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平成26年1月委員会会議会議録
大阪府教育委員会会議会議録
1 会議開催の日時
平成26年1月22日(水曜日)午前9時31分開会
午前11時43分閉会
2 会議の場所
大阪府公館
3 会議に出席した者
- 委員長
隂山 英男 - 委員長職務代理者
小河 勝 - 委員
立川 さおり - 委員
木村 知明 - 委員
- 井上 貴弘
- 教育長
中原 徹 - 教育監
津田 仁 - 教育次長
藤井 睦子 - 教育総務企画課長
見浪 陽一 - 人権教育企画課長
松本 昇 - 教育振興室長
和田 良彦 - 高等学校課長
丸岡 俊 - 之支援教育課長
水守 勝裕 - 保健体育課長
真野 正道 - 市町村教育室長
吉美 学 - 小中学校課長
浦嶋 敏之 - 地域教育振興課長
吉原 孝 - 教職員室長
山本 讓 - 教職員企画課長
白井 裕介 - 教職員人事課長
中野 伸一 - 福利課長
田中 保雄 - 施設財務課長
福本 芳次 - 文化財保護課長
荒井 大作
4 会議に付した案件等
- 議題1 知事からの意見聴取に対する回答の承認について
- 議題2 平成26年度「府立学校への指示事項」及び「市町村教育委員会に対する指導・助言事項」について
- 報告事項1 平成26年度検定教科書に係る出版社及び文部科学省からの回答について
- 報告事項2 教育長意見交換会について
- 報告事項3 平成27年度教員採用選考テストについて
- 報告事項4 平成25年8月31日以降における教職員の懲戒処分の状況について
5 議事等の要旨
- (1)会議録署名委員の指定
立川委員を指定した。 - (2)前回の会議録について
全員異議なく承認した。 - (3)議題の審議等
議題1 知事からの意見聴取に対する回答の承認について
議案の趣旨説明(教育総務企画課長)
地方教育行政の組織及び運営に関する法律第29条の規定により知事から意見を求められた平成26年2月定例府議会提出に係る次の議案について、異議がない旨を回答したことを承認する件である。
- 事件議決案
府費負担教職員の服務の管理に係る損害賠償請求に関する和解の専決処分の件
委員の質問及び意見
- (隂山委員長)謝罪の内容はどのようなものとなっているのか。
- (中野教職員人事課長)事務職員が介護休暇を取得した際、校長が勤務日を調整する中で退職をほのめかすような発言があったことで精神的苦痛を被ったことに対する謝罪となる。
採決の結果
原案どおり決定した。
議題2 平成26年度「府立学校への指示事項」及び「市町村教育委員会に対する指導・助言事項」について
議案の趣旨説明(高等学校課長・小中学校課長)
平成26年度府立学校に対する指示事項及び平成26年度市町村教育委員会に対する指導・助言事項を決定する件である。
また、12月の委員会会議において議決した取組みの重点の内容についても、一部修正したため、あわせて決定する件である。
委員の質問及び意見
- (木村委員)25年度の資料と比べると見やすくまとめてもらっており非常に皆さんのご尽力が反映され活用しやすい冊子になっていると思う。
- (立川委員)問題行動への対応チャートの活用は市町村に対してだけとなるのか。高校でも問題行動への対応は重要となると思うが。
- (丸岡高等学校課長)府立学校には既に「問題行動への対応チャート」をそれぞれの学校に配布している。
- (中原教育長)元々小学校高学年から中学校1,2年生にかけての問題行動が多いというデータがあることから、そこを念頭に置いたチャートを作成し市町村へ活用してもらっている。義務教育では出席停止が認められているだけであり、停学や退学という処分はないが、高校はそれら処分をうまく活用して対応しているところがある。もちろん高校の方でもこのチャートを活用していきたいと思っている。
- (隂山委員長)教育長へ一つお願いがある。以前中尾委員もおっしゃっていたが、府立学校のマネジメントについていつまでに何をどのようにするのかということを学校の運営計画として出してもらっているが、それ自体の質や運用について確認しておいてほしい。
