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令和5年度おおさか環境にやさしい建築賞受賞建築物
「令和5年度おおさか環境にやさしい建築賞」の表彰建築物を決定しました!
大阪府知事賞
クボタグローバル技術研究所
建物概要 |
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所在地 |
堺市堺区匠町 |
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建築主 |
株式会社クボタ |
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設計者 |
株式会社大林組大阪本店一級建築士事務所 |
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用途 |
事務所(研究所) |
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敷地面積 |
52,261平方メートル(仮想敷地設定) |
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建築面積 |
28,186平方メートル |
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延べ面積 |
94,404平方メートル |
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構造 |
鉄骨造 |
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階数 |
地上7階 |
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CASBEEランク |
S |
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BEE値 |
3.2 |
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重点評価 |
CO2削減4.8/みどり・ヒートアイランド3.2/建物の断熱性能4.0/エネルギー削減5.0/自然エネルギー直接利用4.0 |
審査講評
世界的メーカーの技術研究所として約34万平方メートルの広大な敷地に建てられた、延べ面積約10万平方メートルの大規模建物である。トップライトによる昼光利用やタスクアンビエント照明による照明用エネルギー消費の低減、卓越風を取り入れた自然換気と高効率設備システムによる空調用エネルギー消費の低減、さらに太陽光発電による創エネルギーにより、極めて高い水準の省エネルギー性能を達成している。大きな庇を持つ外観が特徴的であり、高い日射遮蔽性能を確保しつつ、屋外の憩いの場としての日陰空間を創出する独創的な試みもある。さらに、厨房排水の水処理と再利用や、建物屋根や外構で集水した雨水を水景施設で地下浸透するなど、水資源の有効利用と自然の水循環への配慮もあり、大阪府知事賞に相応しい環境建築である。
大阪市長賞
フレスポ阿波座
建物概要 |
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所在地 |
大阪市西区立売堀6丁目 |
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建築主 |
大和リース株式会社 |
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設計者 |
株式会社竹中工務店大阪一級建築士事務所 | |
用途 |
物販店舗 |
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敷地面積 |
6,115平方メートル |
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建築面積 |
5,087平方メートル |
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延べ面積 |
9,625平方メートル |
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構造 |
鉄骨造 |
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階数 |
地上3階 |
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CASBEEランク |
S |
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BEE値 |
3.1 |
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重点評価 |
CO2削減5.0/みどり・ヒートアイランド4.0/建物の断熱性能5.0/エネルギー削減5.0/自然エネルギー直接利用4.0 |
審査講評
かつて材木の立売が行われていた建設地(立売堀)の歴史的背景を踏まえ、活況な市場の空間を、木材を立て掛けて並べられた内装で再現するなど、積極的に木材を採用した計画は、単にエコを意識したものだけではなく、施設利用者に地域の歴史を伝承することも意識したものとなっている。また、太陽光発電設備の設置、トップライトを利用した自然採光、自然換気による照明及び空調負荷の低減など、高価な設備を用いることなく、様々な省エネ技術を積み重ねることにより、高い環境性能を確保した建築計画となっている。
さらに、高効率空調やLED照明の採用を入居条件とするなど、テナントを巻き込んだ環境配慮に対する建築主の積極的な姿勢は、他の模範となり得る。
こうした取り組みは、商業施設においても創意工夫によりイニシャルコストを抑えたうえで高い環境性能を確保することが可能であることを示す良い実例となるものであり、大阪市長賞に相応しいと評価できる。
住宅部門賞
グランドメゾン上町一丁目タワー
建物概要 |
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所在地 |
大阪市中央区上町1丁目 |
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建築主 |
積水ハウス株式会社 |
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設計者 |
株式会社IAO竹田設計 | |
用途 |
共同住宅 |
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敷地面積 |
3,328平方メートル |
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建築面積 |
1,026平方メートル |
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延べ面積 |
26,506平方メートル |
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構造 |
鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造) |
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階数 |
地上36階 |
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CASBEEランク |
S |
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BEE値 |
3.3 |
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重点評価 |
CO2削減4.0/みどり・ヒートアイランド5.0/建物の断熱性能5.0/エネルギー削減5.0/自然エネルギー直接利用2.0 |
審査講評
敷地の2/3を占める緑豊かな公開空地は、隣接する公園との連続性のある外構計画や周辺地域の在来種の植生を選定するなど、地域の憩いの場としての機能を実現するとともに、周辺の街並みとの調和やこの地域で育まれてきた生態系への配慮を意識したものとなっている。西側外壁に施された高さ約44mの壁面緑化は、都市のヒートアイランド現象の抑制に繋がるだけでなく、街並みに対する環境配慮としてインパクトのあるものとなっている。
また、全戸に高性能真空ペアガラス、家庭用燃料電池を設置するなど省エネ性能の高い住宅となっており、住宅部門賞に相応しいと評価できる。
住宅部門賞
ライオンズ茨木総持寺ステーショングラン
建物概要 |
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所在地 |
大阪府茨木市庄1丁目 |
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建築主 |
株式会社大京 大阪支店 |
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設計者 |
株式会社長谷工コーポレーション 大阪エンジニアリング事業部一級建築士事務所 | |
用途 |
共同住宅 |
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敷地面積 |
6,664平方メートル |
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建築面積 |
2,492平方メートル |
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延べ面積 |
21,322平方メートル |
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構造 |
鉄筋コンクリート造 |
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階数 |
地上14階 |
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CASBEEランク |
S |
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BEE値 |
3.0 |
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重点評価 |
CO2削減4.2/みどり・ヒートアイランド3.2/建物の断熱性能5.0/エネルギー削減5.0/自然エネルギー直接利用3.0 |
審査講評
長年空地であったJR総持寺駅前に立地する全279戸の集合住宅であり、駅から住宅街へと続く道沿いの緑地帯は新しい住宅地の景観を生み出すことに貢献している。ZEH-M Oriented支援事業に採択され、全居室の開口部にLow-E複層ガラスの採用や省エネ性能の高い設備機器を採用し、一次エネルギー消費量30%以上削減を実現している。以上のように緑地帯を通して地域に貢献し、高い省エネルギー性能を実現した集合住宅である点を高く評価する。
事務所部門賞
貝塚市庁舎
建物概要 |
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所在地 |
貝塚市畠中1丁目 |
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建築主 |
貝塚市 |
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設計者 |
株式会社 大建設計 |
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用途 |
庁舎 |
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敷地面積 |
16,084平方メートル |
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建築面積 |
2,684平方メートル |
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延べ面積 |
12,525平方メートル |
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構造 |
鉄骨造 |
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階数 |
地上6階 |
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CASBEEランク |
S |
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BEE値 |
3.1 |
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重点評価 |
CO2削減3.8/みどり・ヒートアイランド3.5/建物の断熱性能4.3/エネルギー削減3.6/自然エネルギー直接利用5.0 |
審査講評
戦前からのコミュニティの中核的エリアに建ち、保存樹を継承し歩行者アプローチに緑のプロムナードを形成するなど周辺環境への配慮があり、建物内部も限られた予算の中で丁寧な作り込みが随所に見られる。執務室では南面西面のLow-e複層ガラスによる日射の抑制、外気導入にクールピットを用い空調へ地中熱を活用する工夫、基準階高を抑えトップライトとエコシャフトを用いた自然採光・自然換気などの積み重ねで、優れた省エネルギー性能を実現した点が高く評価できる。
事務所部門賞
ザ・パック株式会社 本社
建物概要 |
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所在地 |
大阪市東成区東小橋2丁目 |
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建築主 |
ザ・パック 株式会社 |
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設計者 |
株式会社竹中工務店大阪一級建築士事務所 |
