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第1 編道路構造物設計基準(3)
1-4 車両出入口部の構造
1-4-1設置基準
1-4-2 車両出入口部の構造
1-4-3 舗装構成
1-4-4 車両出入口部の設置例
1-4-5 車止めの設置基準
1-5 バス停車帯
1-5-1 概説
1-5-2 計画・設計における基本方針
1-5-3 構造基準
1-4 車両出入口部の構造
1-4-1 設置基準
車両出入口部は自動車の車道側から民地側への出入りに必要な箇所および幅を定めて歩道部を自動車荷重に耐えるように構造変更するもので、自動車の利用状況に応じてつぎの基準により設置するものとする。
ただし、設置に際して歩道を通行する歩行者、車椅子利用者などの安全確保を最優先に考慮するものとする。
1.出入口部の設置幅
出入口部の設置幅は原則として表1-4-1による。また、出入口が2箇所の場合の基準値は1箇所あたりの幅を規定している。
ただし、大型車両の出入が予想される箇所で、上記の基準により難いときは軌跡等により、必要最小限の幅をとることができる。
2.車両出入口部等の歩道切下げ部が連続して設置される区間で、切り下げ間隔が5m以下となる場合は、切り下げ間の歩道舗装面を下げる等の処置を講ずるものとする。
3.車道部に取り付ける角度は直角を原則とし、やむを得ない場合でも45度以下としてはならない。
4.次に掲げる箇所には車両出入口を設けてはならない。
- 横断歩道の中及び前後5m以内の部分。
- 地下道、地下鉄の出入口及び横断歩道橋の昇降路から前後5m以内の部分。
- バス停車帯の部分。
- 道路の縦断勾配が10%以上ある路面に接する箇所。
- 交通信号、道路照明柱、道路標識柱、防護柵などの施設を撤去しまたは移設を必要とする箇所。
ただし、当該施設の管理者が撤去または移設することに同意した場合を除く。 - 交通量の少ない道路に接し、府道(または国道)に出入りする必要の認められない箇所。
- 民地側に自動車を保管する場所のない箇所。
- トンネル、洞門等の前後各50m以内の部分。
- バス停留所、路面電車の停留所。ただし停留所を表示する標注又は、表示板のみの場合は、その位置から各10m以内の部分。
- 交差点(総幅員7m以上の道路の交差する交差点をいう。)及び交差点の停止線(停止線のない場合は側端又は道路の曲がり角)から5m以内の部分。ただしT字交差点の突き当たりの部分を除く。
- 橋の部分。
- 横断防止柵、ガードレール及び駒止めの設置されている部分。ただし交通安全上等に支障がないと認められた場合は除く。
1-4-2 車両出入口部の構造(1-4-4 設置例参照)
1.歩道幅員が3m以上(路上施設帯がある場合)
路上施設帯(植樹帯など)がある場合には、当該歩道等の幅員内での平坦部分の連続性を確保するために、当該路上施設帯(植樹帯など)の幅員内ですりつけを行い、歩道等の幅員内にはすりつけのための縦断勾配、横断勾配又は段差を設けないものとする。
- 平坦部分の幅員は2m以上とし、横断勾配は2%以下とする。
- すりつけ部の横断勾配は、15%以下とし、これを超える場合は民地の協力を求めるものとする。
- 歩車道境界の段差は、5cmを標準とする。
2.歩道幅員が2m以上(路上施設がない場合)
路上施設がない場合には、歩道の平坦部分を最大限確保し、残りの幅員ですりつけを行うものとする。
- 平坦部分の幅員は2m以上とし、横断勾配は2%以下とする。ただし、構造上やむをえない場合は幅員を1m以上確保するものとする。
- すりつけ部の横断勾配は、15%以下とするが、民地の協力を求めるなどすりつける延長を極力短くするものとする。
- 歩車道境界の段差は、5cmを標準とする。
3.歩道幅員が2m以下
歩道の幅員が狭く、1. 2.の構造によるすりつけができない場合には、車両出入口部を全面切り下げ、縦断勾配によりすりつけるものとする。
- 縦断すりつけ部の勾配は、5%以下とする。ただし、沿道状況などを勘案してやむをえない場合には8%以下とする。また、縦断すりつけ部には横断勾配を設けないこと。
- 歩車道境界の段差は、5cm標準とする。
4.その他留意事項
- 排水施設
歩道等面が低いために強雨時に水の溜まる恐れが生ずる箇所では、雨水ますを追加する等排水に十分配慮するものとする。 - 交通安全対策
車両出入口部が、歩行者・車いす利用者又は、自転車の通行に支障とならないように留意すること。 - 民地の協力
車両出入口の設置により、歩行者、車椅子利用者又は自転車の通行に支障をきたす場合には、当該歩道等における民地側のすりつけ等の処置を行うこと。 - 人孔の取扱い
車両出入口の設置部に人孔がある場合、必ず人孔のレベル調整を行うこと。 - 側溝の取扱い
官民境界沿いに側溝がある場合には、指定する側溝蓋を設置すること。 - 縁石ブロック
歩車道境界に設置する縁石ブロックは、平ブロックを使用すること。 - 集水桝の改修
出入口部に桝が存在する場合は、桝を移設するか、車両の出入に耐えられるよう、桝の改修を行うこと。
1-4-3 舗装構成
注)
- 舗装厚は出入する車種の最大のものを適用する。
- コンクリート舗装の場合生コンクリートの呼び強度(設計基準強度)以上とする。
- 路床土は良質土を用いるものとする。
- 路盤材料は、粒度調整砕石又は再生クラッシャラン(RC-30)を用いるものとする。
資料
歩道の一般的構造に関する基準等について: 国土交通省(通達)、平成17年2月3日
1-4-4 車両出入口部の設置例
1.歩道幅員3m以上(路上施設帯がある)
- 道路と直角に設ける場合
- 道路に斜めに設ける場合
注)歩道巻込み部の半径(R)=1.0mを標準とするが、車両出入口部を利用する車種が大型車両の場合は、その車両の軌跡によりRを決めるものとする。
