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対象疾患について(研究結果で増減することがあります。)
対象とする有機酸・脂肪酸代謝異常症は、感染症などのストレスが加わったとき、急性脳症のような重篤な症状を発症する事も多く、発症前診断による障害予防が期待できる疾患です。これまでの研究によると、欧米では4,000から5,000人に1人、日本(福井大学)では約7,300に1人の割合で先天性異常が発見されるというデータが報告されています。
有機酸代謝異常症
「有機酸」の代謝酵素の機能障害のため、「有機酸」が体に蓄積し、脳障害などを来す疾患。有機酸の蓄積を防ぐため、食事のたんぱく質などを抑え、カロリーを摂るようにし、カルニチン剤を使って治療。
- プロピオン酸血症(約3万人に1人)
- メチルマロン酸尿症(約8万人に1人)
- グルタル酸尿症I型(約8万人に1人)
- イソ吉草酸血症(約100万人に1人)
- 3-ヒドロキシ-3-メチルグルタル酸尿症(非常に希な疾患)
- 複合カルボキシラーゼ欠損症(約20万人に1人)
- 3-メチルクロトニルグリシン尿症(非常に希な疾患)
脂肪酸酸化異常症
通常の脂肪を体のエネルギー源として利用する「脂肪酸β酸化」関係した酵素の障害のために、筋力低下や筋痛を来したり、乳幼児期に空腹時の低血糖のために突然死したりする疾患。哺乳や食事の間隔があきすぎないようにし、中鎖脂肪酸を使い治療。
- カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ-I(CPT-I)欠損症(約20万人に1人)
- カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ-II(CPT-II)欠損症(約20万人に1人)
- カルニチンアシルカルニチントランスロカーゼ欠損症(非常に希な疾患)
- 極長鎖アシルCoA脱水素酵素(VLCAD)欠損症(約20万人に1人)
- 長鎖3-ヒドロキシアシルCoA脱水素酵素(LCHAD)欠損症/三頭酵素(TFP)欠損症(非常に希)
- 中鎖アシルCoA脱水素酵素(MCAD)欠損症(約8万人に1人)
- カルニチントランスポータ異常症 (遊離カルニチン)(約4万人に1人)
- グルタル酸尿症II型(約10万人に1人)
尿素サイクル異常症
たんぱく質(アミノ酸)から代謝「尿素サイクル」に関係した酵素の障害のため、アンモニアが体にたまり、脳に障害が起こる病気。食事のたんぱく質を最小限に抑え、アンモニアを解毒する薬などを使って治療。
- 高アルギニン血症(アルギナーゼ欠損症)(非常に希な疾患)
- シトルリン血症I型(アルギニノコハク酸合成酵素欠損症)(非常に希な疾患)
- アルギニノコハク酸尿症(アルギニノコハク酸リアーゼ欠損症)(約20万人に1人)
その他のアミノ酸代謝異常症
- シトリン欠損症(約4万人に1人)
- 高チロシン血症I型(非常に希な疾患)