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更新日:2026年6月8日

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日本労働組合総連合会大阪府連合会(連合大阪) 要望書(1)

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要望書受理日

令和7年8月25日

団体名 日本労働組合総連合会大阪府連合会(連合大阪)
取りまとめ担当課 商工労働部雇用推進室労働環境課
表題 2026(令和8)年度政策・制度予算に対する要請について

 

要望書

2025年8月25日

大阪府知事
吉村 洋文 様

日本労働組合総連合会大阪府連合会
会長

2026(令和8)年度 政策・制度予算に対する要請について

 貴職の日頃よりの府民生活向上に向けた行政運営・諸施策の推進に敬意を表します。
 私たち連合大阪は、大阪府域で働く者を代表する組織として、暮らしの底上げや格差是正など、働く者が公正に報われる社会の実現に向け、様々な活動に取り組んでいます。
 こうした活動の一環として、誰一人取り残されることのない社会の実現に向け安心して働き、元気な大阪を創り上げていくという観点から、生活者・勤労者の視点で議論を重ね、このたび「2026(令和8)年度 政策・制度予算要請」をまとめました。
 時代はポストコロナへとステージを移し、大阪の経済はインバウンドの順調な増加をはじめ緩やかに回復しています。2025春季生活闘争では大阪においても賃上げ率が5%を超え、2年連続で過去最高の水準となりましたが、長引く物価上昇の影響は大きく実質賃金は3年以上にわたってマイナスとなっています。加えて、人手不足や物価高を背景とした企業倒産も増加するなど本格的な回復には至っていません。特に、有期、短時間、契約、派遣やひとり親、外国人など、不安定な立場で働く者は今なお厳しい状況が続いており、経済の活性化を進めつつ、セーフティネットを整備し生活困窮者の支援をしていく必要があります。
 また、「2025大阪・関西万博」については、国内外から多数の注目と関心を集めているところ、万博によって得た新たな知見や人々とのつながり、レガシーを今後の社会発展にどのように活用していくかが重要です。万博が示す新たな技術やビジョンは、「大阪の持続的な成長」「府民の豊かな暮らし」に大きな影響をもたらすことから、多種多様な社会課題解決のため、早期の社会実装が期待されます。
 このたびの要請内容は、「雇用・労働・ジェンダー平等施策」「経済・産業・中小企業施策」「福祉・医療・子育て支援施策」「教育・人権・行財政改革施策」「環境・食料・消費者施策」「社会インフラ施策」の6点を柱とした65項目の要請としています。物価高が収まらない中、雇用・経済の回復、安心・安全な生活に向けた医療・介護の基盤整備や災害対策など、持続可能で包括的な社会の実現に向け、限りある財政状況の中ではありますが、2026年度の施策に是非とも反映していただきたく要請いたします。

1.雇用・労働・ジェンダー平等施策

(1)雇用対策の充実・強化について

a公・労・使による総合的な雇用・労働対策の協議について
 2024年・2025年と2年連続で「大阪政労使の意見交換会」が開催されており、本年度についても積極的に参画すること。意見交換会では賃上げの他に、雇用・労働政策に関する具体的な課題や対応策についても協議を深めること。
 また、滋賀県や和歌山県、兵庫県などで行われた三者による共同メッセージや共同宣言等、社会的波及効果の高い実効性のある取り組みを大阪府としても積極的に実施すること。
【背景】
 様々な業種において人手不足が深刻化しており、特に中小企業では人材確保と定着が大きな課題となっている。リスキリングやリカレント教育、DX推進などの省力化を通じて雇用の安定と処遇改善を図るためには、オール大阪で総合的に労働政策を検討し、社会的に発信していく必要がある。
 2024年2月には、厚生労働省の通達を受けて「賃上げに向けた取り組み」をテーマに「政労使の意見交換会」が開催され、大阪府としても賃上げの流れを地方・中小企業に波及させるための重要な場となった。関西では、滋賀県や兵庫県において政労使による共同メッセージが発表されており、こうした取り組みは社会的な影響力が大きく、府内企業や労働者への意識啓発にもつながっている。

b人材の確保とマッチング機能の強化について
 府内の人材確保を必要とする製造・運輸・建設業界での人材不足の解消を目的として設立された大阪府の「大阪人材確保推進会議」での取り組みを強化し、人材の確保につなげること。
 また、医療・福祉関係など様々な業界で人手不足が深刻化しているため、各業界での人材確保につながるよう、企業と求職者のマッチング機能強化の拡充はもとより、新物流効率化法の周知と実効性を高める指導を行うこと。
【背景】
 製造・運輸・建設業界やインバウンド業界については、建設については少し落ち着きを見せているものの依然として、製造・運輸が高止まりしていることから、継続して有効求人倍率は高位で推移している。
 全日本トラック協会が3月に公表し物流の2024年問題対応状況調査結果によると「希望額どおりに運賃・料金を引き上げできた荷主がある」との回答は20%に留まっている。
 業界全体の労働条件向上への支援を求める。
 また、令和7年4月1日より新物流効率化法が施行され、規制措置や努力義務が課せられた。製造・運輸・建設業界やインバウンド業界については、継続して有効求人倍率は高位で推移している。

