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統計表に係る用語解説
大阪府民経済計算(令和3年度 確報)
主要指標
府民経済計算の代表的な指標及び人口についてまとめたもので、全国と比較できるよう、国民経済計算の相当指標も掲載している。
詳しい用語解説は「主要系列表 経済活動別府内総生産」以降で行うこととし、ここでは、統計表に掲載していない指標について解説する。
総人口
国勢調査の対象年においては「国勢調査」、国勢調査の間の年においては「補間補正人口」、直近の国勢調査の対象年以降においては「10月1日現在推計人口」(いずれも総務省)である。
一人当たり所得水準等
- 府内総生産(一人当たり)=府内総生産÷総人口
- 府民所得(要素費用表示)(一人当たり)=府民所得(要素費用表示)÷総人口
- 府民雇用者報酬(雇用者一人当たり)=府民雇用者報酬÷雇用者数(常住地ベース)
主要系列表 経済活動別府内総生産
一定期間内(通常は1会計年度)に府内の生産活動によって新たに創造された付加価値の額を経済活動別に示す。
府内総生産
産出額から中間投入を控除したもので、雇用者報酬、営業余剰・混合所得、固定資本減耗、生産・輸入品に課される税(控除)補助金から成る。
輸入品に課される税・関税
関税、輸入品商品税、輸入品に係る消費税から成り、輸入する事業所所在府県で計上する。各経済活動への格付けが難しいため、欄外で一括計上している。
総資本形成に係る消費税
課税業者の資本形成に係る消費税分は、他の仕入れに係る消費税とともに、当該事業者が消費税を納入する時点で納税額から控除できる制度(仕入税額控除)が採られている。このため、支出系列の総資本形成(総固定資本形成、在庫変動)においては、この控除分(=総資本形成に係る消費税)を除いた金額で記録されている(修正グロス方式)。
生産側から府内総生産を推計する際も総資本形成に係る消費税分を控除する必要があるが、各経済活動への格付けが難しいため、一括して控除処理を行っている。
帰属計算
府民経済計算上の特殊な概念であり、財貨・サービスの提供又は享受に際し、実際には市場でその対価の受払が行われなかったのにもかかわらず、行われたとみなして取引計算を行うことである。
主なものとして、持ち家の帰属家賃(注)や農家における農産物の自家消費がある。
(注)持ち家の帰属家賃
実際には家賃の受払を伴わない自己所有住宅(持ち家)について、通常の借家や借間と同様のサービスが生産され消費されるものとみなし、それを市場価格で評価した帰属計算上の家賃である。
府民経済計算では、住宅自己所有者(家計)は住宅賃貸業を営んでいるものとされ、その帰属家賃は家計の生産額に含まれ、その営業余剰(=帰属家賃-中間投入-固定資本減耗-生産・輸入品に課される税)は家計の営業余剰に含まれる。
主要系列表 府民所得及び府民可処分所得の分配
居住者が一定期間(通常は1会計年度)に携わった生産活動によって得た純付加価値額及び財産所得(第一次所得)を制度部門別に分配した上で、経常移転の受取(純)を加えて制度部門別に可処分所得を記録する。
府民雇用者報酬
生産活動から発生した付加価値のうち、労働を提供した雇用者(employees)への配分額を指す。雇用者とは、市場生産者・非市場生産者を問わず、あらゆる生産活動に従事する就業者から個人事業主及び無給の家族従業者を除いた全ての者であり、法人企業の役員、特別職の公務員、議員等も含まれる。
具体的には、次のような項目によって構成されている。
賃金・俸給
現物給与も含む。
現金給与は、所得税や社会保険料のうち事業主負担分等の控除前の概念であり、一般雇用者の賃金、給料、手当、賞与等のほか、役員報酬(給与や賞与)、議員歳費等が含まれる。
現物給与は、自社製品等の支給等主として消費者としての雇用者の利益となることが明らかな財貨・サービスに対する雇主の支出であり、給与住宅差額家賃も含まれる。
雇主の社会負担
次の2つから成る。
雇主の現実社会負担
概念上、雇主の現実年金負担と雇主の現実非年金負担に分かれる。
