ここから本文です。
府内の読書活動の事例紹介(学校等)
生活の場ごとの読書活動事例(学校等)
子どもの生活の場における読書活動の取組のヒントとなるよう、子どもが読書への興味・関心が高められるような読書活動や、読書活動時間を取ることができない保護者への活動、子どもが主体となって実施する活動等、府内の教育保育施設、学校において実践されている取組事例をご紹介します。
その他、小中学校の学校図書館を活用した授業実践例も掲載されていますので、ご覧ください。
教育保育施設(保育所・幼稚園など)
様々な絵本の読み聞かせ
≪大阪市立平野西保育所≫
1分間の座布団読み
- 月に1度、お迎えの際に保護者に1分間で読むことができる赤ちゃん絵本の読み聞かせを行ってもらっている。
- 保護者と乳幼児のスキンシップの時間の確保、乳幼児の本離れの解消、保護者も乳幼児も一緒に絵本の面白さを感じてもらうことを目的として平成25年より実施している。保護者の膝に座って絵本を読んでもらうことから、座布団1枚のスペースでできる「座布団読み」と名付けて行っている。
- 絵本の読み聞かせの大切さはわかっているが、年齢に応じた長い本を読まないといけないと感じており、時間が取れないと思っている保護者が多い中、1分程度で読み切れる赤ちゃん絵本を用意し、忙しい保護者でも無理なく取組むことができるものとなっている。
〔効果〕
乳幼児は毎月の座布団読みの日を楽しみに待ち、めあての絵本を持って嬉しそうな顔をして保護者の膝に座ってお話を楽しんでいる。
忙しい日々の中でも1分という短い時間の中で、本というツールを通して親子のコミュニケーションを図る一助となっている。
「月刊絵本」の日々(にちにち)読み
- 等しく読書環境が整備できるよう0歳児から5歳児全ての乳幼児を対象に、「月間絵本」を購入し、全員に配布している。
- 乳幼児は「自分の本」に愛着を持ち、毎月届く嬉しさから絵本がますます好きになり、大切にしている。
「月刊絵本」は1ヶ月間保育所で乳幼児の手元に置き、保育士が毎日順々に乳幼児1人の「月刊絵本」を選んで読み聞かせを行っている。内容は同じものを繰り返すが乳幼児にとっては今日読んでもらう本は「自分の本」であり、その日は保育士の前の特等席に座ってお話を聞き、特別な1日を感じている。
乳幼児は毎日お話を聞くことで、絵本の内容をしっかりと自分のものにし、お話の世界に入って楽しんだり、文字の読めない乳幼児でも自分で絵本を開いて楽しむことができている。 - 1ヶ月後に、「月刊絵本」を家に持ち帰ると、家で保護者相手に幼児自身が読み聞かせをしているという話も聞く。
また、絵本の内容が幼児の中に浸透すると、絵本の内容から運動遊びやお絵かきなど自ら遊びで表現したり、年長になると劇を創作するなど、自ら創造する行動が見られるようになっている。
〔効果〕
日々読みの実施により、絵本の世界を楽しみながら、ことばを覚え、自ら遊びや物語を作り出すなど、乳幼児の様々な力を養うことに繋がっている。
小学校
児童主体による読書活動の活性化
≪枚方市立西牧野小学校≫
図書委員による読書活動
- 平成30年度より、司書教諭及び図書部の教員の指導のもと、図書委員に所属している児童が全児童の読書ノートの進捗を把握することに加えて、読書量の多い児童に贈呈する「しおり」の作成や、おすすめ本の紹介、読書期間中の読み聞かせ等を行っている。
- また、同年度より、学校図書館担当職員を中心にして、「図書館オリエンテーリング」を実施し、授業に必要な蔵書をそろえたり、中学校区内の他の小学校と蔵書情報を共有したりすることで、調べ学習の内容や回数について共通点を持たせている。
〔効果〕
図書委員の活動を活発化させ、図書委員の児童が意欲的に活動できるようにすることで、図書委員が中心となって他の児童と学校図書館の利用や読書を繋げる取組が進んでいる。
学校図書館の活用
≪羽曳野市立古市南小学校≫
読書月間の設置
- 毎年、6月にあじさい読書月間、11月に秋の読書月間を定めている。
- 学校図書館の本を借りる際に、スタンプを押す「スタンプラリー」や「読書すごろく」「先生のおすすめ本」を読むなど取組んでいる。
家読の実施
- 全学年で家読を実施し、毎月「うちどくカード」に家読を取組んだ日や読んだ本を記入。
- 4月に保護者向けの手紙を出し、家庭での協力をお願いし、6月・11月の読書月間の期間には「おうちの人からのひとこと」をつけて家読の様子等、保護者からコメントをもらっている。
朝の読書タイムの実施
全校一斉で、毎日8時30分から40分まで読書時間を作っている。
ビブリオバトルの実施
- 主に高学年を中心に「ビブリオバトル」を実施している。
- 保護者に取組を見てもらうため、本番は参観で行った。
〔効果〕
家読を5年以上、朝読を10年以上続けて実施することにより、読書習慣がついてきており、家庭で読書をする児童の割合が増える等の効果が出ている。
また、読書月間には、家読の様子等について保護者からコメントをもらうなど、保護者を含めた取組を実施することにより、児童のみならず保護者に対しても、本への関心を広げ、児童の読書意欲を引き出すことに繋がっている。