(2)就労支援施策の強化について

a地域就労支援事業の強化について
 「地域労働ネットワーク」の活動を活性化し、就職困難層の就労支援事業展開が確実に行われるよう、各市町村との連携をさらに強化すること。
 就職氷河期世代や、子育て・介護・治療と仕事の両立ができるよう職業能力開発や就労支援の施策を講じること。国の交付金活用における「就職氷河期世代を含む中高年世代」向け支援の実効性を高めることと良質な雇用・就労機会の実現に向けて対象者の個別の事情を踏まえつつ、将来を見据えた長期的な能力開発、適切な就職・定着の支援等を行うこと。
 また、女性のひとり親家庭への支援事業の就業施策を強化し、支援の必要な人へニーズに沿った情報が確実に届くよう取り組みをさらに強化すること。
【背景】
 地域労働ネットワークが形式的な開催にならないよう、積極的な活動を求める。
 市町村のニーズ、就労希望者、求人企業のニーズを把握し、地域に根ざした就労支援が行われるよう、市町村と連携した継続的な取り組みが必要。また、子育てや介護を抱える人、ひとり親へ向けた両立しやすい職業能力開発などの就労支援策を求める。
 令和7年4月25日(金曜日)第1回就職氷河期世代等支援に関する関係閣僚会議が開催され、「就職氷河期世代を含む中高年世代」への支援について議論された。

b障がい者雇用の支援強化について
 府内に本社のある企業の法定雇用率達成企業の割合について全国平均を上回るよう障がい者雇用を推進すること。障がい者雇用ゼロの中小企業に対してマッチングの支援など、採用段階から定着するまで一貫した総合的な支援策をさらに強化すること。
 また、障がい者雇用ゼロ企業などに対して、国による障がい者雇用を後押しするための各種助成金や支援制度等について周知を行うこと。
 障がい者の意思を尊重した相談体制の充実、職場での障がい者就労への理解のための取り組みを推進すること。
【背景】
 雇用率は全国とほぼ同水準(全国2.41%・大阪2.44)だが、法定雇用率達成企業の割合は全国よりも4.4ポイント低く(全国46.0%・大阪41.7%)特に中小企業の達成割合が低い。さらに法定雇用率の段階的引き上げ等を考慮し、中小企業への取り組み支援が急務であり、ヒアリングによる企業ニーズ・個別課題に応じた支援が必要となってくる。また、地域に根ざした就労支援が肝要であり、市町村と連携したマッチング支援が求められている。

c外国人労働者が安心して働くための環境整備 
 府内で働き、暮らす外国人への生活支援について、居住外国人や支援団体等から意見を聴く場面を設置し、SNS等を活用した外国人労働者の雇用・生活状況に関する調査を実施するなど、実効性ある共生支援策とするためのPDCAサイクルを構築すること。関係機関や市町村との連携を強化し、状況把握・情報共有を図ること。
 また、生活・就労に必要な日本語について、外国人労働者に学習の場を提供するとともに、日本語を教えるボランティア等の養成講座を実施し、AIを活用し人材の育成・確保を行うこと。
 特に、技能実習生や特定技能、「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格で来日する外国人については、建前上「基礎的な日本語能力がある」とされているが、実際には日本語がほとんど話せないケースも多く、受け入れ企業への指導・支援が必要である。
 さらに、大阪府内の日本語教室の多くがボランティアに依存している現状を踏まえ府としても継続的かつ安定的な財政支援を講じること。
【背景】
 外国人労働者は2024年10月時点で、全国で約230万人(前年比33.7%増)、大阪府内では約17.5万人(前年比19.3%増)と過去最高を更新しており、今後も増加が見込まれている JETROの2024年調査でも、企業の30.6%が「今後外国人材を増やす・新たに雇用する」と回答しており、人口減少や新たな育成就労制度の導入、大阪・関西万博を契機に、これまで外国人就労が少なかった業種にも広がることが想定される。
 一方で、技能実習や特定技能制度では、来日前に日本語講習を受けていることが前提とされているが、実際には「ほとんど話せない」「職場での意思疎通が困難」といった声が多く、現場ではトラブルや孤立の要因となっている 。
 また、大阪府内の日本語教室の多くがボランティアに依存しており、安定的な運営が難しい状況にある。
 大阪府が展開している2025年度版「外国人材受入加速化支援事業(MEET IN OSAKA)」で、企業と外国人材のマッチング支援や就労前研修などを実施しているが、生活支援や言語教育の分野では制度的な支援が不十分であり、今後は包括的な共生支援体制の構築が求められる。