雇主の現実年金負担は、社会保障制度を含む社会保険制度のうち年金制度に係る雇主の実際の負担金を指し、公的年金制度への雇主の負担金とともに、厚生年金基金や確定給付企業年金、確定拠出企業年金等の年金基金への雇主の負担金が含まれる。年金基金への雇主の負担金には、雇主による退職一時金の支払額のうち発生主義の記録の対象となる部分も含まれる。
雇主の現実非年金負担には、社会保障制度のうち医療や介護保険、雇用保険、児童手当に関わる雇主の負担金等が含まれる。
雇主の帰属社会負担
概念上、雇主の帰属年金負担と雇主の帰属非年金負担とに分かれる。
雇主の帰属年金負担は、企業年金のような雇主企業においてその雇用者を対象とした社会保険制度(雇用関係をベースとした社会保険制度)のうち確定給付型の退職後所得保障制度(年金と退職一時金を含む。)に関してのみ計上される概念であり、企業会計上発生主義により記録されるこれらの制度に係る年金受給権のうちある会計期間における雇用者の労働に対する対価として発生した増分(現在勤務増分)にこれらの制度の運営費(年金制度の手数料)を加えたものから、これらの制度に係る雇主の現実年金負担を控除したものとして定義される。
雇主の帰属非年金負担には、発生主義での記録を行わない退職一時金の支給額や無基金により雇主が雇用者に支払う福祉的な給付(私的保険への拠出金や公務災害補償)が含まれる。
財産所得(非企業部門)
一般政府(地方政府等)、家計、対家計民間非営利団体ごとに財産所得の受払を表示したものを指す。企業部門の財産所得は企業所得に含まれる。
財産所得は、金融資産の所有者である制度単位が他の制度単位に対して資金を提供する見返りに受け取る投資所得と、土地等の所有者である制度単位が他の制度単位に対して土地等を提供する見返りに受け取る賃貸料から成り、更に内訳として次の4つに分類される。
利子
特定の種類の金融資産(預金、債務証券、貸出等)の所有者である制度単位が、それを他の制度単位の自由な使用に委ねることにより受け取る所得を指す。ただし、府民経済計算上に記録される利子のうち預金や貸出・借入に係る利子は、FISIM調整後の概念である。
法人企業の分配所得
次の2つに分かれる。
配当
法人企業の発行する株式(持分)の所有者たる株主が、資金を当該法人企業が自由に使用できるように資金提供(投資)を行った結果として権利を得る投資所得である。
準法人企業所得からの引き出し
法人企業ではないがこれと同様に行動する制度単位である準法人企業について、その所有者が当該準法人企業から引き出す資金を指し、株式会社(法人)の持分権者が受け取る配当と性質が類似するものである。
その他の投資所得
次の3つから成る。
保険契約者に帰属する投資所得
生命保険や非生命保険といった、保険契約者から受託された資産である保険技術準備金からの投資により得られる所得(保険帰属収益)及び保険契約者配当が含まれる。
保険帰属収益については、現実には保険会社が留保するものであるが、保険契約者に帰属するものであるため、保険会社から保険契約者に一旦「保険契約者に帰属する投資所得」として支払われ、同額が追加保険料として保険契約者から保険会社に払い戻されるという迂回処理が行われる。
年金受給権に係る投資所得
雇用関係をベースとする退職後所得保障(企業年金等)について、制度を運営する年金基金に対して受給者たる雇用者(家計)が保有する年金受給権に関する投資所得である。
現実には年金基金が留保するものであるが、保険契約者に帰属する投資所得と同様に、年金基金から家計に一旦支払われ、同額が追加負担(=家計の追加社会負担)として家計から年金基金に払い戻されるという迂回処理が行われる。
投資信託投資者に帰属する投資所得
投資信託の留保利益分である。
現実には投資者に配分されないものの、投資者に帰属する所得であることから、投資信託(金融機関)から投資者(家計等)に一旦支払われ、同額が投資者から投資信託に再投資されるという迂回処理が行われる。
本項目の計数は、基礎統計上の制約から、平成24(2012)年度から計上されている。
