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ジェッツホームサービスこと鈴木利幸
特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号。以下「法」という。)第2条第1項第1号に規定する訪問販売(以下「訪問販売」という。)を行うにあたり、法に違反する行為を行ったジェッツホームサービスこと鈴木利幸(以下「本件事業者」という。)に対し、法第8条第1項の規定に基づき、訪問販売に係る業務の一部停止を命じるとともに、法第7条第1項の規定に基づき指示を行いました。併せて、本件事業者の代表者である鈴木利幸に対し、法第8条第1項の規定に基づき、業務の一部停止を命ずる範囲の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含む。)を禁止するよう命じましたので、法第7条第2項及び法第8条第2項に基づき、公表します。
1 本件事業者の概要
- (1)事業者 ジェッツホームサービスこと鈴木利幸
- (2)代表者 鈴木利幸(すずきとしゆき)
- (3)所在地 大阪市東成区中本一丁目5番24-1008号
- (4)事業開始 平成27年ごろ
- (5)事業内容 換気扇用フィルター専用枠及び交換用フィルターの訪問販売
2 処分の内容
(1)業務停止命令
本件事業者は、令和3年3月27日から令和3年6月26日までの3か月間、訪問販売に関する業務のうち、次の業務を停止すること
- ア 訪問販売に係る売買契約の締結について勧誘すること
- イ 訪問販売に係る売買契約の申込を受けること
- ウ 訪問販売に係る売買契約を締結すること
(2)指示
- ア 本件事業者は、違反行為の発生原因について調査分析の上で検証し、その検証結果を大阪府知事に報告すること
- イ 本件事業者は、違反行為の再発防止に向けた、再発防止策を構築し、これを大阪府知事に報告すること
(3)業務禁止命令
鈴木利幸は、令和3年3月27日から令和3年6月26日までの3か月間、訪問販売に関する業務のうち、次の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含む。)を禁止すること
- ア 訪問販売に係る売買契約の締結について勧誘すること
- イ 訪問販売に係る売買契約の申込を受けること
- ウ 訪問販売に係る売買契約を締結すること
3 処分の原因となる事実
(1)法の適用
本件事業者は、大阪市東成区中本一丁目5番24-1008号に事務所を置き、換気扇用フィルター専用枠及び交換用フィルター(以下「本件商品」という。)の販売の事業を行っている。
本件事業者は、営業所以外の場所である消費者宅において、本件商品の売買契約(以下「本件売買契約」という。)を締結していることから、本件事業者が行う本件商品の提供は訪問販売に該当する。
(2)違反事実
本件事業者が行っている訪問販売について調査を行ったところ、以下の事実が認められた。
- ア 氏名等(勧誘目的を含む)不明示(法第3条)
本件事業者は、消費者宅を訪問し、勧誘に先立って、「換気扇の操作説明に来ました。」「換気扇の使用方法とフィルターの設置の説明です。」などと告げるのみで、氏名や勧誘目的を明示していなかった。 - イ 契約書面の記載不備(法第5条第2項)
本件事業者は、消費者宅において、消費者と本件売買契約を締結し、本件商品の代金を受領したときに、本件商品の売買契約の内容を明らかにするため、「ご契約の案内」と称する書面を、消費者に交付していたが、当該書面には、法第5条第2項に規定する特定商取引に関する法律施行規則(昭和51年省令第89号)第4条第2号で定める売買契約の締結を担当した者の氏名について「鈴木利幸」と記載しなければならないところ「スズキ」と記載していた。 - ウ 不実告知(法第6条第1項第6号及び第7号)
本件事業者は、消費者宅において、勧誘時に、消費者に対して「他社のフィルターを使用したら駄目。うちのフィルターは対応している。」「換気扇フィルターは市販品はダメで、説明書にも書いてあります。」等と告げて、あたかも、本件商品が市販品でないかのように告げて、消費者に本件商品の購入を勧めたが、本件商品は他社の換気扇フィルターと同様に市販品であった。(第6号)
また、本件事業者は、消費者宅を訪問した際、勧誘に先立って、消費者に対し「マンション管理会社から委託されて、換気扇の説明に来ました。」や、勧誘の時には「このフィルターはマンションの皆に買って貰っています。」などと、事実でないことを告げていた。(第7号)
4 主な勧誘事例
事例1
令和2年8月に、消費者Aの自室のチャイムが鳴り、Aが、インターホンで画像を見ると、作業服を来た男の人であるジェッツホームサービスこと鈴木利幸(以下「X」という。)が「換気扇の操作説明に来ました。」「管理会社から言われて来ました。」「一軒々回っています。」と言って訪ねて来た。Aは、入居後、頻繁に管理会社から委託された業者関係者が、Aの自室に出入りしていたので、Xが言っている事に何も疑う事も無く、Xがキッチンの所まで入ることを承諾した。
Xは、Aのキッチンに設置されてある換気扇の説明書を取り出し、Aに、その説明書を見せながら掃除の説明を始めた。Xの説明は、テレビショッピングを聞いているようで、聞き取りやすく、手振りを混ぜての上手なセールストークであった。
