに生きられる」、「お父さんお母さんも幸せに生きている」という結論に行くということはアメリカでの調査でもヨーロッパでの調査でも出ている。もちろん日本でも子どもたちが自尊心を高めるために、あるいは保つために、学校に行かないというような形を、あえて積極的に選ぶということをしていなくもない。それは相対的貧困ということにも出てきていて、スマホを持ってないとは言えないから、スマホを一生懸命買うのだけれども、そのために学習ができないような状況ができてしまうということもあったりする。そういう意味では、学校が面白い授業をするとか、学校で友だちがいるというようなこと以外に、格差や貧困が、無気力ということに関わっている可能性があると思うので、子どもの心理だけの問題として捉えない分析が必要になってくるのではないか。不登校の原因としての「無気力」の多さを見ると、心理だけの問題ではないのではないかと疑えると思う。もちろん学校ですべきことは学力を上げることで、学校が楽しく過ごしやすいところにすることが一番だとは思うが、それ以前の問題で、もし子どもたちが悩んでいるのだとしたら、それは学校がどれだけ努力しても、あえて学校から子どもを遠ざける結果になりかねないところもある。そういった分析もこの調査でするかどうかは別として、この調査にプラスしてそういった分析をぜひお願いできればと思う。
  • (小中学校課長)「無気力」のところもそうだが、「不安」の中身についても、ここは数値しか現れていないが、細かくその対応を聞いていたところ、ポイントのところに示しているが、やはり家庭環境の厳しさに起因するようなことも出てきている。そこについては一つ一つ丁寧に背景等を分析しながら対応していくということも必要である。教育の機会確保法ができたということで、学校へとにかく戻す、学校に元気に帰ってきてくれることをめざすが、その子の状況に応じて、引きこもりになってしまうようなことにならないよう、不登校になった子には様々な本当に多様に絡んだ要因があると思うので色々な専門家、例えばスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーの方と連携しながら、また学校でも子ども支援コーディネーター等を中心として、民間との連携もその子が選べるなら一つの選択肢として進めている。一人一人丁寧に多様な専門家の声を聞きながら対応し、これからも市町村を支援していきたいと思う。
  • (岡部委員)今言っていただいたことに加えて、こういうしんどい子たちの今の居場所も大事であり、その子たちは今の居場所が欲しいということが一番の要求として出てくると思うが、しかし、結局、学校は6年あるいは3年しかその子たちを見ることができないわけで、そのあと自分がやっていけるという自信や見通しがないと、やっぱり無気力のまま、その時楽しければいいやというように流れてしまう。居場所確保もとても大事だが、居場所でその時楽しければいいというのであれば、居場所にいる権利がなくなった3年後、社会に出て引きこもりになってしまったり、社会に出て活動することができない、居場所をまた社会で求めていってしまう形になりかねない。やはり、キャリア教育、自分が今やっていることが将来に生きるという道を一緒に見つけてあげることが、おそらく家庭の状況、貧困ということを原因とした不安や無気力というところにアプローチしていく地道な道だと思うので、そういった将来への見通しというところにもご支援いただけるようお願いしたい。
  • (岩下委員)岡部委員のおっしゃっていた不登校のところでお聞きしたい。これから社会ではコミュニケーション力が本当に非常に必要になってくると思う。例えば勉強などは、別に学校に行かなくてもインターネットで検索すれば、できる時代が来ている。不登校が本当に増えているということで私もちょっと調べたところ、不登校に力をいれている高校というのは全国にも増えてきていて、もちろん大阪にもフリースクールも確か31校ある。
    今、実際その小・中・高校の不登校の生徒は、無気力とか不安という数字が出ているが、その本当に原因になっているところは知りたい。例えば病気で来られないのか、インターネットで勉強すればいいと考えているのか、家庭の問題というのもあると思うが、もし原因になっているものがわかれば、教えていただきたい。
  • (小中学校課長)不登校の原因は本当に一つに特定するのが難しいような状況がある。この調査上では、ここに書いたように、人間関係なのか、あそび非行型、これはいわゆる学校がおもしろくないといって遊んでというもので、これは昔多かったが、年々減ってきている。ただ、今年は若干小学校で増えているっていうようなところがある。あと心理的なものなのか、それから家庭が原因なのか、全部、複雑である。自ら選んで学校行かないというものも、学校は登校してもらうようアプローチをかけていると思うが、正確な数字はわからない。複合されているものが多いというところで、今のところは捉えている。
  • (岩下委員)大概は、幼稚園・保育園に行っておられる子が小学校に上がってこられる。幼稚園・保育園のときに人として本当に基本的に大切なことを、道徳教育、思いやりやコミュニケーション力をつけるような授業を遊びの中ででもやってもらいたいと思うのもある。あとこれは小学校、中学校、高校でも、竹若委員がおっしゃるように、学校が楽しい、行きたいっていうような学校づくりということで、教職員の方も工夫はしていると思うが、教科書だけの勉強ではなくて、社会からも色々な情報を得て、特にコミュニケーション力がつくような、学校が好きだというような工夫していただきたいと思う。例えばその体力向上のときも、5段階評価で、私は、運動が嫌いという生徒を、嫌いと言われない、好きではないけれども普通と言えるようにいう普通というところに目標を置いてと思っている。学校が嫌い・学校に行きたくないという子に対して、そういうようなところに重点を置いて教育をしていただけたらと思う。
