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日本労働組合総連合会大阪府連合会(連合大阪) 要望書(2)
要望書
3.福祉・医療・子育て支援施策
(1) 地域に根ざした生活困窮者支援体制自立支援制度の強化に向けてさらなる改善について
a生活困窮者自立支援制度のさらなる改善について
令和6年生活困窮者自立支援改正法による支援会議の設置状況を把握し、未設置自治体に対する設置支援と、設置済み自治体への人材確保、予算措置等の運営支援を強化すること。
b住宅セーフティネット法の周知徹底について
2025年10月に施行予定の「改正住宅セーフティネット法」について広く周知するとともに、市町村における地域居住支援協議会の未設置地域への設置支援、既設地域への運営支援を強化すること。
c住宅確保要配慮者の実態把握の推進について
住宅喪失リスクや住まいに困難を抱える人々の実態調査(住居確保要配慮者調査)を定期的に実施し、相談支援体制を整備するなど、支援の対象となる当事者や支援現場の声を施策に反映させるしくみを構築すること。
【背景】
2025年4月から施行されている生活困窮者自立支援法の改正で、関係機関で情報共有し、支策を検討する支援会議の設置が福祉事務所設置自治体の努力義務となった。生活困窮者への包括的な支援体制の構築が一層求められる。
2024年6月に改正された住宅セーフティネット法により、住宅確保要配慮者に対する居住支援の重要性がより一層高まっている。特に、高齢者、障がい者、子育て世帯、外国人、ひとり親家庭、生活困窮者など、住まいの確保に困難を抱える方々が年々増加している中、地域における持続可能な居住支援体制の確立が急務になっている。
d「ホームレス特別措置法」の施行期間の延長と隠れホームレスの環境改善について
令和9年以降も継続的な施策実施が可能となるよう、「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」の有効期限の延長について、大阪府として国に要請すること。
また、同法の対象者に、ネットカフェ、簡易宿所、寮付き就労先、知人宅などに居住する統計に現れない層(いわゆる「隠れホームレス」)を正確に把握し、支援すること。
大阪府として、若年層、女性、DV被害者、児童養護施設退所者など、支援の網から漏れやすい層に対しては、アウトリーチや相談体制の強化を通じて、支援につながりやすい環境の整備を進めること。あわせて、民間支援団体との連携を強化し、障がい者、子ども、地域福祉など既存の支援会議との連携も図りながら、地域の実情に即した包括的な支援体制を構築し促進すること。
【背景】
平成14年に施行された「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」は、現在令和9年までの時限立法として効力を有しており、大阪府では同法に基づく施策によりホームレス人口が大幅に減少している。実際に、平成24年(2012年)1月の厚生労働省調査では、大阪府のホームレス数は2,417人と全国最多でしたが、2025年1月の調査では763人(全国最多)まで減少しており、約70%の減少が見られ行政・民間の連携による支援体制の強化や、就労・居住支援の充実が一定の成果を上げていることを示している。
一方で、統計に現れない「隠れホームレス」層の存在が顕著になっており、支援の網から漏れる若年層や女性などへの対応が急務となっている。認定NPO法人Homedoorの報告(2024年)によれば、2021年度の相談件数は898件、うち69%が大阪府内からであり、来所者314人のうち255人が個室型シェルターを利用。本人名義の住居を有していた者は19%に過ぎず、60%以上が不安定居住者層であったことが明らかになっている。平均年齢は42歳、女性比率は24%と、従来の路上生活者像とは異なる層が多く含まれており、支援の在り方の見直しが求められている。
こうした状況を踏まえると、「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」の施行期間の延長は、依然として必要不可欠である。高齢化や長期化する路上生活、潜在的なホームレス層の増加など、課題は多様化・複雑化しており、法的根拠に基づく支援の継続と強化が求められる。今後も、国・自治体・民間団体が連携し、包括的かつ柔軟な支援体制を維持・発展させるためにも、法の延長と制度の充実が不可欠である。