賃貸料
土地等の非生産資産の所有者である制度単位(賃貸人)が他の制度単位(賃借人)にこれを賃貸し、生産活動に使わせる見返りとして受け取る所得である。
具体的には、土地の純賃貸料が含まれる。
企業所得
営業余剰・混合所得に財産所得の受払の差額(純財産所得)を加えたものであり、民間法人企業、公的企業、個人企業ごとに表示される。
ア 営業余剰・混合所得
生産活動から発生した付加価値のうち資本を提供した企業部門の貢献分で、大きく営業余剰と混合所得に分けられる。
なお、一般政府と対家計民間非営利団体は非市場生産者であり、定義上その産出額を生産費用の合計として計測していることから、営業余剰・混合所得は存在しない。
営業余剰
生産活動への貢献分として法人企業部門(非金融法人企業と金融機関)の取り分を含むとともに、家計部門のうち持ち家分の取り分も含む。
混合所得
家計部門のうち持ち家を除く個人企業の取り分であり、事業主等の労働報酬的要素を含むことから、営業余剰と区別して記録される。
府民所得(要素費用表示)
要素費用表示の府民純所得のことで、通常、府民所得という場合にはこれを指す。
府民雇用者報酬、財産所得(非企業部門)、企業所得を合計して求める。
生産・輸入品に課される税(控除)補助金
生産・輸入品に課される税と控除項目の補助金から成る。
平成27年基準では、中央政府等の扱い変更に伴い、分配系列においては地方政府分のみが記録の対象となった。生産系列においては、平成23年基準以前と同様に、中央政府分・地方政府分ともに記録の対象である。
要素費用表示と市場価格表示とは、生産・輸入品に課される税(控除)補助金(中央政府、地方政府)を加算・減算することで評価基準を合わせる。
生産・輸入品に課される税
原則として、財貨・サービスの生産、販売、購入又は使用に関して生産者に課せられる租税、税法上損金算入が認められる、その負担が最終購入者へ転嫁される、という3条件を満たす税である。
【例】消費税、関税、事業税、不動産取得税、印紙税、固定資産税
補助金
一般政府から市場生産者に対して交付される、市場生産者の経常費用を賄うために交付される、財貨・サービスの市場価格を低下させると考えられる、という3条件を満たす経常交付金である。
府民所得(第1次所得バランス)
府民所得(要素費用表示)に生産・輸入品に課される税(控除)補助金の地方政府分を加算したものである。
経常移転の受取(純)
財産所得以外の経常移転(年金受給権の変動調整(注)を除く)の純受取額(受取-支払)で、大別すると次の4つに分類される。
(注)年金受給権の変動調整
社会保険のうち雇用関係をベースとする退職後所得保障制度(企業年金や退職一時金)に係る純社会負担と社会給付の差額であり、所得の使用勘定において家計の受取、金融機関の支払にのみ記録される。したがって、同じ年金制度であっても社会保障制度(公的年金制度)に係る負担と給付の差額は、本項目には含まれない。
所得、富等に課される経常税
主に、毎課税期間に定期的に支払われる家計の所得、法人企業の利潤に課される税、富に課される税から成る。
(支払う側から見れば)定期的に課されるわけではない相続税や贈与税は資本税と呼ばれ、本項目ではなく、資本勘定の資本移転として記録される。
自動車関連諸税は、家計による自動車の購入や所有は、企業の場合と異なり、生産活動と結び付くものではないため、所得・富等に課される経常税に記録される。
【例】所得税、法人税、府市町村民税、家計の負担する自動車関係諸税
純社会負担
社会保険制度から給付が支払われることに備えて、社会保険制度に対して行う現実又は帰属の支払である。
このうち、雇主がその雇用者のために行う負担は「雇主の社会負担」といい、前述(⑴府民雇用者報酬のイ)のとおり、雇用者報酬に含まれる。
一方、雇用者本人が行う負担は、家計の現実社会負担と家計の追加社会負担から成る。家計の現実社会負担は、具体的には、社会保障制度の年金、医療、介護、雇用保険等に係る保険料や企業年金に係る掛金の被保険者本人負担分が記録される。家計の追加社会負担は、前述(⑵財産所得のウ)のとおり、年金受給権に係る投資所得と同額が記録される。そして、年金基金に係る制度の運営費用(年金基金の産出額に相当)を、「年金制度の手数料」という控除項目として記録する。