d働く者に配慮した受動喫煙防止対策の強化
 受動喫煙防止条例の再啓発を実施し、飲食店等での喫煙所の設置だけではなく、喫煙・禁煙表示等への補助、啓発にかかる費用について予算等を確保すること。
 また、2020年4月1日に施行された「健康増進法の一部を改正する法律」が適正に運用されているかなどの実態把握を行い、状況に応じて必要な施策を検討・実施すること。
【背景】
 大阪府では、2019年に「大阪府受動喫煙防止条例」を制定し、段階的に施行を進めてきたが、2025年4月の全面施行により、客席面積が30平方メートルを超える飲食店は原則屋内禁煙となった。
 しかし、現場では「喫煙専用室の設置費用が負担」「標識掲示の方法が分からない」といった声も多く、特に中小規模の飲食店では対応が遅れているケースも見られる。
 また、条例施行後も、屋外での喫煙や路上喫煙の増加が懸念されており、府としては屋外分煙所の整備や、地域住民との協調によるマナー啓発も含めた包括的な対策が求められている。さらに、健康増進法の運用状況についても、府内全域での実態調査を通じて、法令遵守の実効性を高める必要がある。
 受動喫煙は、労働者の健康を損なうだけでなく、職場環境の悪化や人材確保の障壁にもつながることから、働く者に配慮した受動喫煙防止対策の強化は、労働政策・健康政策の両面からも喫緊の課題である。

(3)ジェンダー平等社会の実現に向けて
a女性活躍・両立支援関連法の推進について 
 女性活躍推進法の周知・啓発をさらに行い、事業主行動計画の策定が義務化されていない100人以下の企業に対しても、行動計画の策定を強く求めること。また、特定事業主行動計画を策定したうえで、「男女の賃金差異」について数値の公表だけでなく分析し、是正に取り組むこと。
 企業における女性の登用や職域拡大、働き方の柔軟化に向け指導や好事例の周知を行うこと。
 改正育児・介護休業法(2025年4月1日施行)についての改正点の内容を周知し、特に男性の育児休業取得がさらに促進するよう、取り組み事例の発信と啓発活動を行い、「育児休業が確実に取得できる」職場環境整備に取り組むこと。
【背景】
 女性活躍推進法の改正により、101人以上の事業主については事業主行動計画の策定・公表が義務付けられ、取り組み内容や目標、男女差異などが可視化されるようになった。中小企業においても女性活躍をさらに推進するため、義務化されていない100人以下の企業へも策定を働きかけることで意識向上や採用時のPRになることを理解いただくことが重要。
 特に大阪府においては、女性の非正規雇用率が依然として高く、管理職に占める女性の割合も全国平均を下回っている状況にあります。また、性別役割分担意識が根強く残っており、女性のキャリア形成や継続就業に対する障壁が存在しています。大阪府では、6歳未満の子どもを持つ父親の育児・家事時間が全国平均を下回っており、男性の育児参画を阻む職場文化や制度運用上の課題があると考えられる。男性の育児休業取得を促進するためには、制度の整備だけでなく、管理職層への意識改革や、取得しやすい職場風土の醸成が不可欠です。

