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健康項目
健康項目は、人の健康被害を起こすおそれのある有害物質であるという観点から、全国すべての公共用水域及び地下水について一律に適用されます。
項目名 |
内容等 |
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カドミウム |
【環境基準値】 |
0.003mg/L以下 |
【毒性】 |
呼吸器系や消化器系に作用する急性毒性と、長期間に蓄積する慢性中毒を引き起こします。イタイイタイ病は、慢性カドミウム中毒による腎機能障害、重症の骨軟化症とされています。 |
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【用途等】 |
自然界に亜鉛とともに広く分布しており、地表水、地下水にごく微量存在しているといわれます。重金属で、充電式電池、塩化ビニル安定剤、塗料、メッキ工業など広い用途で使用されています。 |
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全シアン |
【環境基準値】 |
検出されないこと |
【毒性】 |
生体への蓄積性はなく、毒性の弱いチオシアン化合物となり尿とともに排泄されます。急性中毒を引き起こします。青酸カリ(シアン化カリウム)に代表されるように、シアン化合物は一般に毒性が強く、微量でも水生生物や下水浄化微生物に障害を与えます。シアンに汚染された水を飲用すると急速に粘膜から吸収され、血液中で呼吸酵素を阻害し、頭痛、吐き気などを引き起こします。 |
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【用途等】 |
メッキ工業、化学工業などに使用されています。水中では、シアンイオン、シアン化合物として存在します。全シアンは、試料水中に含まれるシアンの総量を測定します。 |
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鉛 |
【環境基準値】 |
0.01mg/L以下 |
【毒性】 |
食欲不振、頭痛、貧血、全身倦怠などがあります。 |
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【用途等】 |
重金属で、鉛精錬、鉛蓄電池、鉛管、農薬など広く使用されています。 |
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六価クロム |
【環境基準値】 |
(令和4年3月31日まで)0.05mg/L以下 |
【毒性】 |
水中のクロムは通常三価または六価の形で存在します。六価のものは毒性が強く、その毒性は主にその強い酸化力によるもので、皮膚潰瘍、胃・肺ガン、鼻中隔湾曲などを引き起こします。 |
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【用途等】 |
重金属。化学工業薬品・クロムメッキなどに使用されています。 |
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砒素 |
【環境基準値】 |
0.01mg/L以下 |
【毒性】 |
生体への蓄積性があり、慢性中毒を引き起こします。体重減少、知覚障害、肝臓障害、皮膚沈着、皮膚がんなどを発症します。 |
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【用途等】 |
非金属元素。製薬、半導体工業、塗料などに使用されています。 |
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総水銀 |
【環境基準値】 |
0.0005mg/L以下 |
【毒性】 |
生体にきわめて有害な物質で、急性的にも慢性的にも中毒が起こります。 |
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【用途等】 |
重金属。化学工業、電池、電解ソーダ、蛍光灯、医薬用や実験用試薬などに使用されています。 |
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アルキル水銀 |
【環境基準値】 |
検出されないこと |
【毒性】 |
生体への蓄積性があり、慢性中毒を引き起こします。消化管あるいは肺や皮膚から容易に吸収され、特に脳に蓄積して知覚障害、運動失調、言語障害などの中枢神経障害-いわゆる水俣病を引き起こします。またアルキル水銀は生物濃縮が起こることで、水中の濃度はわずかであっても魚介類の中に高濃度に蓄積されて毒性を発揮する可能性があります。また、無機水銀が環境中で有機水銀に転換する可能性があります。 |
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【用途等】 |
アルキル水銀とはアルキル基と水銀が結び付いた有機水銀化合物の総称です。かつては、有機水銀系農薬、有機水銀製剤がありました。 |
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PCB |
【環境基準値】 |
検出されないこと |
【毒性】 |
生体への蓄積性があり、慢性中毒を引き起こします。肝機能障害、生体黒色色素沈着、塩素座蒼などを発症します。油症事件の原因物質とされています。 |
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【用途等】 |
工業用資材として優れた有機塩素化合物で、かつては電気絶縁油、熱媒体、ノーカーボン複写紙などに使用されましたが、現在は製造されていません。PCBは水、土壌及び大気中で光や微生物等によって分解されないため、環境や生態系を汚染し、さらに食物連鎖の中で生物濃縮され、人体への蓄積も起こってきています。 |
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ジクロロメタン |
【環境基準値】 |
0.02mg/L以下 |
【毒性】 |
生体への蓄積性はありませんが、急性中毒症状は、麻酔作用(めまい、嘔吐、四肢の知覚異常、昏睡)があります。発ガン性の疑われる物質です。 |
