ここから本文です。
大阪湾の漁の風景
巾着網漁業(まき網漁業)
今日は、大阪府鰮巾着網(いわしきんちゃくあみ)漁業協同組合所属の三徳丸さんと和泉丸さんにご協力いただき巾着網の操業風景を取材させていただきました。
出港
いよいよ沖へ出ます。網船はすでに沖へ行って操業を開始しています。今日の漁はどうでしょうか。
海
魚群探知機を積んだ色見船(いろみせん)が魚群を探しているところです。魚群が見つかると網船(あみぶね)に無線で連絡します。
魚群探査
魚群探知機を積んだ色見船(いろみせん)が魚群を探しているところです。魚群が見つかると網船(あみぶね)に無線で連絡します。
操業
色見船から知らせを受けた2隻の網船が魚群を取り囲んでいきます。ぐるっと円形に魚の群れを取り囲むのでまき網とも言います。(写真は魚群を完全に取り囲んで網のすそを絞っているところです。)その様子が、巾着網(きんちゃくあみ)という名前の由来です。巾着を上下逆にしたところをイメージしてください。
魚の取り揚げ風景1
魚群を取り囲んだ網の下を絞っていき、網をたぐり寄せ、魚を取り揚げます。(写真は網を狭めて魚を取り揚げているところです。)右端に少しだけ写っているのが運搬船です。
魚の取り揚げ風景2
フィッシュポンプを使って運搬船の魚槽(ぎょそう)に魚を収容しているところです。いわゆるこれが海の男たちです。フィッシュポンプとは、魚を海水とともに吸い上げる機械で、巾着網のような一度にたくさんの魚を獲る漁業で使われています。多量の魚を、網などで傷つけることなく、すばやく移動できます。その結果、魚の鮮度も保たれます。
魚の取り揚げ風景3
鮮度を保つために、氷を入れた魚槽に魚を入れておきます。
次の漁場への移動
網船が2隻並んで次の漁場をめざします。もちろん、色見船が先に行って、新しい魚群を探しています。魚を積んだ運搬船は港へ向けて帰ります。
帰港
運搬船が港に帰ってきました。さあ次は陸揚げです。
陸揚げ風景
魚槽から陸揚げしています。ここでもフィッシュポンプを使っています。写真右側の緑色の機械がフィッシュポンプです。
選別作業(荷捌き)
フィッシュポンプで吸い上げられた魚はベルトコンベアーに乗せられます。それをお母さんたちがより分けていきます。鮮魚で出荷するマイワシやマアジを手前の水槽に入れていきます。
獲れた魚(その一)
選別されたマイワシです。大きさが25センチくらいある大羽(おおば)イワシと呼ばれる大きなイワシです。からだの側面に7つの小さな黒点があることから、七つ星と呼ぶ地方もあります。この黒点は、子ども(稚魚)の時からあるので、ちりめんじゃこをよく見るとカタクチイワシに混じって、七つ星があるマイワシの稚魚を見つけることができます。脂が乗っていて美味しそうです。
梱包
マイワシは発泡スチロールに詰めて出荷されます。ちなみにこのマイワシは東京へ出荷されるそうです。
獲れた魚(その二)
これはマアジです。刺身にしたら美味しそう。写真中央の少し大きな魚はブリの子どもです。この大きさのブリは関西ではツバスと呼ばれています。ブリは出世魚といわれ、モジャコ、ツバス、ハマチ、ブリというふうに大きくなるとともに呼ばれる名前が変わります。
獲れた魚(その三)
これはコノシロです。東京ではコハダといい、江戸前寿司のねたにも使われています。ちなみに今日獲れたコノシロは飼料用に出荷されます。
運搬
ベルトコンベアーで運ばれたコノシロは容器に入れ、フォークリフトでトラックまで運びます。
獲れた魚(その四)
今日はスルメイカもいっしょに獲れました。大阪湾ではなかなかお目にかかれません。活きがいいのであめ色をしています。その他にも、サッパ(岡山でママカリと言われています)やタチウオも入っていました。
獲れた魚?(おまけ)クラゲ
これもいっしょに網に入っていたミズクラゲです。これは食べられません。これが網に入ると選別が大変です。
大阪府鰮巾着網漁業協同組合の皆様方ご協力たいへんありがとうございました。
(取材日:平成12年7月18日)