b女性の人権尊重と被害への適切な対応について
 メディア等での性の商品化や暴力的表現を見直し、女性の人権を尊重した表現が行われるよう、大阪府として各方面に働きかけること。
改正「DV防止法」「大阪府配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する基本計画(2022-2026)」を周知し、具体的取り組みをすすめること。
 また、大阪府性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターが、2025年秋に、「大阪府こころの健康総合センター」建物内に移転し、これまでの病院拠点型から連携型に移行することとなったが、病院拠点型の医療とメンタルケアが同時にできるメリットが失われないよう利用者へのケアとプライバシーが守られる体制を整えることと、対応する医療従事者や相談員の充実を図ること。
 また、「特定妊婦」に対する、切れ目のない支援ができるよう具体的な計画を策定すること。「不妊治療」の妊活支援としての「ルナルナ」の実効性を上げるための周知と利用者の悩み事に対応できる体制の充実を行うこと。
 DVを含む人権侵害、ハラスメント被害、性的指向・性自認(SOGI)に関する差別など、様々なジェンダー課題で被害を受けた方々にきめ細かな対応ができるよう職員に対する研修を継続的に実施し、相談窓口の周知や啓発活動を行うこと。
【背景】
「大阪府困難な問題を抱える女性への支援のための施策の実施に関する基本的な計画」に基づき、NPO等の団体とも連携を強化しながら支援センター等の認知度向上を進める必要がある。例えば女性支援特別サイト「あなたのミカタ」、「おおさか性と健康の相談センターcaran-coron(カランコロン)」などの関連情報を広く周知をし、相談者自身がアクセスしやすい環境づくりを進める。
 大阪SACHICOについては、松原市の阪南中央病院内に設置されていて、これまで、阪南中央病院の医師を中心に24時間体制対応してきたが、長時間労働に加え医師不足、運営費の確保が困難といった問題から、阪南中央病院から撤退することになった。「大阪SACHICOの存続と発展を存続する会」が署名活動を実施し、12月4日に大阪府に約48,000筆の署名を提出した。その後、2月14日開催の大阪府戦略本部会議にて大阪府が主体となって運営していくことを公表した。
 2018年に、(株)エムティーアイと大阪府が「妊娠・出産・不妊の支援に係る連携・協力に関する」事業連携協定を締結し、その後、不妊等に関する情報提供や相談センターなどを行う「ルナルナ」を立ち上げた。

c多様な価値観を認め合う社会の構築に向けて
「性的指向及び性自認の多様性に関する府民の理解の増進に関する条例」に基づき、行政・府民一体となって啓発活動に取り組むこと。
 また、「大阪府パートナーシップ宣誓証明制度」に対する企業や団体、市民の理解と普及促進を図り、大阪府との自治体間連携を強化するとともに、すでに連携を登録している自治体に対しては制度の創設を働きかけること。
 加えて、人権に配慮しLGBTQをはじめ誰もが使用しやすい府内施設(多目的トイレ等)の整備だけでなく、プライバシーや安心感が担保されるよう取り組むこと。
【背景】
 パートナーシップ宣誓証明制度の大阪府連携自治体数13自治体(大阪市、堺市、豊中市、池田市、吹田市、貝塚市、枚方市、茨木市、泉佐野市、富田林市、松原市、大東市、大阪狭山市)※2025年11月時点
 2023年6月に「LGBT理解増進法」が施行されて2年たったが、社会の理解が進んでいるとは言えず、セクシャルマイノリティに対する偏見・差別は未だ残っている。
 2025大阪・関西万博においても45ヵ所のトイレのうち4割の18ヵ所に112基設置されたが、不安の声なども多く上がっている。
 多目的トイレ数3,107ヵ所(H.P:みんなで作ろう!多目的トイレマップ)
※https://wc.m47.jp

(4)労働法制の周知・徹底と労働相談体制の強化について
 顧客、取引先にもハラスメントに含まれるため、中小企業の防止対策について周知・支援し、当事者からのハラスメント相談やハラスメントを原因とした精神疾患なども含めた相談への体制を充実・強化すること。
 また、東京都はカスハラ防止条例を制定し、25年4月から施行している。被行為者として、学校教諭も対象となっていることから、カスタマーハラスメント対策も広く周知すること。ハラスメント被害者が相談窓口にすぐに連絡しやすくなるよう、大阪府が2025年4月より開始した「中小企業カスタマーハラスメント対策促進事業」を活用した支援を強化するとともに、行政機関や企業内だけでなく、業界団体や地域組織などにも相談窓口が設置するよう働きかけを行うこと。
【背景】
 労働施策総合推進法が改正され、中小企業含むすべての事業所において職場でのパワーハラスメント対策が義務化されて2年が経過したが、依然としてハラスメントは職場で多く発生している。現状、連合大阪の「なんでも労働相談」においても、相談件数はハラスメント関連がトップとなっており、依然として多数発生している状況がある。
・2021年9月から2022年8月…パワハラ・嫌がらせ246件、総件数1488件
・2022年9月から2023年8月…パワハラ・嫌がらせ338件、総件数2097件
・2023年9月から2024年8月…パワハラ・嫌がらせ364件、総件数1899件