雇主の現実社会負担、雇主の帰属社会負担、家計の現実社会負担、家計の追加社会負担の合計から年金制度の手数料を控除した集計値を「純社会負担」という。
現物社会移転以外の社会給付
社会給付(病気、失業、退職、住宅、教育、家族の経済的境遇のような一定の出来事や状況から生じるニーズに対する備えとなることを意図し、家計に対して支払われる経常移転)のうち、医療や介護に係る保険給付分といった現物の社会給付を除いた部分であり、次の4つから成る。
現金による社会保障給付
一般政府(社会保障基金)の運営する社会保障制度から支払われる社会給付のうち、医療や介護の保険給付分を除いた、現金の形で支払われる給付である。
【例】国民年金保険や厚生年金保険、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合等の公的年金給付、雇用保険給付、児童手当
その他の社会保険年金給付
一般政府の運営する社会保障制度以外の社会保険のうち、雇用関係をベースとする退職後所得保障制度から支払われる現金給付である。
【例】確定給付型や確定拠出型の企業年金からの給付額、発生主義により記録される退職一時金支給額
その他の社会保険非年金給付
社会保障基金(一般政府)や年金基金(金融機関)といった外部機関を利用せず、自己で基金を設けることもせず、雇主がその源から雇用者に支払う福祉的な給付である。
【例】現金主義で記録する(発生主義で記録しない)退職一時金、私的保険への拠出金
社会扶助給付
社会保険制度の下で支払われるものではなく、一般政府又は対家計民間非営利団体によって家計に支払われる経常移転である。
【例】生活保護費、恩給、無償の奨学金
その他の経常移転
次の4つから成る。
非生命純保険料
非生命保険に係る保険契約者又は定型保証に係る保証対象のローンの借り手により当該会計期間の保険、保証のカバレッジを得るために支払われる保険料又は保証料の総額から非生命保険会社や定型保証機関へ支払われるサービスチャージ(非生命保険、定型保証の産出額)を差し引いたものを指し、いわば非生命保険や定型保証のリスクコストを示す。
非生命保険金
損害保険等の非生命保険に係る保険会社から契約者への保険金の支払額や住宅ローン保証等の定型保証に係る純債務肩代わり額である。
一般政府内の経常移転
地方政府(府・市町村)及び地方社会保障基金の相互間の経常移転、中央政府、全国社会保障基金との経常移転及び府外の一般政府(県・市町村、地方社会保障基金)との経常移転から成る。
他に分類されない経常移転
(a)一般政府により強制的に課せられた罰金・科料、(b)個人間の仕送り、贈与、寄附等の移転、(c)対家計民間非営利団体である私立学校に対する政府の助成や個人の寄附、宗教団体への個人の寄附等の移転、(d)社会給付を除く一般政府から他の制度部門への経常的支出を賄う観点から支払われる給付金や補助金等、(e)中央銀行の非市場サービス産出に対応する中央政府への経常移転等が含まれる。
府民可処分所得
府民所得(第1次所得バランス)に経常移転の受取(純)を加えたもので、府民全体の処分可能な所得を表している。
支払の面から見ると、民間及び政府の最終消費支出と貯蓄に処分される。
府民総所得(市場価格表示)
府民所得(要素費用表示)に生産・輸入品に課される税(控除)補助金の中央政府及び地方政府分と固定資本減耗を加えたもので、国民総所得(GNI)の大阪府版と言える指標である。
主要系列表 府内総生産(支出側)
府内総生産は、最終生産物に対する支出の面でも把握することができる。
府内総生産(支出側)では、国民経済計算に準じ、最終消費支出、総資本形成及び財貨・サービスの移出入が種類別、支出主体別等の細目とともに表章される。統計上の不突合は、財貨・サービスの移出入とともに示される。実質値は、生産側と同じく連鎖方式による。
