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更新日:2019年6月26日

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公正な採用選考を受けるために(本文)

就職差別につながるおそれがある14事項

本人に責任のない事項

  • 1 国籍・本籍・出生地に関すること
  • 2 家族に関すること(家族の職業、続柄、健康、地位、学歴、収入、資産など)
  • 3 住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など)
  • 4 生活環境、家庭環境などに関すること

本来自由であるべき事項

  • 5 宗教に関すること
  • 6 支持政党に関すること
  • 7 人生観、生活信条などに関すること
  • 8 尊敬する人物に関すること
  • 9 思想・信条に関すること
  • 10 労働組合、学生運動など社会運動に関すること
  • 11 購読新聞、雑誌、愛読書などに関すること

採用選考の方法

  • 12 身元調査などの実施
  • 13 大阪府立高等職業技術専門校等統一様式・一般的に使用されている履歴書様式に基づかない事項を含んだ応募書類(社用紙)の使用
  • 14 合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施・健康診断書の提出

就職差別につながるおそれのある14事項の考え方

1 国籍・本籍・出生地に関すること

本籍や出生地を把握することで、企業などにより同和地区出身者であることを理由として採用選考から差別的扱いをされたり、把握されることで採用選考を受ける人を不安にさせることにつながります。
また、在日韓国・朝鮮人を含む外国人の場合、採用選考の段階で、応募者から「在留カード」「特別永住者証明書」などを提示させることで国籍を把握し、採否の決定に偏見が入り込んだり、応募の機会が不当に失われたりすることがあります。

2 家族に関すること

家族に関することは本人が仕事をするための適性や能力に関係がありません。
両親のいる家庭であるかとか、親などの家族がどんな仕事についているか、会社の中でどんな役職か、どれほどお金持ちかなどということなどによって、本人の就職が左右されてよいはずがありません。
また、家族のことを聞かれたくないと思っている訓練生だった場合は、面接官に家族のことを聞かれることで動揺し、心が傷ついたり、動揺によって面接で実力を発揮できなくなり、結果として採用選考に影響を及ぼすことがあります。

3 住宅状況、4 生活環境・家庭環境

そもそも本人の適性・能力に関係のない事項で、これらを把握すれば、そこから本人や家族の生活水準(収入水準・家柄など)を推測し、さらにそれに基づいて人物を評価しようとする考え方に結びつくおそれがあります。

5 宗教、6 支持政党、7 人生観、生活信条、8 尊敬する人物、9 思想・信条、10 労働組合、学生運動など社会運動、11 購読新聞、雑誌、愛読書

思想・信条にかかわることを採否の判断基準とすることは、憲法上の「思想の自由(第19条)」「信教の自由(第20条)」などの精神に反することになります。
思想・信条にかかわることは、憲法で保障された本来自由であるべき事項です。

12 身元調査などの実施

応募者の本籍、生活状況、家族の状況などを調査することは、応募者の適性・能力に関係のない事柄を把握してそれを採用基準とすることになり、その結果、本人の就職の機会が不当に閉ざされることになります。

13大阪府立高等職業技術専門校等統一様式・一般的に使用されている履歴書様式に基づかない事項を含んだ応募書類(社用紙)の使用

企業などが独自に作成した応募書類(「社用紙」)は、例えば本籍地や家庭状況を記入させるなど、就職差別につながるおそれのある事項が含まれている場合がみられます。

14合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施・健康診断書の提出

労働安全衛生規則第43条の「雇入時の健康診断」は、常時使用する労働者を雇い入れた際における適正配置、入職後の健康管理に役立てるために実施するものであって、採用選考時に実施することを義務づけたものではなく、また、訓練生の採否を決定するものでもありません。
応募の際の「健康診断書の提出」や、採用選考時における「健康診断」、面接時の「既往歴の確認」などは応募者の適性と能力を判断する上で必要のない事項を把握する可能性があり、結果として、就職差別につながるおそれがあります。

不適切な採用選考の実態

応募者から「本人の適性・能力以外の事柄を聞かれた」との報告があったものでは「家族に関すること」の質問が約半数を占めています。
企業などは「面接の空気を和らげるために聞いてしまった」とするケースが多くありますが、理由によらず、14事項に関する内容は不適切な質問となります。

