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平成30年3月委員会会議会議録
大阪府教育委員会会議会議録
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1 会議開催の日時
平成30年3月28日(水曜日)午前9時57分開会
午前11時38分閉会
2 会議の場所
災害対策本部会議室(新別館北館1階)
3 会議に出席した者
- 教育長
向井 正博 - 委員
竹若 洋三 - 委員
井上 貴弘 - 委員
良原 惠子 - 委員
岡部 美香 - 教育監
橋本 光能 - 教育次長
中野 伸一 - 教育センター所長
山崎 政範 - 教育総務企画課長
村田 幸正 - 人権教育企画課長
岸本 雅彦 - 教育振興室長
向畦地 昭雄 - 高等学校課長
松田 正也 - 高校再編整備課参事
大久保 宣明 - 支援教育課長
田中 一人 - 保健体育課長
田中 実 - 市町村教育室長
坂本 暢章 - 小中学校課長
坂本 俊哉 - 地域教育振興課長
大野 広教 - 職員室長
河西 陽三 - 教職員企画課長
古田 正 - 教職員人事課長
大武 基 - 福利課長
島 正子 - 施設財務課長
土佐 泰豊
4 会議に付した案件等
- 議題1 意見聴取に対する回答の承認について
- 議題2 大阪府教育振興基本計画における後期事業計画(教育委員会の権限に属する事項のみ)について
- 議題3 平成31年度大阪府公立学校入学者選抜方針等について
- 議題4 学校運営協議会の設置等に関する規則について
- 報告事項1 府立学校における働き方改革に係る取組みについて
- 報告事項2 人権教育基本方針・人権教育推進プランの改訂について
- 報告事項3 府立支援学校における知的障がい児童生徒の教育環境の充実に向けた基本方針について
- 報告事項4 平成31年度(30年度実施)大阪府公立学校教員採用選考テストについて
5 議事等の要旨
- (1)会議録署名委員の指定
岡部委員を指定した。 - (2)2月16日の会議録について
全員異議なく承認した。 - (3)議題の審議等
議題1 意見聴取に対する回答の承認について
議題の趣旨説明(教育総務企画課長)
次の事項に係る意見聴取に対する回答について、大阪府教育委員会事務決裁規則第5条に基づき、教育長が代決により処理したことを同規則第7条第2項に基づき承認する件である。
- 地方教育行政の組織及び運営に関する法律第29条の規定により、平成30年2月定例府議会に提出された議案について知事から意見を求められたことに対して、異議がない旨の回答をした。
- 地方教育行政の組織及び運営に関する法律第55条第4項の規定により、平成30年2月定例府議会に提出された議案について議会から意見を求められたことに対して、その趣旨、内容とも適当である旨の回答をした。
知事からの意見聴取にかかる議案
予算案
- 平成30年度大阪府一般会計予算の件(教育委員会関係分)
- 平成29年度大阪府一般会計補正予算(第5号)の件(教育委員会関係分)
- 平成29年度大阪府一般会計補正予算(第6号)の件(教育委員会関係分)
事件議決案
- 工事請負契約締結の件(大阪府立成城高等学校校舎棟改築工事)
- 大阪府公立高等学校定時制課程及び通信制課程修学奨励費貸付金に関する債権放棄の件
条例案
- 大阪府青少年健全育成条例一部改正の件
- 知事及び副知事の給料、手当及び旅費に関する条例一部改正の件
- 職員の特殊勤務手当に関する条例一部改正の件
- 職員の管理職手当の特例に関する条例一部改正の件
- 知事等の給料及び期末手当の特例に関する条例一部改正の件
- 大阪府職員基本条例一部改正の件
- 大阪府福祉行政事務に係る事務処理の特例に関する条例一部改正の件
- 大阪府認定こども園の認定の要件並びに設備及び運営に関する基準を定める条例一部改正の件
- 大阪府立学校条例一部改正の件
- 府費負担教職員定数条例一部改正の件
- 大阪府文化財保護法に基づく事務に係る事務処理の特例に関する条例一部改正の件
議会からの意見聴取にかかる議案
- 大阪府文化財保護法に基づく事務に係る事務処理の特例に関する条例一部改正の件
質疑応答
なし。
採決の結果
賛成多数により、原案どおり決定した。