なお、府内総生産(支出側)の実質値は府内総生産(生産側)実質値とし、民間最終消費支出、地方政府等最終消費支出及び総資本形成の実質値の合計との差を財貨・サービスの移出入(純)・統計上の不突合・開差の実質値とする。
民間最終消費支出
家計最終消費支出と対家計民間非営利団体最終消費支出との合計である。
家計最終消費支出
居住者である家計(個人企業を除く)の消費財及びサービスに対する支出である。
居住用の固定資産に対する支出は総固定資本形成であり、最終消費支出には含まれない。住居にその所有者が住む場合、住居が産出する居住サービスはその所有者の産出であると同時に最終消費支出として記録される(持ち家の帰属家賃)。
家計最終消費支出の内訳項目として、国連の個別消費の目的別分類(最新の基準となるCOICOP2018)に準拠した13目的分類別消費が示される。
対家計民間非営利団体最終消費支出
対家計民間非営利団体の産出額(=中間投入+雇用者報酬+固定資本減耗+生産・輸入品に課される税)から財貨・サービスの販売(私立学校の学費収入等)と自己勘定による総資本形成(研究・開発)を控除したものである。すなわち、販売収入では生産コスト(=産出額)をカバーし得ず、その差額が自己消費とみなされ、対家計民間非営利団体最終消費支出として計上される。
地方政府等最終消費支出
地方政府等の産出額(=中間投入+雇用者報酬+固定資本減耗+生産・輸入品に課される税)から他部門に販売した額(財貨・サービスの販売【例】公立学校の授業料)と自己勘定による総資本形成(研究・開発)を差し引いたものに現物社会移転(市場産出の購入【例】社会保障による医療費・介護費の給付等)を加えたものを地方政府等最終消費支出として計上する。
平成27年基準では、中央政府等の扱い変更に伴い、中央政府等の地域事業所の最終消費は事業所の所在する地域に帰属せず、域外の中央政府等で最終消費されるため、域外への移出として記録(加算)することとなる。
最終消費支出と現実最終消費
最終消費支出は各制度部門が実際に支出・負担した額、現実最終消費は各制度部門が実際に享受した便益の額を示す項目である。
最終消費支出に現物社会移転の受払を加味したものが、現実最終消費である。
(再掲)家計現実最終消費
家計最終消費支出に地方政府等及び対家計民間非営利団体からの現物社会移転を加え、便益を受けた側(家計)での消費ととらえたものである。
(再掲)政府現実最終消費
地方政府等最終消費支出から家計への現物社会移転である個別消費支出(現物社会移転として政府が家計に対して支給する個別的サービスについての支出【例】医療、教育、保健衛生)を控除し、政府の自己消費分である集合消費支出(政府が社会全体又は社会の大部分に対して供給する集合的サービスについての支出【例】消防・救急)を算出したものである。
府内総資本形成
法人企業、一般政府、対家計民間非営利団体、家計(個人企業を含む)の支出(購入及び自己生産物の使用)のうち中間消費及び非生産資産の購入とならないものであり、総固定資本形成と在庫変動から成る。
総固定資本形成
有形又は無形の資産の取得であり、住宅、その他の建物・構築物、機械・設備、育成生物資源(種畜、乳牛、果樹等)、知的財産生産物(研究・開発、コンピュータ・ソフトウェア等)を含む。防衛装備品については、基礎データの制約等から都道府県別には実際の計測は困難であるため、推計しない。
なお、中間消費と総固定資本形成の区別は、当該期間内に使用され尽くすか/将来に便益をもたらすか、を基準としてなされる。
在庫変動
企業及び一般政府が所有する原材料、仕掛品、製品、流通品等の棚卸資産のある一定期間における数量増を、その期間の市場価格で評価したものである。
期末在庫残高から期首在庫残高を差し引いて得られるが、この増減額には期首/期末の評価価格の差による変化も含まれるため、この差分を除いた在庫品評価調整(注)後で評価する。
(注)在庫品評価調整
