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令和2年5月委員会会議会議録
大阪府教育委員会会議会議録
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1 会議開催の日時
令和2年5月19日(火曜日)午前10時00分 開会
午前11時20分 閉会
2 会議の場所
委員会議室(府庁別館6階)
3 会議に出席した者
- 教育長 酒井 隆行
- 委員 竹若 洋三
- 委員 井上 貴弘(※)
- 委員 岩下 由利子
- 委員 岡部 美香
- 委員 中井 孝典
- 教育監 向畦地 昭雄
- 教育次長 後藤 克己
- 教育センター所長 村田 純子
- 教育総務企画課長 仲谷 元伸
- 高等学校課長 大久保 宣明
- 高校再編整備課長 大武 基
- 支援教育課長 黒田 一人
- 保健体育課長 西田 修
- 小中学校課長 桝田 千佳
- 地域教育振興課長 北川 辰弥
- 教職員企画課長 柳生 国良
- 教職員人事課長 金森 充宏
- 施設財務課長 佐々木 浩之
※井上委員は途中よりテレビ会議にて参加のため、議決には加わっていない
4 会議に付した案件等
- 議題1 知事からの意見聴取について
- 議題2 令和2年度大阪府教育庁の運営方針について
- 議題3 令和3年度大阪府立高等学校「日本語指導が必要な帰国生徒・外国人生徒入学者選抜」について
- 議題4 令和3年度大阪府公立高等学校「知的障がい生徒自立支援コース入学者選抜」及び令和3年度大阪府立知的障がい高等支援学校職業学科の「大阪府立高等学校に設置する共生推進教室入学者選抜」について
- 議題5 令和3年度使用府立学校教科用図書採択要領及び令和3年度使用高等学校用教科用図書選定の手引きについて
- 報告事項1 令和2年4月臨時府議会提出の議案について
- 報告事項2 新型コロナウイルス感染症に係るこれまでの対応について
- 報告事項3 新型コロナウイルス感染症に係る中学校チャレンジテストの取り扱いについて
5 議事等の要旨
- (1)会議録署名委員の指定
岩下委員を指定した。 - (2)3月26日の会議録について
全員異議なく承認した。 - (3)議題の審議等
議題1 知事からの意見聴取について
【議題の趣旨説明(教育総務企画課長)】
地方教育行政の組織及び運営に関する法律第29条の規定により知事から意見を求められた令和2年5月定例府議会に提出予定の次の議案について、異議がないものと決定する件である。
予算案
- 令和2年度大阪府一般会計補正予算(第5号)の件(教育委員会関係分)
事件議決案
- 大阪府立富田林高等学校における生徒の負傷事故に関する損害賠償の額の決定及び和解の件
条例案
- 職員の特殊勤務手当に関する条例一部改正の件
(職員の特殊勤務手当について新型コロナウイルス防疫作業等を新たに対象とするもの) - 大阪府学校医等の公務災害補償に関する条例一部改正の件
(府立学校の学校医等の公務災害に係る補償基礎額を改正するもの)
【質疑応答】
(岡部委員)1-2にありました、Sc(スクールカウンセラー)を配置するということに関して伺いたい。新聞で見た限りなので、大阪府の事情は違うかもしれないが、いじめが増えているというよりも、その家庭内での虐待や貧困で困っているということで、心の問題というよりも福祉的な支援が大事になってきている時期ではないかと思われる。ということは、カウンセリングよりもソーシャルワーカーの方を増やした方がいいのではないかと思うが、ここでSc(スクールカウンセラー)の増加ということを謳ったことに至った根拠を教えていただきたい。
(小中学校課長)Sc(スクールカウンセラー)はもともと配置しているが、この間(かん)の休校等によって、不登校それから休校中のケア、それからご指摘があったように、Ssw(スクールソーシャルワーカー)との連携も必要と思っている。Sc(スクールカウンセラー)については当初予定していたより配置が少なかったっていうこともあり、そこをしっかり手厚くしていこうということで、当然Ssw(スクールソーシャルワーカー)とも連携して、チームで子どもたちを見守っていこうと考えている。そこはしっかり連携してまいりたい。
(岡部委員)方向性はよく理解できたので、その通りに進めていただければと思うが、予算配分に関してどれくらいいじめや虐待件数が増えたのかという調査から多分入ると思うので、そういった数が出てきたときにまたカウンセラーの方が多い方がいいのか、あるいはソーシャルワーカー、特に福祉部門を担当できるソーシャルワーカーの配置を重点化していくのか、ということについてご検討いただきたい。
(竹若委員)学校再開後の臨時教育に伴う未指導学習部分の学習支援員のことだが、これはどういう考え方になるか。