家族に関すること 42.9% 思想 11.3% 住宅状況 7.6% 本籍・出生地 3.9% 健康診断 1.8% その他32.5%

※平成30年度にハローワークで把握した938件の内訳

採用選考の時に、理由の説明もなく、一律的に健康診断を実施することは、公正採用選考に反します

採用選考の時に、理由の説明もなく、一律的に健康診断を実施することは、仕事をするうえで、何の影響もない応募者の健康情報まで把握し、そのことが合否判断に影響を与える可能性もあり、結果として公正な採用選考に反することになります。
特に「血液検査」や「色覚検査」は、仕事をするうえで本当に欠かせないような場合を除いて、実施することは、ウイルス性肝炎感染者やH I V 感染者、色覚障がい者の方々に対する偏見を助長し、就職の機会均等を奪うことにもつながることです。
また、理由の説明もなく、応募の時の書類に「健康診断書の提出」を求めてくる企業などもありますが、就職差別につながるおそれがあります。

雇用時の健康診断

労働安全衛生規則第43条に「雇入時の健康診断」が規定されていることから、企業などの担当者が勘違いして採用選考の時に健康診断を実施したり健康診断書の提出を求める場合があります。
しかし、労働安全衛生規則が定める「雇入時の健康診断」は、労働者を雇い入れた時の適正な配置や、仕事を始めたのちの健康管理に役立てるために実施するもので、採用選考の時に実施することを義務づけたものではなく、応募者の採否を決定するためのものでもありません。

採用選考の時の健康診断

業種や職種によっては、採用選考の時に募集された業種や職種に適性があるかどうかを判断するために健康診断を含めた健康状態を確認する必要があるものもあります。ただ、その場合でも健康診断の必要性を十分に説明し、業務に必要な項目のみに限定した診断だけを実施することが求められています。

男女雇用機会均等法に違反する質問事項

男女のいずれかを排除することや優先すること、男女で異なる求人情報を提供することなどは、公正な採用選考(男女雇用機会均等法)に反します。

  1. (女性に対してのみ)結婚・出産後も働くことの意志や恋人・結婚予定の有無を質問
  2. 男性または女性にのみ残業、休日出勤、転勤などが可能かを質問
  3. 男性または女性を敬遠しているかのような質問、発言
  4. セクシュアルハラスメントと思われる質問・発言
  5. 男性と女性で異なった手法の面接(面接回数、男女別集団面接、集団面接…男性のみ質問)

募集・採用条件など

募集・採用条件などで、男女のいずれかを排除することも、男女のいずれかを優先することもできません。
また、採用選考基準を男女で異なるものとすることや、求人情報の提供を男女で異なるものとすることも禁止されています。

男女雇用機会均等法に違反する募集要件とは?

  • 「男性のみ」または「女性のみ」の募集
  • 男女別に採用予定人数を設定
  • 男女で異なった年齢制限を設定
  • 「営業マン」「ウエイトレス」など、男性または女性を表す名称で募集職種を表記(この場合は「営業職」「ホール係」「接客」などと表記)
  • 会社案内や募集要項などで「男性歓迎」「女性向き」などの表現

戸籍謄(抄)本の提出を求めることは、公正採用選考に反します

求人応募時に戸籍謄(抄)本の提出を求めることは、応募者本人の本籍地から「生まれ」「ところ」を調べることになり、部落差別にもつながるものです。
また、採用内定後であっても、合理的な理由なく画一的に提出を求めることは、「生まれ」「ところ」により不当な取扱いが生じる恐れがあり、問題があると言えます。

身元調査を行うことは、公正採用選考に反します

身元調査とは「自宅の近隣に問い合わせるなどして家族の状況・住居環境等や思想・信条等を調査すること」を言います。
身元調査は、本人の適性・能力などと関係のない個人情報を一方的に収集する特に重大な公正採用選考に反する行為と言えます。
なお、採用合格後に、求人企業などが本人宅に訪問して入社の意思確認をすることなどは、紛らわしい行為ですが「身元調査」には当たりません。