(2)予防医療及び健康づくりのさらなる推進について
aがんの早期発見・早期治療を推進する検診体制の強化について
学生期からがん検診の重要性を広く周知するとともに、検診率の高い市町村の好事例を共有化するなど、がん検診の受診率向上施策(広報、受診勧奨、無料クーポン配布等)を強化すること。加えて、働き盛りの世代や生活困窮者など「検診からこぼれ落ちやすい層」へのアプローチも強化すること。
b口腔保健事業の周知徹底について
すべての市町村でライフステージごとの歯科健診や高齢者の介護予防のための口腔機能評価が適切に実施されるよう、地域格差の是正に向けた支援体制を構築すること。
【背景】
健診受診率は低レベル。引き続き、受診率向上施策(広報、受診勧奨、無料クーポン等)の継続・拡充を求める。働き盛り世代や生活困窮者など「検診からこぼれ落ちやすい層」へのアプローチ強化も必要ではないか。職域・地域・医療との連携モデルを検討。高齢者のフレイル・誤嚥性肺炎予防、子どものむし歯予防、障がい者・生活困窮者の口腔ケアなど、ライフステージごとの口腔保健事業への財政支援を強化。
(3)医療提供体制の整備に向けて
a医療人材の処遇改善について
すべての医療従事者の処遇改善に向けて、医療機関に対しベースアップ評価料の算定などの取り組み支援を行うとともに、2026年度診療報酬改定などを通じて、さらなる処遇改善施策が実行されるよう、国に働きかけること。
b医療人材の勤務環境改善について
平時・有事を問わず、医療現場の労働者が安心して働き続けられる職場環境づくりや体制整備に向けて、地域医療介護総合確保基金などを活用し、働き方改革や業務負担軽減などもさらに推し進めること。
【背景】
持続可能な医療体制の維持には、医療従事者の人員体制を確保する必要があり、そのためには処遇や勤務環境の改善は欠かすことができない。2024年度から医師の労働時間上限規制が適用されるため、時間外労働時間・休日労働時間の適切な把握と管理が求められる。
また、新型コロナ対応は一定収束したものの、市町村を超えて広域を管轄する保健所も多く、新型感染症への備えも含めた体制整備は必須課題である。
c効率的な医療提供体制の構築に向けて
第8次大阪府医療計画の「新興感染症の発生・まん延時に備えた医療体制整備」において、感染症予防計画に基づく新興感染症にかかる医療体制および通常医療の提供体制を着実に構築すること。
【背景】
第8次大阪府医療計画(2024年度から2029年度)が策定され、感染症を主要項目として位置づけている。
(4)利用者が安心して住み慣れた地域でくらし続けることのできる介護サービス提供体制の強化に向けて
a地域包括ケアの推進について
利用者が住み慣れた地域で安心して暮らし、質の高いケアマネジメントや必要なサービスが切れ目なく提供され、地域の実情に応じた柔軟かつ効率的な取り組みが推進されるよう十分な支援を行うこと。
【背景】
地域の実情に則した質・量ともに十分なサービス提供が可能な地域包括ケアシステムの構築が重要であり、大阪府へは、市町村の個別課題や支援ニーズに対し十分な支援を求める。
b介護職員等の処遇改善に向けて
介護職員等処遇改善加算を算定する事業所に対して、処遇改善の方法や改善額の設定根拠等を就業規則などに明記するなど、労働者に周知徹底するよう指導すること。併せて、介護職員等処遇改善加算ではなく基本報酬を引き上げるよう国に働きかけるとともに、介護職員等処遇改善加算未取得の事業所に対しては、個別相談も含めた大阪府独自の相談・支援体制を構築し、取得促進をはかること。
cハラスメントの防止対策について
利用者が介護保険を利用する際に、ハラスメント防止に向けたチラシを配布するなど、利用する家族も含めて周知徹底し、対策を強化すること。
d介護サービスの安定的な提供に向けて
2024年度の介護報酬改定により、介護人材の確保と働きやすい職場環境の整備を目的として、人員配置基準の見直しが行われたことを踏まえ、ケアの質、利用者の安全性が損なわれることや介護職員へ過度な負担を強いることがないよう、事業者への周知徹底をはかること。
【背景】
2024年度の介護報酬改定では、介護人材の確保と働きやすい職場環境の整備を目的として、人員配置基準の見直しが行われた。
介護サービスの質の維持・向上と両立させることが求められる。
また、介護現場における利用者・事業主からのハラスメントも多く、労働者を守る対策も喫緊の課題となっている。
