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三大水門の更新
三大水門とは
西大阪地域を流れる安治川、尻無川、木津川の河口部には、高潮による被害から市街地を守るため、国内では珍しいアーチ型の巨大な防潮水門(安治川水門、尻無川水門、木津川水門)が建設されており、これらを総称して「三大水門」と呼んでいます。
現在、大阪府では、西大阪地域の津波・高潮対策として、三大水門の更新事業を進めています。
西大阪地域の高潮対策
西大阪地域は、その地形的条件から高潮が起こりやすく、室戸台風(昭和9年)、ジェーン台風(昭和25年)、第二室戸台風(昭和36年)の高潮によって大きな被害を受けました。
昭和40年からは、伊勢湾台風級の台風が最悪となる室戸台風のコースを通って満潮時に来襲した場合を計画目標とした「大阪高潮対策恒久計画」に着手し、防潮堤、防潮水門、排水施設などの整備を進めました。
旧淀川筋の防潮方式については、大型の防潮水門による方式を採用し、高潮時には防潮水門を閉鎖して高潮の遡上防御を図っています。
なぜ三大水門を更新するのか
三大水門は昭和45年の完成以来約50年が経過しており、適切な維持管理により現在まで正常に稼働していますが、精密点検により寿命が迫っていることが明らかになっています。
また、平成23年3月11日に発生した東日本大震災を契機に、大阪府では、学識経験者の意見も聴きながら、津波遡上対策として三大水門を閉鎖することを検討してきましたが、検討の結果、三大水門の閉鎖は津波被害の軽減策として有効である一方、津波の外力により水門が損傷し、開閉が困難となる可能性も明らかになりました。
このため、さらに対応策を検討した結果、三大水門を津波にも耐えうる新たな水門に更新することを決定しました。
以上を踏まえ、現在は、それぞれの水門の余寿命等を考慮して優先順位をつけながら、更新事業を進めています。
三大水門の完成年月と推定余寿命(平成31年時点)
- 安治川水門…昭和45年3月完成(約48年経過)推定余寿命15年
- 尻無川水門…昭和45年11月完成(約48年経過)推定余寿命22年
- 木津川水門…昭和45年11月完成(約48年経過)推定余寿命12年
推定余寿命は水門の現況調査(精密点検)により推定したものです。
津波対策についての主な検討経過
- 平成23年3月11日
東日本大震災発生 - 平成23年9月27日
大阪府議会において、巨大地震発生時に津波対策として三大水門を閉鎖することを検討していく旨を表明
「住民の避難行動を支援することを最優先と考え、現在の想定を超えるような津波の発生時には、三大水門を閉鎖すべく、関係機関への周知や閉鎖体制の確保について早急に取り組んでまいります」 - 平成23年11月29日
「西大阪地区の津波対策に関する技術検討委員会」を設置し、大規模地震やそれに伴う大津波への対策を検討開始 - 平成24年11月21日
検討の場を「大阪府河川構造物等審議会」に移行し、河川構造物等における津波対策の技術的検討について諮問 - 平成25年3月15日
大阪府河川構造物等審議会の中間答申(抜粋)
「人命を守ることを最優先に、減災を図る上で三大水門をはじめとする防潮施設を最大限に利用し、津波防御するべき」 - 平成29年9月4日
大阪府河川構造物等審議会の最終答申(抜粋)
「水門新設案が西大阪地区の津波対策として最適であるとの結論」
「現水門の寿命等を考慮すれば、速やかに建設に着手する必要があり、早急に設計段階へ移行し、遅滞なく事業を進めるべき」 - 平成31年2月18日
大阪府の方針を公表
「現水門付近に津波・高潮に対応できる新たな水門を建設する」 - 令和元年10月31日
大阪府河川構造物等審議会に、改築する三大水門の設計条件として配慮すべき事項について諮問 - 令和2年7月2日
大阪府河川構造物等審議会に、改築する三大水門の景観検討方針および木津川・安治川水門の景観設計において配慮すべき事項について諮問 - 令和2年8月3日
大阪府河川構造物等審議会に「三大水門景観検討部会」を設置し、景観の検討を開始 - 令和2年8月25日
大阪府河川構造物等審議会に「気候変動検討部会」を設置し、改築する三大水門の設計条件として配慮すべき事項について検討を開始 - 令和3年1月29日
気候変動検討部会から、改築する三大水門について設計条件として配慮すべき事項(PDF:378KB)について、答申
三大水門景観検討部会から、改築する三大水門の景観検討方針について、および、木津川水門の景観設計において配慮すべき事項について、答申(PDF:230KB) - 令和3年12月16日
三大水門景観検討部会から、安治川水門の景観設計において配慮すべき事項について、答申(PDF:217KB) - 令和4年10月27日
木津川新水門築造工事 契約締結 - 令和5年3月13日
安治川新水門のデザイン結果について、令和4年度第2回大阪府河川構造物等審議会において報告
各水門の更新事業の状況
木津川水門
木津川水門については、現在の水門の直上流に新水門を建設すべく、鋭意事業を進めています。
木津川新水門築造工事状況
令和4年度より新水門築造工事(土木工事)に着手
仮締切鋼管矢板打設状況(右岸側)(令和5年7月撮影)
安治川水門
令和4年度に詳細設計を実施し、工事発注に向けた関係者協議などを進めている。
「新安治川水門アイデアコンペ」
安治川水門の景観検討に当たっては、令和3年1月29日付の大阪府河川構造物等審議会「三大水門景観検討部会」の答申において、「新水門に期待する付加価値や水門周辺に期待する姿や景観などについて、アイデアコンペの開催を検討するなど、広くアイデアを募集する。」とされたことを踏まえ、アイデアコンペを開催しました。
アイデアコンペは終了していますが、その内容について下記のリンクからご覧いただけます。
→「新安治川水門アイデアコンペ」ホームページ
(外部サーバーで運営していたコンペの特設サイト一式を、記録として大阪府のホームページに移管したもので、当時とはレイアウト等が異なっています。)
アイデアコンペに寄せられた多数のアイデアを参考に、令和3年12月16日付で大阪府河川構造物等審議会「三大水門景観検討部会」より「安治川水門の景観設計において配慮すべき事項について」が答申されました。
「新安治川水門絵画コンクール」
上記のアイデアコンペにあわせて、小学生を対象とした絵画コンクールを開催しました。
こちらの結果についても、「新安治川水門アイデアコンペ」ホームページ内に結果を掲載しています。
安治川新水門のデザイン決定
安治川新水門のデザインについて、令和5年3月13日に開催した「令和4年度第2回大阪府河川構造物等審議会」において、安治川新水門のデザイン結果を公表しました。
デザイン結果の詳細は「安治川新水門のデザイン決定」から確認できます。
尻無川水門
尻無川水門については、現在の水門付近に新水門を建設予定です。
現在の水門の施設寿命見込みである令和23年までに新水門を完成させるよう、検討を進めていきます。