その他、特定の人々を排除するような採用選考は、「公正な採用選考」に反します

例えば、在日韓国・朝鮮人の方々に「日本名を使用すること」を条件としたり、障がい者に対し職務遂行上、何の支障がないにも関わらず、求人票に「障がいの種類・程度などの条件」を付けること、また「性同一性障がい」であることで、採用から排除することなどは、結果として特定の人々を排除することにつながり「公正な採用選考」に反します。

就職活動後は「就職受験・応募前活動報告書」を必ず提出してください

就職活動をはじめられた皆さんが、企業訪問や就職試験を受けられた後は、すぐに就職受験・応募前活動報告書を担当指導員に提出してください。

就職受験・応募前活動報告書の取り扱いについて

あなたのかけがえのない人権を守るとともに、採用選考を行った企業などが、あなたの仕事に対する適性や能力以外で採否の判断をすることがないように利用するものです。
就職差別につながるおそれがある事案が、今後くりかえされることがないよう、大阪府(高等職業技術専門校・大阪障害者職業能力開発校など)が大阪労働局(ハローワーク)と連携して、直接、企業や団体に面接内容などの事実確認を行い、場合によっては改善の働きかけを行います。
企業や団体などに改善を働きかける場合は、匿名で行うなど、あなたに不利益が及ばないよう、十分に配慮して行います。
記入いただいた個人情報は上記目的以外には利用しません。

公正な採用選考に反することが起こったら

1 面接の際に不適切な質問をされた場合

  • (1)「校から、そのような質問には答えないように指導を受けています」と答えてください。
  • (2)担当指導員に報告してください。
  • (3)就職受験・応募前活動報告書に具体的な「やりとり」を記入してください。

※話の流れで「思わず答えてしまった」場合でも必ず記入してください。

2 応募段階で健康診断(健康診断書の提出)の実施が分かったら

応募前に、校の担当指導員に必ず相談してください。

3 選考試験の一環として、健康診断が行われた場合

  • (1)担当指導員に報告してください。
  • (2)就職受験・応募前活動報告書に必ず記入してください。

報告された就職差別につながるおそれのある問題事象については、関係行政機関が連携して、当該企業に対して事情聴取や必要な是正指導を行うこととしています。

改善に向けた枠組み

就職差別につながるおそれがある事例

  1. 面接の初めに「お話のしかたが大阪弁ではないイントネーションですが、生まれは関東のほうですか」と聞かれた。(国籍・本籍・出生地に関すること)
  2. 休暇制度の話から「お盆やお正月などの、帰省先はどこになりますか」と聞かれた。(国籍・本籍・出生地に関すること)
  3. 話の流れから「ご両親はお元気ですか。あなたがこの仕事をすることを、どのように言われていますか」「〇〇さんは、しっかりしていますが、きょうだいがいますか」と聞かれた。(家族に関すること)
  4. 扶養手当の有無を確認するためとして、「結婚はしているのですか?お子さんはいますか?」と聞かれた。(家族に関すること)
  5. 面接試験前の待合室で、案内をしてくれた受付の人から「〇〇さんが住んでいるところは、僕も以前に住んでいたんだけど、家は大きな郵便局の向かいかな」と話しかけてきた。(生活環境・家庭環境などに関すること)
  6. 通勤手当の確認をするためとして「家の最寄り駅はどこですか」と聞かれた。(生活環境・家庭環境などに関すること)
  7. 履歴書の「趣味・特技」の欄に「読書」と記入したところ「どんなジャンルの本を読みますか」「好きな作家は誰ですか」と聞かれた。(購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること)
  8. 面接前の「応募アンケート」に「既往歴」「過去の大きな病気」を書く欄があり、面接でも聞かれた。(合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施)
  9. 「彼氏(彼女)はいますか」「異性とつき合ったことはありますか」など恋愛経験を聞かれた。(セクシュアルハラスメントにつながる質問)
  10. 「結婚する予定はありますか。そのような相手はいますか」と聞かれた。( 人生観・生活信条などに関すること)
  11. 転勤の可能性が高いので「自宅は持ち家ですか」、「一人暮らしですか」と聞かれた。( 住宅状況に関すること)
  12. 筆記試験とあわせて作文があり、議題が「最近の気になったニュースについて」というものだった。(思想・信条に関すること)

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