中学校
学校図書館の活用
≪熊取町立熊取北中学校≫
読書センターとしての取組
〈来館しない生徒をいざなう図書館イベントの実施〉
図書委員が企画・運営を行い、スクールライブラリークイズ、ワークショップ、熊取町立全中学校図書委員交流会、町立図書館見学会など、本を介して多くの生徒が集う場となるようイベントを実施している。
〔効果〕
様々なイベントを実施することで来館する機会を作り、自分にとって楽しい場所、利用価値のある場所だと体験を通して知ってもらう取組となっている。
〈小学校への「本の読み聞かせ交流」の実施〉
小中連携の一環として、図書委員が、隣接の小学校へ昼休みの時間を利用して、支援学級を含む全クラスで読み聞かせを実施している。
〔効果〕
全児童から心温まる手紙が届けられ、小学生との繋がりを生む機会となっており、図書委員としての自覚や達成感が得られる活動となっている。
学習・情報センターとしての取組
〈「朝の読書」と「校内ビブリオバトル大会」の実施〉
年間を通し全校で朝の読書を行っており、それを発信する機会として校内ビブリオバトル大会を開催している。
全クラスで取組み、各図書委員がクラスで見本を示して発表し、その後、構成を考え表現を工夫した発表文章を、クラス全員で聞き合い、選出された代表が校内大会で披露している。
そこでチャンプ本(優勝本)に選ばれた代表が、大阪府中高生ビブリオバトル大会に出場している。
〈授業での図書館活用〉
主体的な学びをめざし、学校図書館司書と連携し、授業計画を立案し生徒と共有して進めている。
調べ学習では、生徒が課題に対して、集めた情報を整理し考察してまとめる。わかりやすく発信できるように話の展開を考え発表したり、相互評価して振り返ったりする等、問題解決法を学んでいる。
〈全国の新聞(134紙)活用〉
複数の新聞を読み比べ、物の見方や考え方を広げるねらいで図書館に見本紙を設置している。
全国紙・地方紙等、新聞それぞれの特徴や役割に気づくきっかけとなっている。
〔効果〕
図書委員が考え実施したアンケートの結果において「読むことが楽しいと思えていますか」「去年より本を読む時間が増えましたか」等の質問に、「はい」の回答が多くを占めていた。
また、考えて書く・話す・聞く等の、言語能力が身についたと実感している感想が見られた。
さらに、授業での図書館活用を通し自分で課題を見つけ、より深く学ぶという力・多くの資料や仲間の発表から、広い視野に立って物事を考える力・情報活用力等の育成に繋げることができている。
高等学校
学校図書館の整備
≪府立山本高等学校≫
利用者全てに利用しやすく親切な図書館 誰にでも優しい図書館をめざして
- 合理的配慮に基づきバリアフリーをめざして図書館内の整備を実施した。車椅子の生徒も図書館を利用しやすいよう入口扉を大きく広げ、書架の高さを低くし、更に書架の間隔を広くとる等の改修を行った。
- 図書委員活動のなかで、しおりにもなるリーディングトラッカーを手作りし、カウンターに置いている。
どの生徒も同じように学校図書館での読書を楽しむことができるような取組を実施している。 - 畳を敷いた閲覧スペースや一人でゆっくりできるコーナー等、誰もが本に親しめる居場所を作るようにしている。
〔効果〕
- 誰にでも利用しやすく親切な図書館となるよう取組むことで、生徒が多様性を自然に理解し合える環境となっている。
- 1万冊前後の年間貸出冊数があり、多くの生徒に利用されている。
支援学校
障がいのある子どもの読書環境づくり
≪府立東大阪支援学校≫
BOOK(ブック) FOREST(フォレスト)-おはなしの森-プロジェクト
平成28年度に「第3次大阪府子ども読書活動推進計画」の基本方針に基づき、本に親しみ読書の楽しさと大切さを知り、自発的な読書活動や読み聞かせ活動を行うことができる環境整備に取組むため、「BOOK(ブック) FOREST(フォレスト)-おはなしの森-プロジェクト」を実施した。
〈図書室の整備〉
重度重複の障がいのある児童・生徒が、様々な感覚を使って読書活動・読み聞かせ活動できるよう図書室中央にある柱を大きな木に見立てて、それを中心にみんなが集う「おはなしの森」をコンセプトに、壁紙・窓枠・暗幕を緑に、天井は空と雲をイメージしたカラーリングとし、児童・生徒がゆったりとおはなしを楽しめるよう工夫した「おはなしスペース」の整備を行った。
〈図書の充実と読書活動推進〉
印刷物を読むことに困難のある児童・生徒のためのマルチメディアデイジー等の読字支援機器による読書支援や、ページめくりが困難な運動障がいのある児童・生徒のためのデイジー図書・電子書籍と自助具等を組み合わせた環境の整備、書画カメラ等を導入した視覚支援によるグループ学習の推進等、様々な障がいや発達段階に応じた図書の充実と児童・生徒一人一人に合った読書活動を推進している。
〔効果〕
障がいのある子どもの状況に応じて一人一人が様々な形で読書活動ができるよう基礎的環境整備を整えたことにより、子どもが本やデイジー図書等を楽しむ様子が見られ、授業での図書室利用が大幅に増え、貸出冊数も増加している。