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大阪府における公共用水域の水質常時監視について
大阪府が行っている公共用水域(*1)(河川、海域)の水質常時監視について、Q&A形式でご紹介します。
※地下水の水質常時監視についてはこちらをご覧ください。
- 【Q1 公共用水域の常時監視ではどのようなことをやっているの?】
- 【Q2 常時監視調査はどのような方法でやっているの?】
- 【Q3 環境基準値を超える値が検出された時はどのように対応しているの?】
- 【Q4 調査結果はどのように利用されているの?】
- 【Q5 委託業者に対する監督はどのように行っているの?】
- 【Q6 大阪府の河川はきれいになってきているの?】
- 用語解説(*1から*6までの用語についての解説を記載)
Q1 公共用水域の常時監視ではどのようなことをやっているの?
大阪府における公共用水域の常時監視は、フロー図(図1)に示すような流れで、1年間を通じて実施しています。
図1 公共用水域の水質常時監視のフロー図
(1) 水質測定計画の作成
毎年度、水質汚濁防止法(*2)に基づき、大阪府環境審議会(水質部会)の意見を聞いて水質測定計画を作成しています。
※大阪府環境審議会(水質部会)の概要はこちらをご覧ください。
※水質測定計画についてはこちらをご覧ください。
(2) 常時監視調査の実施
調査は、近畿地方整備局、政令市(大阪市、堺市、岸和田市、豊中市、吹田市、高槻市、枚方市、茨木市、八尾市、寝屋川市、東大阪市)と連携・分担して行っています。
水質測定計画に基づく常時監視は、図2に示す環境基準点及び準基準点において実施します。
河川:100河川 139地点(環境基準点 95地点、準基準点 44地点)
海域:大阪湾海域 22地点(環境基準点 15地点、準基準点 7地点)
※このうち大阪府は、河川:51河川、57地点、海域:15地点で調査を実施します。
図2 公共用水域の水質測定地点(左:河川、右:海域)
※調査の方法についてはQ2の回答をご覧ください。
(3) 測定値の確認・対応
毎月の調査結果を確認し、環境基準(*3)値を超える値が検出された場合は、大阪府や市町村の工場・事業場の規制担当部局等と連携して速やかに原因究明などの対応を行っています。
※環境基準値を超える値が検出された場合の対応はQ3の回答をご覧ください。
(4) 結果のとりまとめ・公表
速報値をホームページに掲載するとともに、1年間の調査結果をとりまとめて公表しています。また、環境白書等へ測定値の掲載を行っています。
※調査結果の利用についてはQ4の回答をご覧ください。
(5) 類型指定の見直し
生活環境の保全に関する環境基準(生活環境項目)(*4)については、水域の利用目的に対応して、生物化学的酸素要求量(BOD)等と亜鉛などの水生生物の保全に関する項目(*5)ごとに、水域の類型を指定することになっています。
※河川の類型指定についてはこちらをご覧ください。
※大阪湾の類型指定についてはこちらをご覧ください。
これらの類型は、各水域の利用状況や水質の状況等の変化に対応して、大阪府環境審議会(水質部会)の意見を聞いて見直しを行っています。
また、水生生物の保全に関する類型指定の見直しの検討にあたっては、魚類や水生生物の生息状況を継続的に調査していくことが不可欠であるため、大阪府立環境農林水産総合研究所(外部サイトへリンク)と連携して調査データの更新・集積に努めています。
平成29年1月27日には、特に水質が良好で自然探勝の場として活用されている芥川など3水域を、大阪府内で初となるAA類型に指定しました。
また、最新では、令和5年1月20日に見直しを行い、近年水質が向上している16河川水域を上位の類型に改定し、BOD等5項目について最も下位のE類型の河川水域がなくなりました。
※類型指定の見直しの詳細はこちらをご覧ください。
※大阪府環境審議会(水質部会)の審議内容についてはこちらをご覧ください。
Q2 常時監視調査はどのような方法でやっているの?
大阪府では、毎月1回、以下の方法で調査を行っています。
このうち、採水・分析は専門業者に委託して実施しています。
(河川の調査)
- 調査実施の判断
通常の状態での河川で調査を行うため、調査予定日の前日に、調査予定日の前々日・前日の降雨状況や今後の降雨予報を参考にして、調査を実施するかどうかの判断を行います。 - 調査内容
調査地点ごとに、最初に透視度やpHなどを測定して河川の状況を確認します。その後、採水と流量測定を行います。
BODなど一部の項目については、河川の1日を通しての平均的な状況を把握するために、調査地点ごとに約6時間間隔で2回又は4回採水を行い、それらの試料を混合して分析を行います。ただし、雨や周辺での工事による濁水など、通常と異なる状態の試料は混合する対象から除きます。そのため、採水の翌日に、pH、透視度の測定値を考慮して、混合に使用するかどうかを各試料について判断します。比較的、水質の変動が小さい地点では、1日あたり1回採水のみで分析を行います。
複数回の採水を行わない項目(カドミウム等)については、午後3時頃採水した試料のみで分析を行います。 - 通日調査
BODなどの項目について日間変動の大きな地点においては、年1回、24時間中に2時間間隔で13回採水、分析をする通日調査を行います。
(海域の調査)
- 調査実施の判断
1日の潮汐の変動ができるだけ少ない日に行います。また、調査船で調査地点に向かうため、調査船が出航できるかどうかを、天候(風、波等)から判断します。 - 調査内容
調査地点ごとに、最初に海の色や透明度などから海域の状況を確認します。その後、採水と水深測定を行います。
海域の水質は水深によって大きく異なるため、表層と底層で採水を行い、それぞれの試料を分析します。
Q3 環境基準値を超える値が検出された時はどのように対応しているの?