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【用途等】 |
低分子有機塩素化合物で、無色透明の、水より重い揮発性の液体で、芳香臭があります。プリント基板の洗浄、金属の脱脂洗浄、ウレタン発泡助剤、エアロゾルの噴射剤、冷媒、ラッカーなどに使用されています。 |
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四塩化炭素 |
【環境基準値】 |
0.002mg/L以下 |
【毒性】 |
毒性(頭痛、麻酔作用、嘔吐、肝・腎障害等)が強く、オゾン層破壊の原因物質の一つでもあります。 |
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【用途等】 |
低分子有機塩素化合物で、無色透明の、水に難溶性の液体です。機械器具の洗剤、殺虫剤、ドライクリーニングの洗剤、フロンガスの製造、その他の化学工業原料などに使用されていました。 |
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1,2-ジクロロエタン |
【環境基準値】 |
0.004mg/L以下 |
【毒性】 |
中毒症状は四塩化炭素と類似のもので、発ガン性も疑われています。 |
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【用途等】 |
低分子有機塩素化合物で無色透明の油状の液体で揮発性があります。塩化ビニルモノマーの原料、エチレンジアミン、合成樹脂の原料、フィルム洗浄剤、有機溶剤などに使用されています。 |
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1,1-ジクロロエチレン |
【環境基準値】 |
0.1mg/L以下 |
【毒性】 |
麻酔作用、肝臓や腎臓への障害、動物実験では発ガン性を認めた報告もあります。 |
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【用途等】 |
低分子有機塩素化合物で無色ないし淡黄色で芳香臭のある、重い液体です。揮発性で、酸素の存在下で過酸化物になり爆発性を持ちます。水に難溶性、有機溶剤に可溶で、ポリ塩化ビニリデンの原料などに使用されています。 |
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1,2-ジクロロエチレン |
【環境基準値】 |
0.04mg/L以下(公共用水域、シス体) |
【毒性】 |
嘔吐、中枢神経系の抑制、眼、皮膚への刺激などが報告されています。 |
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【用途等】 |
低分子有機塩素化合物で無色透明、芳香性、揮発性の液体、水に難溶です。溶剤、染料抽出剤、香水、ラッカー、熱可塑性樹脂の製造、有機合成原料などに使用されていました。 |
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1,1,1-トリクロロエタン |
【環境基準値】 |
1mg/L以下 |
【毒性】 |
オゾン層破壊の原因物質の一つです。毒性は低く、中毒症状は軽度の麻酔作用や目の刺激です。 |
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【用途等】 |
低分子有機塩素化合物で、揮発性の液体です。金属の洗浄、ドライクリーニング用洗剤などに使用されていました。 |
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1,1,2-トリクロロエタン |
【環境基準値】 |
0.006mg/L以下 |
【毒性】 |
中枢神経抑制と肝臓障害で、肺からの吸収や経皮吸収にも注意を要するとされ、動物実験では発ガン性を疑わせるデータもあります。 |
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【用途等】 |
低分子有機塩素化合物で、無色透明、揮発性で水に溶けない液体です。 |
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トリクロロエチレン |
【環境基準値】 |
0.01mg/L以下 |
【毒性】 |
急性毒性として目、鼻、のどの刺激や頭痛、麻酔作用などがあり、慢性的には肝臓や腎臓への障害のほか、発ガン性も疑われています。 |
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【用途等】 |
低分子有機塩素化合物で、揮発性で水に難溶性の液体です。機械金属部品や電子部品の脱脂などに使用されています。 |
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テトラクロロエチレン |
【環境基準値】 |
0.01mg/L以下 |
【毒性】 |
性状、毒性などはトリクロロエチレンとほぼ同様ですが、トリクロロエチレンよりも代謝されにくく蓄積されやすいといわれています。 |
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【用途等】 |
低分子有機塩素化合物で揮発性、水に難溶性の液体です。機械金属部品や電子部品の脱脂やドライクリーニング用の洗剤などに使用されています。 |
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1,3-ジクロロプロペン |
【環境基準値】 |
0.002mg/L以下 |
【毒性】 |
強い刺激作用があり、動物実験では肝・腎障害のほか、発ガン性の可能性も認められています。 |
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【用途等】 |
低分子有機塩素化合物で淡黄色で水より重く、揮発性の液体です。土壌薫蒸剤、殺線虫剤など農薬に使用されています。 |
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チウラム |
【環境基準値】 |
0.006mg/L以下 |
【毒性】 |
咽頭痛、咳、痰、皮膚の発疹・痛痒感、結膜炎、腎障害などの急性中毒を引き起こします。 |
