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更新日:2026年6月8日

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日本労働組合総連合会大阪府連合会(連合大阪) 要望書(3)

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要望書

6.社会インフラ(住宅・交通・情報・防災)施策

(1)交通バリアフリーの整備促進について

 鉄道駅バリアフリー料金制度の導入により、府内の鉄道事業者によるバリアフリー化が進展しているが、エレベーターやホーム柵などの設備は設置後の維持管理・更新に多大なコストを要するため、整備の持続性が課題となっている。これを踏まえ、設備の維持管理・更新費用に対する財政支援を行うこと。特に、設置後の補修や更新に対する補助制度の創設・拡充を早急に検討すること。
 また、高齢者や障がい者への介助は交通事業者に委ねられているが、人的負担の増加により対応が困難となっている現場もある。介助者の育成・教育に対する支援制度を創設し、質の高いサービス提供を持続可能とすること。さらに、ハード面の整備に加え、市町村や民間、地域住民の協力を得ながら「心のバリアフリー」の取り組みを推進し、誰もが安心して移動できる社会の実現に向けた意識啓発を強化すること。
【背景】
 2025年大阪・関西万博の開催により、国内外から多くの来訪者が大阪府内の公共交通機関を利用しており、鉄道駅や空港などのバリアフリー化の重要性が一層高まっている。国土交通省が創設した「鉄道駅バリアフリー料金制度」により、府内の主要鉄道事業者ではホーム柵やエレベーターの整備が進められているが、これらの設備は設置後の維持管理や更新に多額の費用を要するため、長期的な運用支援が課題となっている。
 また、2024年4月に施行された改正障害者差別解消法により、公共交通機関における「合理的配慮」の提供が義務化されたが、現場では人的リソースの不足や対応スキルのばらつきが課題となっており、介助者の育成や教育体制の整備が急務である。さらに、ハード面の整備だけでなく、府民一人ひとりが障がい者や高齢者に対する理解と配慮を持つ「心のバリアフリー」の実現が求められており、地域・民間・行政が連携した意識啓発の取り組みが不可欠である。

(2)安全対策の向上に向けて

 鉄道駅における転落事故等を防止するため、ホームドア・可動式ホーム柵の設置が進められているが、利用者10万人未満の駅では費用対効果の観点から整備が進みにくい状況にある。これを踏まえ、こうした中小規模駅における設置費用に対する助成制度を拡充すること。
 また、設置後の維持管理・補修にかかる費用についても、現行制度では十分な支援がなく、長期的な安全確保の観点から、補修・更新に対する助成制度を新設・強化すること。
 さらに、可動式ホーム柵に対する固定資産税の軽減措置については、現行では時限的措置にとどまっているため、これを恒久的な減免措置とするよう制度改正を国に働きかけるとともに、府独自の財政支援策も検討すること。
【背景】
 大阪府では、鉄道駅における安全対策の一環として、可動式ホーム柵の設置が進められており、Osaka Metroでは2025年度末までに全駅への設置完了を目指している。また、大阪府は「鉄道駅可動式ホーム柵整備事業費補助金交付要綱」に基づき、主要駅での整備に対して補助金を交付している。 
 しかし、補助対象は原則として国や市町村の補助を受ける事業に限られ、補助率も6分の1程度と限定的であるため、特に利用者数が少ない駅では整備が進みにくいという課題がある。また、設置後の補修・更新に対する支援制度は明確に整備されておらず、設備の老朽化に伴う安全性の低下が懸念される。さらに、可動式ホーム柵は高額な設備であるにもかかわらず、固定資産税の軽減措置は時限的であり、鉄道事業者の財政的負担が継続している。これにより、特に中小私鉄や地方路線では導入が進みにくい状況が続いている。
 こうした課題に対応するためには、設置・維持・更新の各段階における財政支援の強化と、税制面での恒久的な優遇措置の導入が不可欠である。