e認知症対策について
地域において認知症の人やその家族を支えるために、認知症の予防とケア技術に関する研究開発・実践や、若年性認知症支援コーディネーターの配置など、認知症対策をより一層強化すること。併せて、若年性認知症を含む認知症に関する理解促進のために、認知症サポーター数の拡大に加えて、子どもや学生への啓発活動についても強化すること。また、若年性認知症の人の就労支援に向けて、企業等への啓発を強化すること。
f認知症に関する条例制定に向けて
河内長野市、富田林市、泉南市では、認知症に関する施策の推進を目的とした条例が制定されている。誰もが認知症に関心を持ち、適切な知識や理解のもとお互いに尊重しながら「安心して認知症になれる町づくり」をめざし、好事例を共有するなど府内市町村の条例制定を促進すること。
【背景】
近年、認知症の人が地域で安心して暮らせる社会の実現に向けた取り組みが、国および地方自治体において加速している。2024年1月には「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が施行され、地方自治体には地域の実情に応じた認知症施策を総合的かつ計画的に推進する責務が課された。この法律は、認知症の人が尊厳を保ち、希望を持って暮らせる社会の構築を目的としている。
大阪府においては、「大阪府認知症施策推進計画2024」が策定され、認知症の予防やケア技術の研究開発、若年性認知症支援コーディネーターの配置、認知症サポーターの育成など、包括的な施策が展開されている。しかしながら、府内全体での取り組みの底上げには、条例という制度的な裏付けが不可欠である。
(5)子ども・子育て施策の着実な実施に向けて
a保育士等の確保と処遇改善・定着支援について
質の高い保育が可能となるよう、府内市町村と連携した大阪府独自の改善対策を講じ、保育士等の給与水準の見直しや労働条件・職場環境の改善を行うこと。併せて2026年度から本格実施される「こども誰でも通園制度」に伴い、大阪単独予算による更なる職員配置や職場環境を改善するとともに、研修機会の確保に努めること。
【背景】
都市部の待機児童や保育士不足、地域格差、孤育ての深刻化が課題。支援の必要な家庭が制度の狭間に取り残されるケースがある。
b保留児童・隠れ待機児童の解消に向けて
2017年度以降、待機児童数は減少傾向にあるが、待機児童に含まれない保留児童・隠れ待機児童数は増加傾向にある。府内全域の保育需要・動向について分析と見える化を推進し、広域行政としての役割を果たすこと。
また、2025年度を初年度とする「大阪府子ども計画」に掲げた目標達成に向けて、市町村を含めた所管部署や関係機関との連携を強化するとともに、施策の進捗管理や評価を行い、具体的な施策を着実に実施し、子どもを取り巻く社会問題に対して、効果的な支援を提供すること。
【背景】
「こども誰でも通園制度」が試行実施され、多様なライフスタイルに応じ保護者の孤立防止や育児負担の軽減が期待される。
一方で、慣れない環境での子どもへの配慮や、慣れないこどもを預かる保育現場の人手不足と業務負荷軽減への対策が必須である。モデル実施・試行実施の職場・利用者からの意見を聞き取り、課題整理を図りながら引き続き市町村への支援を求める。
c地域子ども・子育て支援事業の支援体制について
大阪府子ども計画と連動しながら、自治体間の支援格差や担い手不足、情報提供や支援制度の周知不足、多様な家庭ニーズへの対応の遅れ、支援の隙間や制度間の連携不足など、身近で頼れる「地域のセーフティネット事業」として、自治体間の連携を強化するとともに、包括的かつ持続的な府独自の支援体制を構築すること。
【背景】
「地域子ども・子育て支援事業」
地域における子育て支援の充実を目的として、市町村が実施する多様な事業群の総称。国が定めた「子ども・子育て支援事業計画」に沿って市区町村が主体的に実施。
・利用者支援事業
・地域子育て支援拠点事業
・一時預かり事業
・病児・病後児保育事業
・ファミリー・サポート・センター事業
・延長保育事業
・児童育成支援拠点事業
※財源は、国・都道府県・市町村が負担。
各市町村が地域の実情に応じて、子育てひろばの開設やファミサポの拡充、病児保育施設の整備などを進めている。地域格差の解消や専門人材の育成が課題。府としては自治体間の情報共有支援や計画的な人材配置などを支援しています。
d子どもの貧困対策と居場所支援について