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【用途等】 |
白色の結晶で水に難溶で、クロロホルムに可溶です。種子、球根、芝などの殺菌剤、土壌薫蒸剤として、ゴルフ場や農地で使用されます。 |
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シマジン |
【環境基準値】 |
0.003mg/L以下 |
【毒性】 |
急性中毒を引き起こします。 |
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【用途等】 |
白色の結晶で水、有機溶剤に難溶の農薬です。畑地やゴルフ場で除草剤として広く使用されました。 |
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チオベンカルブ |
【環境基準値】 |
0.02mg/L以下 |
【毒性】 |
急性毒性を引き起こします。 |
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【用途等】 |
無色か淡黄色の液体で、水に難溶、有機溶剤に可溶の農薬です。チオカーバメイト系除草剤で、水田の初期除草剤や、野菜、豆類などに使用されます。 |
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ベンゼン |
【環境基準値】 |
0.01mg/L以下 |
【毒性】 |
発がん性、麻酔作用をもち、さらに反復暴露により骨髄の造血機能障害を引き起こします。 |
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【用途等】 |
無色の液体で、沸点80℃の揮発性、可燃性、水より軽く、水に難溶、有機溶剤に可溶です。染料、溶剤、合成ゴム、合成皮革、合成顔料、化学工業原料などに使用されます。ガソリンに1%前後含まれます。 |
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セレン |
【環境基準値】 |
0.01mg/L以下 |
【毒性】 |
発がん性がある。慢性中毒症状としては貧血、皮膚・胃腸障害、肝硬変を引き起こします。 |
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【用途等】 |
硫黄に類似した固体元素で、半導体、殺虫剤、触媒、複写機感光体、整流器、太陽電池、赤色顔料、ガラス着色剤などに使用されています。 |
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硝酸性窒素及び |
【環境基準値】 |
10mg/L以下 |
【毒性】 |
高濃度の硝酸・亜硝酸性窒素を含む水の摂取によって、特に乳幼児がメトヘモグロビン血症を発症します。 |
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【用途等】 |
電気めっきにおける洗浄剤・防錆剤、希土類精鉱の溶解剤、製品の触媒、化学肥料などに使用されています。亜硝酸性窒素は、きわめて不安定な物質で、硝酸性窒素やアンモニウム性窒素に速やかに変化します。 |
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ふっ素 |
【環境基準値】 |
0.8mg/L以下 |
【毒性】 |
高濃度のふっ素を含む水の摂取によって斑状歯が発生するほか、ふっ素沈着症が生じます。 |
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【用途等】 |
温泉水や海水中には比較的高濃度で存在し、虫歯予防、原料用(フロン、ふっ素樹脂、殺鼠剤)や金属の研磨やステンレスの洗浄目的で用いられます。鉄鋼業等で原料として使用するホタル石にふっ素が含まれます。海水中では自然状態で環境基準値を上回っているため、海域には環境基準が適用されません。また、海水の影響がある河川や湖沼の環境基準点も評価から除外されます。 |
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ほう素 |
【環境基準値】 |
1mg/L以下 |
【毒性】 |
毒性は弱いが、高濃度のほう素を含む水の摂取によって嘔吐、腹痛、下痢及び吐き気等が生じます。また、農業用水として穀物の発育阻害などが起こります。 |
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【用途等】 |
ほう素は自然界でほう砂などとして広く存在し、温泉水や海水中には比較的高濃度で存在します。電気めっき工程の緩衝剤・めっき液、釉薬等製造工程、ガラスや医薬品などで使用されています。また、石炭中にもほう素が含まれています。 |
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1,4-ジオキサン |
【環境基準値】 |
0.05mg/L以下 |
【毒性】 |
動物実験では、肝臓・腎臓への影響、白血球の減少や赤血球の増加が認められています。発がん性の可能性も指摘されています。 |
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【用途等】 |
常温で無色透明の液体で、揮発性の物質です。水にも油にも溶けやすい性質から、広く溶剤として使われています。有機化合物を製造する際の反応溶剤として使われるほか、トランジスター、塩素系溶剤の安定剤、洗浄溶剤、合成皮革や塗料などの溶剤として使われています。 |
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クロロエチレン(別名塩化ビニル又は塩化ビニルモノマー) |
【環境基準値】 |
0.002mg/L以下(地下水) |
【毒性】 |
急性毒性としては、錯乱、頭痛、めまいが報告されています。発がん性物質です。 |
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【用途等】 |
低分子有機塩素化合物で、無色透明、芳香性の気体です。引火性があります。ほぼ全量が塩化ビニル樹脂などの合成樹脂の原料として使われています。 |