府民経済計算においては発生主義の原則が採られており、在庫変動は当該在庫の増減時点における価格で評価すべきものとされている。しかし、入手可能な在庫関係データは企業会計に基づくもので、期末在庫残高から期首在庫残高を差し引いて得られる増減額には期首-期末の評価額の差分も含まれている。この差分を除くための調整が在庫品評価調整である。
財貨・サービスの移出入(純)
財貨・サービスの海外及び域外との取引と居住者(非居住者)による域外(内)市場での直接購入から成る。
平成27年基準では、中央政府等の扱い変更に伴い、中央政府等の地域事業所の最終消費は事業所の所在する地域に帰属せず、域外の中央政府等で最終消費されるため、域外への移出として記録(加算)することとなる。
統計上の不突合
府内総生産の生産側と支出側の数値は概念上一致すべきものであるが、推計上の接近方法(基礎資料や推計方法)が異なっているため、若干の不一致(差額)が生じることがある。これを「統計上の不突合」といい、支出側に計上して両側のバランスを成立させている。
域外からの所得(純)
生産要素に対して支払われる雇用者報酬や資産の貸借による財産所得に係る域外との受払である。
府民所得から府内純生産を差し引いて求める。
府民総所得(市場価格表示)
「主要系列表 府民所得及び府民可処分所得の分配」を参照されたい。
基本勘定(統合勘定)
財貨・サービスの取引、第一次所得の配分及び移転取引、資本取引並びに域外取引について、制度部門を統合して記録し、一定期間(通常は1会計年度)における経済活動の結果を総括したものである。
府内総生産勘定(生産側及び支出側)
府内における経済活動を総括する府内総生産を生産側と支出側からとらえるものであり、制度部門の所得支出勘定及び資本勘定を統合して記録する。
勘定の貸方(支出側)は、最終需要に係る支出を市場価格によって評価した府内総支出であり、構成項目としては、民間最終消費支出、地方政府等最終消費支出、府内総固定資本形成、在庫変動、財貨・サービスの移出入(純)及び統計上の不突合が示される。
勘定の借方(生産側)は、府内経済活動における付加価値を市場価格によって評価した府内総生産であり、構成項目としては、雇用者報酬、営業余剰・混合所得、固定資本減耗、生産・輸入品に課される税及び(控除)補助金が示される。
固定資本減耗
建物、構築物、機械設備、知的財産生産物等から成る固定資産について、これを所有する生産者の生産活動の中で物的劣化、陳腐化、通常の破損・損傷、予見される滅失、通常生じる程度の事故による損害等から生じる減耗分の評価額である。
企業会計における減価償却費が簿価で評価されるのとは異なり、全て時価(再調達価格)で評価される。
府民可処分所得と使用勘定
域内で発生する第一次所得に府外からの雇用者報酬の受取(純)及び域外からの財産所得の受取(純)並びに域外への生産・輸入品に課される税(中央政府)及び域外からの補助金(中央政府)を加算・減算することによって、府民概念の第一次所得バランスが定義される。これに域外からの経常移転の受取(純)が加わって、府民可処分所得が決まる。
府民可処分所得から民間最終消費支出及び地方政府等最終消費支出を控除したバランス項目が、府民貯蓄である。
府外からの雇用者報酬(純)
労働力を提供したことによる雇用者報酬の府内居住者と府外居住者の間の受払を純計として表したものである。
府民貯蓄
各部門の雇用者報酬、営業余剰・混合所得の受取や各種の経常移転の受取から成る経常的収入から消費支出や各種の経常移転の支払から成る経常的支出を差し引いた残差として定義される。
家計部門の貯蓄率は、貯蓄÷(可処分所得+年金受給権の変動調整)により導出される。
資本勘定
資本形成とその資本の調達とのバランスを制度部門について統合したものである。
国民経済計算では資本勘定と金融勘定に分かれているが、府民経済計算では非金融面の資産等の取引による変化について記録する。
府民貯蓄
「府民可処分所得と使用勘定」を参照されたい。
域外からの資本移転(純)
反対給付を伴わない移転のうち、受取側の資本形成やその他の資本蓄積又は長期的な支出の資金源泉となり、支払側の資産又は貯蓄から賄われるような移転(資本移転)について、府内制度部門の受払いを受取の純計として表したものである。