(3)運輸事業の交通安全対策・環境対策等について

 交通安全対策や環境対策等に関する「運輸事業振興助成補助金」については、引き続きその継続を図るとともに、対象事業者の選定において中小事業者への支援を優先的に充実させること。また、補助金の適正な交付と透明性の確保を徹底すること。さらに、運送事業者の長時間労働の解消や交通渋滞の緩和を図るため、集配や荷捌きのための貨物車専用駐車スペースの整備を推進すること。あわせて、道路上での大型貨物車両や自動車運搬車両等の積み下ろし作業に対応できる多目的利用空間の創出について、市町村や関連事業者と連携し、具体的な整備計画を策定・実施すること。
【背景】
 大阪府では、「運輸事業の振興の助成に関する法律」に基づき、交通安全対策や環境対策を目的とした「運輸事業振興助成補助金」を継続的に実施しており、令和7年度も約6.4億円の予算が計上されている。補助対象には、先進安全自動車の導入、低公害車やエコタイヤの導入、ドライバー教育訓練、バス停留所の改善などが含まれている。
 しかし、補助金の交付先は主に業界団体(大阪府トラック協会・大阪バス協会)を通じて行われており、中小事業者が直接的に支援を受けにくい構造となっている点が課題である。また、補助金の活用状況や成果の「見える化」が不十分であり、制度の透明性と公平性の確保が重要である。さらに、いわゆる「2024年問題」により、トラック運転手の労働時間規制が強化され、休憩や荷待ちのための駐車スペースの確保が急務となっている。現在、サービスエリア・パーキングエリアや道の駅の利用が増加しているが、都市部では貨物車専用の駐車スペースが不足しており、違法駐車や路上荷捌きによる渋滞・事故リスクの増大が懸念されている。
 このため、物流インフラの整備とともに、都市空間の有効活用による多目的スペースの創出が、交通安全と労働環境の両面から重要な政策課題となっている。

(4)自転車等の交通マナーの向上について

 自転車事故の防止と安全な交通環境の確保のため、自転車専用レーンの整備を計画的かつ重点的に進めること。特に通学路や観光地周辺など、利用頻度の高いエリアを優先的に整備対象とし、併せて歩道ラインの修繕も進めることで、歩行者と自転車の通行区分を明確化し、接触事故の防止を図る。
 また、自転車や新モビリティ(電動キックボード等)の利用者に対しては、法令遵守とマナー向上を徹底するため、交通違反に対する取り締まりの強化を図るとともに、購入時講習や利用前の安全教育の実施を義務化すること。特に、2026年4月1日から施行される自転車の青切符制度により、交通違反に対して反則金が科されることになることから、制度の周知徹底を図るとともに、自治体・教育機関・事業者と連携した啓発活動の強化すること。 
 さらに、インバウンドを含む外国人観光客による交通ルール違反の防止に向け、レンタル事業者に対して多言語による交通ルールの説明を義務づけるとともに、利用前の簡易講習や確認テストの導入を検討すること。
【背景】
 2025年大阪・関西万博の開催により、国内外から多くの観光客が大阪を訪れており、自転車や電動キックボードなどの新モビリティの利用が急増している。こうした中、交通ルールやマナーを十分に理解していない利用者による事故やトラブルが懸念されており、特に外国人観光客に対する多言語でのルール周知やレンタル事業者による指導体制の強化が急務となっている。
 また、大阪府では自転車事故による死傷者数が依然として高く、令和5年時点でのヘルメット着用率は全国ワーストという深刻な状況にある。市町村ではヘルメット購入補助や高齢者への配布などの対策が進められているが、府としての広域的な支援と啓発が重要である。
 さらに、2023年の道路交通法改正により、電動キックボードの規制が緩和されたことで、免許不要での利用が可能となったが、ルールの理解不足による違反行為が多発しており、歩道走行や逆走などの危険行為が社会問題化している。
 2026年4月から、自転車にも青切符制度(交通反則通告制度)が導入され、軽微な違反に対して反則金の支払いが義務化されます。対象は16歳以上で、信号無視やスマホ運転など約113種類の違反が対象となり、反則金は3,000円から12,000円程度です。
 制度の施行を待たずとも、交通ルールの周知や安全教育の強化、重点的な取り締まりの実施が重要です。府として、学校・地域・企業と連携した啓発活動を積極的に進めることが求められます。

