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大阪府流域下水道合流式下水道緊急改善計画
大阪府流域下水道合流式下水道緊急改善計画を見直しました。
大阪府では、これまでの計画をより効率的で、目標の達成が可能な計画へ見直し、平成22年3月31日付けで国土交通省の同意を得ました。
合流式下水道と分流式下水道
下水道には、合流式と分流式の2種類の排除方式があります。
- 合流式下水道とは
汚水と雨水を同一の管で排除する下水道です。 - 分流式下水道とは
汚水と雨水を別々の管で排除する下水道です。 - 合流改善とは
合流式下水道では、雨天時に汚水と雨水とが混じった下水の一部が処理されずに川などに放流されるため、水質汚濁の問題があります。なお、分流式下水道では、汚水は全量処理されますが、雨水は道路に堆積した汚濁などを含んだまま、川や海に放流されています。
このような合流式下水道の問題を改善するための対策計画が「合流式下水道緊急改善計画」です。
- 大阪府の合流式下水道
大阪府では、昭和40年に全国に先駆けて、寝屋川流域下水道事業を開始しました。
当時、寝屋川流域は、急激な人口増加による水質汚濁に加え、過去からの度重なる浸水被害に頭を痛めていました。
そこで汚水と雨水の両方を、短期間で効率よく整備できる有効な方法として、合流式下水道が採用されてきました。
(現在、大阪府では寝屋川流域のほかに、猪名川流域、安威川流域、淀川右岸流域においても、一部の区域で合流式下水道を採用しています。)
合流改善が必要となった契機
平成12年9月に、東京都お台場海浜公園に合流式下水道の吐口から出てきた白色の固形物(オイルボール)が流れてきたことを契機として、合流式下水道の構造的な弱点について、社会的に注目を浴びました。
これが契機となり、合流式下水道の改善についての議論が始まり、平成15年に下水道法施行令が改正(平成16年4月1日施行)され、合流式下水道の改善が義務付けられました。
法的規制と合流改善の目標の設定
下水道法施行令(規制内容) | 当面の改善目標 | 主な対策 |
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施行(平成16年4月1日)から10年後。但し、一定規模以上は20年後 |
概ね10年間で達成 |
- |
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(1)汚濁負荷量の削減 分流式下水道と置き換えた場合に排出される汚濁負荷量と同程度(分流式下水道並み)以下とします。 |
雨水滞水池の設置や処理施設の増強により、未処理の放流量を減らします。 |
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(2)公衆衛生上の安全確保 雨水吐きからの未処理放流水の放流回数を半減します。 |
堰のかさ上げや、雨水沈砂池をドライ化して貯留することにより、未処理放流回数を減らします。 |
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(3)きょう雑物の削減 雨水吐からのごみ(きょう雑物)の流出を防止します。 |
ポンプ場などのスクリーンの目幅を縮小します(細目化)。 |
合流改善の進捗状況について
平成20年9月に、全国の約40%の都市で計画通りに合流改善事業が進んでいないことが、国土交通省から公表されました。
大阪府においても、これまでの計画に位置付けていた対策について、事業中の対策を含めても、計画通りに事業が進捗しておらず、目標達成が困難な状況となっていました。
そこで大阪府では、これまでの計画をより効率的で、目標の達成が可能な計画へ見直しました。
見直しのポイント
国土交通省より「効率的な合流式下水道緊急改善計画策定の手引き(案)(平成20年3月)」が公表され、その中で次のような見直しのポイントが示されました。
- 対策施設の低コスト化
SPIRIT21等の最新技術を採用し対策施設の低コスト化を図る。 - 適切な改善目標の設定
既存施設による対策の効果、対象降雨の考え方を再整理。 - 放流先の水利用状況を考慮した対策の促進
未処理放流水の影響が大きい水域では対策の強化を促進。
大阪府では、この手引きを参考とし、以下の方針に基づき、見直しました。
主な見直し項目 |
内容 |
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放流回数半減対策 | 未処理放流下水のうち、放流水質が良好なもの(分流雨水並みの水質:BOD17mg/L以下)は、放流回数半減対策の対象外とする。 |
貯留施設 |
既存施設(雨水ポンプ場の沈砂池、増補幹線等)を有効活用し、対策事業費の縮減を図る。 現場の施工条件を考慮し、実施可能性を充分評価した施設とする。 |
スケジュール |
投資可能額を考慮し、対策事業のスケジュールを見直す。 放流負荷量の削減に寄与する事業(滞水池、ポンプ場のドライ化、遮集能力の増強等)を優先的に実施する。 |
簡易処理のBOD除去率 |
最初沈殿池の除去率を、モニタリング結果による実績に基づき見直す。 |
処理水の放流水質 | 近年の実態に合わせた放流水質に変更する。 |
主な合流改善の対策
雨水沈砂池を貯留施設として有効利用(ドライ化)
- 雨水沈砂池に貯まった下水を降雨終了後、下水処理場に送水し処理することにより、汚濁放流負荷量の軽減を図ります。
- 雨水沈砂池を空(ドライ化)にすることにより、小降雨時には貯留施設として働き、未処理放流を防ぐ効果があります。
増補幹線を貯留施設として有効利用(渇水期に活用)
- 雨水ポンプから河川に未処理で放流される降雨初期の汚濁負荷の高い下水を一時的に増補幹線に貯留し、降雨終了後、下水処理場に送水して処理することにより、汚濁放流負荷量の軽減を図ります(渇水期に活用)。
*増補幹線は、増大する雨水流出量に対応するため、既存の下水管の能力不足を補う目的で設置する幹線です。
きょう雑物の削減(スクリーンの細目化)
- 雨水ポンプ場のスクリーンの目幅を小さくすることにより、ごみ(きょう雑物)の流出を低減します。
見直しによる効果
- 既存の施設を有効活用することにより、早期に施設整備ができることに加えて、大幅な事業費の縮減効果があります。
大阪府合流式下水道改善事業評価審議会について(大阪府附属機関条例等の一部を改正する条例の施行)
大阪府では、平成16年度末に策定した「合流式下水道緊急改善計画」の見直しにあたり、「大阪府合流改善アドバイザー会議」で学識経験者等のご意見をお聴きしました。同会議の概要などについてはコチラをご参照ください。
平成24年11月1日より大阪府附属機関条例の改正に伴い、名称を「大阪府合流改善アドバイザー会議」から「大阪府合流式下水道改善事業評価審議会」に改めるとともに、地方自治法第138条の4第3項の規定により、附属機関として位置付けました。