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平成23年度大阪府子ども施策審議会
- 日時:平成23年9月12日(月曜日)午後2時から午後4時
- 場所:プリムローズ大阪 3階 高砂
- 出席委員:安家委員、浅野委員、一色委員、大西委員、草川委員、才村委員、坂上委員、谷元委員、中川委員、中山委員、森田委員、山縣委員、若菜委員(50音順)
次第
- 開会
- <議題>
- 会長の選出・会長代理の指名・部会委員(3名)の指名
- 大阪府の子ども施策について
- こども・未来プラン後期計画実施状況等
- 児童虐待防止に向けた取り組み
- その他
- 閉会
配布資料
- 大阪府子ども施策審議会委員名簿(ワード:46KB)
- 大阪府子ども施策審議会規則(ワード:37KB)
- 資料1-(1) 平成22年度 こども・未来プラン後期計画 実施状況【概要版】その1(ワード:123KB) その2(ワード:46KB)
- 資料1-(2) 平成22年度 こども・未来プラン後期計画 実施状況(エクセル:200KB)
- 資料2 こども・未来プラン後期計画 具体的取組編(平成23年度版)(エクセル:285KB)
- 資料3-(1) 児童虐待防止に向けた取り組み(H23)(ワード:77KB)
- 資料3-(2) 大阪府子どもを虐待から守る条例第9条に基づく年次報告書(案)(平成23年度版(ワード:424KB)
- 資料3-(3) 児童福祉施設等における被措置児童等虐待届出等制度(エクセル:99KB)
- 資料4 子ども・子育て新システムに関する中間とりまとめについて その1(PDF:308KB) その2(PDF:156KB) その3(PDF:425KB) その4(PDF:321KB)
議事概要
1 会長の選出・会長代理の指名・部会委員の指名
- 大阪府子ども施策審議会規則第5条第1項に基づき、委員の互選により、会長に山縣委員を選出。
- 同規則第5条第3項に基づき、山縣会長より、会長代理に才村委員を指名。
- 同規則第7条に基づき設置された「交付金対象事業選定部会」は、山縣会長が部会長を兼任し、同会長より、部会委員に森田委員及び若菜委員を指名。
2 大阪府の子ども施策
1)こども・未来プラン後期計画実施状況等について
【事務局】(資料1-(1)(2)・2について説明)
【会長】
実質、後期計画開始後初めての評価になるが、後期計画の進捗状況等について、3つの資料を使って説明をいただいた。
皆さん方でそれぞれ関心のあるところ、あるいは全体について、自由に議論をいただきたい。
【委員】
里親委託推進事業に関して、里親になるための審査基準について、もう少し聞かせてもらいたい。
また、実際に里親になった人に、きちんと養育を行ってもらうための支援体制はどのようになっているのか。
【会長代理】
それに関連して、私からも質問したいのだが、「児童養護施設、乳児院、里親に措置された児童のうち里親の委託率」が3.9%であり、目標の10%と比べて、なかなか数値が上がっていない。それに対して、どのように取り組んでいるのか。
【事務局】
まず、里親になるプロセスについては、里親を希望する方から申請があった場合に、外部有識者による大阪府社会福祉審議会児童福祉専門分科会里親審査部会で審査をした上で、国の定める「里親制度運営要綱」に基づいて認定を行っている。養育里親の認定要件は、要保養児童の養育についての理解があること、経済的に困窮していないこと、養育里親研修を終了している、といったことなど。
次に、里親に対する支援については、子ども家庭センターに里親担当職員を配置して、里親からの相談を随時受け付けて、助言や情報提供を行っている。また、平成22年度から配置されている里親委託等推進員による里親家庭への定期的な訪問活動、レスパイト・ケア制度の活用などにより支援を行っている。
最後に、里親委託率については、大阪府においても、数値が伸びていないという認識は持っている。これに向けた打開策として、昨年度、児童養護施設等に入所している子どもたちに対する調査を行い、里親委託に結びつくには、どのようにすればよいのかといった方策の検討を行った結果、保護者の同意を得ることがハードルとして挙がった。そのため、里親制度について理解を得るためのパンフレットをつくり、それも活用しながら、里親委託への導入を進めている。
また、里親制度の普及に当たっては、里親になっていただく方を開拓することが非常に重要であるが、現時点では、里親の数は足りない状況。
そこで、里親制度に対する理解を深めていただくためのイベントを毎年開催したり、各子ども家庭センターにおいて、里親や里子のお話を聞く機会を設けるなどして、里親制度の理解の促進を図っている。
【会長】
里親委託率は分母と分子の関係で決まると思うが、分母である措置児が増えたら、分子である里子の人数は同じでも、率は下がってしまうことから、里子の実人員を増やすことが重要。平成21年度と平成22年度の実人員は、何人か。