(5)子どもの安心・安全の確保について

 全国で発生している道路の陥没事故や通学・通園中の交通事故を踏まえ、府内の道路インフラの安全性を確保するため、緊急点検を要請し、特に保育施設周辺の道路については「キッズ・ゾーン」の設置に向けて市町村を積極的に支援すること。
 また、危険箇所の総点検を実施し、ガードレール未設置箇所については、危険度の高い場所から優先的に早期設置を行うこと。
 あわせて、大阪市の「通学路安全プログラム」を参考に、電灯のLED化、歩行帯や横断歩道、幹線道路の白線・標示の劣化箇所に対するメンテナンスを計画的に実施すること。
 引き続き、対策が必要な箇所の把握と改善が進むよう、各市町村に対して技術的・財政的な支援と指導を行うこと。
【背景】
 大阪府内では、保育施設周辺や通学路における交通事故のリスクが依然として高く、特に未就学児や低学年児童の安全確保が喫緊の課題となっている。2025年現在、「キッズ・ゾーン」の設置は東大阪市・堺市・枚方市・箕面市・茨木市・交野市などで進められており、泉佐野市でもモデル園が指定されているが、府内全域への展開には至っていない。
 また、近年全国で相次いで発生している道路の陥没事故を受け、インフラの老朽化に対する緊急点検と予防的な補修が重要である。特に保育施設周辺や通学路においては、ガードレールの未設置や白線の消耗、夜間照明の不備など、子どもたちの安全を脅かす要因が多数存在する。
 大阪府警が定める「通学路等における幼児、児童、生徒等の安全確保に関する指針」でも、歩道と車道の分離、照度の確保、防犯設備の設置、地域との連携による見守り体制の構築などが推奨されており、これらを踏まえた総合的な安全対策が必要である。

(6)防災・減災対策の充実・徹底について

 地域防災計画や避難所運営マニュアルの作成、必要な機材の確保、備蓄品の見直しにおいて、女性の視点を積極的に取り入れること。特に、生理用品の充実や女性用トイレの確保(男女比3対1)など、避難所における衛生・プライバシー環境の整備を進めること。
 また、地域の防災リーダーの育成においても、女性の視点を反映させ、女性防災士の育成・資格取得を促進すること。資格取得に対する助成制度を導入・拡充し、市町村による支援を後押しすること。
 さらに、災害用トイレや簡易ベッドなどの備蓄、避難所の空調設備や衛生設備の整備を進めるとともに、災害時の医療・福祉体制の強化を図ること。「避難行動要支援者名簿」の定期的な更新と、福祉避難所の指定促進に向けて市町村の取り組みを支援すること。
 加えて、府内の小中学校および廃校となった学校施設の活用については、避難所としての機能確保の観点から十分な調査と把握を行い、基準を満たすよう建物の耐震性・衛生環境を含めた適切な維持管理を行うこと。
 そして、IT化が進む中で、災害時におけるスマートフォンや情報機器の充電環境の整備、および通信障害が発生した際の代替手段(衛星通信、無線機、掲示板など)の確保も重要である。情報の遮断は避難者の不安を増幅させるため、情報伝達手段の多重化と、通信インフラの非常時対応力の強化すること。
【背景】
 大阪府では、南海トラフ地震などの大規模災害への備えが喫緊の課題となっており、避難所の整備と運営体制の強化が重要である。2025年3月に大阪府が策定した「避難所における環境衛生対策ガイド」では、トイレや空調、衛生環境の確保が感染症対策や健康維持に不可欠であるとされている。
 特に女性にとっては、避難所生活における生理用品の不足や授乳・着替えスペースの欠如、性被害のリスクなど、特有の困難が多く報告されており、女性の視点を反映した備蓄・運営体制の整備が急務である。
 また、能登半島地震では、介助が必要な高齢者や障がい者の受け入れ先となる福祉避難所が不足し、受け入れ困難な状況が続いたことから、平時からの指定・整備が重要であると再認識された。さらに、防災士の取得促進においても、女性の参画が進むことで、避難所運営や地域防災における多様なニーズへの対応力が高まるとされており、女性防災士の育成と支援制度の拡充が重要である。