2.歩道幅員2m以上(路上施設帯がない)
- 道路と直角に設ける場合
- 道路に斜めに設ける場合
3.歩道幅員2m以下(狭幅員歩道)
- 道路と直角に設ける場合
- 道路に斜めに設ける場合
1-4-5 車止めの設置基準
車止めの設置は、協議事項とする。また、設置基準については、追って通知を行う。
資料
歩道上における車止めの設置について(通知)、平成16年3月交対第1735号
1-5 バス停車帯
1-5-1 概説
バス停車帯は交通量の多い路線において、バスが停車したとき一車線を占用するため、本線の交通流に混乱を起こして事故を誘発する恐れのある場合に、本線から分離して設置するバス停留施設である。
1-5-2 計画・設計における基本方針
バス停車帯の設置を計画するとき、つぎの事項を検討する。
- 1.当該路線の交通量、停滞の程度、およびバスの利用回数。
- 2.バス停車帯の設置を計画する箇所付近に歩道が整備されていること。バス停車帯を設置するために既設の歩道の幅員を縮小する場合には乗降待ちのスペースと歩行者のスペースが競合しないように配慮する必要がある。
- 3.本線の線形においてバス停車帯前後の見通しがよいこと。平面線形としては、直線区間が望ましいが曲線区間の場合は表1-5-1に示す値以上とする。
本線の設計速度(km/h) |
60 |
50 |
40 |
30 |
20 |
|
---|---|---|---|---|---|---|
平面曲線半径(m) |
200 |
150 |
100 |
65 |
30 |
|
縦断勾配(%) |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
|
縦断曲線半径(m) | 凸型 |
2,000 |
1,200 |
700 |
400 |
200 |
凹型 |
1,500 |
1,000 |
700 |
400 |
200 |
- 4.附属施設(ベンチ、上屋等)
附属施設の設計に当たっては、道路構造令等に基づくものとする。
<参考> 道路附属物の追加 [道路構造令等の一部を改正する政令]
[平成5年政令第375号、4、道路の附属物の追加道路法施行令第34条の3、道路構造令第10条の2第3項及び第11条第4項関係]
- ベンチ又はその上屋は、様々な歩行者が道路を安全かつ円滑に通行できるようにするため、バス利用の利便性の向上、歩行中の休憩需要への対応等の必要性に鑑み、道路の管理上必要と判断されるものを、道路の附属物として整備することができるものとした。
この場合、ベンチ又はその上屋の設置は、単にバス事業者等の要請により行うものでなく、道路管理者が安全かつ円滑な道路の交通の確保その他道路の管理上必要なものであると判断する場合に行うものであること。 - 道路附属物であるベンチはその上屋の設置に当たっては、「ベンチ及び上屋の道路占用の取扱いについて」との整合性について特に配慮すること。
また、既存道路にベンチ又はその上屋を設けるときは、改正後の道路構造令第10条の2第3項又は第11条第4項の規定の主旨を踏まえ、必要な幅員を確保すること等歩行者等の安全かつ円滑な通行に十分配慮すること。 - 一般に、ベンチ又はその上屋は、地方公共団体、バス事業者等が占用物件として設置することができるものであり、その場合における取扱いについては、「ベンチ及び上屋の道路占用の取扱いについて」において通達することとしている。
- 受益者負担金について規定した道路法第61条の規定は、ベンチ又はその上屋の設置に係る工事についも適用があり、当該規定に基づきバス事業者等から受益者負担金を徴収することができるものであること。
- ベンチ又はその上屋を設けようとするときは、当該地域を管轄する警察署長と協議すること。なお、道路交通法第80条に基づく等外地域を管轄する警察署長との協議については別途行うこと。
- 5.平面交差点付近にバス停車帯を設置する場合はバスと他の車両との織込みが、生じるので図1-5-1のように織込み長さだけ離して設けるように設置場所を決めることが必要である。
- 6.道路が非常に渋滞した場合、路線バスはバス停車帯があるにも関わらず、それを利用しない場合があり得る。バス停車帯の設置に際しては、既設のバス停車帯の利用状況を十分調査検討するものとする。
1-5-3 構造基準
第3種第1級を除く第3種、第4種の道路のバス停車帯は図1-5-2の構造とし、諸元値については表1-5-2によること。なお、路面表示等については、図1-5-3を参照すること。
道 路 規 格 |
設計速度 (km/h) |
減速車線長 L1 |
停留車線長 L2 |
加速車線長 L3 |
停車帯長 L |
織込み長さ |
停車線幅 W |
乗降場幅 W1 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
第3種 | 40 | 20 | 15 | 25 | 60 | 30 |
3.5 (3.0) |
1.5 |
50 | 20 | 15 | 25 | 60 | 40 | |||
60 | 25 | 15 | 30 | 70 | 50 | |||
第4種 | 40 | 12 | 15 | 13 | 40 | 30 | ||
50 | 15 | 15 | 20 | 50 | 40 | |||
60 | 20 | 15 | 25 | 60 | 50 |
表 1-5-2 第3種(第3種第1級を除く)、第4種の道路のバス停車帯の諸元値(m)
- 注1)乗降場幅(W1)は前後の歩道幅員に合わせるものとするが、最低2.0mは確保することが望ましい。
- 注2)乗合自動車停留所の歩道の車道に対する高さは、セミフラットの場合でも15cmを標準とする。