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平成21年6月定例教育委員会会議会議録
1.会議開催の日時
平成21年6月19日(金曜日)
午前9時30分開会
午後12時00分閉会
2.会議の場所
大阪府教育委員会委員会議室
3.会議に出席した者
- 委員長 生野 照子
- 委員 友田 泰正
- 委員 川村 群太郎
- 委員 隂山 英男
- 教育長 中西 正人
- 教育監 田中 保和
- 教育次長 向井 正博
- 教育総務企画課長 藤井 睦子
- 教育振興室副理事 紺野 昇
- 高等学校課長 津田 仁
- 支援教育課長 村上 慶太郎
- 副理事兼保健体育課長 中尾 俊治
- 市町村教育室長 藤村 裕爾
- 小中学校課長 角野 茂樹
- 地域教育振興課長 太田 浩二
- 教職員室長 角 善啓
- 教職員企画課長 大西 弘之
- 教職員人事課長 橋本 正司
- 財務課長 久木元 秀平
4.会議に付した案件
- 第1号議案 知事からの意見聴取に対する回答の承認について
- 第2号議案 平成22年度大阪府公立高等学校入学者選抜方針について
- 第3号議案 平成22年度大阪府立工業高等専門学校入学者選抜方針について
- 第4号議案 平成22年度大阪府立たまがわ高等支援学校入学者選抜方針について
- 第5号議案 平成22年度大阪府立視覚支援学校・聴覚支援学校・支援学校高等部及び幼稚部入学者決定方針について
- 第6号議案 大阪府立門真スポーツセンター条例施行規則の一部改正について
- 報告事項1 「府立高校のさらなる特色づくりの推進事業」の『進学指導特色校』『教育センター附属研究学校』『新たな専門学科(体育科)』の設置計画について
- 報告事項2 全国学力・学習状況調査の結果に係る情報公開請求について
- 第7号議案 公益信託の引受け許可について
- 第8号議案 大阪府スポーツ振興審議会委員の人事について
- 第9号議案 大阪府立図書館協議会委員の人事について
- 第10号議案 大阪府公立学校教員の懲戒処分について
- 第11号議案 大阪府公立学校教員の懲戒処分について
5.議事等の要旨
(1)会議録署名委員の指定
川村委員を指定した。
(2)議案の審議等
第1号議案 知事からの意見聴取に対する回答の承認について
議案の趣旨説明(教育総務企画課長)
地方教育行政の組織及び運営に関する法律第29条の規定により知事から意見を求められた平成21年5月定例府議会に提出された次の議案について、異議がない旨を回答した件につき承認を求める件である。
- 条例案
職員の期末手当、勤勉手当及び期末特別手当に関する条例等一部改正の件 - 事件議決案
大阪府立高等学校の授業料等支払請求についての訴えの提起の件
委員の質問及び意見
なし
採決の結果
原案どおり承認した。
第2号議案 平成22年度大阪府公立高等学校入学者選抜方針について
第3号議案 平成22年度大阪府立工業高等専門学校入学者選抜方針について
議案の趣旨説明(高等学校課長)
- 大阪府公立高等学校の入学者選抜について、選抜方法等の基本方針を定める件である。
〔主な改正事項〕
(1)前期入学者選抜全日制の課程専門学科における工業に関する学科(工科高等学校)の選抜について- (2)後期入学者選抜通信制の課程における面接の期日について
- (3)秋季入学者選抜の実施校について
- 大阪府立工業高等専門学校の入学者選抜について、選抜方法等の基本方針を定める件である。
委員の質問及び意見
- 生野委員長
通信制課程の面接の日程が3日になっているが、差障りはないか。 - 津田高等学校課長
実態に合わせており、差障りはない。 - 川村委員
提案されていることについて異議はない。ただ、海外からの帰国生徒等の選抜が2月にあるが、帰国は必ずしもその時期だけではない。海外への取組が遅れている。以前、事務局と話をしたときは後期にも考えるとのことだったが、明確にしたほうがよい。 - 津田高等学校課長