府内地域での支援体制や施策の充実度の差に加えて、多様な背景を持つ家庭へのアウトリーチ型の支援に地域差が出ることのないよう市町村への支援を強化すること。また、支援制度や利用方法について、情報提供を強化すること。
e居場所づくりのさらなる充実に向けて
居場所の設置や支援体制に地域差が出ないよう、居場所へのアクセスの確保や、居場所の情報を保護者や子ども・若者が入手できる環境を整備し、情報提供を強化すること。加えて、居場所を運営する団体の経営の安定性や人材確保・雇用の安定につながる府独自の支援体制を構築すること。
【背景】
令和7年3月に「第三次大阪府子どもの貧困対策計画(大阪府子ども計画に包含)」を策定。市町村や関係部局と連携し、生活支援、教育支援、孤立防止など総合的に取り組む。
地域間格差の是正:大阪府内でも地域によって支援体制や施策の充実度に差があることに加えて、平準化が求められる。
f子どもの虐待防止対策について
児童福祉司や児童心理司、相談員など専門人材の育成・確保をさらに進めるとともに、警察、学校、医療機関など関係機関との情報共有や連携体制の構築を進め、早期発見・対応を強化すること。
【背景】
・大阪府では、児童虐待の通告件数が年々増加傾向。
・大阪府は、児童相談所の体制強化を進め、児童福祉司や心理職員の増員、専門性の向上を図っている。
・地域においては、子ども家庭総合支援拠点や子育て世代包括支援センターなどを設置し、子育て家庭への支援を行っている。
gヤングケアラーへの支援体制の整備について
情報源となる教育現場や地域での啓発活動を強化し、早期発見と認知度向上に取り組むとともに、福祉、教育、医療など多分野の連携強化に努め、重層的かつ継続的な支援を行うための体制を整備すること。また、総合相談窓口を設置するなど支援につなげる仕組みづくりを促進すること。
【背景】
ヤングケアラーは子ども自身や家族が「支援が必要な状況である」ことを認識していない場合も多く、ケアラーとの接点がある学校・職場等で周囲が存在に気づけるよう広く認知度を高める必要がある。また、ケアラー本人が相談窓口や支援制度へアプローチできるよう、相談先の周知活動もあわせて重要な取組みとなる。
4.教育・人権・行財政改革施策
(1)教職員の長時間労働是正と人材確保について
長時間勤務の是正に向けた取り組みについて効果・検証をはかるとともに、市町村とも連携を強化し、府立学校・市町村立学校における働き方改革をさらに促進すること。加えて、給特法等の一部改正により教職調整額が上がり、処遇改善としては一歩前進ではあるが、長時間労働是正策、教員一律の加算等、給特法の廃止もしくは抜本的な見直しを含め、引き続き国に強く求めること。
【背景】
教育の質を高め子どもの豊かな学びを保障するためには、教職員定数の改善、教職員や支援員等の労働条件を改善し人材確保をすることが重要である。
時間外在校等時間の上限(月45時間、年360時間)」を遵守するよう、課題整理のうえ抜本的に業務を見直し、教員の働き方改革を推進していく必要がある。
(2)子どものゆたかな学びを保障する教育環境の整備について
深刻化する子どもの貧困、虐待、いじめ、不登校、自死等への対策として、スクールカウンセラー(SC)、スクールソーシャルワーカー(SSW)の配置体制を更に拡大し、相談・支援実績を可視化すること。
【背景】
大阪府においては、子どもの貧困、虐待、いじめ、不登校、自死といった深刻な問題が複合的に進行しており、子どもたちの健全な成長と教育の機会が著しく損なわれている。経済的困難を抱える家庭の割合は全国平均を上回っており、特にひとり親世帯や外国にルーツを持つ家庭においては、教育・生活支援が十分に行き届いていない状況である。
(3)府立高校の統廃合について
統廃合により通学距離の増加や地域の教育の機会が減少するとともに、学校の閉校に伴う在校生や進学希望者の進路への影響、再編による教職員の異動や再配置、特色ある学科やカリキュラムが消失するなど、多くの課題に影響をきたす。地域が持つ特有の文化や自然環境資源の教育ニーズに応じた柔軟な学校づくりや地域包括的な教育機関の推進をめざすこと。
【背景】
少子化が進む中でも、高校の進学率は98.8%(令和2年度)となっており、府立高校がもつ公器としての役割、多様な子どもの学習・教育機会の創出に応える役割を果たすため、公教育の重要性をあらためて考える必要がある。
府立高校の統廃合が進むことで、「近隣に通学可能な学校がなくなる」「経済的負担の大きい私立高校しか選択肢がなくなる」など、学びの機会が確保できなくなる点について大きな懸念が生じている。
