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地震・風水害による健康危機から身を守ろう2
このページは、2008年3月発行のリーフレット『地震・風水害による健康危機から身を守ろう2』のPDF代替ページです。
リーフレット『地震・風水害による健康危機から身を守ろう2』(PDF:1,878KB)
避難所等での健康管理について
はじめに
日本は狭い国土に約1億2千万人もの人が暮らしており、その多くは都市部周辺に集中しています。
その一方で、地理的な背景により、年中を通して地震や台風等の自然災害が発生し、毎年多くの被害を出してきました。
近年では平成16年10月に新潟県で発生した中越地震、平成18年7月に長野県、山陰、九州地方等で大きな被害が出た梅雨前線による大雨、平成19年7月に再び新潟県で発生した中越沖地震などの大きな自然災害が生じています。
近畿地方では、今後、「東南海・南海地震」の発生が心配されるところです。
こうした大規模な災害が発生すれば、市町村などから住民の皆さんに速やかに避難するよう勧告や指示を出す場合がありますが、住宅の倒壊やライフラインの寸断などで、生活の維持に深刻な打撃を受けた場合には、多くの住民が長期にわたって避難所での生活を強いられることもあります。
過去の地震や風水害による災害において、被災者が狭い避難所での不自由な生活で体調を崩したり、持病を悪化させたりするケースが多くみられました。
これまでも医師や保健師などが健康相談を行うなど、避難者の健康管理の支援を行ってきましたが、避難者自身が自らの体調管理に十分注意していただくことが特に重要です。
備えは十分ですか?(リュックに3日間分の備えをしておきましょう)
1 飲料水 | □水一人3リットル×3日分 |
---|---|
2 食料品 |
□缶詰(缶切り) |
3 電気器具 |
□懐中電灯 |
4 医療品 |
□常時服用している薬、常備薬 |
5 衣類 |
□肌着(1、2着) |
6 日用品 |
□ちり紙、タオル、バスタオル |
7 乳児等 | □ミルク、哺乳びん □紙おむつ、おしりふき |
8 その他 | □現金、通帳、印鑑、保険証写 □連絡先一覧 |
避難所での食中毒・感染症を予防しよう
大規模災害発生時には、清潔な水、電気やガスなどのライフラインの確保が難しくなり、食中毒や感染症が非常に発生しやすい状況となります。
避難所で感染性胃腸炎が発生すると、短時間に多くの方が感染し、集団発生になりかねません。
感染性胃腸炎とはウイルスや細菌が原因となって、嘔吐や下痢などの症状をきたす病気の総称です。
近年はノロウイルスをはじめとする感染性胃腸炎の集団発生が増加しています。
感染源や感染経路は食物や水、感染者の便・嘔吐物です。
正しい予防方法を普段から知っておくことが大切です。
食中毒予防の3原則
1.つけない
手洗いが最も重要です。
十分な水を確保できない時は、ウェットティッシュやアルコールスプレーなどで代用しましょう。
調理器具の衛生にも気をつけましょう。
2.増やさない
食品の保存温度を守りましょう。
災害時には冷蔵等が使用できない場合もあります。
常温で保存できる食品以外はできるだけ早く食べましょう。
時間がたちすぎていたら思い切って捨てることも大切です。
3.やっつける
ほとんどの細菌やウイルスは加熱すれば死んでしまいます。
食品の表面だけでなく、中心部までしっかり加熱をして食べましょう。
2.感染性胃腸炎の消毒方法について
多くの細菌やウイルスに効果のある塩素系漂白剤の希釈方法について知っておきましょう。
一般的に市販されている家庭用塩素系漂白剤の塩素濃度は約5%(5万ppm)です。
消毒するもの |
濃度 | 希釈液の作り方 |
処理の方法 |
---|---|---|---|
嘔吐物・便やそれらに汚染された場所 | 10倍(約5000ppm) |
|
希釈液を浸した布・ペーパータオル等で汚物を覆い、外側から内側に向けて拭き取り面を折り込みながら静かに拭き取る。 |
嘔吐物・便で汚れた衣服など | 50倍(約1000ppm) |
|
希釈液を浸した布・ペーパータオル等で汚物を取り除いた後、衣類等を希釈液に30分程度つけこむ。(素材に注意) |
トイレの取っ手、便座、ドアノブなど | 250倍(約200ppm) |
|
希釈液を浸した布・ペーパータオル等で拭く。(拭き取り部分が金属の場合は30分程度おいた後に水拭きする) |
身体とこころの健康に気をつけよう
突然、災害に襲われると、多くの方に身体の不調やこころの変調がおこります。
避難所生活が長くなるとさらに多くの変化が起こります。
災害はみなさんのからだを極端に疲れさせ、体調に変化を生じやすくさせます。また、みなさんのこころにも様々な変調をもたらせます。
こうした変化はみなさんの身体やこころが弱いから起こるものではありません。災害に遭えば誰にでも起こりうる変化や不調なのです。
1.こころの健康に注意
避難所生活では、多くの人たちと一緒に生活をするため、個人のプライバシーが保てなかったり、生活が不規則になりがちです。ストレスや不安を生じやすくなります。
下記のような心身の反応や状況が現れたときには、ためらわずこころの相談窓口に相談してみましょう。
反応の現われ方や持続期間には個人差があり、時間が経過してから現われることもあります。
1.身体面
頭痛、肩こり、手足のだるさ、胃のもたれ、下痢便秘、息苦しさ、食欲不振
2.感情面
気持ちが動かなくなる、強い恐怖や不安、眠れない、夜中に目が覚める、いらいら・怒り、孤独感、罪悪感
3.思考面
物事に集中できない、思考力の減退、マヒ・混乱、物忘れしやすい、覚えられない、判断力や決断力の低下、気力がない
4.行動面
飲酒や喫煙の増加 怒りっぽくなる、興奮しやすくなる、閉じこもる
5.こころの健康を保つためには以下のことに気をつけましょう。
- ちょっとひと休み
頑張り過ぎないで、適度な休みをとりましょう。 - 気持を言葉に出してみましょう
気持ちを抑え込まず、自然な感情を誰かに話してみましょう。 - 規則正しい生活を心がけましょう
生活リズムを取り戻すことで心も回復します。 - 家族や友人との絆を大切にしましょう
お互いにがんばってきたことを認め、ねぎらいましょう。
思いやりといたわりの気持を大切にしましょう。
2.身体の健康に注意
1.エコノミークラス症候群
車など狭い座席に長時間座っていて足を動かさないと、血行不良が起こり血液が固まりやすくなります。
その結果、脳卒中や心臓発作などを誘発する恐れがあります。
歩いたり、できるだけ足首の運動などを行い、また、十分に水分を摂りましょう。
2.熱中症
人は、暑い環境では服を脱ぎ、陰に移動し、水分を補給します。
さらに皮膚から熱を逃がす、息から熱を逃がす、汗をかいてその蒸散熱で体温を下げるようにします。
しかし、これらの熱を逃がす調整がうまくいかなかった時に、熱中症が起こります。
熱中症の予防は、炎天下では帽子をかぶるなど直射日光を避けること、高温多湿の環境での運動や作業時には、水分補給を十分に行い、こまめに休憩をとることです。
目安として、気温もしくは室温が30℃以上であれば要注意です。
気分不良があれば、決して無理せず運動や作業をすぐに中止し、涼しいところで休んでください。
熱中症は、本人では不調がわかりにくいこともあり、運動や作業をするときは、お互いに相手の調子を気遣うようにして下さい。