- (中原教育長)今も担当が厳しくチェックし、実際に評価にも連動していることからそこは機能している。この府立学校への指示事項の役割としては、学校長の業務を類型すると目次の中に必ず入るようにしており、チェックリストとして活用してもらい、さらに中身を見たい場合は本編を見てもらうこととなる。学校長だけでなく、教頭や首席という若手のリーダーにも学校全体を俯瞰するという意識を持ってもらう意味でこの冊子を活用していただきたい。現場に使っていただけるように作成しており、改善できるところは今後も改善し、より使いやすいようにしていきたい。
採決の結果
原案どおり決定した。
報告事項1 平成26年度検定教科書に係る出版社及び文部科学省からの回答について
議案の趣旨説明(高等学校課長)
平成26年度検定教科書の一部の記述については、採択には問題ないが課題があることから、各出版社及び文部科学省に対して、大阪府の見解を伝え、回答を求めた。その回答について、委員会へ報告する件である。
委員の質問及び意見
- (木村委員)実際に91冊全てを読んでみて、多様な記載がされていることを改めて認識でき勉強になった。より良い教科書の作成につながっているのでやってよかった業務である。今後も真剣に取り組んでいただきたい。
- (隂山委員長)教科書検定制度は指導要領に合致しているかや科学的に正しいかをチェックしているだけであり、一定の方向性に基づいてチェックされているものではないということを、一般的に誤解もあるので押さえておきたい。
報告事項2 教育長意見交換会について
議案の趣旨説明(小中学校課長)
中学校における教育活動(指導・評価)の改善・充実と評定の公平性の担保について、市町村教育委員会教育長と意見交換を行なったため、委員会へ報告する件である。
委員の質問及び意見
- (井上委員)月曜日の会議で、私は大きな一歩を踏み出せたと感じている。大きな枠組みの中で各市町村の教育長がこの方向で頑張っていこうと概ね了解をいただき、各論については、今後、事務局と詰めていくものと思っていた。しかし、報道記事を拝見して、一部で「内申書に活用割れる教委」とあったが、あの場で市町村の教委が割れているようには全く感じなかった。他にも「市町村、府の方針に反対」「方法お任せ大阪市反発」等の記事があったが、そのようなことが起きないために私たちも公開の場で議論したのだが、私の個人的な意見としては相当異なる記事が書かれていると感じた。他の委員のみなさんはどのように思われているのかお伺いしたい。特に、見出しにはなかったが、大阪市の橋下市長の意向を受けてこのテストについて取り組んできたような記事となっているが、これも事実と大きく異なると思っている。事務局も教育委員も相当時間を使って議論して府教委の考え方を打ち出したということであり、その意味も込めて公開の場で皆さんに事実を知ってもらいたかったので、起こったことと異なる事実が記載されたことは個人的には残念だと思っている。
- (木村委員)子ども達のために長い時間協議して知恵を結集してここまで来た経緯がある。府と市の役割があり、府が全体を統括し、市が細かい住民サービスをする課程でしっかりと子ども達をみてもらうという役割がある。その意味でも府と市町村が同じ方向を向いて一致団結して取り組んでいかなければならない。もちろん懸念事項も色々と出てきているが、懸念事項というのは裏を返せば一つのアイデアであり、そのアイデアをしっかり受け止めてより良い制度となるようにしていかなければならない。メディアの権力チェックに対しては、我々もしっかり襟を正して公務に取り組んでいかねばならず、このこともあり公開という形をとっているのであり、その点では厳しく正しくチェックしていただきたいと思っている。
- (隂山委員長)事務局にお訊ねするが、この原案に対して、意見が割れる、府の方針に反対するといった事実があるのか。