 (7)地震発生時における初期初動体制について

 各自治体において、有期・短時間・契約・派遣等で働く職員が多くを占めている現状を踏まえ、地震発生時に十分な初動対応がとれるよう、常時対応可能な人員体制を確保すること。
 また、大規模災害時には交通機関の麻痺が想定されるため、勤務地にこだわらず柔軟に対応できるよう、日常的に市町村間の連携体制を構築し、相互応援体制の強化を各自治体に働きかけること。
 さらに、災害発生後の緊急車両の通行を確保するため、緊急輸送道路の耐震化を進めるとともに、広域的な緊急輸送ネットワークの整備に必要な予算を確保すること。
 加えて、企業との合同防災訓練の実施や、一時滞在施設としての備蓄要請など、企業の大規模災害時対応力を強化すること。特に、女性従業員や帰宅困難者への配慮を含めた対応マニュアルの整備を促進すること。
【背景】
 南海トラフ地震の発生が懸念される中、地震発生直後の「72時間」が人命救助の分岐点とされており、初期初動体制の確立は極めて重要である。大阪府では「地震防災アクションプログラム」に基づき、緊急輸送道路の耐震化や広域交通ネットワークの整備が進められているが、人的体制の確保や自治体間の連携体制には課題が残っている。
 また、災害時には女性が特有の困難に直面することが多く、避難所や一時滞在施設においては、プライバシーの確保、性被害の防止、生理用品や授乳スペースの確保など、女性の視点を反映した対応が不可欠である。しかし、現状では防災会議や初動対応チームにおける女性の参画が限定的であり、意思決定過程に女性の声が反映されにくいという課題がある。
さらに、企業においても、災害時に従業員や来訪者を一時的に受け入れる体制の整備が求められており、常設の災害ボランティアセンターや地域との連携による備蓄・訓練の強化が必要である。

(8)集中豪雨等風水害の被害防止対策について

a災害危険箇所の見直しについて
 近年頻発する線状降水帯などによる集中豪雨に対応するため、斜面崩壊や堤防決壊等の災害未然防止対策を強化すること。特に、大阪府が土砂災害防止法に基づき指定する土砂災害警戒区域・特別警戒区域については、危険度の高い地域を優先的に点検し、必要な対策を講じること。
 また、災害が発生しやすい箇所を特定し、森林整備や排水機能の維持管理を重点的に行うこと。加えて、避難行動要支援者や女性・子ども・高齢者など、災害時に特に配慮が必要な人々の安全確保の観点から、避難経路や避難所の整備においても、地域の実情に応じた柔軟な対応を行うこと。
【背景】
 近年の気候変動の影響により、線状降水帯やゲリラ豪雨などの局地的な豪雨が頻発しており、想定を超える土砂災害や浸水被害が各地で発生している。特に、都市部における急傾斜地や老朽化したインフラ周辺では、斜面崩壊や堤防決壊のリスクが高まっており、災害危険箇所の見直しと早期対策が急務である。
 大阪府は土砂災害防止法に基づき、土砂災害警戒区域・特別警戒区域の指定を進めているが、指定後の点検・対策が十分に行き届いていない地域もあり、特に高齢化が進む中山間地域では、住民の避難行動に支障が出る恐れがある。
 また、災害時には女性が避難所でのプライバシーの欠如や衛生環境の不備、性被害のリスクなど、特有の困難に直面することが多く、避難所の設計や運営においても女性の視点を反映した整備が重要である。トイレや更衣スペースの確保、授乳・育児スペースの設置、女性職員の配置など、平時からの備えが不可欠である。
 さらに、災害弱者の避難支援体制の整備や、地域住民による見守り体制の構築も重要であり、地域防災計画の見直しとともに、住民参加型の防災訓練や情報共有の仕組みづくりが重要である。

