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更新日:2024年5月22日

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これからの地域福祉のあり方とその推進方策について/ I はじめに

I はじめに

みなさん、「地域福祉」という言葉を聞いたことがありますか。「よく分からないけど地域における福祉のことかな。いずれにしても福祉なんてお役所や民生委員※さんがすることで、今の自分には関係ない。」と考えてはいませんか。ちょっと待ってください。「地域福祉」というのは、非常に大事なことで、これはみなさん一人ひとりに関わることなのです。
かつて、「福祉」といえば、低所得者に対する生活保護といった特定の少数の人のためのもの、何か課題を抱えた人に対して事後的に救済するために行われるものというイメージがありました。
しかし、現在、福祉の目標として「ウェルビーイング※」という考え方が示されています。この言葉は、世界保健機構(WHO)の憲章で「健康」を定義する記述の中で用いられたものですが、これからの福祉は、何か課題を抱えている人に対処するだけでなく、全ての人が、人権が尊重され自分の意思により自立した生活を送ることができる、「よりよく生きることができる」ようにすることであると考えられるようになっているのです。

※民生委員:
民生委員法に基づいて、厚生労働大臣の委嘱を受け、大阪府内には現在約12,500人が活動している。民生委員は児童福祉法が定める児童委員を兼務しており、地域において社会福祉の増進を目指して、住民の立場に立って援助活動を行っている。なお、本文中では「民生委員・児童委員」の名称を略し、「民生委員」という表現で統一している。
※ウェルビーイング:
個人の権利や自己実現が保障され、身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることを意味する概念。世界保健機構(WHO)の憲章(1947年)で「健康」を定義する記述の中で初めて用いられたもの。以下、本答申では、「福祉」は「健康」も含めた幅広い概念として捉え、適宜、「健康福祉」等の表現も用いている。

このような中、先般、社会福祉法という法律で、「地域福祉の推進」が位置付けられ、地域福祉を推進していく上においても、特定の限定された人たちだけでなく、全ての人が幸せに暮らしていけるような地域社会を目指していく必要があるとされており、具体的には、次のように規定されています。

「地域住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者及び社会福祉に関する活動を行う者は、相互に協力し、福祉サービスを必要とする地域住民が地域社会を構成する一員として日常生活を営み、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が与えられるように、地域福祉の推進に努めなければならない。」(社会福祉法第4条)

ここで、「地域住民」というのはみなさんのことです。「社会福祉を目的とする事業を経営する者」というのは、例えば特別養護老人ホームや保育所を経営する社会福祉法人などのことです。「社会福祉に関する活動を行う者」というのは、色々な福祉活動を行っているボランティアやNPO※などのことです。

※NPO:
英語のNon Profit Organization の略で一般的には民間非営利組織と訳される営利追求を目的としない民間組織。社会の成熟化に伴い、ニーズが多様化・複雑化する中、行政や営利団体では対応できない様々な社会的課題を発見、解決するため、価値観を共有する人々が自主的・主体的に活動する団体を指す。アメリカでは、行政、企業と並ぶ第3のセクターとして広く公益活動を行っている。

「福祉サービスを必要とする地域住民」とは、誰かの助けを必要とする人ということで、これは、社会福祉施設に入っている人や介護保険サービスを受けている人だけでなく、例えば、「最近ちょっと子育てに悩んでいるのだけれど」といった人や「外出したいけれど一人暮らしだし、高齢なので誰か介助してくれる人がいたらなあ」といった人、「学校のことで悩んでいるのだけれど」といった子どもも当てはまるのです。つまり、みなさんも人生のある時期やその時の状況によっては「福祉サービスを必要とする地域住民」になることもあるわけです。「社会を構成する一員として」とは、性別を問わず、高齢者、子どもも含めて年齢を超えて、国籍を問わず、また障害の有無に関わらず、全ての人が人間としての尊厳を持ち、社会の一員として誰からも認められるということです。
「日常生活を営み、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が与えられる」とは、衣食住が足り、誰もが自分の意思で、市民生活を送っていく上での様々な活動に参加できる社会をつくるということです。
つまり、法律に書いてあることをかみ砕いて言えば、「地域住民や社会福祉法人、ボランティアなどが協力して、誰かの助けを必要とする人もそうでない人も同じ社会の一員として認め合い、自分の意思で色々な社会活動に参加できるような社会を行政とともにつくりましょう。」ということです。
「地域福祉」の主役はみなさん一人ひとりであり、みなさん一人ひとりの手による住みよい社会づくり、住みよいまちづくりの活動を計画的に進め、その成果を次の活動に活かすという不断の取組みが「地域福祉」なのです。

「では、その『地域』ってどの範囲と考えたらいいのかな」という疑問もあると思います。一言で「地域」といっても、人によっては「隣近所」であったり、「自治会単位」であったり、あるいは、「市町村単位」であったり、様々なイメージが浮かぶと思います。
「地域福祉」の趣旨からすると、「地域」は、まず、みなさんが普段の暮らしで行動する範囲ということになります。その点から考えると、日常生活を送っていく上で必要な施設、例えば学校や保育所、公園、集会所、市場、診療所などがおおむね充足されている小学校区があげられます。
そして、大阪では、小学校区を基本とする校区福祉委員会※がほぼ全校区で結成されています。こうしたことから、地域福祉を推進していく範囲としては小学校区を基本としながら、活動の内容を地域の状況に応じて柔軟に考えるとよいでしょう。
基本的には、サービスを利用する側の立場に立って、利用者の身近な小学校区といった小地域においてサービスが効率的に提供されるような仕組みを構築していくことが柱となります。
しかしながら、小学校区内だけで高度専門的知識を必要とする取組みを進めていくことは現実的ではありません。中学校区や市町村単位、あるいは都道府県単位で取組みを進めることが効率的であるものについては、その性質に応じて、より広域単位にある専門的な機関等で対応していくことが必要となります。
このように、「広域」と「地域」が、それぞれの特性を活かし、「地域」の活動を基本としつつ、「広域」活動と「地域」活動が連携、協力してお互いを支え合うような仕組みをつくっていく必要があります。

※校区福祉委員会:
社会福祉協議会の内部組織として地域住民主体の多面的活動を行う組織。

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