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更新日:2021年6月7日

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賃上げ一時金調査 令和3年【春季賃上げ】(最終報)

令和3年春季賃上げ 要求・妥結状況(最終報)

【集計組合数:416組合(加重平均)】【調査時点:5月25日現在】

  • 妥結額 5,422円(前年:5,950円)
  • 賃上げ率 1.83%(前年:1.99%)

調査結果の特徴点

  • 全体平均では、妥結額、賃上げ率ともに3年連続で減少を示す。
  • 産業別の妥結額は、非製造業が製造業より高くなっている。

大阪府商工労働部雇用推進室労働環境課は、今年の府内労働組合の春季賃上げの妥結状況等をまとめました。

本集計は、定期昇給及びベースアップ(またはこれらに相当する賃上げ額)の合計額を記載しています。

本調査の調査対象・集計方法

本調査は、府内に所在する約1,700組合を調査対象として実施し、5月25日までに妥結額が把握できた575組合のうち、平均賃金額、組合員数が明らかな416組合(126,099人)について集計(加重平均・組合員一人あたり平均)しました。

【集計方法について】

加重平均は以下の方法で算出しています。
加重平均=(各組合の妥結額×各組合の組合員数)の合計/各組合の組合員数の合計

経済的背景と要求・交渉経過

(1)経済的背景と労使交渉等の動向

  • 内閣府は、2月の月例経済報告において、「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部に弱さがみられる」とし、先行きについては、「緊急事態宣言の解除後も感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを引き上げていくなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直していくことが期待される。ただし、内外の感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意する必要がある」と分析しました。
  • こうした情勢のもと、金属労協(JCM)を構成する大手組合や各産別傘下の組合では、2月下旬までに要求書を提出し、3月17日の集中回答日に向けて大手組合を中心に回答の引き出しが進められました。
  • 集中回答日の直後となる3月19日に行われた閣議後の記者会見において、田村厚生労働大臣は2021年春闘の結果について「新型コロナウイルス感染症の影響等で先行き不透明感がある中、ベアの回答や定期昇給を維持する企業があるなどばらつきはあるが、現時点では賃金上昇のモメンタムは失われずに進んでいる」との認識を示しました。
  • さらに、企業の取り組みに関して、同大臣は「テレワーク制度等の拡充や新型コロナウイルス等の感染症にかかる有給制度の新設など、コロナ禍における新たな働き方改革を進めている」と指摘。今後については、「中小企業も含めて真摯に労使で話し合いをしていただきながら、賃金上昇、働き方改革、こういった流れを進めていってほしい」と期待感を示しました。
  • 内閣府が4月22日に公表した4月の月例経済報告では、景気の先行きについて、「各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されるが、内外の感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意する必要がある」との判断が示され、加えて、4月23日には大阪府を含む4都府県に緊急事態宣言が発出され、その後、10都道府県に拡大されたことから、同感染症の感染拡大に伴う経済活動の停滞が懸念されています。
  • こうした状況のもと、昨年同様、中小企業を中心に労使交渉の実施や回答の引き出しに遅れが生じていることから、現在も多くの企業労使において交渉が行われています。

(2)労働団体及び経済団体の春闘における主張(概要)

労働側

連合「連合白書(2021春季生活闘争の方針と課題)」(令和2年12月)

〈基本的な考え方〉

  • コロナ禍による全世界的な経済活動の停滞は、観光・飲食・鉄道など特定の産業に依然として大きな影響を与えている。
  • 一方で、このコロナ禍の中、社会機能を支え続けているいわゆるエッセンシャルワーカー等の処遇は、必ずしもその「働きの価値に見合った水準」となっていない。
  • 「底上げ」「底支え」「格差是正」の取り組みの考え方を堅持する中で、引き続き、月例賃金の絶対額の引き上げにこだわり、名目賃金の最低到達水準と目標水準への到達、すなわち「賃金水準の追求」に取り組む。

〈具体的な要求指標〉

  • 定期昇給相当分(2%)の確保を大前提に、産業の「底支え」「格差是正」に寄与する。
  • 最大限の「底上げ」に取り組むことで、2%程度の賃上げを実現する。

全労連・国民春闘共闘委員会「21年国民春闘方針」(令和3年1月)

〈基本的な考え方〉

  • コロナ禍のなか、現金給与の総額は所定外給与が14.0%減と大幅に落ち込んだ結果、前年度比で1.3%(8月)減となり、5か月連続で低下しており、同時に欧米に比べ、コロナ禍以前からの賃金低迷を直視する必要がある。
  • 8時間働けば、誰もが人間らしく暮らせる賃金を実現するために、大幅な賃金引き上げ・底上げを求める。

〈具体的な要求指標〉

  • 賃上げ要求:月額25,000円以上、時間額150円以上
  • 最低賃金要求:時間額1,500円以上
経営側

経団連「2021年版経営労働政策特別委員会報告」(令和3年1月)

〈基本的な考え方〉

  • コロナ禍で行われる今次労使交渉において、最優先すべきは「事業の継続」と「雇用の維持」であることを、労使の共通認識として強く意識することが求められている。
  • こうした認識のもと、外的・内的要素を総合的に勘案しながら、自社の支払能力を踏まえ、労使協議を経て企業が決定する「賃金決定の大原則」が例年に増して重要となる。
  • コロナ禍の影響で企業業績はまだら模様の様相が強まっており、こうした中、業種横並びや各社一律の賃金引上げを検討することは現実的ではない。企業労使は、十分に協議を尽くし、自社の実績に適した賃金決定を行うことが重要である。
  • 今次の労使交渉・協議では、アフターコロナを視野に、新常態(ニューノーマル)やデジタル革新(DX)に対応できる事業構造への転換をも見据え、エンゲージメントの高い働き方を実現することで、自社の競争力強化につなげるべく議論を深めていくことが望まれる。
  • 基本給について、収益が安定的に高い水準で推移あるいは収益が増大している企業においては、制度昇給を実施した上で、自社の実情に適した形で賃金水準の引上げを行うことも選択肢となろう。他方、収益状況が大幅に悪化し、回復の見通しが立ちにくい企業においては、事業継続と雇用維持を最優先に、労使交渉・協議を行うことになる。そのような企業においては、ベースアップの実施は困難であり、制度昇給などを含めて、労使で検討せざるを得ない場合もあり得る。

調査結果の概要

(1)妥結額・賃上げ率の推移

全体平均では、妥結額5,422円(前年:5,950円)、賃上げ率1.83%(前年:1.99%)となり、妥結額、賃上げ率ともに3年連続で減少となりました。

(2)企業規模別の妥結状況

企業規模別の妥結額をみると、「299人以下」が、4,760円(対前年比:473円減、9.0%減)、「300から999人」が、5,148円(対前年比:434円減、7.8%減)、「1,000人以上」が、5,546円(対前年比:514円減、8.5%減)となり、全ての規模で2年連続で減少となりました。

(3)産業別の妥結状況

産業別(大分類)の妥結額は、製造業の妥結額平均が5,341円、非製造業の妥結額平均が5,493円となり、非製造業が製造業より高くなっています。
なお、全体平均(5,422円)と比べて妥結額が高かった業種は、「建設業(9,369円)」、「化学(7,394円)」、「情報通信業(6,474円)」等となりました。
一方、低かった業種は、「印刷・同関連(2,525円)」、「生活関連サービス業・娯楽業(3,559円)」等となりました。

発表資料のダウンロード

6月14日に本調査の詳細分析(同一の組合による対前年比較)を当課ホームページに掲載します。併せてご参照ください。

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