(賛成者 向井教育長、竹若委員、井上委員、良原委員、岡部委員)
議題2 大阪府教育振興基本計画における後期事業計画(教育委員会の権限に属する事項のみ)について
議題の趣旨説明(教育総務企画課長)
大阪府教育振興基本計画における後期事業計画(教育委員会の権限に属する事項のみ)を定める件である。
質疑応答
- (竹若委員)授業改善に関して、前回指摘したことを追加いただき感謝する。その上で、これからの5年間という長いスパンであるが、数値目標等も含めて1年1年の達成度といったものを意識するのと、そうでなくただ単に年度が進んでしまうのでは、成果が違ってくると思うので、苦しいかもしれないが、点検評価の際に、達成点というものを点検してもらうことを切に願う。
- (村田教育総務企画課長)今の計画については、いわゆるPDCAサイクルで回すということで、教育行政の点検評価の審議会で、各分野ごとに十分にご説明の上、ご意見をいただきたいと思っている。
- (井上委員)資料33ページのグローバルリーダーズハイスクールのところは、目標を付け加えてもらってありがたく思う。他の都道府県ではこういう指定した学校には進学重点校のような名前がついている一方、大阪はわざわざグローバルリーダーズハイスクールという名前をつけているというのは、やはり府全体としてグローバルに活躍するリーダーを大阪から創っていこうと、またそれが日本にとっても大阪にとっても資することだということで名前をつけたと思っているので、こういった目標は非常に素晴らしいと思うと同時に、前回申し上げたように難しいことは重々承知しており、ハードルが高いと思うが、この5年間の計画には入らないが、府の予算であるとか、あるいは民間でも奨学金が最近増えてきているので、いずれかを用いて、毎年1人ずつでもいいので増えるように、世界の大学に進学できるようにするための経済的な支援を行うプランを検討していただきたいと思う。
- (松田高等学校課長)いただいたご意見について、具体的にどのようにするか、これから研究課題は多いと思うが、各学校意識してやっていきたいと思う。
採決の結果
賛成多数により、原案どおり決定した。
(賛成者 向井教育長、竹若委員、井上委員、良原委員、岡部委員)
議題3 平成31年度大阪府公立学校入学者選抜方針について
議題の趣旨説明(高等学校課長、支援教育課長及び高校再編整備課参事)
次の選抜方針について、決定する件である。
- 平成31年度大阪府公立高等学校入学者選抜方針
- 平成31年度大阪府知的障がい高等支援学校職業学科入学者選抜方針
- 平成31年度大阪府立支援学校高等部及び幼稚部入学者決定方針
- 平成31年度大阪府立富田林中学校入学者選抜方針
質疑応答
- (竹若委員)大阪府立富田林中学校の入学者選抜方針そのものは昨年と変わらない。一点聞きたいのは、スタートして丸1年が経過したわけだが、先だって富田林中学校を視察したときに、生徒たちの頑張りぶりは良く分かったが、やや気になったのは、スタートして2か月くらいで特に数学的な要素で学力に差が見られたことである。1年経過して、学校の状況、生徒の状況について、今この場で答えられる範囲で教えてほしい。
- (大久保高校再編整備課参事)以前、委員に視察いただいた際にご覧いただいたと思うが、火曜日の放課後に未来塾というものがあり、富田林高校の高校生たちが中学生を個別に数学と英語で支援するという取組みを早期から実施しており、高校の教員の協力も得て、定着している。今学校から聞いているのは、そういう数学を中心に見られた入学時の学力の差というのが、意図していたとおりだんだんと小さくなっており、比較的支援が必要であった生徒たちが、一生懸命頑張って追いつくような状況になってきているということである。
- (竹若委員)報告を聞いて安心したが、気になるのは、他の高校もそうかもしれないが、特に中学生ということで通学時間がかかる生徒もいると聞いている。そのあたりも今後意識してほしい。
- (大久保高校再編整備課参事)ご指摘いただいた点も含めて、丁寧な指導を心掛けていきたい。