b防災意識向上について
 外国人居住者に対しては、「おおさか防災アプリ」の多言語機能を活用し、継続的な周知と利用促進を図ること。特に、災害発生時における避難情報や避難所の案内が確実に伝わるよう、ピクトグラムや視覚的な情報提供を強化すること。
 また、府民に対しては、各市町村が作成するハザードマップが誰にとっても分かりやすい内容となっているかを点検し、必要に応じて改善を図るとともに、日頃からの防災意識を高めるための継続的な広報・啓発活動を行うこと。
 さらに、大規模災害発生時に府民が適切な避難行動をとれるよう、事業活動の休止基準や外出抑制の判断基準について、企業・団体と連携しながら周知・理解促進を図ること。
 加えて、女性や子育て世帯、高齢者、障がい者など、災害時に特に配慮が必要な人々に対しては、避難行動や避難所生活における困難さを軽減するための情報提供や訓練を平時から実施すること。
【背景】
 近年の気候変動の影響により、線状降水帯や局地的豪雨による風水害が頻発しており、地域の地形や河川状況に応じた避難行動が重要である。特に山間部や湾岸部、都市部の低地などでは、短時間での浸水や土砂災害のリスクが高く、住民一人ひとりが自らの居住地のリスクを把握し、適切な避難行動をとるための防災意識の向上が不可欠である。
 また、外国人居住者の増加に伴い、言語や文化の違いによる情報格差が災害時の避難行動に影響を及ぼす可能性がある。多言語対応や視覚的な情報提供(ピクトグラム等)の強化は、災害時の混乱を防ぐためにも重要である。
 さらに、女性にとっては、避難所でのプライバシーの確保や育児・介護への対応、性被害のリスクなど、災害時に特有の困難が存在する。こうした課題に対応するためには、避難行動の段階から女性の視点を取り入れた情報提供や訓練が必要であり、地域防災計画や企業のBCP(事業継続計画)にもその視点を反映させることが重要である。

(9)激甚災害時における公共インフラ設備の早期復旧に向けた取り組み

 自然災害による鉄道や生活関連インフラ設備の被災時に、大規模な通信障害が発生した際の対策を事前に検討し、復旧を事業者任せにすることなく、治山・治水事業とあわせた一体的・包括的な対応を、国および地方自治体が責任を持って進めること。
 また、災害時における通信・交通インフラの寸断は、女性や子育て世帯、高齢者、障がい者など、災害時要配慮者にとって特に深刻な影響を及ぼすことから、避難所や一時滞在施設における情報アクセス手段の確保や、移動手段の確保についても、女性の視点を取り入れた復旧計画を策定すること。
【背景】
2024年の能登半島地震では、道路・鉄道・通信などの基幹インフラが広範囲にわたって被災し、復旧に長期間を要した。特に通信インフラについては、基地局の倒壊や電源喪失により、被災地での情報伝達が困難となり、避難誘導や安否確認、医療支援の遅れにつながった事例が報告されている。
 大阪府においても、南海トラフ地震などの大規模災害が想定されており、鉄道・道路・通信などのインフラが同時多発的に被災する可能性が高い。大阪府地域防災計画では、広域緊急交通路や防災行政無線の整備が進められているが、復旧体制の実効性や自治体間・事業者間の連携体制には課題が残る。 
 また、災害時には女性が避難所や一時滞在施設での情報不足や移動困難、プライバシーの欠如など、特有の困難に直面することが多く、インフラ復旧の遅れが生活や健康に直結する。特に、乳幼児を抱える母親や妊産婦にとっては、通信手段の確保や交通アクセスの遮断が、医療・衛生・育児支援の遅れに直結するため、女性の視点を反映した復旧計画の策定が不可欠である。
 このような背景から、災害時のインフラ復旧は単なる技術的課題にとどまらず、社会的弱者への影響を最小限に抑えるための「人間中心の復旧戦略」として、国・自治体・民間事業者が一体となって取り組む必要がある。