(小中学校課長)未指導部分について、補習も必要だが、どうしても時間の短い中で子どもたちに夏休みなどをこれから短縮してやっていく必要が出てくるが、それでもやはり子どもたちに学習内容をしっかり定着させるような時間がないのではないかということで、先生とそれから支援員と連携して、定着を必要とする子どもたちをしっかり手厚く見ていきたい。これは市町村で希望するところで、国と府で補助をするということで、今は市町村でそういうような体制を組んでいるところに手を挙げてもらって配置することにしている。
(竹若委員)市町村には費用負担はないということか。
(小中学校課長)市町村の費用負担はある。国5分の1、府と市町村で5分の2ずつ負担ということの国事業の活用となっている。
(竹若委員)時間帯にもよると思うが、講師等も不足している状況。そういう状況から考えて、この制度が本当に実のあるものになるのかという懸念を持っているが、例えばどういう人を対象に公募をされるということを教えていただきたい。
(小中学校課長)学習支援員は、教員免許は問うていないので、あくまでも先生がたが放課後であるとか、学習支援するところで子どもたちを個別に一緒に見てもらうというもので、例えば学生や地域の方を想定している。
(竹若委員)私は大阪の退職校長会の仕事もしているが、文部科学省から全国連合退職者校長会を通じて、いわゆる退職された校長先生方にも声掛けをして欲しいという連絡が来ている。できれば、この制度の趣旨を広くPRいただいて、協力のお願いを周知することなども検討いただきたい。
(岡部委員)スマートスクール推進事業費のことについてお伺いしたい。新型コロナの第二波第三波を考えると、これは早急に進めていかないといけないことなので、予算化していることは本当にありがたいことだと思うが、Ictに対応できないマイノリティーの子供たちへの支援というのをどう考えておられるか伺いたい。Ict機器を家庭で揃えるのが難しいということは一般に言われていることだが、コミュニケーションが難しいという子たちに関しては、一部オンラインになったら声を出しやすいという子がいる一方で、オンラインになるともっとコミュニケーションを取りにくいという、Zoom(※オンライン会議用ソフトウェア)での学習支援がなかなかできないというタイプの子たちもいると思うが、スマートスクール化を進める一方でそういった子たちに対しての支援をどのようにされていくのか、今のところのお考えを聞かせていただきたい。
(教育総務企画課長)岡部委員がおっしゃるように、そこは非常に重要なところであり、一足飛びでやるというより、様々なケースをモデル的にやりながら細かく見ていきたいと思っている。今年度、府立学校5校で、Gigaスクール、いわゆるスマートスクールのモデルケースをやっていく中で、支援学校も一部入れており、そういうところの知見を踏まえつつ、何が適切かというのを見きわめながら進めていきたいと思っている。
(岡部委員)テレワークをしていると、聴覚障害を持っている方は本当に大変だと思うこともあり、支援学校が入っていることはとても素晴らしいことだと思うが、例えば外国ルーツの子どもたちのために多言語対応が要請される場合などにどう対応しているのかについても伺いたい。
(教育総務企画課長)多言語の対応についても同様に今年度モデル事業の中に入れており、あと不登校の方、それから英語とか、そういった部分を合わせ、五つの分野をモデルとして入れさせていただいている。
【採決の結果】賛成多数により、原案どおり決定した。
(賛成者 酒井教育長、竹若委員、岩下委員、岡部委員、中井委員)
議題2 令和2年度大阪府教育庁の運営方針について
【議題の趣旨説明(教育総務企画課長)】
標記について、決定する件である。
【質疑応答】
(教育長)私から少し補足をさせていただくと、まず令和2年度がスタートしたわけだが、すでに2ヶ月間の臨時休業措置を講ぜざるを得ないという状況の中で、新型コロナウイルスの感染リスクというものをゼロにすることは、画期的な薬が開発されない限りできないという前提で、「おそるおそる」学校を再開させていく。そういうことをまず考えなくてはならない。その点につきましては、後ほど少しお時間を取らせていただくので、報告事項の中で、休業措置に至った考え方とか、今後の展望について報告した後で議論させていただきたいと思っている。
それから重点事業を重点テーマに沿って、記載しているが、例えば、重点テーマ1の中学生学びチャレンジ事業というのがある。これものちに報告させていただくが、すでに6月17日に実施を決定していたチャレンジテストについては中止決定とし、事業についても変更が生じている。同様に例えば、テーマ3についても、医療的ケア通学支援事業ということで、多額の一般財源を投入して、医療ケア児の通学支援に本格的に乗り出そうということで意欲的に取り組もうとしていたわけだが、実際学校が休業中ということでかなわず、事業はスタートさせるが、実施期間などを絞らざるを得ないという状況がある。
