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平成30年12月委員会会議会議録
大阪府教育委員会会議会議録
※印刷用は会議録(PDF:464KB)をご参照ください。
1 会議開催の日時
平成30年12月21日(金曜日)午前10時00分開会
午前11時10分閉会
2 会議の場所
委員会議室(別館6階)
3 会議に出席した者
- 教育長
酒井 隆行 - 委員
竹若 洋三 - 委員
井上 貴弘 - 委員
岩下 由利子 - 委員
良原 惠子 - 委員
岡部 美香 - 教育監
橋本 光能 - 教育次長
中野 伸一 - 教育センター所長
木村 雅則 - 教育総務企画課長
村田 幸正 - 人権教育企画課長
水田 克史 - 教育振興室長
向畦地 昭雄 - 高等学校課長
網代 典子 - 支援教育課長
柴田 尚彦 - 保健体育課長
田中 実 - 市町村教育室長
坂本 俊哉 - 小中学校課長
桝田 千佳 - 地域教育振興課長
大野 広 - 教職員室長
田村 真二 - 教職員企画課長
柳生 国良 - 教職員人事課長
伊庭 亨 - 施設財務課長
佐々木 浩之
4 会議に付した案件等
- 議題1 知事からの意見聴取に対する回答の承認について
- 議題2 平成31年度「府立学校に対する指示事項」及び「市町村教育委員会に対する指導・助言事項」について
5 議事等の要旨
- (1)会議録署名委員の指定
竹若委員を指定した。 - (2)11月9日の会議録について
全員異議なく承認した。 - (3)議題の審議等
議題1 知事からの意見聴取に対する回答の承認について
議題の趣旨説明(教育総務企画課長)
知事からの意見聴取に対する回答について、大阪府教育委員会事務決裁規則第5条に基づき、教育長が代決により処理したことを同規則第7条第2項に基づき承認する件である。
条例案
- 職員の給与に関する条例等一部改正の件
質疑応答
- (井上委員)これは財政が厳しいためカットされていたものが戻ったのか、それとも民間と比較して、一般的に公務員の給与を上げようとしたものか。
- (村田教育総務企画課長)府の人事委員会が民間等の給与等と比較し、それに基づき給与の引き下げ勧告を行ったことに伴う条例改正である。
- (井上委員)わかった。
採決の結果
賛成多数により、原案どおり決定した。
(賛成者 酒井教育長、竹若委員、井上委員、岩下委員、良原委員、岡部委員)
議題2 平成31年度「府立学校に対する指示事項」及び「市町村教育委員会に対する指導・助言事項」について
議題の趣旨説明(高等学校課長、小中学校課長)
標記における「取組みの重点」について、決定する件である。
質疑応答
- (竹若委員)説明の中にもあったが、いわゆる働き方改革については、昨年は教員の資質向上のところで記載していた。今年は教育振興基本計画に則って、学校の組織力向上の箇所に変えたということだが、もう少し具体的に説明してもらった。同じ教育振興基本計画の重点項目で、平成30年度では教員の資質向上の箇所に記載しながら、平成31年度では開かれた学校の箇所で記載することなった変更の理由が少し分かりにくい。
- (網代高等学校課長)働き方改革を推進し、取り組んでいくためには、学校としてどういう体制を作っていくのか、学校長のマネジメントをどうするのかが必要になってくる。このため、組織力の向上の項目の中で、働き方改革について取り上げた。
- (竹若委員)今の説明でわかった。続いて目次について、例えば府立学校の方では、部活動の取り組みは、重点3の「豊かでたくましい人間性のはぐくみ」の中で「部活動の取組み」としてあり、小中学校の方では、重点6の「学校の組織力向上と開かれた学校づくり」の中で「部活動の在り方」としてある。「部活動の取組み」と「部活動の在り方」は内容的には似たものだと思うが、この点はどうか。府立学校に対する指示事項と市町村教育委員会に対する指導・助言事項とで、項目を揃えてはどうか。
- (桝田小中学校課長)小中学校では、中学校の部活動については、これまでも先生方は大変熱心にさまざまな工夫をしながら、各学校で連携等をしていただいている。その上で、働き方改革に伴い、学校全体として組織の中でもう一度部活動の在り方を見直していただきたいという趣旨でその箇所に入れている。