(10)交通弱者の支援強化に向けて

 地域の実態を調査し、その結果を踏まえて、バス路線の整備を含めた公共交通による移動手段の確立、移動販売や商業施設の開設・運営への支援など、地域の実情に応じた対策を推進すること。
 また、市町村が設置する「地域公共交通会議」や「法定協議会」に対しては、大阪府としても積極的に連携・参画し、交通弱者の意見や、交通・運輸産業の労働者代表の意見を反映させること。
 さらに、日本版ライドシェアの導入にあたっては、既存のタクシー事業と同様に、公共交通として保障されるべき「利用者の安心・安全」「ドライバーの安全確保」「車両管理責任」を十分に確保すること。特に、女性や高齢者が安心して利用できるよう、性別配慮や夜間利用時の安全対策、運転者の適正管理を徹底すること。
 ライドシェアはあくまで地域公共交通の補完的手段であり、タクシー営業区域の見直しや、自動運転技術の活用なども含め、「大阪スマートシティパートナーズフォーラム」等と連携しながら、地域の実情に応じた多様な移動手段の確保を検討すること。
【背景】
 少子高齢化や過疎化の進行により、通勤・通学・通院・買い物など、日常生活に必要な移動手段が確保できない「交通空白地」が拡大している。特に、女性や高齢者、子育て世帯など、移動に制約のある層にとっては、公共交通の減少や廃止が生活の質に直結する深刻な問題となっている。
 2025年から本格導入が進む日本版ライドシェアについては、利便性の向上が期待される一方で、利用者アンケートでは「使い方が分からない」「女性一人では不安」といった声も多く、特に女性にとっては、夜間や単独利用時の安全性、運転者との接触への不安が課題となっている。
 また、ライドシェアの導入にあたっては、既存のタクシー事業と同様に、公共交通としての安全性・信頼性を確保することが前提であり、ドライバーの労働環境や利用者保護の観点からも、慎重かつ段階的な制度設計が必要である。
 そのため、大阪府としては、地域公共交通の維持・再編とあわせて、ライドシェアや自動運転などの新技術を活用しつつも、公共性・安全性・労働環境の確保を前提とした総合的なモビリティ戦略を構築することが重要である。

(11)安全安心な上下水道の供給実現に向けて

 今後も発生が続くと想定される、耐用年数を迎えた上下水道インフラによる事故や、PFAS(有機フッ素化合物)など健康被害が懸念される化学物質への対策を進めるため、技術職を中心とした人材の確保・育成、技術継承に向けた対策を速やかに行うこと。
 また、PFASをはじめとする水質リスクに対しては、全国的な水道水の調査を踏まえ、大阪府内においても客観的かつ科学的なデータに基づいたモニタリング体制を強化し、住民の不安を払拭するための情報公開と予防的措置を講じること。
【背景】
 上下水道インフラの多くが高度経済成長期に整備されており、老朽化が進行している。2024年の能登半島地震では、耐震化が進んでいなかった地域で上下水道の長期断絶が発生し、約14万世帯が影響を受けた。
 また、2021年の和歌山市では水管橋の崩落により約6万世帯が断水するなど、インフラの老朽化が市民生活に直結するリスクが顕在化している。
 大阪府内でも、技術職員の高齢化や人材不足が深刻化しており、上下水道の維持管理に必要な技術の継承が課題となっている。特に、災害時の迅速な復旧や、PFASなどの新たな水質リスクへの対応には、専門的知見を持つ人材の確保が不可欠である。
PFAS(PFOS・PFOA)については、大阪府内でも複数の地点で国の暫定目標値(1リットルあたり50ナノグラム)を超過する事例が報告されており、例えば大阪市では1リットルあたり232ナノグラム、茨木市では1リットルあたり94ナノグラムが検出されたケースがある。これらの地点では水源の切り替えや使用中止などの対応が取られているが、住民の不安は根強く、行政による継続的な調査と情報公開が求められている。
 また、災害時や断水時には、女性や子育て世帯にとって特有の困難が生じやすく、トイレや衛生環境の確保、乳幼児の水利用などにおいて、性別やライフステージに応じた配慮が必要である。こうした視点を上下水道の整備・運営計画に反映させることも、今後の重要な課題である。