【事務局】
平成23年3月31日現在で、分母となる措置児が1492人で、分子となる里子が58人。
【委員】
週末里親という制度が、今できているかと思うが、何人くらいいるのか。また、里親委託率を算出する際には、養育里親だけでなく週末里親も含まれているのか。
【事務局】
週末里親は、土曜日、日曜日、あるいは休日等に、施設にいる子どもたちを受け入れていただく里親のことを指しており、施設と週末里親との間で、了解がとれたところから実施している。
また、養育里親あるいは養子里親については、子ども家庭センターが委託をする仕組みである。週末里親については、里親支援機関が関与をした場合には、交通費等を支給しており、措置制度である部分と、そうでない部分とに分かれている。
したがって、週末里親については、里親委託率には反映していない。
【会長】
週末里親は、国制度の外で、大阪府が独自にやっているものだということなので、里親委託率の数字は入らないと。
【事務局】
実態を申し上げると、子どもたちのために、施設の近隣に住んでいる方や施設長の知人等を含めて、独自に週末里親を開拓してきた施設もあり、現在実施している里親支援機関が関与したものと、そうでないものと2通りある。
施設が独自に開拓した分については、正確な把握はできていない。
【会長代理】
里親委託率の目標値10%を達成するためには、大体毎年1から2%は数値を上げていかなければならない。
しかし、一方では無理をして委託して、そのあとの援助が十分でなく、里親が行き詰まってしまってもいけないので、委託率を上げるのと同時に、中身のある濃厚な指導をしていただかなければならないと思うので、その点よろしくお願いしたい。
【委員】
資料2の平成23年度版「こども・未来プラン後期計画 具体的取組編」の中に「発達障がい地域療育システム整備事業」があって、3千万円ほどの予算がつけられているが、3歳半健診ではなかなか発達障がいの有無というものが、うまく発見できず、保護者自身もそのことに気付かないケースがよくある。
その子たちが小学校の学習段階でさまざまな問題を起こすということも、現実の話としてよく聞いている。そのようなことから、3歳半健診から小学校の就学健診まで飛んでしまうあたりを、もう少し何らかの施策を大阪府として打てないものかということを、問題意識として持っている。
【会長】
これは、具体的にはおそらく市町村の事業の部分が大きいかと思うのだが、町長さんに来ていただいているので、例えば、どのような取り組みをしておられるか、具体的に教えていただきたい。
【委員】
子どもの発達の話だと思うが、われわれとしても何とか、そのようなものに取り組んでいくという方向性を持っている。
しかし、なかなかそれの十分な把握ができていないのが現実。そのような意味においても、大阪府にいろいろなご指導を仰ぎながら、われわれが町村としてやらなければならないことはやっていきたいと思っている。
なにぶん予算の制約等、いろいろな問題はあるが、子どもは宝だと言われている今日、少子化対策に向けての一つの取り組みとして、基礎自治体としても一生懸命努めていく。
【関係課】
発達障がいについては、児童福祉法が改正され、平成24年4月から障がい児の取り組みが強化される。
今までの「児童デイサービス」と言われていた障がい児が通うサービスを基本的には強化して、児童の発達を支援する形で、もっと事業所を増やしていこうという方向になっている。それから、児童発達支援センターという、もう少しそれをさらにスーパーバイズもできるような形のサービスもつくられる。発達障がいの方は非常に人数的にも多いことから、今後、市町村での対応が強化されていくことが重要になっていく。今申し上げたような新しいサービスが、各地域に増えていくことについて、市町村でも積極的に関与をいただいて、サービスを増やしていきたい。
もう一つは、同じく児童福祉法の改正で、専門家が保育所を訪問して、発達障がいに限らず障がい児全般のケアの在り方についてのノウハウを伝授するサービスが始まる。
このようなものが増えていくと、それぞれの保育所における対応が少しずつ強化されていくものと思われる。
もう一つは、保育所や児童の発達センターで、ある程度の療育を実施した上で、それをきちんと小学校ないし教育現場につなげていくことが重要になると思うので、そのあたりのつなぎというのを、引き続き考えていかなければならない。
【委員】
今、ご説明いただき、非常にうれしく思うが、子どもの数からいえば、小学校に入る前までの子どもは幼稚園児のほうが多い。
したがって、保育所だけではなく、ぜひ私立や公立も含め、幼稚園に通う子どもや、幼稚園や保育所に通わない子どもも数パーセントいるので、その子たちも含めて、全体の見守りをお願いしたい。
【会長】