- (井上委員)3-2ページの3「学力検査等」の項目の3の英語のところで、「外部機関が認証した」、つまり外部の試験を活用しましょうという趣旨は、なかなか大学入試改革の腰が重いので、大阪の高校からやっていこうということはかなり思い切った施策だと思うが、今まさに大学の入試における外部機関が認証した英語力判定テストの活用の方針が明らかになってきたので、我々が求めているところを、基準を定めて、適正さなどの観点からそれと照らし合わせて、見直す必要があるのかないのかなど、おそらくないとは思うが、今一度チェックをして、こういう基準にした方がいいのではないかということを、今一度やっていただきたい。今年の選抜には関係ないが、来年に向けて研究してほしい。
- (松田高等学校課長)ご指摘いただいたように、基本的に見直しをしていく必要があるかと思っている。前回、選抜の結果について説明したが、前回の基準については概ね妥当な設定であったと考えている。つまり、取得した外部検定と、その生徒が選抜で実際に取った得点の状況の相関については妥当なものであり、今はこの基準で実施しているが、今後も適宜見直しを行っていきたい。
採決の結果
賛成多数により、原案どおり決定した。
(賛成者 向井教育長、竹若委員、井上委員、良原委員、岡部委員)
議題4 学校運営協議会の設置等に関する規則について
議題の趣旨説明(高等学校課長)
標記について定める件である。
質疑応答
- (竹若委員)学校協議会から学校運営協議会に変わったことで、これからは、学校運営に関する基本的な方針の承認ということが非常に重要になってくる。おそらくそれぞれの学校の運営方針を議論して承認いただくことができると思うが、万が一、承認が得られない場合は想定しているか。
- (松田高等学校課長)万が一ということはあると思うが、その点については、会議において承認できない部分を議論いただいて、その後承認をいただく、ということになると思う。事前に十分な説明をし、議論していく中で解決していくことになると考えている。
- (向畦地教育振興室長)補足すると、学校協議会においては校長が次年度の学校経営計画について提示し、それについて十分意見をいただいた上で最終的に決めていくという手順を踏んでいる。そのために、学校運営協議会で承認をいただく部分は、従前の学校経営計画の目指す学校像であるとか、中期的な目標の部分を承認いただくという形にしているので、基本的にはこれまでどおり十分意見をいただいても承認いただけると考えているが、万が一さまざまな意見が出た場合であっても、前年度に次年度の学校経営計画の承認をいただくので、時間的にはかなり余裕をもって議論ができるようにしているので、なんとか時間をかけて丁寧に説明しながら、最終的には承認をいただけると考えている。
- (竹若委員)了解した。それともう一つ気になるのが、先ほど、学校運営協議会は職員の採用その他任用に関することについて教育委員会に意見の申出ができる、ただし特定の個人に係るものを除く、という説明があったが、具体的にはどういうことが考えられるか。
- (松田高等学校課長)基本的には各学校の運営方針を承認していただく、意見をいただくことになるので、次年度の、例えば学校の重点的な目標を実現するためにこういった人材が必要であるといった意見をいただくことが一番想定される。例えば各学校で、英語教育で頑張っていきたいということで、こういうことを指導できる人材を特に学校として配置します、といった意見が出てくるのではないかと思う。
- (竹若委員)目指す学校像にかかわっての職員の配置ということの意見を聞くということか。逆に言えば教育委員会に意見が上がってくるということだが、また大変な意見が上がってくるかもわからないが、そのあたりはまた事務局の方で頑張っていただかなければならない。
- (向井教育長)補足すると、規則の第14条で議事についての定めがあり、議事は過半数で決定するとされているので、もちろん大前提は異議なしの方向を目指すが、最終的には多数決で決定することになる。
採決の結果
賛成多数により、原案どおり決定した。
(賛成者 向井教育長、竹若委員、井上委員、良原委員、岡部委員)
報告事項1 府立学校における働き方改革に係る取組みについて
議題の趣旨説明(教育総務企画課長)
標記について報告する件である。
質疑応答
- (良原委員)1-2ページの右側の「4『外部人材の活用等人的措置』により教職員の負担軽減を図るもの」について、例えば、SSWの配置というのは、いろいろな課題に対してSSWを活用していきたいと思っている学校に配置していると思うが、具体的にどのように配置することが負担低減につながるのか、なにかイメージはあるか。