(12)空き家対策の推進

 市区町村は、空家等対策特別措置法に基づく法定協議会を設置し、実行性を高めること。法定協議会の設置にあたっては、地域住民、不動産事業者、学識経験者、空き家活用の専門家など、多様な関係者が参画する体制を確立し、現場の課題を反映した政策形成を進めること。
 空家等対策計画を策定し、法定協議会を設置している市区町村においては、各地域の状況を勘案しながら適切な計画の策定および計画の実効性を確保するため、適宜、進捗管理と改善点の検討を行い、必要に応じて計画の見直しや法定協議会の機能強化を図ること。
 また、移住者や低所得者、高齢者、障がい者、子育て世帯、外国人、被災者などの住居用として空き家を有効活用していくために、空き家バンクの機能を強化し、マッチング支援や改修費補助などの制度を拡充すること。さらに、自治体間の連携を進め、広域的な空き家活用を促進すること。 
【背景】
 大阪府では、空き家率が上昇傾向にあり、特に郊外部や市街地周辺での老朽化住宅の放置が深刻化している。2025年4月に改定された「住まうビジョン・大阪」では、空き家の除却だけでなく、利活用を通じた地域活性化が重点施策として位置づけられている。一方で、市町村によって空き家対策の進捗や体制にばらつきがあり、空き家バンクの運用においても、情報の更新頻度やマッチング支援の体制に課題があり、利用者にとって使いやすい仕組みの整備が求められている。
 さらに、空き家の利活用においては、女性や子育て世帯にとって、住宅の安全性や周辺環境、アクセス性などが重要な要素となる。特に、ひとり親家庭やDV被害者など、住まいの確保に困難を抱える女性にとって、空き家の活用は生活再建の重要な手段となり得るため、ジェンダー視点を取り入れた空き家政策の推進が必要である。
 また、空き家の活用には改修費用の負担が大きな障壁となっており、補助制度の拡充や手続きの簡素化、専門家による相談体制の強化が求められている。大阪府としては、こうした課題に対応するため、市町村への技術的・財政的支援を強化し、広域的な連携による空き家対策の推進が急務である。

(13) 公衆喫煙所の整備の強化

 大阪府は、健康増進法および大阪府受動喫煙防止条例に基づき、原則屋内禁煙を推進しているが、その結果として施設周辺における路上喫煙の増加が懸念されている。これに対応するため、府内における公衆喫煙所(屋外分煙所)の整備が求められている。
 府内各地で公衆喫煙所の設置を進める市町村や事業者に対しては、大阪府が主導的な立場で支援を行い、地域の実情に応じた設置計画の策定を促進するとともに、進捗状況の把握、課題の抽出、改善策の検討を継続的に行う体制をさらに構築すること。必要に応じて、計画の見直しや支援制度の拡充を図り、府全体としての整備の質と量の向上を目指すこと。
 また、設置費用の補助制度に加え、維持管理に係る財政的支援制度を創設し、持続可能な運営体制を確立すること。加えて、大阪府が主体となって公共性の高い場所(駅周辺、公園、繁華街など)における公衆喫煙所の整備を積極的に進め、府民の健康と生活環境の向上を図ること。
【背景】
 大阪府では、2025年4月に受動喫煙防止条例が全面施行され、屋内禁煙の徹底が進む一方で、施設周辺における路上喫煙や吸い殻の投棄が深刻化している。これにより、非喫煙者や子ども、高齢者などの健康被害が懸念されるほか、景観や衛生環境の悪化も問題となっている。
 一方で、喫煙者にとっても、条例の施行により喫煙可能な場所が著しく制限され、適切な喫煙環境の確保が困難となっている。喫煙者の権利を尊重しつつ、非喫煙者の健康を守るためには、双方の立場に配慮した分煙環境の整備が不可欠である。
 現在の公衆喫煙所整備は、民間事業者の任意によるものであり、設置数や場所に偏りがある。また、維持管理費用の負担が重く、継続的な運営が困難となるケースも見受けられる。こうした課題に対応するためには、大阪府が責任を持って整備・運営を行う体制の構築が不可欠である。
 大阪府としては、こうした課題に対応するため、技術的・財政的支援を強化し、広域的な連携による公衆喫煙所整備の推進が急務である。

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