障がいも含め、もっと広く、子どもへのかかわりという意味では、大阪府内のほとんどの市町村が、「こんにちは赤ちゃん事業」に取り組んでいる。これが1回きりに終わらないような仕組みを、いろいろなところが工夫しておられる。
財政の問題があるので、できるだけお金を掛けずに回数を増やすやり方で、市民の力をいろいろ工夫したり、既存の支援の力を活用しながらフォローしたり、あるいは健診に来られなかったり、訪問に応じられなかった家庭をフォローするような体制をつくっている市町村もあるようなので、少し調べていただいて、各市町村にいろいろお伝えいただくと、進みやすい部分もあるのかなと。
当然、お金をつけていただいたら一番ありがたいのだが、なくてもやれる方法もある。子どもたちのためにというところで少し、大阪府として情報を集めていただけたらと思う。
2)児童虐待防止に向けた取り組みについて
【事務局】(資料3-(1)(2)(3)について説明)
【委員】
二つ質問をしたいのだが、一つは児童虐待防止に向けた取り組み。
私が気になるのは、基本である早期発見、早期通告のシステムを、どのように地域の中で徹底するかが、少し弱いのではないかという気がする。
地域住民からの通告を、仮に児童虐待でなくても、とにかく報告をしてください、という趣旨で法改正をしたはずなのに、残念ながら、私も地域にいて、そのような情報をあまり聞いたことがなく、しっかりと地域にまだ十分届ききっていないのではないかなと思う。
そういう意味で言うと、いろいろな地域の関係機関を通じて、しつこいくらい、とにかく気になったら通報してください、ということを重点的に周知する必要があるのではないかと思うのが1点。
もう一つは、児童養護施設における、いわゆる児童虐待等の問題。
大阪府ではさまざまな施策、特に権利ノートであるとか、意見箱であるとか、さまざまな取り組みはされているが、なかなか現場では、それは届いていない。新しい取り組みとして、ピアカウンセリングや、当事者の組織化という動きが大阪であり、全国的にも当事者組織をネットワークにしようという動きもあるわけなので、ぜひとも、当事者の意見をしっかり聞くとか、あるいは当事者の組織が大阪府の施策に反映されるような方向性というのを、しっかりと取り組んでいただきたい。
【委員】
児童養護施設の職員数や勤務時間など、職員の勤務体制の問題が出ているが、これはかなり厳しい問題。
また、職員の虐待の問題に関しても、そこで働いている人たちのメンタル面のケアや待遇の改善が重要となってくるが、その点はどうなっているのか。
【事務局】
まず、児童虐待防止にかかわる早期発見、早期対応の件については、市町村を通じて広報をお願いしている。
また、年2回、夏休み期間中と11月に、テレビでCMを流している。ただ、「通告してください。」ということは申し上げても、いかにして勇気を持って電話をしてもらうかについては、今後も検討していかなければならない。
次に、被措置児童等虐待の問題については、社会福祉協議会の児童福祉施設部会等とも連携して対応しているが、まだ十分でない部分があることは認識している。この点については、まず施設職員の理解を深めていく中で、子ども一人ひとりが権利が守られる存在であることを、社会的養護体制全体の中で共有していく必要がある。
また、児童養護施設等の職員については、6月に児童福祉施設の最低基準が改定されたので、それを一つの基準にして、もう少しきめ細かい、あるいは手厚いケアが行われるものと考えるが、各施設においてさまざまな実情があろうかと思うので、一度、社会福祉協議会の中の従事者の方のご意見なども聞きながら、方策については考えていきたい。
【会長代理】
被措置児童等虐待について、平成21年度、平成22年度に届出・通告受理件数が18件ずつある中で、虐待と認められた件数がそれぞれ2件、0件ということだが、虐待とは認められなかった件数のほうが多いという実態について、結果的には虐待ではなかったけれども、そのように通告されたということは事実なので、何らかの援助をおこなっているのであれば、それをお聞かせいただきたい。
また、児童虐待防止法では経済的虐待が入っていないが、大阪府の条例では経済的虐待が入れられていることについて、その背景を教えていただきたい。
【事務局】
被措置児童等虐待について、児童間の権利侵害についても通告を求めていることから、子ども同士の問題もその中に含まれる。
そういった場合には、子どもたち同士の関係を施設が十分にとらえ切れているのか、あるいは職員の対応が適切なのかといった事実関係を調べた上で、大阪府として必要な対応をとっている。
条例に関しては、経済的虐待が今回初めて入ったわけであるが、これについては、例えば、高年齢児がアルバイトをして稼いだお金を親が狙うといったケースが増えてきていることなどが背景にある。
【会長】
只今の事務局からの説明を若干補足すると、国の法律では子ども間の出来事自体は、被措置児童等虐待の対象にはならないが、大阪府では、その出来事自体の報告を求め、そこで適切なかかわりであるかどうかの審査をしていることから、件数がかなり多くなる。