- (中原教育長)当然市町村の教育長はそれぞれの学校への説明責任があるので、正確で確定的で説得力のある情報をもらわなければならず、特に評定の範囲などはまだ明確ではないため、「感情的に言えばチャレンジテストを入試に反映させることには抵抗がある」とおっしゃった教育長もおられる。或いは「一年間の試行の結果を見てから判断しても良いのでは」というようなご意見が5,6市町村からあったが、最後に村田会長が「市町村の意見を聴きながら進めていただきたい」とまとめてくれた。大阪市については「公平性の担保のためにチャレンジテストを使うということは基本的に評価するが、体育や音楽等チャレンジテストに入ってこない教科については内申書や入試には反映させない」という提案があったが、確かに厳密に言えば公平性が担保されないのかもしれないが、保護者、中学生の感覚としては、そのぐらいは学校の評価のみでしても良いのではないかとの感覚があるため、「その要望は聞き入れられない」とその場で答えたが、「全体としては評価する」との答えであり、反発という印象はなかった。
- (隂山委員長)各論では色々あるだろうが、いずれにしてもこんなもんだろうという所にまとまっていこうとしているということで良いか。
- (中原教育長)この記事の中で府教委幹部の発言として「大阪市は結局、学校や教員を信用していない。府と市町村がいつまでももめている印象で、保護者や生徒に不安を与えるのが一番良くない」とため息をもらすとある。これは、教育委員会事務局のルールとして上司が不正なことをしている場合の告発はどんどんしてよいが、事務局の中での話し合いでは、特に重大問題については、上司の意向だけで決定するのではなく、一人でも会議の参加者が反対していると次のステップに進まないようにしている。教育委員の中でも話し合いの中で意見が割れるということは今のところない。そのような中で、このような発言をした者がいるのかどうかを各課内で確認すると、いないということである。この発言もおかしく、そもそも市町村を一刀両断に切り捨てる発言を府教委の幹部が、そのような失礼なことをするとは思えない。大阪市の関係者も嫌な思いをする。府と市町村がいつまでももめているという印象は、このような記事が出るからやりにくい。大阪府は小さな県に比べて市町村の独立性は強く個性がある。それだけに心通わせ一丸となっていこうと、市町村の教育長と2月に1回は話し合いをしたいと要望もしている。人間が一つの事を一生懸命誰かのためにやろうとすると、意見が異なるのは当たり前であり、時にはぶつかることもあるが、意見の違いがあるからもめているというのは全く事実と異なる。一番やりにくくつらいのは、中学校の現場の先生がこの記事を見ると自分たちの上司と府教委が空中戦で現場を置き去りにしてもめているんだと、変な先入観をもってみられることである。
- (小河委員長職務代理者)この記事の事ではないが、この問題そのものについて考えてきた。評価の問題は非常に重大であるが、学会でもまだ結論は出ていない教育の根源にかかわる重大な柱になる話である。それを我々がどの様に決めるのか厳しい局面に入っている。具体的に言えば、現場で先生たちが一斉に絶対評価というものをどのような理念で導入して決めていくかという問題にかかわっている。自分が経験した立場から考えると難しい問題である。まずは各校長が意見を統一していかなければならない。それを、教育長が各市町村と足並みがそろうように統一していかなければならない。それを我々がまとめていくという形で今動いている。そう考えると、異論が出てきて明確に反対意見が出てくることは非常に大切である。反対だという発言は重要な課題を出していただいていると私は受け止めている。考え方を統一していくことは良いのだが、もう一度原点に戻って確認し続けるスタンスを変えてはいけない。統一テストで学力向上を図ることは皆が賛成しているが、内申の評価にカウントしていくところで待ったがかかっている。このようなことをしている都道府県はなく、大阪府が初めて挑戦しようとしている。他府県で行われている絶対評価についての検討も研究していかねばならない。大阪府で初めて絶対評価を取り入れようとしていることが、どの様な結果になるかは誰も分からず、研究段階であることを常に踏まえておかなければならないと考えている。昨日教育長は27年度の決定を見て、28年度の合否に使っていきたいと発言されたがそれは現在の想定の話であって実際そうなるかどうかはこれからのプロセスの中で決まっていくと私自身は考えている。憶測で記事を書かれるのは困るが、色々な意見を踏まえて大阪の教育を進めていかねばならない。
