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令和2年度当初予算編成要領
我が国の景気は、輸出を中心に弱さが長引いているものの、緩やかに回復しており、先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されている。しかしながら、通商問題を巡る緊張、中国経済の先行き、英国のEU離脱の行方等の海外経済の動向や金融資本市場の変動の影響、消費税率引上げ後の消費者マインドの動向に加え、令和元年台風第19号など相次ぐ自然災害の経済に与える影響に十分留意する必要がある。
一方、本府の財政状況は、現時点で想定しうる事項を加味して作成した仮収支試算では、令和2年度に390億円+αの収支不足が見込まれている。また、令和6年度末まで減債基金積立不足額の解消に計画的に取り組む必要があり、引き続き厳しい見通しであるなど、財政再建は道半ばである。
こうした状況の中、「世界の中で躍動し、成長し続ける大阪」を実現していくためには、財政規律を堅持しながら、大阪の成長を促し、府民の安全・安心を確保する施策に限られた財源の重点配分を行わなければならない。
このような状況を踏まえて、令和2年度当初予算は、「府政運営の基本方針2020(案)」に基づき、下記の要領により編成するものとする。
【1】 総括的事項
- 通年予算として、年間を通じた所要額を要求すること。
- 「平成31年度大阪府行政経営の取組み」の理念を踏まえ、改革に引き続き取り組むこと。
- 各部局は、事業の優先性や事業選択の妥当性とともに、事業効果を重視した点検・検証(PDCA)を行うなど、これまで以上に部局長マネジメントを発揮し、一層の事務事業の見直し・改善などにより、事業の重点化に取り組むこと。
なお、部局横断的な行政課題については、関係する担当部局間においてあらかじめ十分に協議を行い、施策の効果的・効率的な実施を図ること。 - 「当面の財政運営の取組み(案)」(以下「取組み(案)」という。)の取組例に掲げた、歳入の確保・歳出の見直しの検討・具体化を進めること。
- 事業の実施については、府として主体性を持って厳しく選択した上で、「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」に基づく補助事業など、有利な地方財政措置がある国の制度の活用を積極的に検討すること。
- 市町村との役割分担については、現行制度における権限や財源等の配分を踏まえて整理すること。また、市町村や民間などが本来の主体であるものについては、府の役割を整理し、可能なものについては、移行を早め、撤退すること。
府が民間等と協力して進められる事業については、施策効果を高めるため、民間資金の活用も含めた民間等の連携を積極的に検討すること。 - 監査委員が行う各種監査、外部監査人が行う外部監査、地方独立行政法人評価委員会が行う評価などにより受けた指摘・意見については、その改善内容を要求に反映させること。
- 人員体制に関連する予算の取扱いについては、別途通知を踏まえて適切に対応すること。
【2】 歳入に関する事項
- 府税
税制改正や府内の景気動向等を的確に把握するとともに、課税客体、課税標準の精査により、適正な額を見積もること。 - 国庫支出金
国庫支出金については、国の制度改正や予算編成の動向等を十分勘案し、充当可能な事業は、原則としてその確保を前提とすること。
なお、超過負担が生じているものについては、実態を十分に把握した上で、関係省庁に是正を働きかけるなど、その解消に努めること。 - 府債
将来世代に負担を先送りしない観点から、府債の活用にあたっては、公債費が将来における府の過重な負担とならないよう、必要性を厳しく精査すること。 - 使用料・手数料
受益と負担を明確化を図る観点から、法令の改正や今年度に実施した点検の結果等を踏まえ、令和2年度当初において使用料・手数料の設定・改定が必要なものについては、適切に手続きを行うこと。
なお、その設定・改定に当たっては、フルコスト計算による原価を基本とすること。 - その他
地方財政対策や過去の実績等を勘案し、歳入を的確に見積もること。取組み(案)を踏まえ、公共施設や印刷物等を利用した広告収入の拡大など、ストックを活用した積極的な歳入確保に努めること。
また、「大阪府ファシリティマネジメント基本方針」(以下「FM基本方針」という。)に掲げる総量最適化・有効活用の観点等を踏まえ、府有財産の活用と売却による歳入確保に努めること。