(4)奨学金制度の改善について
経済的な理由や家計が急変したことにより、高校・大学への進学の断念や退学することがないよう、大阪府独自の給付型奨学金制度の対象者枠を拡充するとともに、大学・大学院への進学に対する独自の制度創設を検討すること。また、企業向けの「大阪府奨学金返還支援制度導入促進事業」については、事業の効果・検証を行い、必要に応じて事業を継続するなどの予算措置を講じること。
【背景】
関西域内でも京都・兵庫・奈良・和歌山で、また大阪府内でもいくつかの市町村で、中小企業の人材確保・府県内の就業定着策として企業支援を行っており、中小企業へ向け、従業員の奨学金の返済支援負担額の一部を補助する伴走支援型事業を実施している。
(5)労働教育のカリキュラム化について
労働教育や労働安全衛生教育を体系的に学べるようカリキュラム化を推進すること。加えて、教員が労働に関する知識を深め、生徒に適切な指導ができるよう、指導体制を整備するとともに、労働組合役員や退職者などの経験豊富な外部講師を活用した教育活動をさらに充実させること。併せて、職業訓練校においても、労働教育を推進すること。
【背景】
アルバイトもワークルールへの理解は重要であり、いわゆるブラックバイト、闇バイトへの対策にもなるため、就職予定者だけでなく中学・高校での学校教育においても労働法制への学習機会が求められる。
(6)人権侵害等(差別的言動の解消)に関する取り組み強化について
2023年に開設されたインターネット上の誹謗中傷やトラブルに特化した専門相談窓口「ネットハーモニー」や、人権に関する各種相談窓口についても、広く府内に認知されるよう周知徹底し、活用を促進すること。加えて、相談体制を整えるとともに、相談事例や市町村別の事象を分析するなど実態把握に努め、人権施策を推進すること。
【背景】
大阪府ヘイトスピーチ解消推進条例が施行されているものの、差別発言等の人権侵害行為は無くなっておらず、継続した対応が必要。
近年はインターネット上での人権侵害事案も多発しており、「審議会」での議論経過を踏まえ実効性のある対策を進める必要がある。
(7)行政におけるデジタル化の推進について
デジタル化を進めるにあたり、デジタル人材を確保し、誰もが便利で快適に利用可能なデジタル行政を、市町村と連携したうえで促進すること。併せて、市町村ホームページからmy door OSAKA(マイド・ア・おおさか)へリンクさせ、利用者数の拡大をはかるとともに、デジタル機器に不慣れな府民へのフォロー体制を整備するなど、対応を推進すること。
【背景】
my door OSAKA(マイド・ア・おおさか)は、2024年8月29日に大阪府と堺市でサービスを開始。今後、サービスを提供する市町村やサービス内容の拡充を進めていく予定。
(8)「マイナンバー制度」の理解促進および「マイナンバーカード」の普及に向けて
公平・公正な社会基盤としてのマイナンバー制度の理解促進と一層の活用に向けて、府内市町村との連携を強化し、さらなるマイナンバーカードの普及促進をはかること。また本年は、マイナンバー制度がスタートして10年、マイナポイント事業開始(電子証明書)から5年が経過することによる期限切れ問題に加えて、運転免許証との一体化など、府民に混乱なく利便性の周知を徹底するとともに、セキュリティへの不安をなくし安心して利用できる環境を整備すること。
【背景】
・マイナンバーカード保有枚数率
全国79.2%:大阪府77.2%(全国43位)
全国指定都市78.5%:堺市77.9%・大阪市76.4%
・マイナンバーカードの『2025年問題』。2025年は、マイナンバー制度が始まって10年目。カード本体を更新しなければならない人が、約1200万人に上る。さらにマイナポイント事業開始から5年で、2020年にマイナカードを取得した人は、電子証明書を更新する必要があり、こちらは約1580万人に上る。
(9)府民の政治参加への意識向上にむけて
各級選挙の投票率が全国的に低下傾向にある中、特に若者の無関心層にどうアプローチするかが課題となっている。投票機会の確保、投開票の簡素化の観点から、電子投票を可能とする条例制定に取り組み、電子投票のデジタル機器確保に向けた予算措置を講じること。加えて、移動手段が制限された高齢者、障がい者、傷病者などの選挙権保障のため、郵便等投票制度の手続きの簡素化を進めること。