- (隂山委員長)これだけは言わせてほしいが、我々がここで議論したことについて確信を持っていないということはない。確信があるから進めようとしている。そのことに関連して、基本的な進め方について確認しておきたい。1点目としては法規法令の順守ということ。国としては絶対評価でいこうとしている。2点目としては、実効的対策を打ちましょうということ。データを見て何をしたらよいかを見ていかねばならない。中学校1年生から評価対象とするのは、小学校5,6年生で上がった成績が、中学1年で一旦落ちてしまい、中学3年になっても上がり切らないため中学3年生での全国学力テストで中々成績が上がらない。それだけではないが、中学1年生の時から勉強していただきたい。市町村の教育委員会でもそのことに気付いていたから、中学1年生、2年生のところでもテストをしていきましょうとの意見が、むしろ市町村の方から出てきたと記憶している。3点目としては、各市町村が大きい自治体の集まりであるので中々一体感が出にくいが、一体化していかなければ指導・助言というものが成り立っていかない。教育長にも頑張っていただき丁寧な議論を積み上げてきたところである。今出てきている結論というものは、我々の主体的な議論の積み重ねである。知事や市長と言った政治家の方々からの意見は聞くが、そのようなネットワークを一括りにして皆が合意して進めていけることが何なのかということを決めてきたのである。小河委員のおっしゃる通り、今までしたことのない部分に踏み込んできているので、最終的なストライクゾーンがどこなのかというところを、1月20日の会議では大体この辺かなという所が固まったということで非常に重いものである。これはゴールでもありスタートでもある大きな節目であったと思っている。この場でも確認しておきたいが、これでうまくいくという確信をもってこの施策を出しているものですよね。実施時期や評価方法などの細かい調整はこれからの話ではあるが、基本的にはこれによって大阪の教育は良くなるということで進めていくということ。メディアの方々に押さえておいてほしいのは、我々は独自に教育的観点を貫いてきているということを自負している。色々な方の意見は聞くが喧々諤々議論した上で決めてきているということ。
- (立川委員)私の個人的な認識では、昨年の夏から議論してきているが、今回の報道に関しては、嘘ではないが正しくないという内容だったように思う。市町村協議会から10月21日に頂いた要望書というものが、私としては今回の素案を出すにあたって後押しして頂けたと思っている。全体では入試に絡めた統一テストは不必要であると書いてあるが、後半では統一テストに関連して各学校の学力向上や学校への指導助言、あるいは、絶対評価の精度向上の指針となるテスト実施については異存はないとされている。ここから、精度向上であれば賛成していただけるのだということで、今回の素案を作るにあたって、自信を持てた。今回、評価の範囲を示させていただいた時の反応としては、また一歩こちらに歩み寄っていただけたものと思っている。新聞記事の内容は対立しているような印象であるが、今回は良い着地点を見いだせたと思っているので、正しくない内容であるとの認識である。
- (小河委員長職務代理者)今着手して、これから築き上げていこうという新たな挑戦なんだという方向性であり、既に決まってしまって方向性が確定しているのではないということ。
- (井上委員)今はひとつのプロジェクトとして目標を掲げたということ。もちろん特段の支障が生じた時は微調整して変更していくもの。ただし、これだけ大きなことを進めていくので、何かしらの目標を立てないと進んでいかない。そのことからすると、教育長をおっしゃっていることと小河委員がおっしゃっていることは表裏では同じことと考えている。
- (小河委員長職務代理者)兵庫県では非常に詳しく分析した上で進めているがテストは行っていないという現実がある。そのようなことを踏まえ、それぞれにどのような問題があるのかを研究しつつ我々の独自の方向性を追求していきたい。