- (松田高等学校課長)SSWについては、徐々に配置校を拡大しているところである。やはり、特に経済的な問題や家庭的な問題といった課題を抱えた生徒がたくさんいる学校が、中退の多い学校になっている。エンパワメントスクールなどをはじめとして、課題を抱えた生徒の多い学校に配置している。配置の仕方については、外部のNPO等の配置も併せて考慮して、学校の実態に合わせて、どんな時間帯に、どんな回数で、どんな風な配置をしていくのが最も効果的かということを考え、各学校の状況を見ながら行っていきたいと考えている。
- (良原委員)各学校に合わせて検討しつつ、SSWを活用していくということか。
- (松田高等学校課長)そうである。
- (岡部委員)1-2ページの右側の「1『教育庁主催の会議・研修等の縮減等』により教職員の負担軽減を図るもの」の新しく検討中ということで「◇『大阪府公立高校進学フェア』について、参加形態の変更(検討中)」と書かれているが、どんな形で変更を予定しているのか伺う。
- (松田高等学校課長)公立高校進学フェアは毎年4月に実施しているが、従来各学校ブースを設け、主として個別相談形式で行っているところが多かった。ただ、実際にはその場ですべて決めるのではなく、それ以降の学校の説明会などに誘導することが目的であり、各学校が個別相談となると人数が必要となるので、プレゼン形式にし、少人数で全体に説明する。それ以上の細かいことについて知りたい方は学校見学会に来てください、学校のタイミングで説明会をやっています、という形にすることで、各学校も少ない教員で、広く効率的に広報できるということである。
- (岡部委員)フェアに関しては、確かに個別相談になると、ずっと並んでいるということがあるので、そういった工夫がされるということは働き方改革につながると思うが、一方で、学校での説明会に繋がった場合、学校での説明会は、授業のある平日にはできないので、土曜日や日曜日に行うことが考えられるが、その辺りの工夫については検討されているか。
- (松田高等学校課長)基本的には、各学校で土曜日に勤務の割り振りを変更して行うことになる。やはり広報は大事であるが、あくまで学校の日ごろの教育活動を中心に行っていく中で、無理のない範囲で設定していくことになると考えられる。
- (向畦地教育振興室長)補足すると、どの学校も年間で2回か3回、それ以上の回数の学校もあるが、教員の割り振りも含めながら説明会を実施している。説明会では多い場合は500人くらいの参加者がいるため、2人や3人の教員で対応することはできない。やはり半数程度の教員は必要となる。そうなると、個別相談についても、役割ごとに多くの教員で対応できるため、それは現在も行っている。それに加えて、進学フェアでの個別の対応で、10人、15人の教員に対応させるよりは、プレゼンテーション形式にして、4、5人の教員に任せるなどの工夫ができるのではないかと考えている。
- (岡部委員)働き方改革はとても大事なので、進めてもらいたいと思うが、それがかえって、中学校との連携の面で、説明が不足していると受け止められないように工夫してもらいたい。
- (井上委員)1-2ページの右の3にある、「業務に応じた勤務時間の活用」というのは、1時間目に授業が無い場合は、勤務開始時間がずれて、2時間目からになるということか。
- (古田教職員企画課長)いわゆる「ズレ勤」ということで、勤務時間は基本的には8時半から5時までだが、朝に立ち当番が有る場合は、勤務時間を7時半から4時までにするなど、校長が教職員の勤務時間をずらして設定できる。それにより、朝の1時間早めにするとか、夜に何か業務が有る場合は、朝は遅めに出勤して、その分夜の勤務時間を長くするなど、勤務が長時間にならないようにする。現在も運用しているものである。
- (井上委員)「ズレ勤」という言葉は、私個人は耳慣れないが、役所用語か、学校用語か。
- (古田教職員企画課長)主に役所でよく使う。
- (井上委員)この文書は役所や学校関係の人が見るので、いわゆる「ズレ勤」というのは意味があるとは思うが、一般の人が見ると分かりにくい。もう少し違う用語で書いた方が、一般の府民の方も分かるのではないか。もう一つ、1-2の左のページに、現状とそれに対する目標が掲げてあるが、年度ごとに目標を立てて、段階的に行っていくということはあるのか。