大阪府では各調査地点の調査結果について、環境基準値を超えるなど通常の状態とは異なる測定値が検出された際は、以下のとおり速やかに原因究明などの対応をとります。
(人の健康の保護に関する環境基準(健康項目)(*6)の場合)
大阪府では、年に2回、健康項目の調査を行っており、環境基準値を超える値が検出された場合は、必要に応じ原因究明のため、検出された地点から上流域に遡って発生源の調査を行います。調査は、大阪府や市町村の工場・事業場の規制担当部局や大阪府立環境農林水産総合研究所と連携を取って行います。
さらに、半年間にわたり、検出地点で毎月測定を行い、継続して水質の状況を監視します。
大阪府域では、近年、感潮河川の河口部における海水の影響によると思われるふっ素・ほう素以外は、健康項目の環境基準超過はほとんど見られていません。
(BODの場合)
河川のBODについて環境基準値を超える値が検出された場合は、各採水試料を混合せずに個別に分析を行い、それぞれの値から時間帯ごとの河川水質の変動状況を確認し、必要に応じ原因究明にあたります。
※環境基準についてはこちらをご覧ください。
Q4 調査結果はどのように利用されているの?
調査結果は、府民の皆様が利用できるようにホームページで提供するとともに、類型指定の見直しなど良好な水環境の保全・創出に係る施策の基礎データとして活用しています。
- 速報値
調査実施後、速報値をホームページで公表しています。
※令和6年度の海域の速報値はこちら、河川の速報値はこちらをご覧ください。 - 大阪府域の調査結果のとりまとめ・公表
調査結果のとりまとめにあたっては、各調査地点における環境基準達成状況の評価や前年度の状況との比較検討を行います。
大阪湾の評価については、兵庫県の測定値を含めて評価を行います。また、大阪湾の状況については、陸域から流入する汚濁負荷の影響だけではなく、紀伊水道等との海水交換による湾外の影響を受ける海域もあることを考慮します。
これらの評価・検討を経て、毎年8月末頃に調査結果を公表しています。
(令和5年度の調査結果)
河川のBODの環境基準達成率は97.6%で、海域の化学的酸素要求量(COD)の環境基準達成率は66.7%でした。
※令和5年度結果の詳細はこちらをご覧ください。 - 環境省による調査結果の公表
大阪府の調査結果を環境省に報告し、環境省では全国の調査結果をまとめて毎年12月頃に公表しています。
※環境省における最新の公表データはこちら(外部サイトへリンク)をご覧ください。 - 測定値の提供
環境白書に測定値等のデータを掲載するとともに、大阪府域河川等水質調査結果及び測定計画外の調査結果をとりまとめてホームページで公表し、データベースにも測定値をアップしています。
Q5 委託業者に対する監督はどのように行っているの?
公共用水域の水質常時監視調査は、測定値から環境基準の適合状況を判断し、河川・海域の水質の状況を把握するために実施する重要な調査であり、定められた方法で適切に実施する必要があります。
大阪府では以下の方法で委託業者に対する監督を行っています。
(採水状況等の確認)
適宜、河川と海域の調査に立会い、定められた方法で調査を適切に行っているかの確認を行っています。
(分析体制等の確認)
委託業務の入札条件として、計量証明登録事業者であることを求めています。
また、委託業者の分析施設への立入検査を行い、分析体制や分析機器の管理状況等を確認しています。
さらに、大阪府立環境農林水産総合研究所において水質分析のクロスチェック(同じ試料を用いて分析を行い、測定値を比較する)を実施し、分析精度等の管理に努めています。
Q6 大阪府の河川はきれいになってきているの?
河川の代表的な汚濁指標であるBODの濃度は、以下のグラフのとおり長期的に改善傾向にあり、大阪府の河川は昔に比べるときれいになってきています。
用語解説
*1:公共用水域・・・河川、湖沼、港湾、沿岸海域等(水質汚濁防止法第2条に規定)。
*2:水質汚濁防止法・・・公共用水域及び地下水の水質汚濁防止を図るために昭和45年に公布された法律。第15条で常時監視、第16条で測定計画に関して規定している。
*3:環境基準・・・人の健康の保護及び生活環境の保全のうえで維持されることが望ましい基準。大気や水質等について国が定めている。
*4:生活環境の保全に関する環境基準(生活環境項目)・・・水の汚染状態を示す項目として水質汚濁法施行令に定める項目。pH,COD,BODなど。
*5:水生生物の保全に関する項目・・・生活環境項目のうち、平成15年に水生生物の保全の観点で追加された全亜鉛、ノニルフェノール、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩(LAS)の3物質。
*6:人の健康の保護に関する環境基準(健康項目)・・・人の健康に係る被害を生ずるおそれがある物質として水質汚濁法施行令に定める項目。カドミウムなど28項目。