【3】 歳出に関する事項
- 義務的経費
義務的経費については、関連する制度の改正等に十分注意するとともに、対象者数等のより正確な把握に努め、所要額を十分精査した上で、要求すること。 - 経常的経費・政策的経費
府政の喫緊の課題に的確に対応するため、以下により要求すること。- (1) 全ての事業について、事業目的を達成するための手法としての妥当性、効率性、期待される効果、実績・決算等を分析・検証すること。特に、既存事業については、情勢の変化なども踏まえ、効果・実績を裏付ける根拠を十分に説明できないものは廃止・見直しを行うこと。
- (2) 新規・拡充事業については、既存事業の見直しにより財源を捻出すること。
- (3) 経常的経費・政策的経費のそれぞれについて、一般財源ベースで令和元年度当初予算額の101%の範囲内(以下、「要求上限額」という。)での要求を遵守すること。なお、経常的経費について、各部局の要求額が要求上限額を下回る場合、その差額については、政策的経費の要求財源とすることができるものとする。
ただし、以下のものは要求上限対象外事業とし、所要額を要求すること。- 人件費等
(非常勤職員等報酬・期末手当・共済費、派遣職員等人件費負担金、支弁人件費、歳計現金一時借入金利子、府有資産所在市町村交付金、公債管理特別会計繰出金) - 財政収支への影響が大きいと考えられる事業等として財政課が指定したもの
- 令和元年度限りで廃止する事業のうち、財政課が指定したもの
- 人件費等
- 共通事項
- (1) 過去の当初予算額と決算額の乖離の状況を踏まえ、真に必要な額を要求すること。
- (2) 基準財政需要額の算入状況を踏まえるとともに、他団体等との役割分担の整理や他府県の事業水準との比較を行うこと。
- (3) 人件費や公債費を含むフルコストの視点を踏まえるとともに、受益者が特定される事業には適正な受益者負担を設定すること。また、補助金や交付金等の支出先に、対象事業にかかる基金や繰越金などの一定の財政力・資金力がある場合は、そのことを考慮の上、休止又は減額すること。
- (4) 要求にあたっては、後年度の財政負担にも十分留意し、以下の点に取り組むこと。
- 室・課の事務費や法令により義務付けられた事業で制度上終期のないものなど、終期設定が困難な場合を除き、事業ごとに終期を設定すること。
- 目標を達成するなど一定の条件を満たした場合や、目標を達成する見込みがないと判断される場合には事業を終了させるといった「見直しルール」の設定すること。
- 義務的経費を除く全ての事業に活動(アウトプット)指標を設定すること。
- 原則として、義務的経費を除く全ての事業に、可能な限り定量的な成果(アウトカム)指標を設定すること。継続事業については、成果(アウトカム)指標の達成状況について、評価・検証を行うこと。
- 事業の必要性、有用性等について、客観的なデータなどのエビデンスに基づいて説明すること。
- (5) 債務負担行為の設定に際しては、将来における府の負担が過重なものとならないよう、また、将来世代への負担の先送りとならないよう、厳しく精査すること。
特に、損失補償及び債務保証については、後年度に多額の財政負担を生じさせる潜在的な要因となることから、原則として行わないこと。なお、やむを得ず行う場合は、その必要性、事業の採算性、相手方の財務状況や設定内容が適切かどうかなどを十分に精査すること。 - (6) 団体や府民等に対する貸付金等の債権については、「債権管理適正化指針」に基づき、一層の適正化を図る観点から、貸付所要額を精査するとともに新規貸付については、施策目的も踏まえつつ、債権保全のために必要な措置を講じること。
- (7) 公共施設等の修繕・更新については、「FM基本方針」に基づいて要求すること。建物の予防保全・更新については、建築後25・50年目の施設の点検等により決定した活用方針に沿った工事かつ財産活用課が示す優先度に基づく工事に限り、要求上限対象外事業とし、所要額を要求すること。なお、事後保全等については、各部局の要求上限額で要求すること。
【4】 特別会計及び企業会計
設置の趣旨を十分に踏まえつつ、一般会計に準じ、事業の必要性、緊急性及び効率性等を十分に踏まえた上で、令和2年度に真に必要な額を要求すること。
特に企業会計については、経済性の発揮を基本に、「経営戦略」を策定するなど経営状況や今後の事業見通し等について十分検討を加え、経営改善に向け、まず徹底した内部努力を行うこと。
また、一般会計からの繰出し等については、一般会計のあるべき経費負担に従い行うこと。