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更新日:2014年11月10日

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第3回みどりのまちづくり賞(愛称:大阪ランドスケープ賞)の受賞作品について

1.ランドスケープデザイン部門(まちが美しくなるみどりづくり)

【大阪府知事賞】大阪木材仲買会館(大阪市西区南堀江)

事業主 大阪木材仲買協同組合
設計者 (株)竹中工務店
施工者 (株)竹中工務店

木材仲買会館の写真

講評
本件は、旧会館の新築時に植栽された樹齢65年を超える桜の既存樹2本を保存しながら、会館の建て替えによって新たなランドスケープが生み出された優れたデザイン事例である。建物の形状は、既存の桜を保存するために桜を囲むように緩やかな曲線をもったものとなっており、桜を主景とするためのサイトプラン(地割り)が特に優れている。その結果、「国内材」をふんだんに使った建物と一体となって、木のぬくもりと自然が感じられる「都市の中の森」とも呼べる魅力的なランドスケープが創出されている。
また、風景の継承を意図した次世代の桜の植栽や既存樹の足元まわりのディテールも素晴らしい。オフィスなどの内部居室からは何処からも桜が眺められ、室内を全面的に構成する木のぬくもりとともに屋内空間が非常に快適で落ち着きのある空間となっている。
一方、街からは、2,3階に設けられている大きな出の木による軒と2本の桜によって、建物と街との間に適度な距離感が生み出され、都市の中に魅力的なランドスケープを楽しめる中間領域が生み出されている。

(審査委員長 増田 昇)

【公益財団法人 国際花と緑の博覧会記念協会長賞】小松製作所 大阪工場 コマツ里山(枚方市上野)

事業主 (株)小松製作所大阪工場
設計者 (株)ランドスケープデザイン関西支社、(株)地域環境計画
施工者 鹿島建設(株)関西支店、西武造園(株)

小松製作所大阪工場の写真

講評
本物件は、工場施設の集約化に伴い生じた空地を、「生物多様性の向上」という事業主の環境方針に基づいて、地域の生態系ネットワークに配慮した本格的な里山空間に再現しようとしている好事例である。
地域の里山に出来るだけ近づけるため、目標となる里山の調査を行い、計画が立てられた。施工時には地域の山や野原、水田などから表土や植物を採取して活用されている。また植栽樹木も人の手を加えて整形したものではなく、自然な樹形のものが選別され植えられている。管理についても、長期的な視野のもと専門家がモニタリングを行い、残すものと抑制するものを選別、対処していくとのことで、作ったあとの体制までしっかり整えられ万全である。設計者・生物系コンサルタント・施工者が目標やイメージを共有しながらうまく連携し、高い質を追求してつくられていることは高く評価できる。
今年まだ出来たばかりであるが、既に野鳥なども飛来しており、地域の生態系にしっかりなじみ始めていることがよくわかる。今後さらにどんな多様な生き物がやってくるかが楽しみであり、地域の重要なビオトープネットワークを担う拠点として役割が大いに期待できる。

(審査委員 當内 匡)

【一般社団法人 ランドスケープコンサルタンツ協会関西支部長賞】ブランズシティ都島友淵町(大阪市都島区友淵町)

事業主 東急不動産(株)、伊藤忠都市開発(株)
設計者 (株)IAO竹田設計
施工者 (株)長谷工コーポレーション

ブランズシティ都島友淵町の写真

講評
地下鉄都島駅から北へ歩いて15分程の緑溢れるベル•パークシティの北東に位置し、第一印象は、子供達が岩山やプレイロットで走り回る姿に集合住宅入口を感じさせないエントランス「表の庭」に驚かされた。南側の低い植栽帯から東側道路沿いの桜並木、建物を低くした「共用棟」前の街の遊び場の一部の様な狭さを感じさせない「表の庭」。「共用棟」に向かって左側に遊び場、右側に車寄と東側に駐車場入口を配置して動線も明快である。道路側から低い「緑のマウンド」を建物に平行して交互に南北に配置し、狭さを感じさせない、適度に「共用棟」を見せる「見え隠れ」の配置が街並を豊かにしている。
ロビーからは東側に低い「緑のマウンド」の向こうに遊び場、西側「奥の庭」水景が心地よく迎えてくれている。居住者のための様々な施設配置がされ、駐輪場、駐車場周りに季節の移り変りを楽しめる「四季の径/彩の路」、西側ベル•パークシィティの境界側に「ドングリの路」の通学路、駐輪場壁面を緑化等々細かい配慮が随所にされており心地良い。住まわれている方々が挨拶の言葉を掛け合い、住環境の良さを感じることが出来た。この賞の選考主旨は、ランドスケープに関する技術ならびにアイディア•デザインとして注目すべき点を有しおり、緑豊かで快適な地域景観づくりに特に寄与しているもの。審査の視点は、空間の美しさに特に優れた案件で、コンセプトにされた「つなぐ」内容と現地でそのことを確認することが出来、高く評価されました。今後の維持管理によりさらに魅力ある集合住宅になることを期待している。

(審査委員 福原 成雄)

【奨励賞】パナホーム「つながりのひろば」(豊中市新千里西町)