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用途 |
事務所・工場 |
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敷地面積 |
1,690平方メートル |
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建築面積 |
882平方メートル |
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延べ面積 |
5,026平方メートル |
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構造 |
鉄骨造 |
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階数 |
地上7階 |
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CASBEEランク |
S |
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BEE値 |
3.0 |
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重点評価 |
CO2削減5.0/みどり・ヒートアイランド3.0/建物の断熱性能5.0/エネルギー削減5.0/自然エネルギー直接利用4.0 |
審査講評
建物中央に設けたヴォイドを活かした自然換気システムは、気象条件に応じて効率的に自然通風を利用する仕組みとなっており、設計段階において技術的な検証を行うなど、創意工夫がなされた独創的な取組みとなっている。
その他にも外壁の高断熱化、高効率空調の採用など省エネ技術を積み重ねることにより、ZEB Readyを達成している。
また、熱負荷低減の観点から窓の面積を小さくしつつ、自然採光や室内外からの見え方にも配慮した計画となっている。
住宅、店舗などが高密度で集積する立地条件において、高い環境性能の確保と街並みとの調和を意識したデザインを両立しており、事務所部門賞に相応しいと評価できる。
事務所部門賞
Panasonic XC KADOMA(パナソニック・クロスシー カドマ)
建物概要 |
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所在地 |
大阪府門真市元町 |
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建築主 |
パナソニック ホールディングス株式会社 |
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設計者 |
株式会社竹中工務店大阪一級建築士事務所 |
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用途 |
事務所 |
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敷地面積 |
7,756平方メートル |
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建築面積 |
4,753平方メートル |
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延べ面積 |
24,471平方メートル |
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構造 |
鉄骨造 |
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階数 |
地上7階 |
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CASBEEランク |
S |
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BEE値 |
3.0 |
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重点評価 |
CO2削減4.2/みどり・ヒートアイランド3.7/建物の断熱性能3.4/エネルギー削減5.0/自然エネルギー直接利用4.0 |
パンフレット資料 事務所部門賞 Panasonic XC KADAMA(PDF:6,094KB)
審査講評
オフィス専用部分の3階から上層に中庭を囲む吹き抜けを大きく設け、それがオフィス専用バルコニーに繋がり、共用部の外部化により自然を感じつつ合理的な執務室の実現だけでなく、自然換気を積極的に取り入れた計画により、空調負荷の低減などの環境性能の向上を実現している。外壁には高断熱サンドイッチパネルを設置し遮熱・断熱性能を高め、また高効率熱源・高効率パッケージエアコンを採用し大幅なエネルギー消費削減を実現している。
商業施設その他部門賞
近畿大学E館(KDIX)
建物概要 |
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所在地 |
東大阪市新上小阪 |
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建築主 |
学校法人近畿大学 |
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設計者 |
株式会社NTTファシリティーズ一級建築士事務所、五洋建設株式会社大阪支店一級建築士事務所 |
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用途 |
学校(大学) |
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敷地面積 |
7,439平方メートル(仮想敷地設定) | |
建築面積 |
3,306平方メートル | |
延べ面積 |
8,702平方メートル | |
構造 |
鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造 |
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階数 |
地上4階 |
|
CASBEEランク |
S |
|
BEE値 |
3.3 |
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重点評価 |
CO2削減3.9/みどり・ヒートアイランド゛4.0/建物の断熱性能4.5/エネルギー削減3.9/自然エネルギー直接利用5.0 |
審査講評
元々の庭園を敷地としているので高木の保存と緑地を継承して新学部・情報学部の建築を行った。分節した勾配屋根下の一体空間を情報系らしい自由な研究・実験の場になることを企図した学生のオープン研究室としているのが特徴である。そこでは自然採光・通風・換気を視覚的にも体験できるよう偏光フィルムによる光のうつろいや光ケーブルによる空気のフローの知覚といった装置で入れ替わりの多い学生にも環境配慮を知る試みをしている。一体空間を中心にした新しい研究環境の建築計画と環境配慮のバランスが高度に実現していることを高く評価する。