  • (教育長)不登校の問題は、学校という枠から様々な理由で外れようとしている人たちを学校という枠の中に閉じ込めてしまおうと、引き戻そうとすればするほど逃げていくという部分がある。不登校の問題は、岡部先生のおっしゃった通りと私も思うが、学校教育からどうアプローチしていったらいいのかという単線だけではおそらく解決しない問題だろうと思う。別のルートをどう作るかということも含めて、トータルの絵を書いていく作業を私たちはやっていくということと思っている。大久保課長の言っていた基礎学力、人間関係、中高連携は学校教育の枠としては当然のことだが、それだけではこの子たちのその進路ということも含めてどう見るかというのは、やはりその枠に収まらないだろうと私は思う。そういう意味では学校教育からできることというのは、まさに進路をどう見通すかという、エンパワメントを早いうちから行い、その学校の次にある自分の世界というものをどう作るかということを一緒に考えようというアプローチが必要だと思っている。そういう問題意識で取り組みたいと思っている。
  • (教育監)今教育長におっしゃっていただきましたように、将来に希望や自信を持って出ていけるというのが非常に大事であり、そのための取り組みをもちろんやっていきたいと思う。もう一つ、校長経験者としても申し上げると、学校づくりの一番基本的なところは、竹若先生がおっしゃった、楽しいという部分であるが、その前提は、学校の中で自分を大切にして、他者を大切にして、その中で自分も大切にされることで、そのためには、人間関係づくりであるとか、岩下先生がおっしゃったコミュニケーションのあり方とか、そうしたことを、教職員が意識をして子供たちと一緒にその力を育てていかなければならないと思っている。そうしたメッセージについても、これからも発信を続けながら子どもたちが学校で本当にそこで居場所として活動し、そして将来に向けて出ていけるような取組を進めていければと思う。
  • (竹若委員)今教育長のおっしゃったことについては私も大賛成である。国の方ではこの不登校問題に関わって、いわゆる社会への自立支援という大きなテーマのもとに、今まで学校教育が抱えてきた大きな課題を、学校教育だけではなく、例えばフリースクールのことも含まれると思うが、民間の団体とも連携をしながら、と言っている。この不登校の問題の項目から無気力だとか出てきているが、これはあくまでも集計をするための文言だけであってそこに含まれるものは多々あるだろうと思う。そういう意味では、今教育長がおっしゃった、その貧困等に関わって、いわゆるその自立そのものがしんどい子、困っている子に、どう学校として手を差し伸べるかあたりが大きなポイントであるだろうし、貧困であっても、夢を持たす、夢を持てば学校が変わってくる。その繰り返しかもわからないが、そういう大きな要素を踏まえた中で、要は社会で自立していく子どもを育成するという観点でこれからもお願いしたいと思う。
  • (良原委員)まず、いじめについてだが、確か都道府県、市町村はいじめの防止基本方針を立てなければならないことになっていたと思う。文科省の10月の発表のときにまだ100%にはなってなかったと思うが、大阪府の各市町村のいじめ防止基本方針が規定されているパーセンテージについて、今分かるのであれば教えていただきたい。
    それから、不登校については、本当に貧困の問題とかいろいろな状況を分析していかなければならないと思うが、不登校は定義としては30日以上の休んでいる子どもたちの欠席についてのカウントである。学校に行かないという状態像について、30日以上から、さらに100日以上行っていない、それから1度も来ていないとか10回ぐらいは来たとか、いろいろあると思う。それらの休んでいる状況によって、学校の対応やアプローチの仕方は変わってくると思うので、そのあたりも数字が分かればありがたい。
    この二つのことを踏まえまして、私もスクールカウンセラーをさせていただいて、自分への反省も含めてであるが、どうしても教育領域に関わっていると、数字にこだわってはいけないとか、特に心理職としては目の前の個別のケース、子ども個人に対応しようとするので、数字にとらわれるのは駄目だという思いがあった。データの数字に振り回されてはいけないと思うが、やはり無視することはできない。このことを学校の先生方は意識しながら動いておられると思うが、先生方だけでなく、来校回数の限られているスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーにも自分が関わっている学校や地域の具体的な状況がどうなっているかということを伝えていただけたらありがたい。一緒に頑張るという視点が、チーム学校という意味でも大事かと思う。
    また、いじめの基本方針について、私もいろんな学校のホームページを見たときに何回もクリックしないとその学校基本方針についてたどり着かない場合がある。ホームページの作成においては学校の考えやご事情があるとは思うが、どこに掲載しているのかよくわからないということがある。できるだけわかりやすいところに1回か2回クリックしたらその学校のいじめ防止基本方針がわかるような工夫をしていただけるとより認知度も上がるし、取組についても学校全体でやりやすくなるのではないかと思うので、また指示いただくようにお願いしたい。
  • (小中学校課長)方針の策定状況だが、一つだけ今年度末に策定するところがあるが、それで100%になる。それから専門家の方と状況を共有するということは必要だと思っている。各学校ではされているかと思うが、全体像についても研修等の機会に共有していくということを進めていきたいと思っている。ホームページ等への掲載の仕方等についても、その折にでも市町村の指導主事に伝えていきたい。
  • (教育長)このテーマも議論が尽きないと思う。また機会を捉えて、また皆さんと意見交換をしたいと思うので、よろしくお願いしたい。

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