- (村田教育総務企画課長)これは5年間の計画になっているが、当然、毎年度で確認はしていく。ただし、年度ごとの目標というのは今のところ定めていない。
- (井上委員)最も望ましいのは、2018年度、2019年度の目標を置くということである。これは役所だけでなく民間でもそうだが、5年間の計画になると、この場合は2022年度の頭になって、急に慌てだすということが起こりがちであるため、ある一定のベンチマークは置いておいたほうが良いのではないか。皆さんは一生懸命生徒に向かうために勤務時間を減らせないとなると、画期的であった全庁一斉の退庁日とか、ノークラブデーなどは基準が明確であるので、時間などを基準にするのかは分からないが、毎年の努力目標を掲げておくことは大事だと思う。これは、今の現役の教員だけではなく、これからの優秀な教員の確保という点でも、今の大学生も、仕事のやりがいに加えて、公私の充実、プライベートの充実を求める人が多いと思われるので、学校の先生になっても、自分の時間を確保しながら、やりがいのある仕事もできると思ってもらえるように。5年間は非常に長いが、若い先生方を今後採用していくと思うので、その点を検討してほしい。
- (古田教職員企画課長)教員の毎月の勤務時間については、その平均値を前年度と比較し、校長に提示している。また、校長面談の中で、勤務が長時間になっている学校については、どのように取り組んでいくのか、確認してもらっている。各学校で状況が異なるのでなかなか難しいが、毎月の勤務時間を把握して、適宜、教育監からも指導している。
- (橋本教育監)補足させていただくと、私と副理事とで、全校長・准校長に対して面談を行う機会が、年に2回ある。春の目標設定面談と、2月ごろの開示面談である。その目標設定の時に必ず、現状の勤務時間を校長に提示し、減らしていくためにどのように取り組むのかを確認し、2月の開示面談の時も、取り組みの結果を確認し総括している。次年度も一層、力を入れて取り組んでいきたいと考えている。
- (竹若委員)平成25年3月の報告を見せてもらったが、そのときから比べて、今日までにどのくらい勤務時間が改善されたのか、データがあれば示してほしい。
- (古田教職員企画課長)平成25年から取り組んでいるが、正直なところ、勤務時間は増え続けていた。昨年度になって初めて、いろいろな取組みが功を奏し、勤務時間が減少に転じた。一人平均が、月28.1時間ということで、平成25年度のデータよりはまだ時間が長いが、減少に転じたところである。
- (竹若委員)平成25年度に比べれば、取り組みの効果があったということのようである。その中で、あえて厳しいことを言うが、教員の長時間勤務の主な理由が部活動指導であるというのが、65パーセントを占めていた。そのような状況の中、1-2ページの右に1番から6番まであるが、部活動関係は5番で、「定時出退勤日や週休日ノークラブデー(検討中)」、「学校休業日の導入(検討中)」、と、検討中のものが重なっており、検討はしてもらっていると思うが、大阪府の教職員の実情からして、内容が薄く、もう少ししっかりとした内容のものを提示できないのかと思う。教職員の働き方改革が出たときに、勤務時間の比較では、欧米の教員との比較がなされている。根本的に、欧米の教員と日本の教員は、勤務や仕事の内容そのものが異なると思う。本来ならば、そこからスタートしなければならないが、文部科学省は、今の教育を是とするという方向を示している中で、働き方改革の名のもとに取り組んでいくことは、仕方がないのかと思う。その上で、1番から6番の中で、大阪府教育庁としての売りは何か。
- (中野教育次長)内容が薄いというご指摘をいただいたが、クラブ活動のところに切り込んでいくため、今年度当初から、ノークラブデーを先駆けて実施している。まだ検討中のところもあるが、第一弾として、ここはやっていくということで、売りというか、重点的な項目であると考えている。ノークラブデーは「検討中」としているが、予算は通っており、モデル実施という位置づけである。単純に人を配置しただけで、勤務時間が減ることはないので、どのように配置すれば勤務時間を減らせるのか、教員の負担感も減らせるのか、研究しながら実施したいという意味での「検討中」ということである。ノークラブデーも増やせば勤務時間は減っていくと思うが、現場の実態と合わないような、掛け声だけで終わるのを懸念しており、実際に各学校で実施してもらえるような方法を研究したいと考えている。