要介護3まで拡大するには法改正が必要なことから、大阪府としても国に対してはたらきかけること。
【背景】
総務省の有識者会議研究会は、2017年歩行が困難で選挙の投票所に行くのが難しい高齢者らの投票環境を改善するため、郵便投票の対象を拡大する報告書をまとめた。現在は「要介護5」が対象だが、「要介護3」まで対象に含めるよう提言した。だが、現在も法改正はされていない。郵便投票の対象が拡大すれば2022年時点で「要介護4」は約98万人、「要介護3」は約105万人も利用できるようになる。
5.環境・食料・消費者施策
(1)食品ロス削減対策の効果的な推進に向けて
令和7年度の大阪府食品ロス削減推進計画を早期に改定し、2030年度の目標達成に向けて、実効性のある施策を継続的かつ戦略的に実行すること。特に、外食産業をはじめとする食品関連事業者に対して積極的に働きかけ、「おおさか食品ロス削減パートナーシップ制度」への参加を促進し、「パートナーシップ事業者」の拡大を図ること。
また、2025年5月12日に公正取引委員会が、食品業界の商慣習である「3分の1ルール」が独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に該当する可能性を指摘したことを受け、大阪府としても「おおさか食品ロス削減パートナーシップ制度」に参画する事業者に対する周知を行い、商慣習の見直し(納品期限の緩和、適正発注等)に向けた取り組みを推進すること。
【背景】
大阪府では、令和3年に策定した「食品ロス削減推進計画」に基づき、府民・事業者・行政が一体となって食品ロス削減に取り組んでいる。2025年度(令和7年度)は計画の中間年にあたり、施策の進捗状況を評価し、必要な見直しを行う重要なタイミングである。
府内の食品ロスは年間約37.8万トン(事業系17.3万トン、家庭系20.5万トン)と推計されており、2030年度までに2000年度比で半減を目指す目標に対し、依然として大きな課題が残っている。
(2)フードバンク活動の課題解決と普及促進について
食品ロス削減と生活困窮者支援の両面で重要な役割を果たしているが、活動団体の多くが慢性的な人手不足や運営資金の確保、設備面での制約といった深刻な課題を抱えている。これらの課題を解決するため、府としてフードバンク団体への具体的かつ継続的な支援を行うこと。
また、活動団体が直面する課題に対して、相談窓口の設置や、行政・企業・NPO等の関係者で構成する「フードバンク推進協議会」の設置を検討し、課題解決に向けた協働体制を構築すること。さらに、フードバンク活動に対する社会的認知を高めるため、府民・事業者を対象とした広報・啓発活動を強化すること。特に、学校教育や地域イベント等を通じた啓発の機会を拡充すること。
加えて、食品寄附の安全性確保に向けて、行政と民間団体が連携し、衛生管理や品質管理に関する共通ルールの整備・周知を進めること。「フードバンクガイドライン」を地域で積極的に活用し、住む地域によって支援の質や量に差が生じないよう、市町村と連携して取り組みを標準化すること。
【背景】
大阪府では、年間約38万トンの食品ロスが発生しており、その一部を有効活用する手段としてフードバンク活動が注目されている。
しかし、活動団体の多くはボランティアに依存しており、安定的な運営体制の確保が困難な状況にある。特に、冷凍食品の取扱いに必要な設備や輸送体制の不足、個別支援に対応する人員の確保が大きな課題となっている 。
(3)消費者教育の展開について(カスタマーハラスメント対策)
大阪府内において、消費者による過度なクレームや迷惑行為(いわゆるカスタマーハラスメント)が深刻化しているにもかかわらず、現時点で包括的な条例やガイドラインが未整備であることは大きな課題である。従業員の安全と尊厳を守るため、カスタマーハラスメントの防止に向けた条例の制定に向けて、審議会等の環境整備を早急に行うこと。
また、条例策定にあたっては、現場の実情を反映させるため、労働組合や労働団体の参画を確保し、その役割と意見を明確に位置づけること。
東京都をはじめとする他自治体では、すでに条例やガイドラインの制定が進んでおり、大阪府としても「経済都市・大阪」としての責任を果たすべく、同様の制度整備に向けた議論を早急に開始すること。
さらに、消費者に対して倫理的な行動を促すため、カスタマーハラスメントの問題を正しく理解させる啓発活動や、学校・地域・企業を通じた消費者教育を体系的に展開すること。
【背景】