海外からの帰国生徒等については、年度途中でも受入れ体制をとるなど弾力的な対応をしてきている。現時点では大阪府トータルで募集定員に満ちていないが、一部では超えているところもある。その辺りの動向を見極めながら検討したい。 - 川村委員
府は、海外からの生徒受入れについてのオープンさが足りない。もっとPRするように。 - 生野委員長
PRについて重要だと思うので、検討すること。
採決の結果
第2号議案及び第3号議案について、原案どおり決定した。
第4号議案 平成22年度大阪府立たまがわ高等支援学校入学者選抜方針について
第5号議案 平成22年度大阪府立視覚支援学校・聴覚支援学校・支援学校高等部及び幼稚部入学者決定方針について
議案の趣旨説明(支援教育課長)
- 大阪府立たまがわ高等支援学校の入学者選抜について、基本方針を定める件である。
- 大阪府立視覚支援学校、大阪府立聴覚支援学校並びに大阪府立支援学校高等部及び幼稚部の入学者決定について、基本方針を定める件である。
委員の質問及び意見
- 生野委員長
たまがわは、多く応募があったと思うが。 - 村上支援教育課長
今年度から48名の定員を64名に増加させ、64名の募集に対し84名の応募があり、1.31倍の倍率となった。80%ほどの就職率も確保できた。 - 生野委員長
- 良い成果が出ている。できるだけ受入れがうまくいくようにと思うが、その辺りどう考えているか。
- 村上支援教育課長
- 周知も含め、中学校の進路指導で市町村教委にもお願いをし、学校の取組も相俟って志願状況も増えてきている。
- 生野委員長
今後とも受入れ体制を整えていくように。
採決の結果
第4号議案及び第5号議案について、原案どおり決定した。
第6号議案 大阪府立門真スポーツセンター条例施行規則の一部改正について
議案の趣旨説明(保健体育課長)
大阪府立門真スポーツセンター条例の一部を改正する条例の施行による指定管理者の指定の手続等の変更に伴い、所要の規定整備等を行う件である。
〔施行期日〕 平成22年4月1日等
委員の質問及び意見
なし
採決の結果
原案どおり決定した。
報告事項1
「府立高校のさらなる特色づくりの推進事業」の『進学指導特色校』『教育センター附属研究学校』『新たな専門学科(体育科)』の設置計画について
報告の趣旨説明(高等学校課長)
府立高校のさらなる特色づくりの推進事業について、『進学指導特色校』『教育センター附属研究学校』『新たな専門学科(体育科)』の対象校及び今後の整備の進め方について、報告する件である。
委員の質問及び意見
- 隂山委員
教育センター附属研究学校に一番期待している。府内全域の教育状況についての調査研究を通じて的確な指導研究をされるということだが、他の学校を率先してリードしていくことが必要である。センター的な役割を担っていただきたい。それと、注文としては、大学との連携もあるが、いずれ小中学校も自前で持って、影響力を発揮していってほしい。あと、これも考えてほしいのは、塾である。トップの進学校の生徒でも塾に頼っているところが大きい。大学入試制度もころころ変わっていて、今や情報戦の域に来ており、進学指導を一つの学校だけに委ねるのは難しくなってきている。センターのようなところで塾、予備校と連携しながら、情報集約をよりアグレッシブに取り組んでいってもらいたい。 - 生野委員
- 国際化ということについては、どうか。
- 隂山委員
今、日本が一番遅れているのは、国際化の視点である。世界からどう見られているかということを意識していないので、国内的な価値判断だけですべてが動いている。世界の教育がどうなっているのか、教師たちがどういう研修を受けているのかという国際性を視野において取り組んでいくことが大事である。 - 川村委員
隂山委員の意見に賛成である。一つ気になるのは、教科やカリキュラムに傾斜しすぎているのではないかということ。もっとグローバルな視点で考えていかなければならない。それと、例えば、体育科なら体育だけやっていればよいというのではないし、進学指導特色校ならチームワークや共同体意識も持つようにするとか、多様な意見を聴きながら自分の意見を持つような取組を進めるなどが大事。学校までが塾になってはいけない。18歳で卒業するまでに、先生や友人同士、先輩と多く話をし、人間とは何かとか、自分の一生を考える機会を持たないといけない。大学を卒業してもメールしか意思疎通の方法を知らない者がいるが、もっとフェイス・トウ・フェイスでやれるような人間育成をしていくことが大事である。 - 生野委員