重点テーマ8の府立学校の長寿命化整備についても、いろいろな改修計画やトイレの改修を進めてきたが、そもそも計画内容は、夏季休業期間中に工事をすると学業に影響を与えないということで設定していた。しかし、夏季休業そのものをどうするかということもあり、改修計画も変更せざるを得ないことを覚悟している。柱は崩していないが、個々の事業の進め方については、また再度整理して、改めて報告するのでよろしくお願いする。
【採決の結果】賛成多数により、原案どおり決定した。
(賛成者 酒井教育長、竹若委員、岩下委員、岡部委員、中井委員)
議題3 令和3年度大阪府立高等学校「日本語指導が必要な帰国生徒・外国人生徒入学者選抜」について
【議題の趣旨説明(高等学校課長)】
標記選抜を実施する高等学校を次のとおり決定する件である。
- 大阪府立東淀川高等学校
- 大阪府立長吉高等学校
- 大阪府立福井高等学校
- 大阪府立門真なみはや高等学校
- 大阪府立布施北高等学校
- 大阪府立八尾北高等学校
- 大阪府立成美高等学校
【質疑応答】
(岡部委員)提案そのものに関して何か申し上げるということではなく、こういう選抜があるということは、大阪府の素晴らしい事業だと思うし、各校のケアも充実しているということで進めていただければと思うが、今説明されたように、帰国生徒や外国籍生徒の数が過去最多になっているということで、ここの学校に行けない一般校に行く帰国生徒、外国人生徒が増えてきているという事情もあるかと思う。
そういった枠に入れなかった外国人の人たち、あるいはその子たちを教育する先生方への支援というネットワークをどう作るかということが、おそらく枠の充実とともに支援していかないといけない、充実させていかないといけないところだと思うが、その点について、お答えいただける限りで教えていただきたいと思うし、これから進めていただければというふうに思う。
(高等学校課長)非常に大切な視点であるとともに非常に悩ましい部分でもあるが、現在も個別の様々なボランティアの方々の協力も得ながら教育サポーターとして、そういった生徒が在籍する高校に人材を派遣するというようなことは行っている。
先ほど来話題になっているスマートスクールの構想の中には、そういう少数かつ点在する生徒について、例えば今の我々は「枠校」という言い方をしているが、枠校で様々なノウハウとかそういう人との繋がりを持った学校と生徒をオンラインで繋ぐことによって、個別の母国語指導も含めた一人一人の生徒に寄り添うような場面をできるだけ作っていきたい。こういう研究が多くの学校に展開できれば、一層そういう少数かつ点在する生徒の皆さんへのサポートに繋がるのではないかと、そういう期待もそのスマートスクール事業の中では考えている。
(岡部委員)ぜひ進めていただければと思う。
【採決の結果】賛成多数により、原案どおり決定した。
(賛成者 酒井教育長、竹若委員、岩下委員、岡部委員、中井委員)
議題4 令和3年度大阪府公立高等学校「知的障がい生徒自立支援コース入学者選抜」及び令和3年度大阪府立知的障がい高等支援学校職業学科の「大阪府立高等学校に設置する共生推進教室入学者選抜」について
【議題の趣旨説明(支援教育課長)】
令和3年度大阪府公立高等学校「知的障がい生徒自立支援コース入学者選抜」を実施する府立高等学校を次のとおり決定する件である。
- 大阪府立阿武野高等学校
- 大阪府立八尾翠翔高等学校
- 大阪府立園芸高等学校
- 大阪府立柴島高等学校
- 大阪府立西成高等学校
- 大阪府立枚方なぎさ高等学校
- 大阪府立松原高等学校
- 大阪府立堺東高等学校
- 大阪府立貝塚高等学校
2 令和3年度大阪府立知的障がい高等支援学校職業学科の「大阪府立高等学校に設置する共生推進教室入学者選抜」を実施する設置校を次のとおり決定する件である。
- 大阪府立たまがわ高等支援学校の「共生推進教室入学者選抜」を実施する設置校
- 大阪府立金剛高等学校
- 大阪府立枚岡樟風高等学校
- 大阪府立とりかい高等支援学校の「共生推進教室入学者選抜」を実施する設置校
- 大阪府立北摂つばさ高等学校
- 大阪府立千里青雲高等学校
- 大阪府立すながわ高等支援学校の「共生推進教室入学者選抜」を実施する設置校
- 大阪府立信太高等学校
- 大阪府立久米田高等学校
- 大阪府立むらの高等支援学校の「共生推進教室入学者選抜」を実施する設置校
- 大阪府立緑風冠高等学校
- 大阪府立芦間高等学校
- 大阪府立なにわ高等支援学校の「共生推進教室入学者選抜」を実施する設置校
- 大阪府立東住吉高等学校
- 大阪府立今宮高等学校
【質疑応答】なし
【採決の結果】賛成多数により、原案どおり決定した。
(賛成者 酒井教育長、竹若委員、岩下委員、岡部委員、中井委員)
議題5 令和3年度使用府立学校教科用図書採択要領及び令和3年度使用高等学校用教科用図書選定の手引きについて
【議題の趣旨説明(高等学校課長)】