- (網代高等学校課長)府立学校では、部活動のあり方に関する方針の中には、働き方改革の視点もあるが、子どもたちの身体にとって過度な運動にならないようにするなど、そういう状況も踏まえて部活動を実施すべきということで、この項目に入れている。
- (中野次長)今説明したとおり、どちらの箇所に入れるにしても理由があり、おかしくはないと思うが、小中学校と府立学校で記載する項目箇所が違う点については、再度検討する。
- (竹若委員)よろしくお願いする。もう一つ、府立学校の「重点3 豊かでたくましい人間性のはぐくみ(7)【情報リテラシーの育成】」という項目があるが、これは小中学校の場合、小学生が対象にならないために敢えて記載しないのかと思うが、SNS等で中学生もかなり関係するところがあると思う。小中学校の方には項目がないので、検討してもらいたい。
- (岩下委員)府立学校に対する指示事項の2-5ページ(1)「未知の状況にも対応できる『思考力・判断力・表現力等』」のところで、コミュニケーション力と創造力を加えたらどうか。理由としては、今はインターネット社会なので、地球の裏側にいる人がこれをしたい、あれを作りたいと考えた場合、同じ考えの人々が集まれば、一つのプロジェクトができる、そういう社会になってきているので、コミュニケーション力や創造力が必要になってくるためである。この指示事項にもそのような言葉がよく出てくるため、追記したらどうか。
- (網代高等学校課長)ここの項目については、新学習指導要領に記載されていることを踏まえて記載している。確かにコミュニケーション力や創造力は大切なものなので、例えば2-6ページ(2)【グローバル人材の育成】のところでは、「コミュニケーション能力を育てるのが必要」と記載している。
- (岩下委員)2-26ページ(9)「読書活動の推進」の項目では、読書活動によって「創造力がつく」というような文言が出てくる。言葉は一つの文書の中で何回も出てくるのを目にすると、大事なところが重点的に頭の中に入ってくる。できれば追記をお願いしたい。
- (橋本教育監)高等学校課長が申し上げたとおり、新しい学習指導要領が今年の3月に告示され、この箇所はその学習指導要領において全面的に出ている言葉である。我々の意図としては、新しい学習指導要領の内容を徹底させたいため、そのまま引用して記載している。岩下委員ご指摘の趣旨は別のところで反映させたい。
- (岩下委員)2-7ページ(5)【人権尊重の教育の推進】のところで、アの同和問題について、どのような現状か。
- (水田人権教育企画課長)同和対策事業特別措置法があったときは、これに基づき同和問題に取り組んできたが、特別措置法が無くなったため、今は一般的な人権施策の一環として、引き続き取り組んでいる。同和問題は完全には解決されていないため、小中高、全てで取り組んでいるところである。
- (岩下委員)昔と比べると深刻な問題ではなくなったということか。
- (橋本教育監)人権教育企画課長が説明したように、特別措置法は無くなって一般対策化したが、部落差別事象は跡を絶っていないので、差別がある以上は同和教育を進めていく必要があるというのが大阪府の見解である。
- (岩下委員)了解した。
- (岡部委員)重点6の「学校の組織力向上と開かれた学校づくり」のところで、市町村教育委員会に対する指導・助言事項では、学校運営協議会のことが書かれているが、府立学校の方では、学校運営協議会のことは触れられていない。今年からコミュニティスクールが開始され、高校でも「地域との連携」「協議会が地域と連携して」という言葉がさまざまなところで出てきている。また、障がいのある子や不登校支援という面でも、地域の関係諸機関との連携がこれから必要になってくることは、数多く触れられている。府立学校の方でも、運営協議会をうまく活用していくことなどの文言を入れるべきだと思った。重点項目に入れるか、本編に入れるかと思うが、この点はどうか。
- (網代高等学校課長)学校運営協議会については、府立学校ではこの4月から全校で設置している。その中で、保護者や地域の方々に委員になっていただき、意見を頂戴しているところである。また、学校経営計画を立てる際は、基本方針となる目指す学校像や中期的な目標についても審議をいただくということで進めている。この指示事項の中では、本編に学校運営協議会の意見をしっかり聞いた上で学校運営を行うことについて記載する予定である。