- (竹若委員)大阪の生徒にとって、部活動が学校への行きがいになっている場合が多くある。部活動があるから、学校が楽しいという生徒がたくさんいると思う。その観点では、ノークラブデーの実施により、大阪の生徒を支えてきた面が希薄になるのが心配である。しかし今、スポーツ庁では、高等学校、中学校で幅広く休業日や練習時間の制限を設けている。検討中である項目について、早急に結論を出し、学校現場に周知してもらいたい。もう一つ、部活動の関係では、中体連、高体連ともよく話をして、生徒にとってより良いものとなるように、本来は働き方改革であるが、部活動を行っている子どもたちの思いを大切にして進めてほしい。
- (向井教育長)現在は検討段階であり、当初は明確な数値というのもあがっていた。ただ、全校一斉退庁日と、ノークラブデーを全校で100パーセント行うにあたり、反対の声もあるなど、なかなか難しい。一斉退庁日とノークラブデーと実施後に、連続して学校現場にお願いをするということについて、現状では、もう少し時間をかけた方がよいのではないか考えた。また、部活動指導員の導入の件もあるため、最終的に、それと並行して実施していこうということで、「検討中」という形になった。今後も、継続的に行っていきたいと考えている。
- (竹若委員)今の教育長のご発言はもっともである。人材育成の研修会などもあるが、できれば、ノークラブデーと教員の研修会の日を重ねるのも一つの方法ではないか。私も市で、ある曜日をノークラブデーにし、教員に研修に参加してもらうということを行い、成果が上がったことがある。検討してもらいたい。
報告事項2 人権教育基本方針・人権教育推進プランの改訂について
議題の趣旨説明(人権教育企画課長)
標記について報告する件である。
質疑応答
- (向井教育長)2-2ページの下にある、「「人権教育推進プラン」改訂の主なポイント」にあるように、この19年の間に社会情勢の変化があったため、新たな課題に対応したものである。
- (竹若委員)2-2ページの右下にある「記述順序・用語整理」で、「同和問題(部落差別)」という文言がある。これまでは「同和問題」としか書かれていなかったが、何か意味はあるのか。
- (岸本人権教育企画課長)国が、法務大臣と文部科学大臣で年1回、白書を発行している。法律が改正され、その後白書が発行されたが、そこで「部落差別」という記載に変更されていたため、国にも確認をしたうえで、この記載に変更した。
- (井上委員)関連した質問だが、「同和問題」に「(部落差別)」と文言を追加した理由はどこかに説明があったのか。
- (岸本人権教育企画課長)白書の中のどの部分ということか。
- (井上委員)白書の中なのか、あるいは作成するにあたって、「同和問題」と言われても認識されない場合があるために文言を追加したなどの趣旨説明をしている箇所があったのか。
- (岸本人権教育企画課長)文部科学省に確認したところ、今後は、この文言にするということであった。
- (井上委員)わかった。以前の「子ども、同和問題、男女平等、障害者、高齢者、在日外国人」という順番が、「女性、子ども、高齢者、障がい者、同和問題(部落差別)、在日外国人」に変わったのは、どういう趣旨か。
- (岸本人権教育企画課長)既存の「人権教育基本方針・人権教育推進プラン」は平成11年3月に策定したが、平成12年に人権教育啓発推進法が施行され、それを受けての啓発白書が年に1回発行される。そこでの掲載順序が今般改訂された順番になっているため、合わせて変更した。
- (中野教育次長)「部落差別」という文言が入った趣旨や背景については、国に確認する。
- (井上委員)「同和問題」については、この言い方では日本全国で認識されない場合もあるからではないか、と単純に理解していたが、順番の変更については、女性に関する人権の問題が、社会的に課題が大きくなってきているから、男女平等ということも踏まえて、前にもってきたのかと考えていた。変更されたということは、何か理由があるのではないか、疑問に思う人もいるかと思うので、聞けるのであれば、国に聞いてほしい。