標記について定める件である。なお、最終的な教科用図書の採択は、校長の選定をもとに、8月の教育委員会会議において決定する予定である。
【質疑応答】
(岡部委員)選定の手引きや採択の基準に関しては提示しているもので結構だが、来年これを採択したときに、まだ今の状況下の影響が残っていて、この教科書通りに授業ができないことが想定される。そういった場合に教科書会社の方からもプラスして今の状況に合わせた高等学校の教科指導のあり方という手引きが出てくるようになっているのか。それとも府の方から、ちょっとずらしてもよいという形で教科指導の面や、学校の先生方に何か指針をお知らせする形になっているのか。
教科書そのものはこの採択でいいと思うが、多分、教科書を使用して授業を進めていくときに、各学校の先生方が非常に困る状況が来年度はあるかと思うし、特にアクティブ・ラーニングが中心になっている教科書になっているので、その辺り、各校のIct機器の設置等の点で大分差が出てくるかと思うが、その辺、来年度のことなので少し早い質問かもしれないが、どのような考えになっていくのか伺いたい。
(高等学校課長)これについても、現在国からもこの間(かん)のコロナの対応で、例えば年度を超えて、どのようなことを、その複数年にまたがる指導の中で今のような学習の不足分を補うかという点について通知が来ている。当然ながら、この再開の状況を見極めた上で、そういったことについて具体的に教育課程をどう組み立てていくのかということについて、教育委員会として各校に示す必要があることは我々も認識しているが、今その状況について検討を進めているところであるので、決定次第、またお示ししていく。現時点では詳しいことはまだ決まってないというのが実情である。
(岡部委員)まさに動いているところなのでその通りだと思うが、来年度に向けて先ほど竹若先生がおっしゃっていた学習支援員の選択というのも含めて子どもたちの学習を保障してほしいと思う。
(岩下委員)私も岡部先生のご意見に同感である。コロナが終息したとしても、今後、社会はIctがどんどん進むと思う。これは私事だが、私も今週大学の授業からオンライン事業になり、悪戦苦闘しているが、操作方法を覚えると、非常に高機能である。使いこなせれば本当に時間短縮もでき、かなりいい教育ができると思うので、今後のことをも踏まえて、考えていただけたらありがたい。
報告事項1 令和2年4月臨時府議会提出の議案について
【報告の趣旨説明(教育総務企画課長)】
令和2年4月臨時府議会において議決された下記議案について報告する件である。
予算案
- 令和2年度大阪府一般会計補正予算(第4号)の件(教育委員会関係分)
【質疑応答】なし
報告事項2 新型コロナウイルス感染症に係るこれまでの対応について
【報告の趣旨説明(教育総務企画課長)】
新型コロナウイルス感染症に係るこれまでの対応経緯を報告する件である。
【質疑応答】
(教育長)府立学校のオンライン教育環境の整備ということで5月5日の本部会議の中で知事からの要請があった。もともと府立高校でのいくつかの高校で先駆的にいわゆるByod(Bring Your Own Device)方式、要は自分たちのデバイスを使ってできる範囲でいろんな動画を配信したりしているが、なかなか双方向というのは難しい。ただ、そこも一方通行的ではありながらも、動画の中で提示した課題についてはメール等いろんな形でやりとりして、できるだけ双方向性を保つという工夫をされているということで、そうしたことを進めたいというのは私自身の思いではあったので、6月末までに何らかの形で、府立高校でできるようにしようということで、いま現在は調査をしている。いわゆる自分たちのデバイスは使えるものになっているのかということであるが、そのときに一番問題になるのが、Wi-Fi環境がどうなっているかということである。そこについては、現在検討中であるが、できるだけモバイルルーターを、デバイスもない、Wi-Fi環境もないという、家庭が非常に厳しい状況にある子どもたちに、なんとかWi-Fiルーターをお貸しする、あわせて、デバイスとしては学校で備えているPCを何台かキープされているので、それをお貸しして、全体でオンライン教育ができるようにこぎつけようという努力を今行っている。その点も含めましてどうぞご自由にご発言をいただければと思う。
(岡部委員)二点お伺いしたい。一点目は先生がたへの補償がどうなっているかという点を伺いたい。先生方も臨時休業に伴って自宅でおられるという形を取られていたと思うが、これから分散登校になると、例えば介護の必要のある先生や、子どもがまだ小さい先生が、自分が外に出るときに、子供が家にいないといけない、介護の施設の方が受け取ってくれないなど、色々な事情が起こってくると思う。そういった今の事情に鑑みて、先生方への働き方改革も含めた補償をどう進めていこうとされているのかということと、またIct化がこんなに急激に必要になると思ってなかったところが皆さんおありだと思うので、先生方もそれに対応できない方がいらっしゃると思う。そういった先生方にテクニックをどう教えていくのか、研修会などをどうするかというところが一つ。