- (良原委員)2-6ページの府立学校に対する指示事項の重点2「障がいのある子どもの自立支援」のところに、新しくスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーといった言葉が加わっている。支援学級だとイメージできるが、支援学校におけるスクールソーシャルワーカーの活用というのは、具体的にはどのようなことか。
- (柴田支援教育課長)支援学校においても、府立高校と同様に問題行動が起こっており、その生徒の問題行動の背景には、生徒の生活基盤や家庭環境に深刻な場合がある。そのため、学校は生徒に直接アプローチするが、家庭に対しては、教育的アプローチに加えて福祉的アプローチを熟知した人材との連携が必要になる。その部分は高校と同じだが、支援学校で不登校になると、職場実習等に参加できず、残念ながら就労につながらないというケースもあるため、改善を期待している。
- (良原委員)今の支援学校では、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーは配置という形ではなく、各学校が苦労しながら工夫して活用されている。この点について、中学校と同様にスクールカウンセラーを全校配置する、あるいは時間数は少なくても高校のように全校配置するなどのいろいろな配置の形が考えられる。スクールソーシャルワーカーの配置についても、支援教育課だけで取り組むのではなく、小学部・中学部・高等部があるのだから、小中学校課、高等学校課、高校再編整備課など、課や室を越えて、オール大阪のような形で、支援学校にいる子どもたちをサポートしていただきたい。
- (井上委員)府立学校に対する指示事項と、市町村教育委員会に対する指導・助言事項は、それぞれ現場の先生にはどのように伝わっていくのか、そのプロセスを教えてほしい。
- (網代高等学校課長)府立学校については、まず校長にこの取り組みの重点について説明し、それを踏まえて各校長は学校経営計画を策定する。冊子になったものや取組みの重点の内容については、各学校において、職員会議など全職員が集まる場で、教職員にしっかりと周知説明している。指示事項については教職員一人ずつに配付する。
- (井上委員)年度初めに説明した後、年度中に見直しをするなどは定期的に行っているのか。見直しは来年度の大きな方針で非常に大事だと思うので、形式的に初めに一度説明して終わりではなく、3か月に1回とか半年に1回とか、教職員がきちんと内容を認識しているかを確認し、見直す必要がある。
- (向畦地教育振興室長)特段、何か機会を設けて定期的にこの指示事項を見直すということではないが、折々に、この指示事項に関係する事象が起こるので、その都度、関係する部分について確認しながら教職員を指導している。また、学校経営計画については、この指示事項を踏まえて策定している。実際には1月に教職員と意見交換をしながら案を作成、教育委員会とも調整し、4月には再度全教職員に学校経営計画を周知する。それと、進捗状況を共有したり、次年度の学校経営計画に向けて評価をしなければならないため、定期的ではないが、節目となる4月、11月から1月頃、3月などに共有している。
- (酒井教育長)要するに、PDCAサイクルとしてきちんと回しているのかということかと思う。
- (井上委員)しっかりと先生方に、認識させ続けることが可能なのか。
- (酒井教育長)指示事項を校長に示して終わりではなく、指示された内容を踏まえ、学校経営計画として校長が策定したものを学校として共有する。そして、それらの項目について定点観測を行い、できているものとできていないものの仕分けをし、できていないものはなぜできていないのか、課題を教育委員会と共有し、次の改善につなげる。私の認識では、学校全体のPDCAサイクルのベースとなるのが指示事項である。