近年、カスタマーハラスメント(カスハラ)は、従業員のメンタルヘルスや職場環境に深刻な影響を及ぼす社会問題として注目されている。大阪府内でも、特に接客業や医療・福祉分野において、暴言・威圧的態度・不当な要求などの被害が報告されており、現場では対応に苦慮している。
大阪府では2025年4月より「中小企業カスタマーハラスメント対策促進事業」を開始し、支援機関の育成や対策ツールの整備に取り組んでいるが、これはあくまで中小企業支援に限定されたものであり、府全体としての包括的な制度整備には至っていない。
一方、東京都では2024年に「カスタマーハラスメント対策推進条例」を制定し、事業者に対して従業員保護のための措置を義務づけるなど、先進的な取り組みが進んでいる。
大阪府としても、他自治体の先行事例を参考にしつつ、独自の実情に即した制度設計を行う必要がある。
また、消費者側の意識改革も不可欠であり、単なるルールの整備にとどまらず、府民一人ひとりが「相手を思いやる消費行動」を実践できるよう、教育・啓発の両面からのアプローチが求められる。
(4)消費者教育の展開について(若年層対策・公共交通対策)
成人年齢の引き下げやICTの急速な普及により、若年層が消費者トラブルに巻き込まれるリスクが高まっているにもかかわらず、学校教育現場での対応には地域差があり、体系的な支援が不十分である。これを踏まえ、学校現場での啓発活動や支援体制の拡充を図ることに加え、保護者とともに学べる教材の作成や家庭での学習支援の仕組みを整備すること。
また、公共交通機関におけるトラブルや迷惑行為の増加に対応するため、利用者のマナー・モラル向上に向けた啓発活動を強化し、「公共交通の安全・安心な利用」につながる多様な対策を講じること。さらに、駅構内や車内での防犯体制の強化を図るとともに、防犯カメラの設置や警備員の配置など、公共交通機関事業者が独自に行う安全対策に対して、費用補助等の支援措置を早急に検討・実施すること。
加えて、「消費者保護審議会」への労働団体の参画を求め、女性・高齢者・障がい者など移動に配慮が必要な人々の安全な移動を保障するため、財政的支援を行うこと。
【背景】
大阪府では、若年層を対象とした消費者教育に関して、動画教材やクイズ形式のコンテンツなどを活用した取り組みが進められているが、家庭や地域との連携が十分とは言えず、保護者の理解や協力を得るための仕組みづくりが課題となっている。また、SNSや電子商取引を通じたトラブルが増加しており、ICTリテラシーを含めた教育の強化が急務である。
一方、公共交通機関においては、関西の鉄道事業者19社局が2025年3月に「乗降時のマナー(出入口ふさぎ)」をテーマにした共同キャンペーンを実施するなど、マナー向上に向けた取り組みが進められている 。
しかし、駅構内や車内での迷惑行為や犯罪行為は依然として発生しており、事業者任せでは限界がある。特に、女性や高齢者、障がい者など、移動に不安を抱える人々にとって、公共交通の安全性は生活の質に直結する問題であり、行政による支援と制度的な保障が重要である。
(5)特殊詐欺被害の未然防止の対策強化について
大阪府内における特殊詐欺被害は依然として深刻であり、令和6年には認知件数2,644件、被害額約61億円と過去最悪の水準に達している。このような状況を踏まえ、特殊詐欺の新たな手口や実態を迅速に把握し、府民に対する情報提供や注意喚起を効果的かつ継続的に行うこと。
特に高齢者を狙った被害が多発していることから、令和7年3月に改正された「大阪府安全なまちづくり条例」の内容について、より一層の周知徹底を図り、条例の実効性を高めるための広報・啓発活動を強化すること。
また、従来型のチラシ・ポスター・テレビCM等による周知についても、視認性や訴求力を高めた内容に刷新し、地域の実情に応じた配布・掲示を行うこと。
【背景】
特殊詐欺の手口は年々巧妙化しており、SNS型投資詐欺やロマンス詐欺など、従来の電話型詐欺に加えて新たな形態が急増している。大阪府では2025年(令和7年)に「大阪府安全なまちづくり条例」を改正し、特殊詐欺等の定義拡大、金融機関やATM設置者への義務付け、電子マネー販売時の確認強化など、包括的な対策を講じている。
しかし、条例の内容が府民全体に十分に浸透しているとは言い難く、特に高齢者層への情報伝達には課題が残る。高齢者が携帯電話で通話しながらATMを操作する行為の禁止や、金融機関による振込上限額の設定など、条例に基づく具体的な行動変容を促すためには、紙媒体や音声・動画を活用した多様な啓発手段が必要である。