掃除の説明中に、Xは、Aが既に付けている換気扇フィルターを見て、Aに、A宅に設置している換気扇の説明書を見せながら「他社のフィルターを使用したら駄目と書いてあるでしょ。うちのフィルターは対応している。」と本件商品の購入を勧めてきた。Aは、換気扇の掃除に関心があり、安価で買った換気扇フィルターを付けていたが、Xの説明を受け「掃除は、時間が掛かるし、大変やなぁ。」と思い、本件商品を購入しようという気持ちになり、本件売買契約を締結することにした。Aが、Xの氏名を初めて知ったのは、その時に受取った契約書を見たときであった
事例2
消費者Bは、令和2年7月に、Xが、マンション1階出入口のインターホンを押した事で、インターホンに出た。すると、Xが「換気扇の使用説明に来ました。」と言った。Bは、この時に、Xが、氏名や、本件商品の販売で回っていますと、本当の目的を言っていれば、Xの訪問を承諾することはなかった。
しかし、Bが、この新築マンションに入居後、前日までに、ガス等の点検、調整等でマンション管理組合の担当者が立て続けに訪問していたので、Bは、Xも管理組合から派遣された換気扇の担当者だと思い、Xの訪問を承諾した。
BがXを自宅に入れると、Xは、キッチンの所で持っていたバックを置き、その中から、Bの家に設置してある換気扇のカタログを取り出し、Bに見せながら、掃除の説明を始めた。BがXの説明を聞いていると、Xは、本件商品をバックから取り出し「このフィルターを付けなければ換気扇壊れますよ。正規品を付けないと壊れますよ。」と、本件商品の購入を勧めてきた。
また、Xは、Bに「マンションの回れる所、全部回って、皆、付けている。あった方が良い。」などと言ったので、Bは、Xの説明にうさん臭さを感じたが、Xの話の上手さや「マンションに住んでいる人が皆な付けてるんやったら、付けなあかんのかなぁ。」と思い、本件売買契約を締結することにした。Bが、Xの氏名を初めて知ったのは、Xから契約書を受け取った時に、契約書の右側下付近に記載された「J'sジェッツホームサービス 代表 鈴木利幸」を見た時であった。
事例3
令和2年5月に、消費者Cの自宅のインターホンが鳴り、男性の声で「換気扇の使用方法とフィルターの設置の説明です。」と聞こえた。モニターを見ると、Xが映っていた。Cは、訪問理由によっては、居留守を使ったりすることもあるが「換気扇の説明です。」との言葉から、新築マンションなので、説明を受けなければならないと思い、対応することにした。Cが玄関に出ると、Xは、社名等がない作業服上下で立っていた。その時も、Cに氏名を名乗らなかったが、Xを警戒することもなく室内に入れた。
Xは、室内に入り、キッチンの前でCに「何回か来てるけど、説明に来るのが遅くなってごめんね。私はXです。」「換気扇の使用方法とフィルターの設置の説明です。」と言った後、換気扇を指でなぞり、Cに指先を見せて「ほら、こんなに油がついているでしょ。」「換気扇の掃除は大変で、掃除は時間がかかる。」等と言った後、「換気扇フィルターは市販品はダメ。」「説明書にも書いてあります。説明書はありますか。」と言って来た。Cは、説明書をXに手渡した。Xは、その説明書を捲り指を差して「ほら、ここに書いてあるでしょ。」と言ってきた。その説明書には、確かに「吸い込み部分に市販の繊維フィルターなどを取り付けないでください。」などと書かれていたので、Cは「市販品はダメと決まってるんだ。」と、Xの説明に納得した。すると、Xは、本件商品を取り出し換気扇の煙の吸い込み口に取り付け、本件商品の購入を勧めてきた。Cは、Xの「市販品はダメ。」との説明に納得したため、本件売買契約を締結することにした。
事例4
消費者Dは、知り合いの不動産会社の方(以下「E」という。)の紹介で、令和元年12月に、新築マンションに入居した。その日は、引っ越しをした日で、Eから「管理組合の誰々が家に行くよ。」などと、事前に連絡が入るようになっていた。そんな時、マンションの1階から自室のインターホンが鳴り、Dが出ると、Xの声で「管理会社から委託されて来ました。」「換気扇の点検、使用方法の説明に来ました。」と言ったので、Eからの連絡は無かったが、Dは「Eを通して管理会社から委託されて来たアフターサービスなんだ。」と信じてしまい、Xの訪問を承諾した。
Dが玄関を開けると、作業服を着て、鞄みたいな物を持ったXが立っていた。Dは、Xに「管理会社の委託で来ました。」と言われたことから、換気扇の説明等を受けることは義務だと思い、Xを室内に入れた。Xは、キッチンに行き、Xが持ってきた説明書等をDに見せながら、換気扇の使用や掃除等の説明をした後、本件商品をDに見せ「このフィルターなら掃除が簡単で楽であるし汚れない。」などと、本件商品の購入を勧め始めた。さらに、DにXは「この換気扇フィルターは、マンションに住んでいる人達の殆どが付けている。」と言った。Dは、Xが管理会社に委託されていると思っていたので、本件売買契約を締結することにした。その時、Xは、Dに契約書を交付し、それに記載されたチェック項目を読み聞かせた。Xが「マンション、不動産業者、オーナー様とは関係ない。」と読んだことで、Dは、Xが最初に言ったことと違うと思った。
Xが帰った後、Dは、EにXとの契約のことを話したところ、Eから「こんな悪質な訪問販売が多い。」「その業者も悪徳業者やからクーリングオフしなさい。」と言われたので、Dは、クーリングオフをすることにした。
5 本件事業者に関する消費生活相談件数
(令和3年3月15日現在)
年度 |
件数 |
---|---|
2014(平成26)年度 |
1件 |
2015(平成27)年度 |
15件 |
2016(平成28)年度 |
16件 |
2017(平成29)年度 |
20件 |
2018(平成30)年度 |
28件 |
2019(令和元)年度 |
38件 |
2020(令和2)年度 |
45件 |
合計 |
163件 |