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わたしたちの世界人権宣言
第二次世界大戦では、兵士のほか多くの一般市民も戦争の巻き添えになり、世界で5,600万人を超える人々の命が奪われました。
また、この戦争においては、人権の無視や軽視により、人類の良心を踏みにじる野蛮な行為が繰りかえされました。
このため、国際連合は、この反省に立ち、平和の実現のためには人権の保障が必要であり、平和の実現なくして人権も保障されないとの考えのもとに、基本的人権尊重の普遍的な原則を定めた「世界人権宣言」を1948年12月10日に採択しました。
「世界人権宣言」は、すべての人々やすべての国が達成すべき人権についての基準を定めたもので、強制力はもちませんが、国際連合がその後に制定した多くの条約や各国の憲法などにその精神が生かされるなど、世界の人々や各国に大きな影響をおよぼしています。
また、1994年には、こうした第二次世界大戦後の国際連合の人権を保障し確立する活動の集大成として、「人権教育のための国連10年」(1995年から2004年)が決議され、人権という普遍的文化を世界のすべての地域や社会に確立しようとする取り組みが、現在各国で行われています。
- 前文
- 第1条みんな自由・みんな平等
- 第2条差別はやめよう
- 第3条自由に安心して暮らしたい
- 第4条どれいはイヤ
- 第5条ごうもんはダメ
- 第6条人として認められる権利
- 第7条法の下の平等
- 第8条裁判を受ける権利
- 第9条理由のない逮捕はない
- 第10条公平・公正な裁判
- 第11条逮捕=有罪ではない
- 第12条プライバシーは守ってほしい
- 第13条自由に行き来したい
- 第14条迫害から逃れよう
- 第15条国籍は国の一員である資格
- 第16条結婚をきめるのは本人たち
- 第17条財産をもちたい
- 第18条好きなことを考えたい
- 第19条自分の意見を言いたい
- 第20条好きな集まりを開きたい
- 第21条政治に参加したい
- 第22条人間らしく生きたい
- 第23条好きな仕事がしたい
- 第24条おもいっきり休もう
- 第25条幸せに暮らしたい
- 第26条好きなことを勉強したい
- 第27条文化的な暮らしとは
- 第28条権利と自由を実現しよう
- 第29条みんなでまもろう
- 第30条悪用はダメ
参考 世界人権宣言(全文)
前文
人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と平等で譲ることのできない権利とを承認することは、世界における自由、正義及び平和の基礎であるので、人権の無視及び軽侮が、人類の良心をふみにじった野蛮行為をもたらし、言論及び信仰の自由が受けられ、恐怖及び欠乏のない世界の到来が、一般の人々の最高の願望として宣言されたので、人間が専制と圧迫とに対する最後の手段として反逆に訴えることがないようにするためには、法の支配によって人権を保護することが肝要であるので、諸国間の友好関係の発展を促進することが、肝要であるので、国際連合の諸国民は、国際連合憲章において、基本的人権、人間の尊厳及び価値並びに男女の同権についての信念を再確認し、かつ、一層大きな自由のうちで社会的進歩と生活水準の向上とを促進することを決意したので、加盟国は、国際連合と協力して、人権及び基本的自由の普遍的な尊重及び遵守の促進を達成することを誓約したので、これらの権利及び自由に対する共通の理解は、この誓約を完全にするためにもっとも重要であるので、よって、ここに、国際連合総会は、社会の各個人及び各機関が、この世界人権宣言を常に念頭におきながら、加盟国自身の人民の間にも、また、加盟国の管轄下にある地域の人民の間にも、これらの権利と自由との尊重を指導及び教育によって促進すること並びにそれらの普遍的かつ効果的な承認と遵守とを国内的及び国際的な漸進的措置によって確保することに努力するように、すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準として、この世界人権宣言を公布する
第1条 みんな自由・みんな平等
人はみんな、生まれた時から自由で、同じ人間として大切にされ、平等です。
- 第1条(自由平等)
すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神を持って行動しなければならない。
第2条 差別はやめよう