- (中原教育長)そこは異論がある。他府県の状況はキッチリ調べている。他府県でも完璧なところはない。今、評定の範囲を決めるときに、どの要素を、どの様な統計学的アプローチによって決めていくかは大いに議論が必要であるが、評定の範囲を決めてチャレンジテストをしていくという大きな枠組み自体は決めていかないと誰もついてきてくれない。
- (小河委員長職務代理者)そういう方向で進んでいるのだが、決まったことではないということを我々も複眼的姿勢で臨んでいこうということ。
- (隂山委員長)私が思っているのは、最終的に保護者や子ども達へのメッセージとして入っていくので、不安があるまま進みますよと言うことではない。データの蓄積の中で学力向上を府内全域でやりましょうということ。実は市町村がばらばらに動き出すと、市町村の教育長も困ることとなる。出てきている問題点は懸念であり、我々の今後の研究課題を示唆していただいているもので、その中で進めていこうということが決まったものと認識している。受験と内申書というものは絶対的につながるのが当たり前であるから、統一テストの点をそのまま入試の素点にするのはムチャクチャであるが、絶対評価をしていき、市町村の格差を調整したうえで評価していくということであれば、間接的に影響が出てくるのは当たりまえである。我々が考えてきた評価の評価、指導の評価というものが、指導助言していく上で、データとして必要であるということ、子ども達が良くなっていくためのデータが中学1年のころから要りますということである。私達としては自信をもって進めていくということを強くメッセージしておかなければならない。
- (中原教育長)手続きとしては、このような内容を議事録に残すということは全国的にも珍しいことだと思う。これから日本がグローバル化していく中でも必要となることだが、人と議論する時に人格と意見を分けて議論できるということが大切であり、それを若者たちに教えていきたいと思っている。今日も、新聞記事を取り上げて、我々は異論があると議論してきたが、立派な新聞社であり、記者も優秀な方であるので、今回の件をもって、この方の名誉が傷つくものでもない。ただ我々の意見としてはこうだということを、人格は尊重しつつ話をしており、市町村を意見が異なって議論がヒートアップする時も、各市町村の人格というものは尊重して、ただ意見が異なるということで、フェアな条件でぶつけ合うことで良いものができるということである。日本でこのことが出来なければ、言葉も文化も異なる外国の方と議論ができるわけがない。また、このことをもって、報道に教育委員会が噛みついているとなると、その言葉自体が人格を否定というニュアンスが入っている。人格を否定して攻撃をしあうということは趣旨ではないのでその点は明確にしておきたい。
- (小河委員長職務代理者)現場でこの提案内容が討議されていく中で、皆の意見が反映され論議淘汰されていくことを願っているということである。
- (中原教育長)だからこそ、私としては2か月に1回は市町村の教育長と話をしたいと考えている。意見交換の回数は増やしていきたい。
報告事項3 平成27年度教員採用選考テストについて
議案の趣旨説明(教職員人事課長)
平成27年度教員採用選考テストに係る選考方法等の主な改正について、教育長による専決をするにあたり、委員会に意見を求める件である。
委員の質問及び意見
- (隂山委員長)大阪の教職に魅力がないように捉えられがちであるが、全体的に見ると給与を除けばやりがいのある職場環境を用意できるように努力してきたはずでその点が伝わっていないように思う。魅力がないように捉えられることがもどかしい。良い仕事ということをメッセージしてほしい。平成30年からは採用数を絞らなければならなくなるため意欲ある人にはチャンスである。志のある人に伝われば良いと思っている。
- (小河委員長職務代理者)教育という世界がどれだけ感動的かということを示していただきたい。教師の世界は奥深いと痛感している。幸せややりがいを求める人にはぜひ集まっていただきたい。本当にやる気がありやりたい人たちがやりにくくなっている問題が様々あるので、それを除去していくことが我々の責任であり頑張って行かなければならない。
- (立川委員)月曜日に乙武さんに講演会をしていただき、新任の先生方もパネルディスカッションに参加されていたが、会場の教職を目指している学生さん方も非常に良い雰囲気だった。このような草の根的な積み重ねで現場に行く学生が増えれば教職が良いと感じてもらえるので、このような機会を増やしていただきたい。
