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高齢者用マンションの購入を考えている方はご注意ください
典型的な事例
老後のことを考え、高齢者用の設備が整った物件を探していたときに、物件の広告を見て販売会社に問い合わせたところ、すぐに担当者が自宅まで迎えにきてモデルルームに案内され、そのまま長時間にわたり勧誘が続いた。「帰りたい」、「家族に相談したい」と申し出たが、「相談する必要はない。」などと受け入れてもらえず、精神的にも疲れて契約することに合意してしまい、契約に必要な手付金(数百万円)を請求され支払った。不本意な契約だったので、2日後にクーリング・オフを申し出ると「モデルルームで契約したのでクーリング・オフはできない。解約するなら手付放棄による解除になるので手付金は返せない。」と言われた。
対応のポイント1
最終的に契約するかしないかを判断するのは契約者本人です。契約を締結するよう求められても、すぐに契約する意思がないのであれば、そのことをはっきりと伝え、まずは、重要事項説明書や売買契約書の案文を持ち帰ってじっくり検討しましょう。そして、家族や信頼できる知り合いなどに相談して、アドバイスをもらいましょう。
対応のポイント2
契約を締結するかどうか判断するために時間が必要であり、そのことを宅地建物取引業者に伝えているにかかわらず、それを拒まれた場合には、宅地建物取引業法違反に当たる可能性があることを指摘し、監督官庁に相談すると警告しましょう。
勧誘行為に関する規制
宅地建物取引業者は、宅地建物取引業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、正当な理由なく、当該契約を締結するかどうかを判断するために必要な時間を与えることを拒むことが禁じられています(宅地建物取引業法第47条の2第3項、宅地建物取引業法施行規則第16条の12)。
対応のポイント3
もし、宅地建物取引業者が上記の違反を行った場合には、その宅地建物取引業者が大阪府知事免許業者であれば大阪府(都市整備部住宅建築局建築指導室建築振興課宅建業指導グループ)へ、国土交通大臣免許業者であれば国土交通省(近畿地方整備局建政部建設産業第二課)へ相談しましょう。(→知事免許と国土交通大臣免許の違いについてはこちらをご覧ください。)
また、宅地建物取引業者に脅されたり、身の危険を感じたときは、最寄りの警察署へ相談しましょう。
クーリング・オフ制度
宅地建物取引業者が売主となる売買契約において、宅地建物取引業者の「事務所等」以外の場所で契約の申込みをした場合は、クーリング・オフについて書面で告げられた日から8日以内に限り、無条件で契約解除をすることができる制度です。「事務所等」とは、宅地建物取引業者の事務所や分譲マンションのモデルルームや販売センターなどです。(→クーリング・オフ制度についてはこちらをご覧ください。)
高齢者用マンションの購入を考えておられる方へ
- 宅地建物取引業者に契約をするよう求められても、すぐに契約する意思がないのであれば、そのことをはっきりと伝えましょう。
- 契約書に署名や押印をする前に、家族や信頼できる知り合いに相談しましょう。
- 契約を締結するかどうかの判断をするため、考える時間が必要であると伝えているにもかかわらず、宅地建物取引業者がそれを拒む場合は、宅地建物取引業法違反を指摘するとともに、「監督官庁に相談する。」とクギを刺しましょう。
こんなことにも要注意!!
昼食付の物件案内や勉強会等をうたい文句にした案内ツアーの募集広告を見て、軽い気持ちで参加したらそのまま契約の勧誘を受け、気が付いたら物件の重要事項説明を受けていた。契約するかどうか考える時間がほしいと伝えたが、すぐ契約するよう強く勧められ、断り切れなくなり、その場で契約してしまったという方もおられます。
ここからは、具体的な事例を紹介し、注意すべきポイントをご説明します。
事例1
物件広告を見て問い合わせをしたところ、自宅まで担当者が迎えに来て、モデルルームに案内され契約の勧誘を受けた。「一度帰って子供にも相談したい。帰りたい。」と伝えたが、担当者に「子供に相談する必要はない。」と言われ、勧誘が続いた。精神的にも疲れ切ってしまい、やむなく契約を申込むことを承諾すると、申込金(数十万円)を支払って申込書に署名した。
翌日、手付金の残額(数百万円)を支払い、その後、自宅で重要事項説明を受け、売買契約書に署名押印した。その時、どこで契約の申込みをしたかという質問などが記載された書面を見せられ、業者に指示されるまま「モデルルーム」と記入した。後日、クーリング・オフを申し出たところ、モデルルームで契約の申込みをしたので、クーリング・オフはできないと言われた。
事例のポイント
宅地建物取引業者は、宅地建物取引業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、正当な理由なく、当該契約を締結するかどうかを判断するために必要な時間を与えることを拒むことは禁じられています(宅地建物取引業法第47条の2第3項、宅地建物取引業法施行規則第16条の12)。
また、売買契約は重要事項説明を受けた後に契約書に署名押印することにより契約が成立することになります。そして、売買契約が成立した後でキャンセルと申し出ても手付金を放棄しなければ解約できない場合もあります。契約する前に契約の内容をしっかり確認するようにしましょう。
さらに、宅地建物取引業者が売主の物件について、自宅や勤務先、喫茶店など事務所以外の場所で説明を受け、その場で売買契約を締結した場合、その売買契約はクーリング・オフ(無条件解除)することができます。(宅地建物取引業法第37条の2、宅地建物取引業法施行規則第16条の5)ただし、宅地建物取引業者の事務所やモデルルームで契約の申込みをした場合はクーリング・オフの対象外となりますので注意が必要です。本事例のようにどこで申込みをしたかという内容を記入するような書面が用意されているような場合には、その書面に記入する内容によっては、後日、クーリング・オフできないことの理由付けとなることがありますので、しっかり内容を確認しましょう。
事例2
夫婦二人で住むための高齢者用のマンションを探していたところ、物件の案内が届いた。詳しいパンフレットが欲しいと電話したところ、後日、担当者が自宅に来た。パンフレットを見ながら説明を聞いていたが、いつの間にか重要事項説明を受け、そのまま契約締結を求められた。物件を見てから判断したいと伝えたが、「物件は契約後に見ることができる。」と言われ、売買契約書に署名し、契約に必要な手付金(数百万円)を支払った。その後、物件の見学は結局しなかった。
契約後に渡された間取図を見ると、説明された部屋と契約した部屋が違っていた。現地やモデルルームを見ることなく、一方的に話を進められ、断る余裕もなかった。解約したい。
事例のポイント
宅地建物取引業者は、宅地建物取引業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、正当な理由なく、当該契約を締結するかどうかを判断するために必要な時間を与えることを拒むことは禁じられています(宅地建物取引業法第47条の2第3項、宅地建物取引業法施行規則第16条の12)。
また、業者から「自宅に行く」または「勤務先に行く」と申し出があり、自宅または勤務先で説明を受け、その場で売買契約を締結した場合、その売買契約はクーリング・オフ(無条件解除)をすることができます。(宅地建物取引業法第37条の2、宅地建物取引業法施行規則第16条の5)(※ただし、自ら自宅または勤務先で説明を受ける旨申し出た場合は、その場で売買契約を締結してもクーリング・オフをすることはできませんのでご注意ください。)
高齢者用マンションの購入を考えている方はご注意ください (PDF:117KB)
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