あとは、Wi-Fi環境もとても大事だが、Ictを家で使うに伴い、繋がるための費用をどうするのか、また、自宅の電話や、プライベートなアドレスを使うことによって、生徒たちと今までと違う距離感になってくるということもあって、どういった条件をつけたら先生方が働きやすくなるのか、これから整備していかないといけない。先生方が働きやすい環境を作っていくという点について、府教委の方でどのような対策を立てておられるのか伺いたいのが一点。
もう一点は、就職の支援をどうされているかということを伺いたい。今回、だいぶ長い期間休業となって、もうそろそろエントリーシートや面接対策をしていかないといけないというところであるが、現在学校が休業になっているなか、学校の方ではフォローが遅れていると思う。さらには中小企業等が採用数を減らしてくることも考えられないわけではない。そういった点から、高校生の就職支援をどういうふうに学校側が行うのか、あるいは府でどのように学校を支援していこうとしているのか、その二つについて伺いたい。
(高等学校課長)ただいまご質問のありました先生の働き方の部分以外のところで、まず、Ict環境の整備に関して、どのような学校支援、先生方への支援を行っているかというところについて。当然ながらこういう緊急の場面なので、いろいろ限界はあるが、例えば動画を作成する際に留意すべき事項、具体的には著作権にどのように配慮すべきかといった部分から、具体的な動画の作成方法、もう少し具体的には、例えばYoutubeを作成するにはこういうふうにする、アップするにはこんな手続きが要る、そういったことは全校に情報として流している。
さらに、オンライン授業、遠隔授業という言葉が多くの場面で昨今使われている中で、その受け止め方が、微妙にそれぞれの立場で異なっているようなところがあるので、先ほど教育長より申し上げた6月末までに最低限全校でこういった環境を整えようという方針を先週お示しし、各それぞれの学校が実情に合わせて自校のガイドラインを作成する作業を求めているところ。
この間すでに、現在速報値というイメージでは、何らかの形で動画等を作成して生徒に示した学校は、まだ全校揃ってはいないが、4割弱の学校が、何か取り組みを始めている。やはり現場の大勢の教員の感覚からすると何かしなければならないという思いのもと、そういう実践はすでに始まっている。
ただ先ほど申し上げたように、それぞれできることには限りがあるので、全体で一つのハードルというか、ルールを定める中で、今度秋以降に第二波第三波が来たときには、そういったオンラインのシステムも活用しながら学習の保障ができるようにしたいと思っている。
それから二つ目の就職指導に関してだが、これも非常に悩ましい。通常、例年であれば5月ぐらいに府立高校が何をしているかというと、多くの教員が新規企業に開拓に向かって、多くの人数を割り当てて、いわゆる企業訪問等を行って、6月からは各企業がハローワークの指導のもとで高校の求人票を作成し、7月から具体的な就職活動が始まるというのが例年のカレンダーである。しかし、まだ学校が再開されていない中で、そういう就職指導を含む具体的な進路指導が、なかなか全体的に今進んでいない。さらにはそういう企業訪問等のいわゆる求人活動に、学校も企業側も進んでいない。
現在、府の労働局とも、こういう現在起こっている諸々の課題について相談をしているところである。もちろんこれは大阪府だけの問題ではないので、まずは近畿一円の現在の課題等を共有し、国に対してもどういうふうな働きかけをする、進めていくべきなのかそういったことについて今後そういう労働局等の知恵も借りながら進めていくつもりである。ただ、なにぶん完全な再開のまだ見通しが立っていない中なので非常に悩ましい、解決の難しい部分を含んでいるというのが実態である。
(教職員企画課長)この間(かん)学校が臨時休業という形で対応したこともあり、現在、教職員の方とか家族が感染の恐れがある場合とか発熱がある場合については、職務免除で対応している。また、学校の教職員の方のお子さんが臨時休業になったということで、お子さんの世話が必要になったという場合についても、職務免除という形で、対応させていただいているところ。教職員の方のテレワークについても、学校休業期間中について、当然、個人情報の持ち出しはできないが、現在自宅にあるパソコン等も活用していただきながら、教材作成等を対象として、推進している。また教職員自身に風邪等の症状がある場合は、登校せず、きっちり休んでいただくという形で感染拡大防止に努めているといったところ。
(岡部委員)先ほど児童生徒へのカウンセラーの増加が言われていたが、おそらく先生方にも必要ではないかと思われるので、先生方へのケアの方もよろしくお願いする。