- (中原教育長)先生を目指す人たちは若い先生達の本音を聞きたいだろうということでこのような機会を設けている。同じことを続けると飽きられるので、また異なる広報活動を考えていきたい。また、勤務条件としては、小学校の先生は常に担任として生徒が目の前にいることで時間があっという間に過ぎていき時間が無いが、土日はある程度自分の時間が取れる。反対に中高の先生方はクラブで土日も潰れている現状がある。家族で過ごす時間や趣味の時間を確保できないと長続きしない制度となり、情熱だけに頼るのにも限界がある。クラブ活動をNPOに移したり、土日は保護者の方に見ていただくなどしていく必要がある。そうでなければ先生の数を増やすべきだが現実的には予算の問題として無理である。その点も整備していかなければ、大学生が仕事として先生を選んでくれない。今後議論していきたい。
- (小河委員長職務代理者)体罰の問題もそうだが、ムチャクチャな制度が当たり前となってしまっている。分かっていることにはメスを入れて改革していくべきだ。
- (隂山委員長)部活動の問題については、土曜授業の事もあることから議論していかなければならない。
- (中原教育長)小学校で英語をしていく仕組みを考えていく上でも、進度が早い児童に対する施策としては、外部の人も入れて土曜日にボランティアの人にしてもらうなりし、小学校の先生に入ってもらうというものではない前提で考えている。
- (井上委員)願書受付期間がインターネットでは4月25日までと早くなっている。
- (中野教職員人事課長)システム処理の関係から少し早くなっている。
- (木村委員)常勤講師の選考区分の選考方法については賛成である。現場力、技術力、コミュニケーション能力というのはテストや面接では測れない。また現場が講師を育てていくという観点で接していただき、良い先生がこの制度によりどんどん入ってきてほしい。
報告事項4 平成25年8月31日以降における教職員の懲戒処分の状況について
議案の趣旨説明(教職員人事課長)
平成25年8月31日以降において、教育長が専決した教職員の懲戒処分の状況について、報告する件である。
委員の質問及び意見
- (隂山委員長)気になったのは、4-2ページのウの事案。2年5か月の間に計97件というのは、この間の府教委の指導をあざ笑っているのかと思う。男性教員に関わって処分された校長はどれにあたるのか。
- (中野教職員人事課長)その下に書かれている校長は、通報があり一度その教員に確認したところ体罰はしていないとの回答がありそれで済ましていた。その後、更に通報があり詳細に調べたところ事実が発覚したもの。
- (隂山委員長)完全に悪意があるかよっぽど管理能力がないのではないか。2年5か月もの間、計97件もの体罰を把握できないものなのか。戒告では軽い処分とならないのか。
- (和田教育振興室長)校長経験者として言うと、部活動では複数の顧問がいるので直接見聞きしていなくても漏れ聞こえてくるものである。
- (中原教育長)慕われていない校長では情報があまり入ってこない。また本人への事情聴取では、自分の体罰はゆるされる範囲であるとの確信があったと述べている。そのことからも絶対的にこの校長が知っていたかどうかは決めかねた。
- (小河委員長職務代理者)注意しなければならないことは、この2年5か月もの間、桜宮の事件の後も続いている。それが当たり前という現実が教育現場に存在しており、そう簡単に払しょくしきれない恐れがある。その点は相当厳しく見ていかなければならない。
- (隂山委員長)桜宮の事件の前と後では全く異なると考えている。特に校長である。
- (中原教育長)知っていて黙認していたのなら問題であるが、そこまでは認定できなかった。今迄の慣例なら服務上の措置である訓告にとどまる所を2段階厳しい懲戒としての戒告に上げている。