- (桝田小中学校課長)市町村教育委員会に対しては、2月に市町村の教育長に指導・助言事項の内容を説明する。これを受けて各市町村教育委員会で、府から重点であると説明された内容を基に、同じような作業をする。府から示された内容を見ながら、各市町村の現状を踏まえて各教育委員会内で考え、3月中には各学校に対し、府教育委員会が各府立学校に対するのと同じように、冊子やリーフレットなどの形式により作成し、4月には各学校長に伝える。それを受けて各学校では、校長から各先生方に伝えられる。その点検方法については、それぞれの市町村でさまざまだが、例えば、夏休みは子どもたちが登校しないため、ゆっくりと学校の状況が把握できるので、学校訪問を行い、表簿等の管理や、教育内容の進み具合等について教育委員会が各学校にヒアリングする機会を設けており、その際に併せて点検を行っている。2学期、3学期はかなり忙しくなるが、2学期中にどこかで一度、最近では退職した校長が学校支援チーム等を作っており、そのチームが学校訪問を行い、学校の状況、特に子どもたちの状況を照らし合わせて確認する機会を設けている。
- (井上委員)この冊子自体は、誰が見るのか。どこまでいくのか。
- (桝田小中学校課長)市町村は、市町村の教育委員会に配られる。
- (井上委員)教育委員会の事務局の方々か。
- (桝田小中学校課長)各学校へは参考として配られる。全ての先生に配られるわけではない。
- (井上委員)校長先生は参考程度に読むということか。
- (桝田小中学校課長)市町村が学校向けに作ったものが、各先生のところまでいく。
- (竹若委員)市町村の例を紹介すると、私も中学校の校長をしていたが、今説明があったように、府教育委員会からの指導・助言事項を受けて、各市町村教育委員会がそれを反映させて作り直す。それを、4月当初の第一回の校長会で、教育委員会の所管から各校長へ指示をする。それぞれの学校現場では、学校に対する指示事項について職員全員分の増刷りをして、4月早々にある第一回目の職員会議で周知徹底している。教育長からも話があったが、学校によってシステムは違うが、いわゆるPDCAサイクルをどう反映させるかについては、最近の学校では周知してくれていると思う。違う質問だが、人権問題のところ、同和問題に「(部落差別)」が今回初めて加わった。国の方針で加わったということで、説明はそれぐらいしかできないかとも思うが、少し軽いように思う。特に同和問題、部落差別については、教育委員会が取り組んできた長い歴史があり、非常に苦労した時期もあった。それだけに、重みもあると思う。文言はこれしかないが、説明する際には、重みのある説明をしてもらいたい。そうすると、国が敢えて加えたということは、部落差別が現存するということを広く知ってもらえると思う。それから、直接文言とは関係ないが、小中学校の学力向上に関わって、施策を実施しながら、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどを配置することで、学習環境が整ってきたように思う。いじめの件や学級崩壊の件もそうであり、特に、小学校では荒れていた学校が落ち着いてきた。そのあたりのデータを示しながら、施策を実施することで、このような効果が表れたと市町村の教育長に説明し、それぞれが施策を活用しようと意欲が出るようにお願いしたい。最後に、先般、教育センターにおいてエンパワメントスクールに対する支援に関し、スクールソーシャルワーカー、キャリア教育コーディネーターが一堂に集まり、さまざまなケースについて報告を受けた。生徒たちにとって、より良い方向に進めてもらっているという報告を受け、ここまで来たかと大変うれしかった。ただ、気になるのは、スクールソーシャルワーカーを配置しているとはいうものの、スクールソーシャルワーカーの資質がこれから問われてくるのではないかと思った。エンパワメントスクールへの配置だけではなく、府教育委員会が抱えるスクールソーシャルワーカーの資質向上に向けて、努力はしてもらっていると思うが、なお一層お願いしたい。