しかし、結果として、そこで虐待と認められているものは比較的少ない。
もう一つは、過去に発生した事案がたまに上がってきて、これもなかなか認定が難しいところではあるが、虐待と認定するものと、虐待ではないが不適切なかかわり・指導であったという認定をして、今後の改善点を施設や子ども家庭センターなどに返すこともある。
それでは、全国的に見たらどうかと言えば、大阪府はかなり件数が多いほうで、他府県ではもっと少ない。また、大阪府では、何か出来事があったら、施設長も含めて職員から、早ければ即日、遅くとも数日中に報告が上がってくるケースがかなり増えている。
もう一点、経済的虐待の件については、高齢者虐待防止法と障害者虐待防止法においては経済的虐待が入っているが、児童虐待防止法には入っていない状況である。法律制定時、子どもについては、経済的虐待はいらないというのが多くの方々の意見だった。
大阪府にお願いしたいのだが、子どもの身上を考えたときに、たとえ財産がなくても一緒に自分のことを考えてくれる人を置いたほうがいいと思うので、原則的には未成年後見人をつけるべきではないかという流れをぜひ、作っていただきたい。
また、親族等が未成年後見人になる場合には、第三者性を保つために後見監督人をつけるべき。
そこに関連して、少し視点は違うかもしれないが、いわゆる地域主権改革関連3法の中で、児童福祉施設最低基準等については、国がルールをつくった上で、都道府県が条例で定めることになっており、今年度中につくらなければいけないとされている。保育所や児童養護施設等に関連して、条例の取り組み状況はどうなっているか。
特に、何か大阪府独自のものとか、特別なものを考えているのか。
【事務局】
条例については、原則、平成24年4月施行になっており、児童福祉法関連では幾つかの施設種別があるので、一括してまとめる方向で、福祉部内でワーキングチームをつくって検討している。
基準については、「従うべき基準」「参酌すべき基準」「標準」の3種類があるが、保育所の居室面積基準については、府内では大阪市域だけが「標準」となっており、大阪府の条例では、「従うべき基準」と「参酌すべき基準」の2種類。
参酌すべき基準については、今後、政省令で基準が示されるので、それを踏まえて検討していく。
【委員】
子どもの貧困が注目されているが、虐待に至るには、経済的なことも背景にあると思う。
大阪府で「子どもの貧困を考える関係課長会議」を立ち上げていると聞くが、進捗状況はどうなっているのか。
【事務局】
平成21年8月に、府庁内の4部局11課からなる当会議を設け、まずは各関係課が所管する子どもの貧困に関連する事業について整理した。今年度は、子どもの貧困対策に積極的に取り組んでいる小学校でヒアリングを実施し、具体的な施策について個々のモデルごとに対応例を示すという形でとりまとめるべく整理をしているところ。とりまとめ次第、学校や関係機関に示したいと考えている。
【委員】
虐待の通告については、昨年度、知事自ら街頭で虐待防止のパンフレットを配ったこともあり、相当件数が増えたように思っている。
今後とも細やかな対応をお願いしたい。
被措置児童の虐待届出等について、児童養護施設の子どもたちは入所して最初の1、2週間ぐらいは、不安な気持ちから、いろいろなことで周りを試そうとすることがある。そのようなときに、職員が力任せに子どもを押さえ込んだりするということもあるかと思うので、その辺も先ほどの件数につながっているのかなとも思う。
条例制定については、必ず我々の組織あるいは団体との協議を済ませて、現場を確認していただいた上で、制定をお願いしたいということを府に申し入れている。
【会長】
先ほどの子どもの貧困にも関連するが、お金の支援だけではなく、子どもたちに直接的な学習支援を行うことによって学力を向上させて進学し、また就職をし、社会的な生活力をつけていくことも必要であると思うので、多角的な支援を考えていただきたい。
【事務局】
先ほどの経済的虐待の部分で、法律で定義されている虐待は、身体的虐待、ネグレクト、性的虐待、精神的虐待の四つ。
大阪府の条例では、この定義を拡大したのではなく、経済的虐待という態様を明確化したもの。現場の職員に対して、「経済的虐待というのがあるのだぞ、肝に銘じておけ」という意味も含まれている。
【会長】
地方でそのような動きが起これば、場合によっては国の法改正にもつながる可能性もあるので、優れた取り組みだと思う。
3 その他(子ども・子育て新システムに関する中間とりまとめについて)
【事務局】(資料4について説明)
【会長】
「新システムの中間とりまとめ」が7月に行われ、国の会議で公認されたところだが、新システムは、市町村あるいは都道府県の行政に非常に大きな影響のある施策にもなるので、この計画(こども・未来プラン後期計画)にもどこかの段階で反映させなければならない課題だと認識している。