(5)治療・介護と仕事の両立に向けて
 「治療と仕事の両立支援」「介護と仕事の両立支援」の取り組みが特に中小零細企業に浸透するよう、関係団体と連携し周知・啓発を行い、事例や情報、ノウハウの提供を行うこと。大阪府が2025年3月に改定した啓発冊子「女性活躍応援BOOK!」の情報を活用しながら、企業の理解と対応力の向上を図ることを求めること。
 不妊治療について事業主および社会全体への理解促進を要請し、治療と就労の両立を支援する環境整備を進めるとともに、卵子凍結など将来の妊娠に備えた選択肢に対する助成制度の充実を図ること。
 事業者・労働者ともに医療や介護に関する知識や関連施策を学ぶことでできる機会を提供すること。
 大阪府内でも、国の助成制度と連携した支援が進められており、今後はより柔軟で包括的な支援体制を構築すること。
【背景】
 厚労省・経産省の両立支援ガイドの通り、「治療と仕事の両立支援」は働き方改革の実践においても重要な課題である。
 疾病・障がいを抱える労働者や、家族等を介護する労働者が仕事を継続できるよう、職場環境整備を行う企業に対して、理解促進を図りながら両立支援対策の強化をする必要がある。
(1)不妊治療の保険適用(国)との連携
2022年4月から国の制度として、体外受精や顕微授精などの特定不妊治療が保険適用となりました。大阪府および大阪市では、この保険診療と併用される「先進医療」にかかる費用の一部を助成する制度を設けています 
(2)大阪市特定不妊治療費(先進医療)助成事業(2025年4月)
保険診療と併用して行われる先進医療(例:タイムラプス撮像法、子宮内膜受容能検査など)に対し、費用の7割(上限5万円)を助成。
対象は大阪市在住で、治療開始時に妻の年齢が43歳未満の夫婦。
助成回数は、40歳未満で1子ごとに6回まで、40歳以上43歳未満で3回まで 
(3)不育症検査費用助成(大阪府)(2021年度から)
保険適用外の先進医療として実施される不育症検査に対し、費用の一部を助成。
これは国の制度ではカバーされない領域を補完する形で実施されています 
(4)情報提供・啓発ツールの活用(2019年3月から)
大阪府は「ルナルナ」と連携し、スマートフォンアプリを通じて不妊・不育治療に関する情報や助成制度の案内を行っています。
利用者は簡単な質問に答えるだけで、自分が利用可能な助成制度を確認できる仕組みです。 

2.経済・産業・中小企業施策

(1)中小企業・地場産業の支援について
a「中小企業振興基本条例」の制定促進と施策周知について
 中小企業振興基本条例制定済み市町村数が昨年から増加していない現状を踏まえて、未制定の府内市町村に対して、府の指導力をさらに強化し、条例制定に向け審議会や振興会議等の環境整備を促すこと。条例策定においては、地域での労働組合・労働団体の参画と役割について言及し、条例策定市町村を増やすこと。
 次に大阪府の中小企業振興策において、中小企業は工業高校と連携を密にし人材確保に努めること。人材育成支援やDX導入支援など具体的な振興策の策定や、行政の支援策の周知をはかり、取り組み件数を増やすこと。特に、府が推進する「MOBIO(ものづくりビジネスセンター大阪)」を活用したDXセミナーや人材育成支援プログラムなどを、より多くの中小企業に届けるための広報・連携体制の強化すること。
【背景】
 大阪経済の発展・成長には中小企業(30万社・従業員290万人)の健全な発展が不可欠であり、地場の市町村での取り組みが重要。
条例制定済み市町村(*制定順18市):昨年より増加なし
八尾市、吹田市、枚方市、大東市、大阪市、岸和田市、貝塚市、泉南市、寝屋川市、東大阪市、交野市、泉佐野市、和泉市、四條畷市、守口市、富田林市、羽曳野市、藤井寺市

bものづくり産業の生産拠点の維持・強化について
 ものづくり企業の従業員やOBなどをカイゼン活動のインストラクターとして養成し、中小企業に派遣する「カイゼンインストラクター養成スクール」の開設を経済産業局と連携し人材を確保すること。とりわけ、現場改善のノウハウを持つ人材の地域内循環を促進し、中小企業の生産性向上と人材育成の両立の実現を図ること。
 また、2019年度をもってカイゼンインストラクター養成スクールに対する国の補助金が終了したことから、大阪府として独自の支援制度を創設し、スクールの継続的な運営と人材派遣体制の強化を図ること。
【背景】
 作業動線やライン・部品配置の見直しなどのカイゼン活動を徹底することで、生産性向上、付加価値拡大の余地はまだ大きいと考えられる。地域のものづくり企業全体の力を高めることで、生産拠点としての地域の魅力を高めることにつなげていく。