- (良原委員)私も出席させてもらったが、キャリア教育コーディネーターとスクールソーシャルワーカーが同じ場にいて研修ができたということが、非常に大きな一歩だと思っている。そこは本当に感謝したいし、そのことによって、「まだここは工夫の余地がある」、「もっとここは力を入れ確実にしないといけない」ということが、明確に感じられた。また、昨年4月に学校教育法施行規則で、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの役割が明記され位置づけられた。これを受けて、今、チーム学校と言われているが、学校の一員、組織の一員として、この指示事項の内容を、先生方だけが知っているのではなく、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーにもきちんと意識してもらえる場があればありがたい。これだけスクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーのことを随所に書いてもらっているのは感謝するが、それだけ責任が大きくなっているということだと思うので、その点もお願いしたい。
- (井上委員)竹若委員の説明で、指導・助言事項は市町村へ周知されているという話だったが、私は巨大組織にこのような方針を周知するのは非常に難しいと思っている。府であれば校長を通じて直接情報を取れると思うが、市町村に関しては、先生方にこういった方針が周知されているのか、府からの指示事項だけでなく、各々の市町村が策定した方針が伝わっているのかもしっかり確認してほしい。巨大な組織なので、いろいろな先生方もいると思う。2-33ページ、「重点7 安全で安心な学びの場づくり(20)【子どもたちの生命・身体を守る取組み】のウで、「通告の対象となった幼児・児童・生徒に係る情報提供については、通告後に市町村または児童相談所に対し、おおむね1か月に1回程度、定期的に行うとともに」と書いているが、生徒等の生命に関わることなので、「最低1か月に1回」などと書けないか。
- (桝田小中学校課長)それは定期的な情報提供についてであり、その後に、「不自然な外傷など新たな兆候や状況の変化等を把握したときはすみやかに」と記載している。1か月に1回は定期的に、それ以外のことは速やかに通告するように、という意味で書いているが、伝わりにくいかもしれないので記載を工夫したい。
- (井上委員)おおむね1か月に1回程度というのは、何日間に1回程度なのか。
- (桝田小中学校課長)1か月に1回。
- (井上委員)細かいが、おおむね1か月に1回程度なら、40日か45日に1回行っていれば良いが、1か月に1回と明記すれば、必ず1回しなければならない。それ以外に何か起こったら速やかにということなので、1か月に1回なのであれば、「おおむね」と「程度」を消したほうがいい。
- (桝田小中学校課長)そのようにしたい。国がこのような文言なのでそのまま載せたが、確かにそのほうが子どもの安全を確保できる。
- (井上委員)国がおおむね1か月に1回程度と、そういっているのか。
- (桝田小中学校課長)はい。
- (井上委員)国に1か月に1回と伝えたほうがいいぐらいでは。
- (桝田小中学校課長)そのようにする。
- (岩下委員)2-11ページ、重点5(12)【不祥事の防止】については、不祥事は毎年増えていると感じるが、不祥事予防について、自己点検をするためのチェックリストがあると思う。それはどのように使われているのか。
- (伊庭教職員人事課長)年に2回通達を発する際に、直近の処分事例を交えた資料を送るとともに、チェックリストにより自己点検を行うように伝えている。府立学校ではそれを受け、学校長に職員会議等であらためて全職員に周知してもらっている。また、市町村に対しては、府立学校ではこのような指示をしているということを知らせ、市町村においても不祥事防止に向けた取り組みをお願いしている。
- (岩下委員)全学校で一人ひとりの先生がこの自己点検のチェックリストを使っているのか。
- (伊庭教職員人事課長)使用している。それにもかかわらず不祥事がなくならない状況ではあるが、毎年2回にわたり教育庁から通達を発して、全府立学校で、職員会議等を通じて全教職員に伝えてもらっている。
- (岩下委員)改訂版とあるが、いつ改訂されたのか。
- (伊庭教職員人事課長)全編の改訂は平成22年9月に行われたが、年2回通達を発するときに、直近の処分事例に関してポイントを絞った資料を再発行して、改訂版の一部改訂の再発行のようなことを行っている。
- (岩下委員)2-12ページ(14)【職場におけるハラスメントの防止】のところで、大阪府の職場におけるハラスメントは、全国と比較したらどうか。状況を知りたい。