また、SNS等を通じて若年層が詐欺の「実行犯」として巻き込まれるケースも増加しており、加害者側の抑止も視野に入れた教育・啓発が重要である。家族や金融機関、店舗などが高齢者に声をかけやすい環境づくりと、地域ぐるみでの見守り体制の強化が不可欠である。
(6)「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ表明」とその実践に向けた産業界との連携強化について
大阪府では「2050年カーボンニュートラル」の実現を掲げているが、府内市町村の中には依然として「実質ゼロ表明」を行っていない自治体も存在しており、地域間での取り組みの温度差が課題となっている。これを踏まえ、未表明の市町村に対しては、環境省の「地域脱炭素推進交付金」等の支援措置の活用を促進しつつ、自治体としても必要な政策パッケージの整備を行うこと。
また、官公庁・公民館・学校などの公共施設においては、国産の再生可能エネルギー設備、特に今後の成長が期待されるペロブスカイト太陽電池の導入を積極的に進めること。
さらに、「大阪府地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」に基づく主な取り組みの進捗状況や支援内容を広く周知し、府民・事業者の意識と行動の変容を促すこと。
加えて、政府の「グリーン成長戦略」における14の重要分野を中心に、産業界との情報交換・意見交換を強化し、地元事業所における取り組みの進捗状況や今後の推進計画を共有するとともに、規制の見直しやインセンティブの導入を含めた必要な支援を強化すること。
【背景】
大阪府は2025年2月に「おおさかカーボンニュートラル推進本部」を設置し、全庁横断的に2050年の温室効果ガス排出実質ゼロを目指す体制を構築している。また、大阪市では「ゼロカーボンおおさか」の実現に向けて、2030年度までに温室効果ガス排出量を2013年度比で50%削減する目標を掲げ、地域脱炭素先行地域としての取り組みも進めている
一方で、府内全体では市町村間の取り組みにばらつきがあり、特に中小自治体では人材・財源の不足から脱炭素施策の推進が進んでいない現状がある。また、府民や中小企業に対する情報提供や支援制度の周知が不十分であり、行動変容につながっていない点も課題である。
さらに、再生可能エネルギーの導入においては、コストや設置スペースの問題から導入が進みにくい状況にあるが、軽量・柔軟で都市部にも適したペロブスカイト太陽電池の普及は、今後の大きな突破口となり得る。産業界においても、脱炭素化は「制約」ではなく「成長の機会」として捉えられており、府としても規制緩和や技術導入支援、グリーンファイナンスの活用など、成長を後押しする政策支援が重要である。
(7)再生可能エネルギーの導入促進について
大阪府では「大阪府気候変動対策の推進に関する条例」に基づき、再生可能エネルギーの導入を推進しているが、導入にかかる初期コストや技術的ハードルが依然として高く、特に中小事業者や個人住宅における導入が進みにくい状況にある。これを踏まえ、調査・開発・導入にかかる各段階において、補助金や税制優遇などの支援措置を拡充すること。
また、再生可能エネルギーの効率的な活用を図るため、高効率・大容量の蓄電技術の開発支援や、地域単位でのエネルギー最適化を可能とするスマートグリッドの構築に向けた支援制度を整備すること。
【背景】
大阪府内では、太陽光発電や蓄電池、V2H(Vehicle to Home)などの再生可能エネルギー設備に対して、各市町村が独自に補助金制度を設けており、2025年度も多くの自治体で導入支援が実施されている。しかし、補助制度の内容や申請条件には自治体間でばらつきがあり、府全体としての統一的な支援体制が重要である。
また、再エネの導入が進む一方で、発電量の変動性や夜間の電力供給といった課題に対応するためには、蓄電池の普及とともに、地域全体で電力を最適に制御するスマートグリッドの整備が不可欠である。現在、大阪府では「おおさかスマートエネルギーセンター」を中心に情報提供や技術支援を行っているが、制度面・財政面での後押しが不足しており、民間投資を呼び込むためのインセンティブ設計が急務である。
さらに、再エネ導入の拡大は、地域経済の活性化や雇用創出にもつながる可能性があり、単なる環境対策にとどまらず、成長戦略の一環として位置づけるべきである。