c中小企業で働く若者の技能五輪への挑戦支援について
 工業高校や工業高等専門学校の専攻科などが定員割れし、統廃合の対象になっていることに危機感を感じている。工業高等専門学校等を活用し、中小企業で働く若者が技能五輪全国大会や技能五輪国際大会に挑戦できるよう、当事者に対する支援をさらに拡充し、技能五輪大会や大阪府の支援策を広く周知広報すること。
 さらに、技能五輪地方予選大会・全国大会・国際大会に選手を出場させる中小企業に対して、直接的な資金面での助成を必ず行うこと。特に、訓練にかかる費用や大会参加に伴う旅費・滞在費など、企業の負担が大きい部分に対しては、大阪府独自の補助制度を創設し、継続的な支援体制を構築すること。
【背景】
 製造業の人材育成、人材確保は喫緊の課題となっている。強固な地場産業の構築のためにも、特に中小企業で働く若手への育成支援が必要と考えられる。
<統廃合対象校>
2025年度より募集停止
1.西野田工科高等学校 4年連続で定員割れ
(今宮工科高等学校への機能統合)
2.布施工科高等学校 6年連続で定員割れ
(城東工科高等学校と統合し、新たな工業系高校を設置予定)
3.城東工科高等学校 3年連続で定員割れ
(布施工科と統合し、現・城東工科の校舎を活用して新高設置予定)
2028年度統廃合計画
1.生野工業高等学校(2025年度に募集停止)
2.泉尾工業高等学校
3.東淀工業高等学校
これら3校を統合し、新たな工業高校を東淀工業高校の高地内に設置予定

d事業継続計画(BCP)策定率の向上にむけて
 「BCP策定大阪府スタイル」の効果検証を行うとともに、特に中小企業に対して、BCP策定に必要なスキルやノウハウ、策定によるメリットを広く周知すること。
併せて、策定率の向上を図るため、市町村、商工会・商工会議所、金融機関等との連携策を一層強化すること。
 さらに、府の補助事業として実施されている、超簡易版BCP『これだけは!』シート等を活用したセミナー・ワークショップ・経営相談の実績を明らかにし、取組の効果を可視化すること。
 加えて、「事業継続力強化計画」に基づく低利融資や税制優遇といった支援策の利用状況を把握し、より多くの中小企業が活用できるよう促進すること。また、BCPの一環としてのサイバーセキュリティ対策についても、啓発活動を強化し、企業の意識向上を図ること。
【背景】
 帝国データバンク2024年5月調査によると、企業のBCP策定率は19.8%で過去最高となったが、規模別の策定率は大企業が37.1%、中小企業が16.5%と規模間格差が拡大している。能登半島地震のような自然災害だけでなく、サイバー攻撃によるリスクなども高まっており早急なBCP策定が望まれる。

(2)取引の適正化の実現に向けて
 フリーランスを含めたすべての働く者の雇用と生活を守るために、取引の適正化・価格転嫁の円滑化を実現するため、「パートナーシップ構築宣言」および「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」への取り組みをさらに推進・拡大するよう、大阪府として積極的な働きかけを行うこと。特に、府内中小企業に対しては、制度の意義や活用方法をわかりやすく伝えるセミナーや相談窓口の設置、成功事例の共有などを通じて、実効性のある支援を強化すること。
 また、大手企業に対しても、下請企業との公正な取引慣行の確立に向けて、「パートナーシップ構築宣言」への参加を促すとともに、価格交渉における透明性と対等性を確保するよう指導を強化すること。特に、優越的地位を利用した買いたたきや一方的な契約変更といった不公正な取引慣行が依然として残っている現状を踏まえ、大阪府として実態把握と是正に向けた監視体制の強化を図ること。
【背景】
 「パートナーシップ構築宣言」については、各都道府県で補助金に対する加点措置などを実施して取り組み拡大を図っている。持続的な構造的賃上げを実現するためには、サプライチェーン全体で生み出した付加価値の適正分配により、特に中小企業が原資を確保できる「価格転嫁も含めた取引環境の整備」が必要である。
 大阪府内においても、原材料費やエネルギーコスト、人件費の高騰が続く中で、下請中小企業が価格転嫁を申し出ても、発注元から明確な回答が得られず、従来の価格での取引を強いられるケースが依然として多く見られている。こうした状況は、2025年5月に改正された下請法運用基準においても「買いたたき」に該当するおそれがあると明記されており、府内でも深刻な課題となっている 。
 また、大阪府が設置する「下請かけこみ寺」や「価格転嫁サポート窓口」には、価格交渉に関する相談が多数寄せられており、特に中小企業からは「交渉の進め方がわからない」「根拠資料の作成が難しい」といった声が多く、実効性ある支援の強化が求められている 。
 公正な取引環境の整備は、府内経済の持続的成長に不可欠であり、行政による積極的な後押しが必要である。