- (伊庭教職員人事課長)府教育委員会における相談件数等は把握しているが、全国的な状況までは把握していない。そのような統計が文部科学省から出ているかも含めて、確認させてほしい。
- (岩下委員)わかった。
- (良原委員)今の岩下委員の発言にもつながるが、ここで服務規律の徹底だけでなく、「自ら考える機会を積極的に設ける」という文言が入ったのはとても素晴らしいと思う。絶対に言い訳ができないような不祥事もあれば、本人の思いに反して結果としてそうなってしまったというのもあるだろうし、そういう意味で、自ら考える機会は、未然防止だけでなく、再発防止に取り組む指導でもぜひ活用してほしい。チェックリストも、ただ点検するだけではなく、なぜ自分がこうなったのか、きちんと腑に落とせるようなプロセス、そこは教職員人事課だけではなく教育センターの役割も非常に大きいと思うので、今も議論していると聞いているが、さらに充実してもらうようお願いしたい。
- (岡部委員)市町村の指導・助言事項の「重点7 安心安全な学びの場づくり」の児童虐待防止に関して、自分の学校に所属している子どもの児童虐待については、先生の力で何とか発見し、防止や阻止に取り組むことも大事である。一方で、転校などで学校を移った際に、どちらの学校の責任かが分からなくなるときの問題が非常に大きい。先日実際に起きた事例で、香川県から東京都に移ったときに、東京都では相談するところがないために、大事な命がなくなったということがあった。それぞれ福祉の制度は市町村で違うが、学校はどこにでもあり、また学校では福祉の相談窓口がどこにあるかを把握している可能性が高い。学校の連絡体制を、その学校に所属している間だけでなく、当該児童が次の学校に移った後までできれば、少しでも助けられる子が増えると思う。ただ、それがあまりにも煩雑になると、先生方の働き方改革に関わる問題になる。行政がここまでという形で指示ができれば、先生方も判断しやすくなると思うので、今後検討してほしい。
- (岩下委員)2-27ページ「重点4 健やかな体のはぐくみ(11)【体力づくりの取組み】」については、だいぶ頑張っていただいた。まだ低いところはあるが、毎年、小学校・中学校での記録が上がってきており、うれしく感じる。昨年度に比べて50m走が良い結果が出ているため、同じ瞬発力の運動である、反復横跳びについてはやり方を指導してもらうと、数値が上がるのではないか。府は、体力向上の目標はどの辺りに置いているのか。環境はその地域によって異なるが、トップを目指すのかどうか。
- (田中保健体育課長)まず50m走と反復横跳びについて、瞬発力という意味では同じ領域だが、これらを含めてハンドブックを作り、先生方に子どもたちを指導してもらうようにお願いしている。確かに走る系がやや苦手という課題があるので、そのあたりを十分踏まえ、取り組んでまいりたい。府としての目標は、後期事業計画の中で、体力合計点のAからEの5段階の評価で、Eが最も悪いのだが、それを全国並みにするという目標を掲げている。特に平均点、合計点がトップレベルになるとか数値目標は特に掲げていないが、体を動かすことが好きになるように取り組みを進めているところなので、それを進めることで結果として向上していく、そういうサイクルを回していきたい。
- (岩下委員)わかった。
- (酒井教育長)私としては、スクールソーシャルワーカーやキャリア教育コーディネーターといった外部人材も含めて、課題のある全ての子どもたちを支えていくという点において、ご指摘いただいたように学校の組織の中できちんと位置付けをして、一丸となって取り組んでいくことが重要だと思っている。今年一年の成果も踏まえて、来年度以降の予算要求に反映させていきたい。
採決の結果
委員の意見を踏まえた修正を事務局に一任し、その他の箇所については原案どおりとすることを、賛成多数により決定した。
(賛成者 酒井教育長、竹若委員、井上委員、岩下委員、良原委員、岡部委員)
その他 12月18日の教育常任委員会に関する報告について