人はみんな、人種、肌の色、性別、言語、宗教などによって差別を受けることはありません。地球上のどこでも、人はみんなこの宣言のなかでいわれているすべての権利と自由を生まれながらにもっています。
- 第2条(権利と自由の享有に関する無差別待遇)
- すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる。
- さらに、個人の属する国又は地域が独立国であると、信託統治地域であると、非自治地域であると、又は他のなんらかの主権制限の下にあるとを問わず、その国又は地域の政治上、管轄上又は国際上の地位に基づくいかなる差別もしてはならない。
第3条 自由に安心して暮らしたい
人はみんな、命をおびやかされないで、安全に生きる権利をもっています。
- 第3条(生存、自由、身体の安全)
すべて人は、生命、自由及び身体の安全に対する権利を有する。
第4条 どれいはイヤ
人はみんな、どれいにされることはありません。
- 第4条(奴隷の禁止)
何人も、奴隷にされ、又は苦役に服することはない。奴隷制度及び奴隷売買は、いかなる形においても禁止する。
第5条 ごうもんはダメ
人はみんな、ごうもんや非人間的なあつかいを受けることはありません。
- 第5条(非人道的な待遇又は刑罰の禁止)
何人も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは屈辱的な取扱若しくは刑罰を受けることはない。
第6条 人として認められる権利
人はみんな、どこにいても、法によって人として認められ、人権が保障されています。
- 第6条(法の下に人としての承認)
すべて人は、いかなる場所においても、法の下において、人として認められる権利を有する。
第7条 法の下の平等
人はみんな、法の下に平等であり、差別的なあつかいをされることはありません。
- 第7条(法の下における平等)
すべての人は、法の下において平等であり、また、いかなる差別もなしに法の平等な保護を受ける権利を有する。すべての人は、この宣言に違反するいかなる差別に対しても、また、そのような差別をそそのかすいかなる行為に対しても、平等な保護を受ける権利を有する。
第8条 裁判を受ける権利
人はみんな、法律でまもられている権利がきずつけられたときには、裁判所に助けを求めることができます。
- 第8条(基本的権利の侵害に対する救済)
すべて人は、憲法又は法律によって与えられた基本的権利を侵害する行為に対し、権限を有する国内裁判所による効果的な救済を受ける権利を有する。
第9条 理由のない逮捕はない
人はみんな、罪を犯していないのに、逮捕されたり、追放されたりすることはありません。
- 第9条(逮捕、拘禁又は追放の制限)
何人も、ほしいままに逮捕、拘禁、又は追放されることはない。
第10条 公平・公正な裁判
人はみんな、独立した公平な裁判所で、公開された公正な裁判を受けることができます。
- 第10条(裁判所の公正な審理)
すべて人は、自己の権利及び義務並びに自己に対する刑事責任が決定されるに当って、独立の公平な裁判所による公正な公開の審理を受けることについて完全に平等の権利を有する。
第11条 逮捕=有罪ではない
罪を犯したと訴えられたり、捕まえられても、裁判で罪が確定するまでは、無罪と推定されます。またあとからつくられた法律により有罪にされることはありません。
- 第11条(無罪の推定、罪刑法定主義)
- 犯罪の訴追を受けた者は、すべて、自己の弁護に必要なすべての保障を与えられた公開の裁判において法律に従って有罪の立証があるまでは、無罪と推定される権利を有する。
- 何人も、実行の時に国内法又は国際法により犯罪を構成しなかった行為又は不作為のために有罪とされることはない。また、犯罪が行われた時に適用される刑罰より重い刑罰を課せられない。
第12条 プライバシーは守ってほしい
人はみんな、個人のプライバシーや手紙や電話の内容をかってにのぞかれたり、名誉や信用をきずつけられることはありません。
- 第12条(私生活、名誉、信用の保護)
何人も、自己の私事、家族、家庭若しくは通信に対して、ほしいままに干渉され、又は名誉及び信用に対して攻撃を受けることはない。人はすべて、このような干渉又は攻撃に対して法の保護を受ける権利を有する。
第13条 自由に行き来したい
人はみんな、自分の国の中を自由に行き来し、好きなところに住む権利をもっています。また、ほかの国に行ったり、自分の国にもどることもできます。
- 第13条(移転と居住)