純貸出(+)/純借入(-)
制度部門別の資本勘定のバランス項目であり、貯蓄及び資本移転による正味資産の変動と非金融資産の純取得(純固定資本形成、在庫変動)の差額として導出される。
域外勘定(経常取引)
府全体としてとらえた域外取引を計上しており、域外の視点から記録される。
国民経済計算では経常取引、資本取引及び金融取引に区分されるが、府民経済計算では経常取引について記録する。
経常取引は、財貨・サービスの移出入(純)に加えて、雇用者報酬の受払、生産・輸入品に課される税(中央政府)の受取[府視点では支払]、(控除)補助金(中央政府)の受取[府視点では支払]、財産所得(純)の支払[府視点では受取]及び経常移転(純)の支払[府視点では受取]が記録され、支払側の経常府外収支がバランス項目である。
雇用者報酬(受取)
府外居住者が府内活動に基づいて受け取る雇用者報酬を指す。
雇用者報酬(支払)
府内居住者が府外活動に基づいて受け取る雇用者報酬を指す。
経常収支(域外)
財貨・サービスの移輸出や雇用者報酬、補助金(中央政府)、財産所得、経常移転の受取と財貨・サービスの移輸入や雇用者報酬、生産・輸入品に課される税(中央政府)、財産所得、経常移転の支払との差額という、経常的な取引の収支を指す。
基本勘定(制度部門別所得支出勘定)
非金融法人企業、金融機関、一般政府(地方政府等)、家計(個人企業を含む)、対家計民間非営利団体の5つの制度部門別に作成され、生産活動により生み出された付加価値がどの制度部門に配分され、更に制度部門及び府外部門間で様々な移転取引が行われる中でそれらの所得が最終的にどのように振り分けられているかを示している。
制度部門別勘定を集計したものは、「府民可処分所得と使用勘定」として表章される。
用語については、「主要系列表 府民所得及び府民可処分所得の分配」、「主要系列表 府内総生産(支出側)」を参照されたい。
基本勘定(制度部門別資本勘定)
非金融法人企業、金融機関、一般政府、家計(個人企業を含む)、対家計民間非営利団体の5つの制度部門別に作成され、資本蓄積の形態とそのための資本調達の源泉を示し、資産の変動を導出するものである。
土地の取引は居住者の間でのみ行われ、府県をまたがる土地の売買は金融取引とみなされるため、府内では土地の売却と購入が等しい。このため、統合勘定の資本勘定では土地の購入(純)は記録されないが、制度部門別には純購入が記録される。
バランス項目は純貸出(+)/純借入(-)であるが、貯蓄(純)と資本移転(純)が総固定資本形成(控除)固定資本減耗、在庫変動及び土地の購入(純)の合計を上回る場合は純貸出、下回る場合は純借入となる。
用語については、「主要系列表 府内総生産(支出側)」及び「基本勘定(統合勘定)」を参照されたい。
付表 一般政府(地方政府等)の部門別所得支出勘定
地方政府である府、市町村、地方社会保諸基金の3部門について、それぞれの部門の所得支出取引を見ることにより、一般政府(地方政府等)が府民経済に果たしている役割を詳細に把握するための表である。
用語については、「主要系列表 府民所得及び府民可処分所得の分配」、「主要系列表 府内総生産(支出側)」を参照されたい。
付表 経済活動別府内総生産及び要素所得
経済活動別に府内総生産の一次分配が示される。
経済活動別府内総生産から固定資本減耗を控除して生産者価格表示の府内純生産が、更に生産・輸入品に課される税(控除)補助金を控除して府内要素所得が得られる。
府内要素所得は、雇用者報酬と営業余剰・混合所得に分配される。
付表 経済活動別就業者数・雇用者数
経済活動別府内総生産及び要素所得との関連において、経済活動別の労働力の投入量が就業者数、雇用者数により示される。
就業者は、雇用者、個人業主と無給の家族従業者から成る。2か所の事業所に雇用される者については2人と数えるため、国勢調査等から得られる計数より総数は大きくなっている。パート等の労働者についても、正規の労働者と同様に1人としている。