報告事項3 府立支援学校における知的障がい児童生徒の教育環境の充実に向けた基本方針について
議題の趣旨説明(支援教育課長)
標記について報告する件である。
質疑応答
- (岡部委員)3-2ページの2の2(3)の「府立高校内に支援学校分教室の設置」という案について、既に、府立高校には共生推進の教室があったり、自立支援があったり、府立高校の中に支援教育ができるところがあるが、そういったところとは、どのように機能を分けていくのか、また協力していくのか。
- (田中支援教育課長)自立支援コースは、知的障がいのある生徒が、高等学校を本籍とし、1学年につき、3人から4人である。共生推進教室は、職業学科を設置する支援学校を本籍とし、週に4日高校に通い、残り1日は支援学校で授業を受けるものである。こちらも学年3人である。分教室の設置は、共生推進教室に近い形だが、スポーツや芸術など高校の専門性とうまく協調しながら、運営していくものである。共生推進教室と似ているが、より高校の専門性を活かす内容を検討している。
- (岡部委員)高校の専門性を活かすという点が特色であり、ぜひ推進してもらいたいと思うが、2点伺いたい。今はまだ、高等学校には特別支援に関して専門的な知識や技能をもっている教員が他に比べて少ないという現状があるが、その点をどう強化していく予定なのか。もう1点は、府立学校内に特別支援教育ができる所を作るというのは、ノーマライゼーションの観点から良いことだが、府立学校に通う高校生とうまく交流するにあたって、どのような工夫を考えているのか。
- (田中支援教育課長)教員の専門性の向上については、同じ敷地内に支援学校の教員がいるので、教員どうしの交流が可能である。そこで府立高校の先生にも支援教育の様子を見てもらえるかと思う。高校生と支援教育の生徒との交流について、具体的にどのような教育課程を組むかは、これから検討するが、他府県では、情報処理の授業で、そこの高校生と支援学校から来た生徒が2人で机を並べて授業を受けながら、生徒どうしの交流も共同学習という形で行われていた。そういうことも取り入れていきたいと考えている。
- (岡部委員)実際に、一人ひとりのニーズに合わせて、教育課程を組んでいくというのが、今回の学習指導要領で勧められていることである。他の人と一緒に授業を受けることや、進路を一緒に考えることといったノーマライゼーションができるだけ進むように、社会に出てからもそのような交流ができるような高校生が育つ工夫を、今後も検討してもらいたい。
- (良原委員)知的障がいのある児童・生徒数の増加に伴っての方針だと思うが、資料によると、知的障がい児童・生徒数も増えるが、自閉症や情緒障がいの生徒数も増えるとある。この自閉症や情緒障がいの生徒数の増加に対しては何か対応するのか、この基本方針の中に含めるのか、教えてほしい。
- (田中支援教育課長)平成19年に学校教育法が改正され、知的障がいだけでなく、発達障がいの方も支援教育の対象となったため、数の増加に影響していると考えられる。発達障がいの方で知的障がいのある児童生徒も、この1,400人の中に含まれていると考えているため、合わせて取り組んでいくということになる。
- (良原委員)発達障がいの方にどのように支援していくかを考えると、先ほどの入学者選抜などは、人数が増えていくと、選抜に関わる先生たちがすることや考えることが増えていくと思う。すぐに何かすべきということではないが、検討してほしい。支援学級や通級指導など色々なところに入学するためには、本人の意思や家族の考え、学校の現状もあり、通学区域の問題とも関係するかもしれないが、どのように入学してもらうのか、具体的な考えはあるか。
- (田中支援教育課長)選抜を実施しているのは、自立支援、共生、職業学科を設置する高等支援学校である。これは募集定員があるので、選抜を実施している。支援学校については、入学者決定ということで、選抜は実施していない。小中学校でいえば、地域の支援学校の小学部、中学部、高校段階では、支援学校の高等部に入学するという形になる。
- (良原委員)ニーズが増えていけば、今の定員から検討することも考えなければならない。
- (田中支援教育課長)そうである。今のところは、職業学科を設置する高等支援学校については一定の水準で推移しているため、特に定員を増やすことは考えていない。
