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更新日:2009年7月22日

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平和教育の指導にあたって[平和教育に関する事例集より抜粋]

平和教育の指導にあたって

我が国は、日本国憲法において、再び「戦争の惨禍」が起こることのないよう、また、恒久の平和を「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持」することの決意を謳うとともに、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」ことを示している。
この理想の実現は、教育基本法にあるように「根本において教育の力にまつべきもの」であり、「人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者」の育成を期して教育は行われなければならない。
府教育委員会としては、日本国憲法及び教育基本法、教育関係諸法令、学習指導要領に則って、各教科、道徳及び特別活動などの教育活動を通じて、国際社会に生きる民主的、平和的な国家・社会の形成者としての必要な資質の育成に努めてきたところであり、市町村教育委員会並びに府立学校に対して、生命の尊さ、戦争の悲惨さ、平和の尊さについて指導するよう、要望及び指示してきたところである。
また、平成11年4月に示した「教育改革プログラム」において、「生命と人権を尊重し、他者を思いやる豊かな人間性をはぐくむ」ことや「郷土への誇りをもち、世界に目を向けた生き方を養う」などの人づくりをめざして教育改革を推進することを明らかにした。
さらに、21世紀の国際社会の平和と繁栄を築いていくためには、互いの異なる文化を理解し、認め合って生きる取組や、地球環境保全への取組が重要である。人権教育はこれらの基礎を培うものとして大切なものであり、「人権教育基本方針」及び「人権教育推進プラン」に基づいて人権教育を進めているところである。そして、様々な人権問題として、人権の保障や平和維持のため国連やユネスコが果たしている役割について取り上げ、人権が保障された社会の実現に向けた実践的な態度の育成を図っているところである。
平和教育は、府内の各学校において、日本国憲法の平和主義の理解とともに、広島・長崎の被爆体験者や地域の戦争体験者からの聞き取り、地域の戦跡の学習等を通して取り組まれている。さらに、本府のこれまでの人権教育の取組が生かされ、子どもの発達段階に即して平和教育が継続的に行われることが大切である。そして、平和や生命の尊さを理解し、心のなかに平和のとりでを築き、様々な国家間の問題を国際的な視点から分析、判断
し、平和を守り、平和を構築することができる実践力をもった人材の育成に努めなければならない。
ユネスコの提唱に沿い、本府のこれまでの取組を総括する形で定めた平和教育基本方針に則り、各学校は、次に示す指導の視点に沿って、平和教育を推進すること。

指導の視点

  1. 人権尊重の精神が、指導の過程において徹底されていることが必要であり、人権の視点に立った教育活動が実施されなければならない。
  2. 先の世界大戦が人類全体に惨禍を及ぼしたことを理解させ、世界平和の実現と人類の福祉の増大のために、各国が相互に主権を尊重し、国際協調が重要であることを認識させる。
  3. 自国の歴史や文化・伝統に誇りをもち、諸外国の異なる文化や習慣等について理解を深め、互いに違いを尊重し、共に生きることができる資質や能力をはぐくむよう指導する。
  4. すべての生物にとって地球はかけがえのないものであるという認識の上に立って、環境や自然と人間との関わりについて学び、世界的な視野と地域的な視点に立ち、よりよい環境の創造を実践する態度の育成に努める。
  5. 子どもの発達段階に応じ、各教科、道徳、特別活動及び「総合的な学習の時間」と関連させるとともに、過去の歴史から学ぶもの、現在の様々な課題の学習から得るもの、そして、未来からの視点に立った学習や実践などを計画的・系統的に指導する。
  6. 自己表現力やコミュニケーション能力等の育成を通じて、一人一人の子どもが対等な立場で他者との関係をつくり、他者を尊重する態度や集団と自己との調和を図る態度を育成するよう指導する。
  7. 子ども自らが主体的に平和学習に取り組むことができるよう、図書館やインターネットを通じた情報収集、地域の戦争体験者からの聞き取り、戦跡のフィールドワーク等の体験活動を重視するなど参加型の学習活動を行う。
    平和教育の指導にあたっては、「指導の視点」に沿い、小学校、中学校、高等学校それぞれの発達段階を配慮して指導する。

小学校段階の指導について

  1. 自己の存在や他者への共感を大切にする態度の育成に努めるとともに、生命の大切さを認識し、自他の生命を尊重する態度を育成する。
  2. 豊かな感性や人権尊重の態度の育成とともに、社会のできごとに興味・関心をもち、社会的事象を多角的・多面的に考察し、分析できる力の育成に努める。
  3. 様々な国の文化や生活にふれ、互いの文化を尊重し、共に生きることができる資質や能力をはぐくむよう指導する。
  4. 日常の生活において発生する対立を平和的に解決する力を養う。
  5. ボランティア活動や自然体験活動などを行うことを通して、平和や環境保全等のため主体的に活動しようとする態度を育成する。
  6. 第二次世界大戦において、国民が大きな被害を受けたこと、また我が国が、中国をはじめとする諸国に大きな損害を与えたことについての学習を通して、国際交流や国際協力が、平和な国際社会の実現に重要であることを理解させる。

中学校段階の指導について

  1. 自己の存在の肯定感を養うとともに、他者の役割と存在を認める態度の育成に努めるとともに、生命の大切さを認識し、自他の生命を尊重する態度を育成する。
  2. 豊かな感性や人権尊重の視点に基づいて、社会のできごとに興味・関心をもち、社会的事象を多角的・多面的に考察し、分析できる力の育成に努めるとともに、問題解決のため主体的に行動しようとする態度を育成する。
  3. 世界には、様々な文化をもつ国があることを認識させ、互いの文化や歴史を尊重する態度を育成するとともに、共に生きようとする態度を育成する。
  4. 日常の生活において発生する対立を平和的に解決する力を養う。
    環境問題や平和について、国際的な協力や協調が必要であることを認識させ、国際連合やNGO等の活動の学習を通して、平和や環境保全等のため主体的に活動しようとする態度を育成する。
  5. 第二次世界大戦において、我が国が多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害を与えたこと、我が国の国民が大きな戦禍を受けたこと、さらに大戦が人類全体に惨禍を及ぼしたことを理解させ、国際協調と国際平和の実現に努めることが大切であることに気づかせる。

高等学校段階の指導について

  1. 人間として尊重され、一人一人の生命が尊ばれる社会を実現しようとする実践的な態度を育成する。
  2. 社会的事象を多角的・多面的に考察・分析し、問題の解決に当たって、人権尊重の視点に立って考え、解決しようとする態度を育成する。
  3. 国際社会の一員として、互いの文化を理解・尊重する態度の育成に努めるとともに、文化の違う国の人々が、共に生きることができる社会の実現に向けて取り組もうとする実践的な態度を育成する。
  4. 日常の生活において発生する対立を平和的に解決する力を養う。
  5. 環境問題や平和のために活動する国際連合やNGO等の活動を知ることを通して、環境維持や平和のため、ボランティア活動などに積極的に参加しようとする実践的な態度を育成する。
  6. 二次世界大戦において、我が国が多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害を与えたこと、我が国においても広島、長崎への原子爆弾の投下をはじめ空前の戦禍を被ったこと、この戦争が、世界の諸国家・諸民族に未曾有の惨禍をもたらし、人類の文化と生活を破壊したことに着目させ、平和で民主的な国際社会の実現に努めることの重要性を自覚させる。
    (注)上記の6については、小学校・中学校の学習指導要領解説「社会編」、高等学校学習指導要領解説「地理歴史編」をそれぞれ参考にした。

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