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レジオネラ症患者の発生を防止するために
レジオネラ症は、浴槽水から泡立ちなどで生じる細かい水滴(エアロゾル)を吸い込むことにより感染し、発症します。
入浴施設の循環式浴槽が適正に管理されていないと、配管内部でぬめり(バイオフィルム)が発生し、
レジオネラ属菌は、その中に生息するアメーバなどの微小な生物に寄生し増殖します。
浴槽水だけでなく、配管やろ過器などでレジオネラ属菌を増殖させいないため、清掃・消毒等を実施しましょう。
浴槽、浴槽水について
- 浴槽に十分な原湯または原水を供給し、常に満杯状態にしておきましょう。
- 浴槽水は、塩素系薬剤を用いて消毒し、遊離残留塩素濃度を常に0.4mg/L以上に保ちましょう。
- 浴槽水を消毒する場合、ろ過器の直前に塩素系薬剤を注入又は投入しましょう。
- 連日使用している浴槽水は、1週間に1回以上入れ換えましょう。
- 浴槽水の誤飲を防止するための措置を講じましょう。
ろ過器、循環配管について
- ろ過器は1時間当たりの処理能力が、処理する浴槽容量以上のものを設けましょう。
- ろ過器は、1週間に1回以上逆洗浄等により清掃しましょう。
- ろ過器及び循環配管を定期的に消毒しましょう。
- ろ過器のろ材は、洗浄や交換及び消毒の容易なものを使用しましょう。
その他設備について
- 集毛器は、ろ過器の前に設け、毎日清掃しましょう。
- 回収槽は定期的に清掃及び消毒しましょう。
- 貯湯槽内の湯の温度は60℃以上に保ち、槽内を定期的に清掃・消毒しましょう。
気泡風呂や打たせ湯など、エアロゾルが発生する浴槽については、さらに以下のことを守りましょう。
気泡、ジェット風呂では
- 空気取入口から土ぼこりが入らないような措置を講じましょう。
- 浴用剤を加えないようにしましょう。
打たせ湯では
- 循環している浴槽水を使用しないようにしましょう。やむを得ず使用する場合には、水質基準を守りましょう。
- 浴用剤を加えないようにしましょう。
水質検査で確認しましょう
浴槽水及び打たせ湯については、1年に1回以上水質検査を行うとともに、基準(10CFU未満/100ml)に適合しなかった場合、直ちにその旨を保健所に報告し、指導を受けましょう。
※ 浴槽水の水質基準
- 濁度は、5度以下であること
- 有機物は、全有機炭素の量で、1リットルにつき8ミリグラム以下であること(8mg/L以下)
ただし、塩素化イソシアヌル酸又は当該塩を用いて消毒している等の理由により全有機炭素の量の測定の結果によることが適切でない場合にあっては、過マンガン酸カリウム消費量が、1リットルにつき25ミリグラム以下であること(25mg/L以下) - 大腸菌群数は、1ミリリットルにつき1個以下であること(1個/mL以下)
- レジオネラ属菌は100ミリリットルの検水で形成される集落数が10未満であること(10CFU/100mL未満)
※ 打たせ湯、水道水外の原水・原湯の水質基準
- 水素指数で示した水素イオン濃度(pH)の数値は、5.8以上8.6以下であること
- 色度は、5度以下であること
- 濁度は、2度以下であること
- 有機物は、全有機炭素の量で1リットルにつき3ミリグラム以下であること(3mg/L以下)
ただし、塩素化イソシアヌル酸又は当該塩を用いて消毒している等の理由により全有機炭素の量の測定の結果によることが適切でない場合にあっては、過マンガン酸カリウム消費量が1リットルにつき10ミリグラム以下であること(10mg/L以下) - 大腸菌は、検出されないこと
- レジオネラ属菌は100ミリリットルの検水で形成される集落数が10未満であること(10CFU/100mL未満)
塩素系消毒剤の成分名の把握
有機物の指標にかかる検査項目を定めるため、以下により各浴槽において使用する塩素系消毒剤の成分名を把握してください。
- 外箱や添付文書により成分名を確認する。
- 上記により把握できない場合は、メーカーに成分名を確認する。
塩素系消毒剤と、適用する検査項目
使用する塩素系消毒剤の成分名 | 適用する検査項目(基準値) |
---|---|
次亜塩素酸ナトリウム |
全有機炭素 |
次亜塩素酸カルシウム(さらし粉) | |
二酸化塩素 | |
電解次亜塩素酸水 (塩化ナトリウムの電気分解により生成するもの) |
|
上記の消毒剤を混合して使用する場合 | |
ジクロロイソシアヌル酸 | 過マンガン酸カリウム消費量 1リットルにつき25ミリグラム以下(25mg/L以下) |
トリクロロイソシアヌル酸 | |
以下の例に該当する等、全有機炭素の量の測定の結果によることが適切でない場合 |
例)
- ジクロロイソシアヌル酸又はトリクロロイソシアヌル酸を混合した消毒剤を使用している。
- 直近の浴槽水の入換え後から採水までの間に、ジクロロイソシアヌル酸又はトリクロロイソシアヌル酸や、これらを混合した消毒剤を通常の消毒とは別に随時使用した。
管理記録を作成しましょう
- 施設ごとに専任の衛生管理責任者を置きましょう。
- 維持管理に関する記録を作成し、3年間保存しましょう。(下の管理点検表を参考にしてください。)
年間計画表(PDF:58KB)(PDF:58KB) 年間計画票(エクセル:27KB)
日常点検記録表(PDF:62KB) 日常点検記録表(エクセル:29KB)