- (竹若委員)10年間で約1,400人が増加する見込みで計画を策定したということで、気になるのが、毎年度、地域によって多少数値は異なるが、例えば大阪市だと、平成30年度から31年度の1年間で62人増える推計になっている。地域差はあるが、毎年20人から30人増えていく中で、その年度ごとの計画を早く現場に示してほしい。通学区域の変更もあると思われるし、障がいのある子どもたちや保護者に不安を与えることになってはならない。
- (田中支援教育課長)毎年度、地域や学校の状況も見ながら、計画的に進めていくよう、細かく実施していきたい。
- (井上委員)この報告事項に関して、東京都目黒区の話なので、大阪と状況が異なる話かもしれないが、ある幼稚園に通っている子どもが、幼稚園の先生などに、学びが少し遅いと指摘を受け、目黒区に相談するように勧められた。区の指定か何かの、専門の先生に受診をして検査をしたほうがよいと助言され、医師に受診の予約を入れたところ、3か月から4か月先にならないと受診できないと言われたそうである。大阪でも同じような状況であれば、解消しなければならないと思うし、保護者は非常に不安な状態で3か月、4か月待つことになる。子どもの状態を把握できるまでの期間を短くしてあげてほしいと思う。また、保護者がすぐに相談できて、子どものケアがすぐにできることが、生徒の活躍、成長に繋がると思われる。何か状況が把握できるのであれば、教えてほしい。
- (田中支援教育課長)1,400人も増える要因については、東京と大阪の違いもあるかもしれないが、乳幼児健診が非常に発達しており、かなり小さなころから、発達の状況が把握できるようになってきた。そこで、保護者が保健師などに言われて以降、この子にとってどのような教育がよいのかということを早い段階から熱心に考えるようになってきている。さらに、年齢が上がるにつれて、少し発達に障がいがあるかもしれないということであれば、大阪では小中学校に上がる際に、就学相談をされ、保護者も話をして、支援学校に入学されるということになる。
- (井上委員)その子どもは、幼稚園の年中か年長だったが、保護者がそのような指摘を受けて、不安になって相談に行くと、専門の先生に受診するのが3か月か4か月と言われたということで、常識的に考えて、1か月以内に受診できるようにならないのかと思ったため、大阪でも同じ状況だったら、先生を増やすとか、その子にとって一番良い選択を早期にできるような仕組みを作ってもらえたらと思う。
- (向井教育長)大阪では、各学校に支援学級があるため、就学相談という形で支援学校や各市町村の教育委員会などに相談に行けば、そこで対応してもらえるはずである。
報告事項4 平成31年度(30年度実施)大阪府公立学校教員採用選考テストについて
議題の趣旨説明(教職員人事課長)
標記について報告する件である。
質疑応答
- (岡部委員)この選考方法について何かしてほしいということではないが、今年の選考を見て、来年度に検討できたらしてほしいが、4-3ページで「小学校の「英語」に関する加点を拡大」や「小学校等の第3次選考テスト(択一式)に「英語」の問題を出題」という改正点があるが、小学校の英語に関する加点のところに、「中学校・高等学校「英語」免許所有者」とある。中学校・高校では「読み・書き」ということが重視されており、「話す・聞く」という方向に重点が置かれてきているとはいえ、まだ大学では文学の勉強などが重視されているところがある。小学校英語は「話す・聞く」と「表現ができる」というところが重視されていることを考えると、中学校・高校の先生として英語ができるということが、小学校英語でどこまで通用するのかについては、まだ未知数なところがある。英語での表現の仕方であったり、英語の活用の仕方を教えることができる人材が集まる方が、小学校英語ではうまくいくと考えられるので、今回はこの基準で選考して、採用された学生が、小学校できちんと英語を教えることができたというのであれば、この基準で良いと思うが、小学校英語というのは、何か特別な技能が必要ということがこれで判明したとすれば、そのような基準を設定するなどの検討をしてほしい。
- (大武教職員人事課長)採用後もしっかりフォローし、よりよい採用選考制度を引き続き考えていきたい。