- (酒井教育長)予定していた議題は以上であるが、12月18日に教育常任委員会が開催され、その中でいくつかのご指摘があり、それを受けて事務局で鋭意検討中なので、委員の先生方と共有させていただきたい。府内中学校社会科の授業において、慰安婦に関して、歴史的事象を一面的に教えるなどの不適切な指導が行われたのではないかということが、12月18日の教育常任委員会で取り上げられた。府内の中学校のある社会科教員が、慰安婦の授業実践に関する取材を受け、その取材記事が全国に配信された。ある通信社が作成して配信するというもので、福井県、愛媛県等複数の地方紙に掲載された。記事により、当該教員が著書について取材を受けたことが判明した。ただ、記事は「慰安婦」について一面的に教えているように読み取れるものだったため、記事をご覧になった読者の方から、当該校および市教育委員会、府教育庁にも質問や抗議の電話、メールが多数入ってきた。こうした中で、10月12日および16日の府議会教育常任委員会において、この件に関する質疑があった。質疑の内容は主に2点で、1つは、この記事に対する府としての認識はどうかということで、これについては、記事が事実であるならば不適切な取扱いであると答弁した。もう1点は、記事の真否、記事が事実に基づくものなのかどうかとは別に、そのような不適切な指導が府内で行われていないか確認すべきというご指摘があった。これについては、府内の市町村教育委員会に速やかに調査を行って実態を把握し指導すると答弁し、直ちに調査を実施した。政令市を除く41市町村教育委員会に対して、心身の発達の段階に即しているかどうか、特定の見方や考え方に偏った指導はなされていなかったかを、また、当該市教育委員会に対しては、実際に記事に掲載されたような授業が行われたのかを調査した。その結果、41市町村教育委員会からは不適切な指導はなかったとの回答があった。また、府立学校に対しても学校長に報告を求めたが、問題はないとの報告だった。また掲載された問題の記事について、当該市教育委員会から何点か報告を受けた。記事の取材日に授業では慰安婦を扱っておらず、記事は当該教諭の過去の授業や著書をつなぎ合わせた内容であったことというのが一つ。二つ目だが、学校長に対して取材がどのようなものだったかについて全く報告することなく、新聞社から2度の取材を受け、校内で生徒の後ろ姿も映っていたということで、一面的な指導をしたと受け取られかねない記事掲載を当該教諭の一存で了承してしまったこと、記事が掲載された以降も、当該教諭から学校長に報告がなかったこと、などが事実として報告があった。先日18日の教育常任委員会では、こうした調査の結果、当該教諭に対する処分を検討せよ、報道などについてきちっと対応せよ、ということで質疑があった。各会派から多くの先生方からこの件についてご意見をいただいたが、それは、大きく三点だった。一つは、当該市教育委員会の調査結果は本当に十分だったのか、不十分ではないかということで、府教委として主体的に徹底した事実究明を行うべきであり、処分権限のある府教委としてきちっと適切な処分を行うこと、次に、あたかも取材日当日に慰安婦を扱う授業が行われたかのような記事が掲載されたことは社会的影響が非常に大きいことから、府としても、当該報道機関に対して見解を問うべきであるということ、また、事実関係が判明したなら会見を行うなどし、説明責任を果たすべきであること、最後に、一面的な偏った指導が行われることのないようにしっかりと市町村教育委員会、および府立学校に対して指導助言を行うこと、の3点だった。今後の対応だが、できるだけ早期に対応しなければならないが、年末年始もあり、事実関係については現在、当該市教育委員会の調査結果を精査し、再度、府としてきちんと確認することとする。また、当該教諭に対する処分については、調査結果の精査を行った上で、いかなる措置を選択すべきかということを判断することにしている。記事の内容に関する報道機関としてどういう見解なのか、きちんと聞かなければならないと思っているが、今後、対応については、事実を精査するプロセスの中で検討するつもりである。以上のような形で、府教育庁としては、適切な方法で説明責任を果たしてまいりたいと考えている。いずれにせよ、問題の本質は、多様な見方ができる、多様な考え方に基づいてきちんと指導しているということが大前提であり、特定の見方や考え方に偏った取扱いというのはあってはならないと考えている。