事業主 パナホーム(株)
設計者 (株)竹中工務店、(株)対馬造園店
施工者 (株)竹中工務店、(株)ナテックス

パナホームの写真

講評
本作品は、パナホーム株式会社の本社敷地に設けられている開放広場である。その特徴は、水とみどり豊かなランドスケープの創出にとどまらない。まず、広域的な視点でのみどりの風の道の形成に寄与しつつ、地域の生態ネットワークの保全やコミュニティの形成をはかる場としての役割を担い、加えて、太陽光発電や風力発電および中・高木のCO2吸収による低炭素化まちづくりにも貢献し、かつ設置された設備類は大規模災害発生時の事業継続、帰宅困難者支援にも貢献している。すなわち、次代のまちづくりに求められる多面的な機能が凝縮されているとともに、環境や緑をテーマにした地域と企業とのパートナーシップの先進的な試みとして高く評価できる。

(審査委員 嘉名 光市)

【奨励賞】ガーデンプレイス鶴見 (大阪市鶴見区今津南)

事業主 山田善博
設計者 大西憲司設計工房
施工者 西友建設(株)

ガーデンプレイス鶴見の写真

講評
本物件はJR駅から5、6分、商店街や病院などが混在する住宅密集地の一角にあります。生活の利便性は良いが、雑然とした取りとめの無い環境であり、道路を挟んで病院の病棟と救急搬入口や、高層マンションが建っています。そのような環境の中で、音の問題やプライバシーにも配慮し、貴重な敷地から建物を2メートルセットバックさせて実現させた植栽計画。緑の少ない周辺環境が少しでも美しい街並みとなるよう配慮し工夫しているランドスケープは評価されるところでです。
密集した街の中で、アプローチの植栽にも季節感があり、道行く人に潤いを提供しています。また、住人のプライバシーへの配慮には、道路面の開口を最小限に抑え、中庭に向かって大きく開放された開口部から、採光、通風、眺めを確保しています。中庭に一歩入ると、緑の空間が広がり、住人の憩いの場の演出や、自然と共に心地よく暮らせる生活を、実現させている点も素晴らしい。
築40年の老朽化した2階建アパート2棟を、斬新な改革とローコストで居心地の良い賃貸集合住宅に変身させたこと。2階建メゾネットタイプ5戸を外見からは1戸建ての様にしつらえ、街に負荷を与えないことに配慮していることも、ランドスケープの理念に相応しい建築と云えます。今後、このような街中にも周辺環境に配慮し、かつ営利至上主義では無い建築が、増えて行くことを大いに期待しています。

(審査委員 二見 恵美子)

2.ランドスケープマネジメント部門 (まちが笑顔になるみどりづくり)

【奨励賞】ボランティア公園内の花だんの手入れ(寝屋川公園はなかずき)

活動者 寝屋川公園はなかずき
所在地 寝屋川市寝屋川公園

はなかずきの写真その1 はなかずきの写真その2

講評
寝屋川公園「はなかずき」は、寝屋川市公園事務所が開催した「花の楽園」修了者27名で、平成20年から活動を開始されたボランティア組織である。寝屋川市東部丘陵地の緑を生かし多くの府民に利用されているスポーツ公園内の花壇で、日常管理、育苗をしている。公園入口から公園通路沿、プランター、地植えの花壇に花飾りがされ、季節ごとに来園者の目を楽しませている。
花壇の設置カ所が広範囲で、そのご努力に感心させられるが、間伐材等を利用したオーナメント制作と花飾り、立体的な花飾りのアイデアも求められ、さらに、時代を担う子供達の参加も検討していただきたい。

(審査委員 福原 成雄)

【奨励賞】大阪大学豊中キャンパス内での竹林を接点とした共生活動(竹の会コラボ)

活動者 竹の会・大阪大学
所在地 豊中市待兼山町

竹の会コラボの写真

講評
本活動は大学キャンパス内の管理放棄された竹林の再生を接点とした地域との共生活動という先進的な事例である。平成19年度の共通教育の授業での「地域を考えるワークショップ」をきっかけに、キャンパス周辺自治会を中心とした「竹の会」のメンバーと学生や地域の子供会、大学キャンパスデザイン室および施設部職員等が参加しながら、竹林の間伐と清掃、タケノコ掘りを継続的に行っている。その結果、竹林が整序され、ランドスケープが大きく改善されるとともに地域とのきずなも強まりつつある。現状では林内活動は特定の活動日に限定されているが、今後、日常的に林内が解放され,学生の自主的な活動とともに地域との連携がさらに強まることが期待される。

(審査委員長 増田 昇)

【奨励賞】箕面森町 みどりの里山づくり(箕面市箕面森町)

活動者 特定非営利活動法人 とどろみの森クラブ
所在地 箕面市箕面森町

箕面森町の写真その1 箕面森町の写真その2

講評
箕面市北部の山林を切り開いて造成された箕面森町。その名が物語るように、周囲をとりまく豊かな森といかに調和した生活環境やライフスタイルを育てていくかが、このまちの最大のポテンシャルであり、まちを持続可能なものにしていくために避けて通れぬ課題でもある。平成19年のまちびらきに合わせて、特定非営利活動法人とどろみの森クラブが発足し、自然環境・地域・多世代共生のまちづくりの先導役となり、里山づくりを目指す森林整備、地域の方々との農業・園芸・木工など多彩な活動を展開している。担い手の多くは、北摂地域を中心に近隣の市町から集まり、高水準の技術と経験を持ち、開発の過程で行政が提供した拠点や設備が有効に活用されている。この先、開発事業が終了して後も、活動がまちに根を張り、創造的な里山の生活文化を築いていけるように、箕面森町の住民のいっそうの参画を得て、協働のモデルとなる歩みを進めていかれることを期待する。

(審査委員 弘本 由香里)

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