【ここから、井上委員がテレビ会議にて会議に参加】
(教育長)井上委員、よろしいでしょうか。今報告事項2について報告のあと、新型コロナウイルス感染拡大防止のための休業措置を2ヶ月取ってまいりましたことを委員の先生がたにご説明の後に、それぞれ幅広にご意見をいただいているという状況です。岡部委員からその件については一番目にもご発言がありましたので、後程また井上委員に発言を求めたいと思いますので、しばらく他の委員のご発言をお聞きいただければと思いますので、よろしくお願いします。
(井上委員)よろしくお願いします。
(竹若委員)この間(かん)の大阪府教育庁の事務局の方の大変ご苦労を思うと本当に心が痛むが、問題を挙げれば、あまりにも多すぎて、どこから手をつければいいのかというのは事実である。コロナの状況において、学校関係で一番の問題にされているのは児童生徒の学習の遅れということであろう。にわかに9月入学という話も出てきたわけだが、その論議は別として、学習の遅れをどう取り戻すということについて、我々としてはやっぱりしっかり考える必要があると思う。これがベストということはなかなか言えないと思うが、私は個人的には長いスパンで子どもの学習の遅れをなんとか取り戻す方策というものを考えていく必要があると思う。
そのためには、学校の先生がたのご尽力は欠かせないが、一つ言えるのは、期限を区切ってしまうとどうしても詰め込み、無理に時間を消化するということになってしまうので、その辺のスパンの長さというものを、もし示されたら示すことができればと思う。その上で、各学校現場が教育課程の編成ということを考えていただけたらなと思っている。私は、現場の先生がたは大変優秀だと思うので、自分の目の前にいる子供たちの姿を見て、どうすれば学習の遅れを回復できるかの案は出していただけると思いますので、それを考えていきたい。
二つ目は、先ほどの就職の話もあったが、遅れにともなって、出口の話になってくると思う。当面3月に卒業を迎えたときに、小学校から上がってくる受け入れ側の中学校としての考え方、さらに同じように高等学校、ここには入試というものが関わってくる。入試問題そのものも、例年と同じようにはいかないだろうし、同じことは大学入試にも関わってくる。長いスパンとはいいながらも、子どもたちにとっての出口の3月というものをどうするのか考えなくてはならない。いろいろと問題点はあるが、とりあえずの問題点は子どもたちの学力の保障というもの。事務局の方でも一度ご検討いただく中で、また我々にもご提示いただけたらと思うので、よろしくお願いしたい。
(岩下委員)今までと本当に状況が変わってしまったことは事実だが、これからは、Ictで新しい形になることを先生も生徒も想定しなければならない。新しい形になるのだという点では悪いことだけではない。本当に便利な世の中になってきているので、いい形で変えるチャンスだと私は思っている。それは学習にしても、運動にしてもそうである。竹若委員がおっしゃったように、期限を区切って考えるのではなく、本当にこれから先、このような形で行くのであれば、何が必要なのか、何が不要なのかを考える必要がある。今は手探り状態なので、本当にそれぞれが今できることを見つけて、一生懸命進んでいけるような指導を先生にはしていただきたい。一生懸命やっていればそこからは絶対良い答えが見つかると思う。
(教育長)井上委員、ご発言はよろしいですか。
(井上委員)この数ヶ月本当に皆さん大変だったと思う。特に大阪府は全国でも先進的に府民の方への対策を行っており、特に教育の現場でも皆さんの努力のおかげで、次に状況が改善したときに対応できる状態になっていると思う。一番大切なのは、教育現場での児童生徒と先生方の安全で、これは最優先と思っている。ただ先ほどから竹若委員や他の皆さんおっしゃっていたように、学習の遅れをどうやって取り戻していくかというところが非常に課題になってくると思う。
私も、小学生の子が2人家にいるが、今いろんな教材が送られてきたり、オンラインで朝礼をやりましょうということで、それに対して家で対応している。しかし、何を100%とするかは難しいが、対応についてしっかりできる家庭と、在宅勤務になっていても仕事があってなかなか対応できないとか、また仕事内容によっては職場に出ていかないといけない家庭との間で、ライフスタイル、就業態様の違いによって差が出てくると思うし、以前から言われているような経済的な格差も絡み合ってくると思うので、こういったことを解消していくには、長い期間をもって何かしら手当をしていくことが大事と思う。