この構想で、大阪がどういう風に子どもを育てたいかという理念を明確にするということも同時並行で進めていくべき。 - 川村委員
現在、特色ある学校づくりということで芸能文化科などの学科も設けている学校もあるが、人の観点、人間力の観点も育てていくということも取り組んでいく必要がある。 - 生野委員長
進学指導特色校だが、10校をひと一括りにしている感じがある。ネーミングの問題もあるが、まず、各学校の特色や目標、理念を前面に出すということも意識してほしい。 - 津田高等学校課長
委員からご指摘のあった点をベースに据えて、検討していくようにする。対象校については、実績や成果を有しているので、それをさらに発展させていく。ご指摘の趣旨を生かして、各学校と協議を進めていきたい。 - 友田委員
P3の下のほうで、「募集は専門学科として一括して行い、入学後、文科と理科に分かれる」とあるが、具体的にはどうするのか。 - 津田高等学校課長
一括募集した上で、生徒の希望を踏まえて実施していくが、配分や時期等は各学校に委ねる。 - 田中教育監
10校それぞれの個性を生かすようにする。例えば、大手前であれば2年の真ん中で分けるなど、それぞれ今の良さを生かして議論していきたい。 - 生野委員長
大阪の学校は個性が売りなので、ぜひそれを伸ばしていってほしい。
報告事項2 全国学力・学習状況調査の結果に係る情報公開請求について
報告の趣旨説明(小中学校課長)
情報公開請求の経緯及び概要並びに答申の概要について、報告する件である。
委員の質問及び意見
- 生野委員長
基本的な点を再確認するが、審査会の答申の意義、位置づけはどのようなものか。また、市町村との関係については重要だと思うが、昨年度はどうだったか、今年度はどう考えているか確認したい。 - 中西教育長
まず、答申については、学識経験者等の第三者からなる審査会において審議されており、今まで150件ほどの答申が出されている。府民の知る権利を保護するとの観点から判断されたものであり、これまで答申と異なる判断をした例はないと聞いている。法的な拘束力はないが、基本的には尊重すべきものと考えている。また、市町村との関係については、昨年度、府教委としては各市町村において自主的な公表をお願いしたというスタンスだった。府教委としては、調査の主体は市町村であることから公開請求に対して非公開と決定したところだが、今回の答申を受けてどう判断するか、委員の皆様から意見を頂戴しながら議論したい。非公開とされている市町村や、答申の中で1小1中の市町村であっても公開すべきとされているが、これらについてどう考えるか非常に悩ましいものがある。 - 隂山委員
公開すべきかどうかはあらかじめ決めるのではなく、今の段階を見て決めるべき。そう考えると、私は公開すべきと思う。なぜなら、このまま放っておいたら学校に対する信頼はなくなる。今は、苦汁を飲み込んで、しっかりとこの数値と向き合うべき。今までの府教委の判断も、教育論としては正しい。しかし、それで学校と地域との適正な信頼関係ができていたのか。それと、情報を公開することで過度な競争が起こったのかというと、起こってはいない。ある町の指導主事が言っていたが、そこは結果が悪かったが情報を公開したところ、問合せがたくさん来ると思っていたのに、ほとんど電話がなかった。実情は無関心だと思う。しかし、現在の施策を3年ほど続けたら、過度な競争が起きるかもしれない。現在は、一生懸命取り組んでいるところ、あまり取り組んでいないところ、いちおう取り組んでいるところの3つに分かれている。それで学校間格差が出てきて、その段階になったら新しい対応を迫られることになるだろうから、また考えないといけない。尾道では、インターネットでも公開しているが、学校が頑張っていることを地域が知っている。今、情報を公開することは、プラスにこそなれマイナスにはならない。 - 友田委員