- すべて人は、各国の境界内において自由に移転及び居住する権利を有する。
- すべて人は、自国その他いずれの国をも立ち去り、及び自国に帰る権利を有する。
第14条 迫害から逃れよう
人はみんな、苦しめられたり、危害を加えられたときは、ほかの国に逃れることができます。
- 第14条(迫害)
- すべて人は、迫害を免れるため、他国に避難することを求め、かつ、避難する権利を有する。
- この権利は、もっぱら非政治犯罪又は国際連合の目的及び原則に反する行為を原因とする訴追の場合には、援用することはできない。
第15条 国籍は国の一員である資格
人はみんな、ある国の国民になることができます。また、理由もなく国籍を奪われることはありません。
- 第15条(国籍)
- すべて人は、国籍をもつ権利を有する。
- 何人も、ほしいままにその国籍を奪われ、又はその国籍を変更する権利を否認されることはない。
第16条 結婚をきめるのは本人たち
人はみんな、おとなになれば、結婚し家庭をもつことができます。結婚は、男女の自由で完全な合意によってのみ成り立ちます。
- 第16条(婚姻と家庭)
- 成年の男女は、人種、国籍又は宗教によるいかなる制限をも受けることなく、婚姻し、かつ家庭をつくる権利を有する。成年の男女は、婚姻中及びその解消に際し、婚姻に関し平等の権利を有する。
- 婚姻は、両当事者の自由かつ完全な合意によってのみ成立する。
- 家庭は、社会の自然かつ基礎的な集団単位であって、社会及び国の保護を受ける権利を有する。
第17条 財産をもちたい
人はみんな、財産をもつことができます。また、正当な理由もなく財産をうばわれることはありません。
- 第17条(財産)
- すべて人は、単独で又は他の者と共同して財産を所有する権利を有する。
- 何人も、ほしいままに自己の財産を奪われることはない。
第18条 好きなことを考えたい
人はみんな、好きな考えをもつことができます。また、自分の考えを変えたり、広めたりすることもできます。
- 第18条(思想、良心、宗教)
すべて人は、思想、良心及び宗教の自由を享有する権利を有する。この権利は、宗教又は信念を変更する自由並びに単独で又は他の者と共同して、公的に又は私的に、布教、行事、礼拝及び儀式によって、宗教又は信念を表明する自由を含む。
第19条 自分の意見を言いたい
人はみんな、自由に自分の意見を言ったり表現したりすることができます。また、意見や情報を交換することもできます。
- 第19条(意見、発表)
すべての人は、意見及び表現の自由を享有する権利を有する。この権利は、干渉を受けることなく自己の意見をもつ自由並びにあらゆる手段により、また、国境を越えると否とにかかわりなく、情報及び思想を求め、受け、及び伝える自由を含む。
第20条 好きな集まりを開きたい
人はみんな、平和に集会を開いたり団体を作ったりすることができます。また無理やり団体に入れられることはありません。
- 第20条(集会、結社)
- すべての人は、平和的な集会及び結社の自由を享有する権利を有する。
- 何人も、結社に属することを強制されない。
第21条 政治に参加したい
人はみんな、直接あるいは選挙を通じて自分の国の政治に参加することができます。また、自分の国の公務員になることもできます。
- 第21条(参政権)
- すべての人は、直接に又は自由に選出された代表者を通じて、自国の政治に参与する権利を有する。
- すべて人は、自国においてひとしく公務につく権利を有する。
- 人民の意思は、統治の権力の基礎とならなければならない。この意思は、定期のかつ真正な選挙によって表明されなければならない。この選挙は、平等の普通選挙によるものでなければならず、また、秘密投票又はこれと同等の自由が保障される投票手続きによって行われなければならない。
第22条 人間らしく生きたい
人はみんな、人間らしく生きる権利があり、国や国際協力によって大切にされる権利をもっています。
- 第22条(社会保障)
すべて人は、社会の一員として、社会保障を受ける権利を有し、かつ、国家的努力及び国際的協力により、また、各国の組織及び資源に応じて、自己の尊厳と自己の人格の自由な発展とに欠くことのできない経済的、社会的及び文化的権利の実現に対する権利を有する。
第23条 好きな仕事がしたい
人はみんな、働く権利をもち、自由に職業を選ぶことができます。また、同じ働きに対しては同じ給料を受ける権利をもっています。
給料や、働く職場を良くするために労働組合を作る権利ももっています。