従って、小学校だったら小学校だけではなくて小学校中学校、中学校で学びきれないことは高校までまたいで、高校から社会に出るという長いスパンの中で、遅れの取り戻しを考えていかなければならない。たださっきから聞かせていただいているように、出口というところが問題になってくる。中学3年生には入試があるし、高校3年生には就職、大学に進学する生徒がいる。これらの生徒に、1年2年待ってくれということはできない。ここに対してしっかり対応する必要があるので、長いスパンでどうやって取り戻していくか考えていく必要があるかと思う。
この状況が続いて、遠隔授業が行われていくとしても、いつか対面授業が再開されるし、それが望ましいと思っているが、対面授業がしっかりできるようになったとき、この教訓を生かして、効率よく対面授業と遠隔授業の両方を取り入れる、また、遠隔授業で取り入れられたITの技術を対面授業でも使う、そして、以前一部の授業にAI教材を導入していこうというようなこと話があったが、そういったことにもこの際積極的に取り組んでいって、社会に出るのに必要な力をつけさせてあげることが大事と思っている。
もう一つは、体力面も気がかりだが、心理的に非常にストレスを抱えている生徒さんが多いと思っている。やはり基本的には家でいると、なかなか家族以外の人と接しないことで、目に見えないところで心理的な不安を抱えているところがあると思っているこれはまた学力の遅れとは別に、遠隔で心理的な支援・ケアが対面でできれば、生徒さんがスマートフォン等で心理の専門家と相談できるようなことが必要ではないか。こんな時期なので、気持ちがしっかりしていないと、勉強しようという気にもならないのではないかと思うので、この点は考えていく必要がある。
(中井委員)今日初めて参加させていただき、いろいろ勉強もしたが、本当にもう今まで経験したことのないようなことが起こっており、どうしていいかというのはわからないのも実態と思うが、私はいつも思っているのは、「ピンチ」は「チャンス」であるということ。こんな大変なときだからこそ、何か新しいものがそこは出てくる可能性もありますから、あまり焦らずにじっくり腰を落ち着けて、考えることが必要ではないかなと思います。
実際に今オンライン授業も色々なところで始まっているが、私は一長一短あると思う。しかし、これまでやったことがないことができているわけなので、これをうまく使っていくことがこれから大事かなと思うし、マイナスの部分もありますので、そこをしっかり踏まえていただく必要があるかなと思う。コミュニケーション能力が低い生徒にとっては、これは苦痛なことでほっとしてないかもしれないし、逆に学力の高い生徒はどんどん進んでいくかもしれない。
それも十分見極めて、何がいいことなのかということをこの際しっかり見極めながら、新しいことにチャレンジしていく。今ピンチでありますが、チャンスであるということも踏まえながら、新しい教育を展開できればよいと思っている。教育委員会の事務局の方々が本当にご苦労されていることはよくわかっているので、よろしくお願いしたい。
(岩下委員)私も中井委員と同様の考えである。6月からシステムを作ったにしても、教員の方も生徒の方も今までとは授業のシステムが違うので、多分、学習についてすぐに追いつくのは難しい。ただ、私の持論であるが、逆の発想で、考える力を身に付けてあげれば、学科の教科の勉強っていうのは、もしかしたら今までよりも、早いスピードで身につくのではないかと思う。
私も今週からトランポリン競技の実技のオンライン事業をしているが、第1回目でも新しい自分を発見できたり、実技の前に、オンラインで要点を伝えた方が、より良い指導ができるのではないか、という実感もある。とにかく逆の発想、とにかく常に肯定的な考えを持って、前向きに考えて、先ほど中井委員がおっしゃったように、ピンチをチャンスに変える。まさしくそんなときに来ていると思う。
(岡部委員)中井委員、岩下委員の方からお話があったが、今この状況の中ではっきりしてきているのは、今までうまくいっていたところに関してはそれほど揺るがないけれども、今までちょっと見逃してきたところとか、うまくいっていなかったところが先鋭化して、問題になってきているということだと思う。おそらくその状況の中で府教委に求められていることが、間(あいだ)をつないでいくということ。
すなわち、それぞれの部署の本務に関してはそれぞれの部署で今までもきっちりされてきたと思うが、現在の状況の中で、例えば教育と福祉の間など、行政の枠の中にうまく収まってくれない問題が多く出てきているというところをどのようにつなぐかということである。教育長がずっと目指してこられたのもその部分であると思う。
本当に中井委員の言葉をお借りするなら、ピンチをチャンスに変えて、今本当に先ほども先生方おっしゃっておられたように府教委の方々が大変な中で朝から晩まで対応されているかと思うが、組織の面の柔軟性というのも含めて、間(あいだ)の問題にどう対応するか。ただ、間(あいだ)の問題を強調しすぎると、今までやってきた根幹を揺るがしかねないところもないわけではない。コロナへの対応を盤石なものにしながらも、その間(あいだ)のところをどうしていくかということを考えるいい機会になるかと思う。そういった意味ではNPOをどう配置するか、ボランティアをどう配置するか等、活用できるものをできるだけ活用するというようなソーシャルネットワークを府が作り、この機に限られた予算の中で、どう体制を整えていくかを、走りながらでも考えて組織に関しての補強をしてほしい。
