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更新日:2024年10月3日

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「サクラを守ろう クビアカツヤカミキリ対策フォーラム」を開催しました!

 現在、大阪府内ではサクラが枯れる被害が広がっています。その主な原因となっているのが、特定外来生物であるクビアカツヤカミキリです。 これからも美しいサクラを楽しむため、日ごろの管理の大切さを知るとともに、多くの方がクビアカツヤカミキリの脅威を知り、防除につなげていけるよう、フォーラムを開催しました。

 

開催概要

 

 日時 2024年7月17日(水曜日)14時00分~16時40分

 会場 エル・おおさか南館5階 南ホール

 参加者 130名(一般来場者100名、関係者30名)

 共催 大阪府・地方独立行政法人 大阪府立環境農林水産総合研究所

第1部

特別講演 「桜の通り抜け」~管理と歴史~ (独)造幣局施設課 渡邊秀勝氏

 造幣局の桜の通り抜けは、今年の3月時点で141品種340本を管理している。

 歴史をさかのぼると、明治16年、当時の造幣局長の発案により一般市民に開放するようになり、今年141周年を迎えた。大阪の春の風物詩とも言われる。公害や戦争禍を乗り越え、平成17年には、一週間のうちに、史上最多となる114万7千人の来場があった。

 桜の管理は、施設課保全係が貨幣製造機械の保全等と併せて担当している。手入れは「観覧者を優先し、安心して通行できる」ことを目指し行っている。

 年間通じた作業としては、1.育成調査 2.枯枝・ひこばえ切除 3.枝剪定 4.病害虫駆除 5.散水設備 の5項目。
1本毎にチェックリストを作成し作業を管理している。クビアカツヤカミキリについても、2018年度から点検している。

 維持作業としては、1.植え替え 2.開花時期の管理 3.品種維持 4.養成地管理 を行う。

 1.について、樹形の悪くなった桜を年に数本のペースで植え替え、若返りを図っている。
 2.について、最も多い品種の「関山」の満開に合わせて1週間を決定するが、開花時期がずれても、いずれかの品種が満開となるように配慮している。
 3.について、接ぎ木と芽接ぎにより品種が途絶えないよう増やしているが、技術力が必要な作業であるため、他の支局とも技術交流を行っている。
 4.について、3.で増やした苗木の「カルテ」を作り、移植用に養成地で育てている。

これからも「安心して通れる安全な桜の通り抜け」を目指して取り組んでいきたい。

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話題提供 「クビアカツヤカミキリの生態と防除」 おおさか環農水研 山本優一

 クビアカツヤカミキリ(以下、クビアカ)は、中国からベトナムにかけて生息。体長に対し、触覚が長い方がオス。体の大きさにはばらつきがある(2cm~4cm)。

 卵からかえった幼虫は、バラ科の樹木であるサクラ・モモ・ウメ・アーモンドなどの生きた木の、樹皮のすぐ下を食害するため、数が増えると、通水阻害され、枯れてしまう。約2年後の6月頃から成虫となって出てき、大量の卵を産むため、繁殖力が非常に高い。

大阪府では2015年に初めて確認されてから、被害が拡大している。目印は、「フラス」と呼ばれる木くずで、細かく見るとスプーンで削った形をしている。

防除手法は確立されつつあり、早期対策すれば、枯れずに残すことができる。

対策の一つは、ネット巻き。産卵管を樹皮に届かさないよう目の細かいものをふわっとまく。もう一つは、薬剤の樹幹散布。成虫の発生時期に複数回撒く。さらに、樹幹注入という方法もある。幹の根元周囲に注射のように薬剤を打つ。花が落ちて葉っぱが展開してからの4月下旬から9月に効果があることを確認している。少し見つけにくいが、成虫が出てくる「脱出孔」を塞ぐ手法もある。
枯れた木を伐採する場合は、成虫の拡散を防ぐために9月~4月に行うこと。伐採後は焼却かチップ化により確実に処分すること。

研究所のホームページに、対策の手引書やネット巻の手順をまとめた動画を載せているのでご参考に。

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第2部

パネルディスカッション「クビアカについて分かってきたこと、今できること」

 パネリスト ・土居常隆氏 (一般財団法人 富田林市公園緑化協会)

 ・野口よしの氏(長居わくわくパークプロジェクトチーム 株式会社庭樹園)

 ・菅野浩一氏 (大阪城パークマネジメント共同事業体 大和リース株式会社)

 ・山本優一氏 (おおさか環農水研)

