トップページ > 府政運営・統計 > 施策・計画 > 計画・指針・報告書 > BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)の取組み

印刷

更新日:2024年7月1日

ページID:86640

ここから本文です。

BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)の取組み 

1.大阪府におけるがん対策について

がんは我が国における死因の第1位であり、大阪府においても年間7万人を超える方々が新たにがんに罹り、約2万6千人の方ががんで亡くなるなど、府民の生命、健康、生活にとって大きな脅威となっています。大阪府ではがん対策の推進を図るため、令和6(2024)年度から令和11(2029)年度を計画期間とする「第4期大阪府がん対策推進計画」を策定しています。本計画では、基本理念として「がんになっても適切な医療 を受けられ、安心して暮らせる社会の構築」を掲げ、その実現に向け、「がん死亡率の減少」、「がんり患率の減少」、「がん生存率の向上」、「がん患者や家族の生活の質の維持」を全体目標としています。

2.がん治療について

がん治療には大きく分けて放射線治療、薬物療法(化学療法等)、外科療法の3つがあります。放射線治療は腫瘍を標的とし、治療に必要な最低限の周りの正常組織を含めて放射線を照射する治療です。薬物療法(化学療法等)は抗がん剤等のがん細胞を攻撃する薬による治療です。外科療法は手術によって、がんやがん細胞のある臓器を取り除く治療です。 がんにり患した際に、がんの特性・患者の状況に応じて様々な選択肢の中から質の高い治療法を選ぶことができるような体制の整備が求められています。

3.BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)について

がん治療における4つ目の選択肢

がん治療における4つ目の選択肢

BNCT(Boron Neutron Capture Therapy)は、中性子とホウ素の核反応を利用したもので、正常細胞にほとんど損傷を与えず、がん細胞を選択的に破壊する治療法で、初発・単発がんのみならず、個別臓器に広がったがんや転移性がん、難治性がんにも効果が期待できます。また、通常の放射線治療を行った後でも治療可能であり、再発がんの治療にも効果が期待されるほか、他の治療法とBNCTを併用することによって治療の効果がさらに高まる可能性もあります。本治療法は、切開や切除を行わないため患者にかかる負担が小さく、患者のQOL(生活の質)向上が大きく期待されます。

BNCTは、中性子とホウ素の反応を利用してがん細胞のみを選択的に破壊するという有効性と安全性の点で、従来の放射線治療とは次元の異なる特長を有する画期的ながん治療法で、将来のがん治療を担う4つ目の治療法として有望です。

「中性子捕獲反応」を応用したBNCTの原理

BNCTの原理

中性子捕獲反応のがん治療への応用のアイデアは、1936年に米国の物理学者Locherによって出されました。それは、ホウ素(10B)と低速(熱)中性子の核反応によって放出されるヘリウム核(4He原子核:(α線))とリチウム核(7Li原子核)によってがん細胞を破壊するというものです。熱中性子は様々な原子核によって捕獲されますが、中でもホウ素原子核が捕獲する確率(捕獲断面積:cm-2)は窒素(14N)のそれの約2000倍で、生体を構成する他の元素に比べて桁違いに大きいことがわかっています。さらに反応後に放出される2つの粒子はいずれも飛程がごく短く、一般的な細胞の径を超えません。がんに選択的、かつ十分量が集積するホウ素化合物があれば、これを投与した後に中性子を照射することでがんだけを破壊することが可能になります。

4.BNCTの主な特長

  • 中性子とホウ素の反応を利用しがん細胞を選択的に破壊する
  • 正常細胞にほとんどダメージがなく安全性が高い
  • 個別臓器全体に広がったがんや浸潤がんなど治療が難しいがんにも延命・治癒の効果が期待できる
  • 放射線治療後に再発したがんも対象にできる
  • 効果は患部の深浅やホウ素薬剤の集積度に影響される
  • 照射は1から2回、30分から60分程度
  • 切開や切除を行わないので患者のQOLにも貢献
  • 制がん剤、抗がん剤を用いないので副作用が少ない
  • PET検査による治療効果予測が可能

5.BNCT治療の流れ

BNCT治療の流れ

  • がん細胞に集積する特性を持ったホウ素薬剤が集積しているか否かを確認するPET検査を実施
  • ホウ素薬剤を投与
  • 原子炉や加速器から取り出した熱外中性子線を患部に照射
  • がん細胞に集積したホウ素と反応し、がんのみを選択的効果的に破壊

加速器による中性子照射イメージ(出典:住友重機械工業株式会社プレスリリース)

中性子照射イメージ

6.これまでの取組み

BNCT実用化に向けた大阪府の取組みへのリンク

7.今後の展望

今後の展望

がん放射線治療の主軸は広いがん種や病期をカバーするX線治療であり、このことは将来も変わらないと考えられます。BNCTは原理上、細胞選択的照射が可能であり、X線治療や粒子線治療で対応が困難ながんや病期などにも適応の可能性があります。

8.わかるBNCT講座

第1章 導入編

第2章 治療編

第3章 照射準備編

第4章 看護・ケア編

第5章 線量計画編

第6章 薬理作用編

第7章 将来展望編

9.BNCTに関する情報(資料、パンフレット、シンポジウム、関連外部サイトリンク)

BNCTに関する情報へのリンク

 

 

 

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?