- 第23条(労働の権利)
- すべて人は、労働し、職業を自由に選択し、公正かつ有利な労働条件を確保し、及び失業に対する保護を受ける権利を有する。
- すべて人は、いかなる差別をも受けることなく、同等の労働に対し、同等の報酬を受ける権利を有する。
- 労働する者は、すべて、自己及び家族に対して人間の尊厳にふさわしい生活を保障する公正かつ有利な報酬を受け、かつ、必要な場合には、他の社会的保護手段によって補充を受けることができる。
- すべて人は、自己の利益を保護するために労働組合を組織し、及びこれに加入する権利を有する。
第24条 おもいっきり休もう
労働時間はあまり長すぎてはいけません。また、人はみんな、有給休暇をとる権利をもっています。
- 第24条(休憩、余暇)
すべて人は、労働時間の合理的な制限及び定期的な有給休暇を含む休息及び余暇をもつ権利を有する。
第25条 幸せに暮らしたい
人はみんな、家族と健康で幸せな生活をすることができます。また、仕事がなくなったり、病気などで働けなくなったときは、助けを受けることができます。特に母と子は保護されます。
- 第25条(生活の保障)
- すべて人は、衣食住、医療及び必要な社会的施設等により、自己及び家族の健康及び福祉に十分な生活水準を保持する権利並びに失業、疾病、心身障がい、配偶者の死亡、老齢その他不可抗力による生活不能の場合は、保障を受ける権利を有する。
- 母と子とは、特別の保護及び援助を受ける権利を有する。すべての児童は、嫡出であると否とを問わず、同じ社会的保護を受ける。
第26条 好きなことを勉強したい
人はみんな、教育を受けることができます。小中学校は無償で、だれでも受けることができ、高校、大学などにも進むことができます。
教育は、人の能力をのばし、人権と平和を大事にする心を育てることを目的とします。
- 第26条(教育)
- すべて人は、教育を受ける権利を有する。教育は、少なくとも初等の及び基礎的の段階においては、無償でなければならない。初等教育は、義務的でなければならない。技術教育及び職業教育は、一般に利用できるものでなければならず、また、高等教育は、能力に応じ、すべての者にひとしく開放されていなければならない。
- 教育は、人格の完全な発展並びに人権及び基本的自由の尊重の強化を目的としなければならない。教育は、すべての国又は人種的若しくは宗教的集団の相互間の理解、寛容及び友好関係を増進し、かつ、平和の維持のため、国際連合の活動を促進するものでなければならない。
- 親は、子に与える教育の種類を選択する優先的権利を有する。
第27条 文化的な暮らしとは
人はみんな、文化活動に参加したり、芸術を鑑賞したり、科学の進歩の恩恵を受けることができます。また、自分がつくった科学的、文化的、芸術的作品も保護されます。
- 第27条(文化)
- すべて人は、自由に社会の文化生活に参加し、芸術を鑑賞し、及び科学の進歩とその恩恵とにあずかる権利を有する。
- すべて人は、その創作した科学的、文学的又は美術的作品から生ずる精神的及び物質的利益を保護される権利を有する。
第28条 権利と自由を実現しよう
人はみんな、この宣言がうたう権利や自由が実現される世界をつくり参加する権利をもっています。
- 第28条(社会的国際的秩序)
すべて人は、この宣言に掲げる権利及び自由が完全に実現される社会的及び国際的秩序に対する権利を有する。
第29条 みんなでまもろう
人はみんな、社会に対して義務があります。自分の権利や自由は、他の人の権利や自由を尊重して行使しなければなりません。
- 第29条(社会に対する義務)
- すべて人は、その人格の自由かつ完全な発展がその中にあってのみ可能である社会に対して義務を負う。
- すべて人は、自己の権利及び自由を行使するに当たっては、他人の権利及び自由の正当な承認及び尊重を保障すること並びに民主的社会における道徳、公の秩序及び一般の福祉の正当な要求を満たすことをもっぱら目的として法律によって定められた制限にのみ服する。
- これらの権利及び自由は、いかなる場合にも、国際連合の目的及び原則に反して行使してはならない。
第30条 悪用はダメ
世界中の国や人々は、この宣言を、人権や自由をそこなうために利用してはなりません。
- 第30条(権利と自由に対する破壊的行動)
この宣言のいかなる規定も、いずれかの国、集団又は個人に対して、この宣言に掲げる権利及び自由の破壊を目的とする活動に従事し、又はそのような目的を有する行為を行う権利を認めるものと解釈してはならない。