- (隂山委員長)桜宮の事件後に入試をするかどうか検討した際、府立の体育科ではあのような体罰事件は起きていないということで我々も対応していたが、もしあの時にこの事件が出ていたならそうはならなかったはずである。社会人として、校長も含めて何をしているのかということ。毎年、体罰一掃の調査期間を設けて、見つけられなかった場合には校長の処分も戒告以上とするように通知してほしい。これだけはゼロにしてほしい。
- (津田教育監)校長の集まりでは桜宮の事件以降状況は変わっているという認識を持っていただくよう厳しく伝えている。もっと校長がアンテナを張り巡らさなければならない。教員を疑うわけではないが、校長は普段から、感情を抑えることが上手くない教員には感情のコントロールの方法を指導するなり丁寧にしていかなければならない。
- (隂山委員長)この子を何とかしてやりたいと思うと手を出てしまうことがあるため、よっぽど強いブレーキをかけておかないといけない。教師は体罰をやってしまうような場面があるので、その時にそうならないような思考回路を作っておかなければならない。
- (小河委員長職務代理者)指導とは何かという教師の基本的な理念の根底をもう一度見つめ、体罰は指導ではないという認識が必要である。非行的な問題で子ども達を諭す場合は話の中で言葉により相手が泣くぐらいに感動を揺さぶり引き出すような思考を教師自身が鍛えなければならない。そういうことが上手い人はいるので、そのような人達に学んでいかねばならない。
- (立川委員)全国的にもセクハラ、体罰に関しては厳罰化の方向であり、大阪府教委の懲戒処分の指針の改定を求めたい。児童のセクハラ行為に対して、常習性が認められる職員は懲戒にするとなっている。体罰に関してはその項目が無いが、常習性が認められる職員は免職にするとの一文を加えるべきであると思っている。
- (中野教職員人事課長)その指針は発展的に条例となっており、条例としてどうするかは検討していきたい。現在の条例で体罰については戒告、減給又は停職ということで3段階の規定がある。あくまでも標準の処分例となり、悪質なものについては免職にするという構えをもっている。
- (中原教育長)痴漢等は一回で懲戒免職となり、体罰はなぜ異なるのかという問題意識も分かるのだが、今回の件については人事監察委員会では懲戒免職では重過ぎるのではないかという意見を頂いた。先生という職業からすると、痴漢をした先生というのはその後の指導が社会的に無理かと思うが、体罰は20年前までは当たり前のものであった。痴漢等は30年前でも駄目であった。そのような文化を加味すると、いきなり一回で免職というのは難しいという判断があった。
- (立川委員)体罰をした教員への研修について、過去に体罰をした先生でも、反省して指導方法を変えた事例はたくさんあると思うので、そういった指導方法を変えた先生の実践を見て身に付けてもらう研修や、感情をコントロールする研修など、研修内容をしっかり考えていくことも必要。
- (隂山委員長)管理職の所でも雰囲気を作っておいてほしい。痴漢をゼロにするのは難しいだろうが、体罰や通勤手当の不正受給というのはゼロを目指せるはずである。怖いのは、今回出てきている人以外にもいるかもしれないということ。それを無くすためにチェック期間を設けて、見逃した場合は校長も処分されるなど、何かしらの仕組みも必要ではないだろうか。
- (中原教育長)処分を連座制にするなどあまりに厳しくし過ぎると、誰も校長にならなくなってしまう。
- (和田教育振興室長)2月に先ほど承認いただいた指示事項の説明会で全校長が集まる機会があるので、委員長から頂いたご意見について伝えておきます。
- (中原教育長)後は、体罰よりも効果がある指導方法を各先生に理解して納得してもらわなければならない。
- (小河委員長職務代理者)先生方に課題意識を提示するのが我々の責任である。
- (中原教育長)それを為末さんや柳本さんに来ていただいて研修を行ったが、受け取り方は先生ごとにバラつきがあった。
- (小河委員長職務代理者)具体的な事実で見せていかねばならない。甲子園で優勝したある高校の野球部では、体罰は全くないと聞いている。また、女性の先生で高圧的でない場合でも生徒が話を聞く場合がたくさんある。そういう実例をもっともっと研究していく必要がある。
- (中原教育長)現実の中で思った以上にこびりついているので、今後の大きな課題として議論していきたい。