権利への気付きから自尊感情を高めます
「自分はかけがえのない大事な存在だ」と思う気持ちのことを「自尊感情」といいます。自尊感情の高い人は、自分と同じように他の人も大切にすることができます。そこで、人権についての理解を深め、身の回りで起こる人権問題に対し行動を起こすためには、自尊感情を高めることが必要です。
そのためには、自分と向き合うことも大切ですが、自尊感情は他者との関係の中でより育まれ、また、自分が持つ権利への気付きや権利の主体であることへの気付きによってもより促されていきます。
このプログラムでは、日常生活の中で起こるちょっとした「いやだな」というエピソードを通じて、まず「自分を大切にしていい」という権利への気付きを促します。また、私たちは、しんどさや傷付きを感じる時、自分を責めがちですが、状況変化の鍵を握っているのは他者やコミュニティの側でもあることに気付き、具体的な行動につなげる力を引き出すことをめざします。
自尊感情 権利意識
シート(参加者数)、A4白紙(参加者数)、模造紙(グループ数)、マーカー(グループに4〜5本)、付せん(8cm角・4色・各色20枚をグループ数)*、ホワイトボードと専用ペン・イレイザー(黒板でも構いません)
*付せんは、色の識別が困難な参加者もいることも想定して組み合わせを考えます(同系色の濃淡の組み合わせは避けるなど)。
(5分) | 1 はじめの説明・導入・・・・・・・・・・・・・・・ | このプログラムのねらいの説明や、参加体験型学習への導入を行います。 |
(15分) | 2 参加者の自己紹介・・・・・・・・・・・・・・・・・ | 参加者同士が知り合い、その後の学習を促進します。 |
(15分) | 3 エピソードから考える・・・・・・・・・・・・・・ | 日常の中にある、自分の意見がなかなか言えずにもやもやしている状況から、自分の意見をきちんと伝えるために必要なことを考えます。 |
(15分) | 4 必要なものって何?・・・・・・・・・・・・・・ | 考えを行動に移す時、行動のエネルギーになるもの・必要なものを整理します。 |
(15分) | 5 その一歩は?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | なぜ行動に移すことができたか、行動した時の状況などを考えます。 |
(22分) | 6 得られるもの・失うもの・・・・・・・・・・・・・ | 行動の結果を、得られるもの・失うものに整理します。 |
(3分) | 7 ふりかえり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ | これまでの活動をふりかえり、自分が一歩を踏み出すためにできることを考えます。 |
時間 | 学習の進め方 | アドバイス | |||
スタート | 1 はじめの説明・導入
人権問題を考える際には、「自分を大切にする」という自尊感情が大切であると言われます。自分を大切にすることができる人は、他の人のことも大切にすることができるからです。 今日は、日常の中で起こるちょっとした「いやだな」というエピソードから、「自分を大切にしていい」という権利について考えます。そして、それを行動に移していくためにどうすればいいのかを考えていきたいと思います。
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5分経過 | 2 参加者の自己紹介
| ・思い付き、ひらめきで書くように勧めます。読みながら、「ちなみに私の趣味は寝ることです」などど、ファシリテーターの自己紹介を兼ねて、場を和ませることもできます。 | |||
20分経過 | 3 エピソードから考える (15分) 1)説明(5分) 今からシートにある4つのエピソードを読みます。エピソードに登場するAさん・Bさん・Cさん・Dさんが「いやだな」と思っている状況を想像してください。正しい答えがあるわけではありません。 Aさん・Bさん・Cさん・Dさんそれぞれの立場になって想像してください。そして、状況を変えるための一歩を踏み出す時、必要だと思うものをたくさん挙げてください。
2)付せんに書く(10分) 1のエピソードから、Aさんが状況を変える時に必要なものを付せんに書き出していきます。グループで話をしながらメンバーそれぞれで考えたことを書いていってください。ポイントは質より量です。できるだけ多く考えてください。 同じように、BさんからDさんまで、状況を変える時に必要なものを付せんに書き出してください。 1つのエピソードについて2分で書いてください。次のエピソードに移る時は、付せんの色を変えてください。 2分経過したらお知らせします。 まず、Aさんに必要なものから、グループで次々挙げて付せんに書いていってください。
| ・エピソードはゆっくり読み、簡単に状況を言葉で説明します。 ・必要なものが出にくい場合、 「Aさんはどうしたいと思っているか?」 「Aさんが自分の気持ちを表現する時、助けになるものは?」 など、具体的に説明を加えていきます。 状況を変える具体例が出にくい場合は、「仲のいい友人」「最初の一声」など、ファシリテーターから例を示します。 ・時間が短い場合は、エピソードを絞っても構いません。 ・A〜Dさんの付せんを何色にするかは、具体的に指定します。 例 「では、Aさんに必要なものを青色の付せんに書いてください。」 【育児休業取得に関する参考データ】 平成25(2013)年10月1日から平成26(2014)年9月30日までの1年間に在職中に出産した女性又は配偶者が出産した男性のうち、平成27(2015) 年10月1日までに育児休業を開始した者の割合は、女性81.5%、男性2.65%です。 また、育児休業を取得している男性の休業期間は、5日未満が56.9%と、半数を占めています。 出典:厚生労働省「平成27年度雇用均等基本調査(事業所調査)」 | |||
35分経過 | 4 必要なものって何?
今から、書き出した付せんを内容で分類します。 模造紙の左半分に、Aさん・Bさん・Cさん・Dさんそれぞれの「必要なもの」を内容の似たもの別に集めます。 2)集めたものに名前を付ける(5分) 次に、分類した付せんのまとまりにそれぞれ名前を付けます。 例えば次のとおりですが、その他は皆さんでいろいろ考えてください。
3)ふりかえり(2分) 4つのエピソードすべてに共通していた「必要なもの」はどんなことですか。挙手をお願いします。
| ・ 参加者がグループで活動している時、ファシリテーターはグループの様子を見て回ります。 | |||
50分経過 | 5 その一歩は? | ・具体的な状況を、エピソードを膨らませて想像し創造することで、日常場面で行動を起こす時の潜在的な力になります。 | |||
65分経過 | 6 得られるもの・失うもの
| ・「失うかもしれないもの」への不安が「いやだな」と思う状況を改善しようとする行動を妨げることが多いので、参加者が「得られるかもしれないもの」を具体的に考え、その大きさに気付いていくことがポイントです。 ・グループの場所によっては、全員に模造紙が見えない場合もあるので、全員に模造紙が見えやすい場所で発表してもらいましょう。 | |||
87分経過 | 7 ふりかえり (3分) 1)参加者の感想 全体を通して感じたことなど、この学習の感想を挙手でお願いします。
2)ファシリテーターのまとめ 例) これまでの活動で、自分が一歩を踏み出す時にできることや、人が一歩を踏み出す時に私たちにできる関わり方を考えました。 自分を大切にするために行動を変えることで、より良い関係や社会を築くことにつながる可能性にも気付かされたように感じました。 3)ふりかえり 短くてもいいので、配付したふりかえりシートをお書きください。後で回収させていただきます。
| ・数名から感想を聞きますが、残り時間により調整します。 ・ まとめは、その日の参加者の印象的な発言や、ファシリテーターの体験などを交えて話します。 |
シート1 [PDFファイル/360KB] ファシリテーター用資料 [PDFファイル/203KB] |
このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 教育・啓発グループ
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