 コーディネーター 池口直樹氏 (おおさか環農水研)

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事例報告

富田林市における取組み

2016年初確認で、爆発的に増えた。当初は手だてがなく、2020年から防除を開始した。富田林市における防除は、
1.地域への呼びかけ・・・公園や街路樹に看板、市民相談や講習会も。
2.樹幹散布と樹幹注入・・・6~7月に散布2回。注入は薬効が2年間ある。散布と注入の併用により、被害を抑えられることが分かって来た。
また、被害を受けた木もまだ樹勢のある早めに伐採することで、ひこばえからの再生を期待できる。

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長居公園の取組み

2023年度から本格的に取り組み始めた。5月に被害調査したところ、被害が見つかり、速やかにネット巻、植物園内で樹幹散布を行った(公園内では利用者への配慮から散布はなし)。また、すべての被害木に樹幹注入。
植物園ではフラスが止まったが、公園内ではフラスが見られた。
2024年度も、植物園内で薬剤散布、公園内でも一部重点的に散布を行っている。散布用の薬剤を50倍に薄め、フラスの穴に注入も行っている。

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大阪城の取組み

クビアカは未確認だが、周辺の公園では出ている。
2024年度には、地元中学生に参加してもらい点検を行った。また、ボランティア団体にも協力を依頼し、監視体制をとっている。
いつ出てもおかしくないので、早期に発見できるよう巡視に力を入れる。

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ディスカッション

Q1 施設のシンボルツリーからフラスが出た時、伐採するしかないのか?

(土居)伐採をするのが被害を広げないためには確実な方法ではあるが、サクラの伐採は心情的に難しいことが多いため、まずは薬剤での防除を試みる。

(野口・山本)フラスの箇所が少なければ、直接ノズルで防除。あちこちから出ているようであれば、樹幹注入を行う。

Q2 規模の大きな公園でフラスの出る木が見つかった場合、全部への対策は無理なので、効率的・効果的に防除する 方法を教えてほしい

(土居・野口)省力化するためには、市民に呼び掛けること。また、フラスが見つかったら確実に防除できる体制を確立すること。

(菅野)景観上、ネットを巻くのが難しいので、対策としては、やはり薬剤散布が良いと考えている。

Q3 成虫を見つけた場合、踏みつぶすことに抵抗がある。他に良い方法はないか。

(土居)噴射式で4mほど飛ぶ殺虫剤が出ている。

(野口)ハンマーで叩くか、標本などで使用する「酢酸エチル」をしみ込ませた布を入れた瓶に捕獲すると、すぐに死んでしまう。

(山本)消毒用のエタノールや石鹸水に浸すことでも殺虫できる。クビアカは特定外来生物のため、捕獲したその場で殺虫が基本。移動や保管は法令違反。

Q4 まだ入っていないところは、どのように予防すれば良いか

(野口)重点エリアを決めて、「ここだけは手厚く守る」という方法を取っている。

(菅野)多くの知識を持った方を増やすことが重要と考え、講師を呼んで、ボランティア等への説明会を開催している。

Q5 学校関係でできる対策は?

(土居)学校で被害を受けている所を見ると、除草剤を使用している所があった。除草剤を使うと、どうしても木が弱り、クビアカが入りやすくなることもあるので、注意が必要。

Q6 桜を植え替える際、サクラの品種によって、被害に遭いにくいものはあるのか?

(山本)良く分かっていないが、個人的にソメイヨシノは被害を受けやすいような印象。高齢になると樹皮がめくれて、卵を産む好条件になるためと考えられる。樹皮の特徴を見つつ、品種を選ぶ必要がある。

点検をどうすればよいか?

(土居)職員だけでは限界があるため、看板を掲示することにより、情報を教えてくれるようになる。

(野口)お盆明け頃に、一斉にフラスの点検をするのが良いと聞いているので実施予定。

(菅野)桜を好きな人はたくさんいるので、協力を呼び掛けていきたい。

まとめ

今日聞いていただいたやり方について、どれが一番良いとは言えないが、各場所に合った方法を考えていっていただければと思う。

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その他、フォーラム中に回答できなかった質問については、こちらをご覧ください。

防除資材のサンプル展示

会場において、クビアカツヤカミキリの防除資材のサンプル展示を行いました。

展示にご協力いただいた企業(五十音順)
(株)エムシー緑化
(株)北善塔
シンジェンタジャパン(株)
住友化学(株)
日産緑化(株)
(株)ニッソーグリーン
日本農薬(株)
日本ワイドクロス(株)

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