(3)公契約における取引の適正化の実現に向けて
 地方自治体が民間企業に発注を行う際、下請法や「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」などに準拠・遵守し、「パートナーシップ構築宣言」を踏まえた取引を行うこと。特に大阪府の業務委託における「インフレスライド条項」については、受注者の利益を損なわない「増額スライド額」とするよう、現行の「経営上最小限度必要な利益まで損なわない」という表現を、「経営上必要な利益まで損なわない」に改めること。これにより、受注者が適正な利益を確保できる制度運用とすること。
 また、情報サービスやソフトウェア発注取引においても、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針に準拠・遵守し、短納期・低価格発注の是正を図ること。特に、IT・デジタル分野では人材不足が深刻化しており、適正な労務費の確保が困難な状況が続いているため、府としても発注仕様の見直しや予算措置の柔軟化を進めること。
 加えて、少なくとも、入札参加事業者が労働基準法違反により是正勧告を受けた場合や、労働組合法に基づく不当労働行為命令を受けた場合には、一定期間入札から排除するなどの措置を講じることを明記し、公契約における労働者保護の実効性を高めること。
【背景】
 公契約については、労務費の価格転嫁が困難との声が多く寄せられており、特に情報サービスやソフトウェア発注取引においては、予算執行の関係等から短納期・低価格での発注が常態化している。大阪府の「インフレスライド条項」では、受注者の利益保護に関する表現が「経営上最小限度必要な利益まで損なわない」とされており、実際の運用においては受注者側が十分な利益を確保できないケースも見受けられる。
 また、公契約は下請法の直接の適用対象外であるものの、下請ガイドラインや「価格交渉の指針」等に準拠した適正取引が行われるよう制度整備が求められている。府内の中小企業からは、「公共発注においても価格交渉の余地がない」「労務費上昇分が反映されない」といった声が上がっており、府としての制度運用の見直しと、発注者側の意識改革が急務である。
 さらに、大阪府内では、労働基準法違反による是正勧告や、労働組合法に基づく不当労働行為命令が発せられている事例が複数確認されており、こうした事業者が公契約に参加し続けることは、労働者保護の観点からも問題がある。公契約制度において、違反歴のある事業者を排除する明確な基準を設けることが、公正な取引と健全な労働環境の確保につながる。

(4)公契約条例の制定について
 公契約のもとで働くすべての人の雇用・労働条件を守ることで、住民がより良い公共サービスを受けられるよう、「公契約条例」(ILO第94号条約型)の制定を大阪府として積極的に推進すること。特に、府内自治体においては、業務委託や指定管理などの契約において、最低制限価格の設定が不十分であることや、労務費の適正な反映がなされていないとの指摘があり、条例による基準の明確化と実効性を確保すること。
 併せて、総合評価入札制度を未導入の市町村に対しては、導入に向けた継続的な働きかけと体制整備支援を行い、その成果として導入に至った市町村名を明示すること。大阪府では、建設工事や建設コンサルタント業務において総合評価落札方式の導入を進めているが、市町村レベルでは導入が進んでいない自治体も依然として存在しており、地域間格差の是正を促進すること。
 また、「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を踏まえ、公契約締結においては人権デューデリジェンスへの配慮を確保すること。特に、外国人労働者や非正規雇用者を多く抱える業種においては、労働条件の透明性や適正な契約履行が確保されるよう、契約条項への明記や監査体制の強化を図ること。
【背景】
 公契約条例の制定は、公共サービスの安全・品質の確保、地域経済の活性化、公契約のもとで働く労働者の適正な賃金水準・労働諸条件の確保に効果があり、民間事業の活性化、人手不足の解消にもつながると期待されている。大阪府内では、業務委託契約において最低価格での競争が常態化し、結果として労働者の待遇が悪化し、サービスの質が低下する事例も報告されている。
 また、総合評価入札制度については、府の都市整備部などで導入が進んでいる一方で、市町村レベルでは導入が進んでいない自治体も多く、価格のみでの競争によるダンピングや品質低下の懸念が残っている。
 さらに、サプライチェーンにおける人権尊重の観点からも、公契約における人権デューデリジェンスの導入は国際的な潮流であり、大阪府としても積極的な対応が求められる。