(教育長)国の新型コロナウイルス専門家会議が数々の提言というものを出されている。その中に直近のものでいいますと、やはり「新しい生活様式」に対応していく必要があると、何度も言及されている。この言葉を学校現場、教育現場に当てはめるとどうなるのか、それを我々は追求していくのだと考えている。
その一つは先ほど委員からもありましたが、Ictと対面をどのように組み合わせて、ハイブリッドにしていくか。そういうことも追求していく必要があると思う。様々な課題を抱えた子どもたちがいる中で、果たして、本当にIct環境というものが、教育の機会均等という言葉にふさわしい状態として提供されるのかどうか。そのために、やるべきことは何か。それは岡部先生がおっしゃったように、福祉的視点からサポートしていく、教育と福祉のハイブリッドが本当に求められてくると思う。非常に厳しい局面だということは間違いないが、中井委員がおっしゃったように、ピンチにチャンスがあるというふうな発想の転換のもとに、大阪の教育というものをどのように守って発展させていくか、本当にそれに知恵を絞る必要があるということを先生がたのお話を聞いて改めて実感させていただいた。
少し今後のことを申し上げますと、正式な情報ではないが、私どもに入っている情報によると、大阪モデルの指標、国の設定した数値でもいい値が出ていることから、大阪府も現在特定警戒都道府県指定をされているわけですが、5月21日に、この特定警戒指定が外れるかもしれない、外れることを期待している状況である。そうしたときに、緊急事態宣言というものの扱いがどうなるかいうと、解かれるであろうことが言われている。
今の学校の扱いは、緊急事態宣言下における休業措置なので、緊急事態宣言が解かれれば学校の休業措置も解いていくことになる。ただ、これは府の専門家の先生がおっしゃっていたが、一気にフルスペックで本格再開という事はとても無理ではないか、感染リスクゼロということはあり得ないと。第二波、第三波を覚悟しながら「おそるおそる」学校開くべきだというのが府の専門家の意見である。
私どもとしては現在知事との協議をすべく、そのための材料を作っておりますけども、再開をするけれども、開く強度も徐々に開いていく。分散登校や短縮授業を織り交ぜながらやっていく。その中で、心配する声が出ていましたが、高校3年生と中学3年生という進路選択の重要な時期に差し掛かっている子どもたちに手厚く配慮していくのか、もちろん皆さん苦しい環境の中で頑張っていただいているので、そういうバランスの中で、そういう進路選択の時期を迎えた子どもたちをどう支援するかということも考えなくてはいけない。
おそらく5月21日の政府の方向性が出ると、これまでの通例でいきますと、大阪府の新型コロナ感染対策本部というものを21日の夜か22日の午前に開催して、その中で学校をどうするのかという話になるので、それに向け、いただいたご意見も踏まえて検討を進めてまいる。また適宜ご相談ご報告をしたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申しあげる。
報告事項3 新型コロナウイルス感染症に係る中学校チャレンジテストの取り扱いについて
【報告の趣旨説明(教育総務企画課長)】
令和2年度における中学3年生のチャレンジテストを中止した経緯を報告する件である。
【質疑応答】なし
【その他質疑応答】
(教育長)それではどうもありがとうございました。本日の議題は以上でありますが、井上委員、最後に何かありますか。
(井上委員)大丈夫です。今日はこういう形で参加させていただきました。
(竹若委員)今日の定例教育委員会の議題にはないが、自宅の方に教職員の懲戒に関わる資料が送付されてきた。件数そのものは、少しずつ少なくなっているので、成果があらわれてきたのかなと思うが、その中でやはり気になるのが、交通費に関わっての不正、自分の申請している手続きに則った交通費の支給と違うという状況が3件ほどあった。公共機関、交通機関を申請して交通費をいただきながら、車や自転車で帰っているという事例である。これに関して、校長がどう感じているのか。高校には事務長がいるが、校長と事務長との間で情報共有等がされているのか気になる。
また、気になる点として、今回の休業に関わって、三密を避けるために、教職員の自家用車で通うことが可能になっている等、通勤の緩和をしていること。きちっと期限を踏まえた対応であることが徹底されないといけない。緩和措置が終了した後も、ズルズルと同様の通勤を続け、後になって発覚しても困るので、しっかりとご指導いただきたい。