公開すると、今まで府がやってきた流れとの矛盾が生じる。どう説明するのか。府教委としては実施要領に従ったのだろう。市町村に公開するよう要請し、市町村の自主性を尊重し、任せたはず。 - 隂山委員
そこは、知事の言う府民感覚との関係もある。教育は、地域との信頼関係で成り立っている。新聞の調査でも、圧倒的に公開。情報を公開しても、過度な競争が起こることなく冷静に対応していたと思う。ある種の府民の見識と感じる。昨年、情報を公開しても混乱はなかったし、討論会や集会でも、公開に対する批判より、「これから良くなっていくだろう」との期待のほうが大きかった。公開することによるメリットのほうが大きいと思う。 - 生野委員長
府民感覚については重要だが、府教委としてはどのようにとらえているか。 - 中西教育長
答申は、府民意見を反映されたものと思う。 - 生野委員長
児童、生徒への影響については、どうか。大きな混乱はなかったか。 - 角野小中学校課長
市町村は児童、生徒が直接属する集団ではないが、児童、生徒にとって関心は高いと思う。児童、生徒の意見を聴取しているわけではないが、答申では、市町村別データについては序列化の懸念はあるが、影響は少ないとされている。 - 生野委員長
昨年度の対応でどういう問題があったかなどを調査する、あるいは、調査が十分でないなら、参考になるものをお示しいただきたい。それを踏まえて検討すべき。まずは、児童、生徒にどんな影響があったか、府民はどう捉えているのか、混乱があったのか、各学校から聴取するなど検証して、判断の参考にできるものを知りたい。 - 中西教育
我々としても、検討にもう少し時間をいただきたいと考えている。 - 川村委員
大事なことは、序列化はいけないことだが競争はいいということだろう。これまで学校はクローズされすぎていたが、取り組んできたことをもっとオープンにすればいい。そうすれば、新しい信頼関係が築けるのではないか。ただし、答申の内容?矛盾している。市町村別データは公開すべきといいながら、一つの市町村に一つの学校しかないところでも公開すべきといっている。1小1中のところは公開すべきではない。児童、生徒が不安に思うようなことはやめるべき。もっと大事なことは、学校同士が競争すべきということであり、学校同士の競争というのは校長同士の競争だということである。お互い良くなるための競争意識はもっとあってもいいと思う。 - 隂山委員
市町村別データを我々に見せてもらって、オープンな議論はできるのか。前回は、公開によって私なりに相当な分析ができた。しかし、そういうデータがない状態での議論はむずかしい。それと、文科省の対応もおかしい。文科省は都道府県別のデータは公表しておきながら、都道府県には市町村別データを公開するなといっており矛盾している。結局、現場と民意との妥協の産物。情報を公開しない市町村については、我々に分からないのだから、援助のしようもない。その市町村の独自性に任せるしかない。大阪は、2年連続で結果が悪かったというのが決定的である。公開しないほうがいいというなら、しっかりと取り組んでもらって、公開しなくてもいいという環境に持っていくべきである。 - 川村委員
今、学力という切り口で改革の動きが進み出しているが、教育とは何も学力だけではない。朝食をとらない等の生活習慣を改善していかなければならず、それは学校や先生だけでは解決できない。一朝一夕にはいかないが、保護者や地域とディスカッションをするためにも、そのきっかけとなるよう公開していくべき。地域ぐるみで取り組んでいるところもあるので、そういうところに焦点をあてて始めていけばいい。 - 生野委員長
今後もリサーチを行い、議論を続けて、検討していく。
委員長から第7号議案以降の議案については、個人の情報等を含むものであることから非公開としてはとの動議があり、採決の結果、全会一致で非公開とすることを決定した。