(5)海外で事業展開を図る企業への支援
 海外に事業拠点を持つ、または海外事業展開を図ろうとする企業に対し、ILO中核的労働基準(結社の自由・団体交渉権・強制労働の禁止・児童労働の廃止・差別の排除)の遵守の重要性について、府として明確に周知徹底を図ること。特に、現地法人の経営層やマネジメント層に対しては、労働者との対話や労働条件の整備に関する研修や情報提供を強化すること。
 また、海外事業拠点や取引先を含むサプライチェーン全体において、人権デュー・デリジェンス(HREDD)の必要性についても周知徹底を図ること。大阪府としては、国が策定した「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」や、2025年にEUで施行された「企業持続可能性デューデリジェンス指令(CSDDD)」などの国際的な法制度を踏まえ、府内企業が適切な対応を取れるよう支援体制を整備すること。
【背景】
 海外現地法人の日本人出向者や現地経営者、マネージャー等の中核的労働基準への認識・理解不足や、労使対話の欠如から、労使紛争に発展するケースが多く報告されており、企業の信頼性やブランド価値を損なうリスクが高まっている。特に、アジア諸国における製造拠点では、労働組合の結成や団体交渉の権利が軽視される傾向があり、現地の法令遵守だけでなく、国際基準に基づいた対応が求められている。
 さらに、2025年にEUで施行された「企業持続可能性デューデリジェンス指令(CSDDD)」では、企業に対し、子会社や取引先を含むバリューチェーン全体における人権・環境リスクの特定・対応・情報開示を義務付けており、日本企業も例外ではない 。大阪府内の中堅・中小企業においても、欧州や米国との取引を行う企業が増加しており、今後は人権デューデリジェンスへの対応が輸出や現地展開の前提条件となる可能性が高い。
 このような背景を踏まえ、大阪府として、海外展開を目指す企業に対して、国際的な人権基準やデューデリジェンスの重要性を理解し、実践できるような支援体制の構築が急務である。

(6)産官学等の連携による人材の確保・育成 
 「関西蓄電池人材育成等コンソーシアム」の取り組みを参考に、産学連携により、地域を支える産業の人材を育成する枠組みを持続的に進めること。特に、大阪府内においては、製造業やエネルギー関連産業、DX・脱炭素分野など、成長が期待される分野において人材不足が深刻化しており、産業界・教育機関・自治体が一体となった人材育成の仕組みづくりを行うこと。
 関西蓄電池人材育成等コンソーシアムでは、蓄電池関連産業の集積が進む関西地域において、2030年までに約3万人の人材育成を目標に掲げ、高校・高専・大学・社会人向けの教育プログラムを産学官連携で展開している。
 ただし、現行の枠組みにおいては、経済産業省の地方局(近畿経済産業局)が主導するため、大学や高専は対象となっている一方で、工業高校は都道府県の教育委員会の所管であることから、制度上の連携が不十分な場合がある 。
 このため、既存の枠組みで工業高校が対象となっていない場合には、制度の拡充を図り、工業高校も積極的に参画できるよう調整を行うこと。
 また、同様の枠組みを他産業分野にも横展開し、地域の中小企業やスタートアップが求める実践的なスキルを持つ人材の育成に取り組むこと。
【背景】
 重要物資の安定供給確保には、技術者・熟練技能人材の不足や人材育成が大きな課題となっている。大阪府内でも、工業高校や高専の定員割れや統廃合が進む中で、地域産業を支える人材の確保が困難になりつつある。こうした状況を打開するためには、産官学が連携し、産業に必要な人材像を明確化した上で、教育カリキュラムや実習プログラムを整備し、将来的な人材確保につなげることが不可欠である。
 関西蓄電池人材育成等コンソーシアムでは、大学・高専・社会人向けの教育プログラムが本格化している一方で、工業高校については、教育委員会の所管であることから、経済産業省主導の枠組みとの連携が限定的となっているケースがある 。
 このため、府としては、教育委員会と経済産業局との連携を強化し、工業高校も含めた包括的な人材育成体制を構築することが求められる。
 また、地域のものづくり企業全体の競争力を高め、「○○の町」としてのブランド化を進めることで、生産拠点としての地域の魅力を高め、若者や転職希望者が地域産業に関心を持ち、就業につながる好循環を生み出すことが期待される。大阪府としても、こうした人材育成の取り組みを戦略的に位置づけ、継続的な支援と制度設計を行うことが求められる。

 

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