令和2年9月教育委員会会議会議録

更新日:2023年4月20日

大阪府教育委員会会議会議録

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1 会議開催の日時
   
令和2年9月18日(金曜日)  午前10時00分 開会
                                        
     午前11時30分 閉会

 2 会議の場所
委員会議室(府庁別館6階)

 3 会議に出席した者 

教育長酒 井 隆 行
委員竹 若 洋 三
委員井 上 貴 弘
委員岩 下 由利子
委員岡 部 美 香
教育監向畦地 昭  雄
教育センター所長村 田 純 子
教育総務企画課長仲 谷 元 伸
高等学校課長大久保 宣 明
高校再編整備課長大 武    基
支援教育課長黒 田 一 人
保健体育課総括補佐小 澤 一 氏
小中学校課長桝  田  千   佳
地域教育振興課長北 川 辰 弥
教職員企画課長柳 生 国 良
教職員人事課長金 森 充 宏
施設財務課長佐々木 浩 之

4 会議に付した案件等
◎ 議題1     大阪府教育委員会会議規則の改正について
◎ 議題2     知事からの意見聴取に対する回答の承認について
◎ 議題3     令和元年度教育行政に係る点検及び評価結果の報告について
◎ 報告事項1 令和2年度(令和2年4月1日以降8月31日まで)における教職員の懲戒処分の状況について
◎   追加報告    第26回大阪府新型コロナウイルス対策本部会議の概要について

 5 議事等の要旨
(1) 会議録署名委員の指定
井上委員を指定した。

 (2) 8月31日の会議録について
全員異議なく承認した。   

 (3) 議題の審議等

議題1  大阪府教育委員会会議規則の改正について

【議題の趣旨説明(教育総務企画課長)】
大阪府教育委員会会議においてオンライン会議システム等を活用して教育委員が出席する場合について、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第14条に定める出席と取り扱うため、文部科学省通知を踏まえ、大阪府教育委員会会議規則を改正する件である。

 【質疑応答】
(井上委員)委員の側からオンラインでの出席を申し出て承認を得るパターンもあると思うが、会議自体全員オンラインで行うこともあるのか。

(教育総務企画課長)資料1−5の、例えば第2条2項1号にございますが、災害その他の理由により交通が途絶している場合等は、あらかじめオンラインで参加という形でのご依頼をさせていただくことが想定される。

 【採決の結果】賛成多数により、原案どおり決定した。
(賛成者 酒井教育長、竹若委員、井上委員、岩下委員、岡部委員)

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 議題2  知事からの意見聴取に対する回答の承認について

【議題の趣旨説明(教育総務企画課長)】
地方教育行政の組織及び運営に関する法律第29条の規定により知事から意見を求められた令和2年9月定例府議会に提出される次の議案について、大阪府教育委員会事務決裁規則第5条に基づき教育長が代決により異議がない旨を回答した。この代決を、大阪府教育委員会事務決裁規則第7条第2項に基づき承認する件である。

 【質疑応答】
(井上委員)この動産のネットワーク機器買い入れ先が西日本電信電話株式会社というふうになっているが、西日本電信電話株式会社を選ばれたというのは、他に何社か入札があったのか。もしくは入札はなかったが、特にこの会社が非常に優れているという理由があったのか。教えていただきたい。

(教育総務企画課長)これは入札です。

(竹若委員)スクールカウンセラー、学習支援員、スクールサポートスタッフについて、7号補正の補充ということになりますが、国、府、市の負担分は同じなのか。

(教育総務企画課長)負担割合については、7号補正等と同じです。あと、スクールカウンセラーは7号補正の追加ではなく、学習支援員とスクールサポートスタッフが7号補正の追加である。スクールカウンセラー自体は当初にやっていたものの拡充である。

(教育長)9月議会がスタートし、来週から本格審議ということでの代表質問、一般質問が行われる。その中で、各会派からご質問が出ている。これらの事業については、新型コロナウイルスへの対応であり、各学校現場が大変な状況になっている現実がある。具体的には消毒作業等に教員の皆さんが今大変苦労されていたり、支援学校の現場では給食の介助を行うにも、その人手も足りなくて、先生方が自分のご飯を食べる時間もないぐらい頑張っていただいてる。そういうところを、しっかりとサポートしていく必要がある。議決をいただければ、有効に活用させていただいて、現場をサポートしてまいりたいと考えているので、よろしくお願いしたい。

 【採決の結果】賛成多数により、原案どおり決定した。
(賛成者 酒井教育長、竹若委員、井上委員、岩下委員、岡部委員)

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 議題3 令和元年度教育行政に係る点検及び評価結果の報告について

【議題の趣旨説明(教育総務企画課長)】
大阪府教育振興基本計画(教育委員会の権限に属する事項のみ)の進捗状況に関する点検及び評価の結果並びに教育に関する事務の管理及び執行の状況に関する点検及び評価の結果の報告について決定し、教育行政に係る点検及び評価報告書を令和2年9月定例府議会に提出することを決定する件である。

 【質疑応答】
(岡部委員)基本方針3の「障がいのある子供一人ひとりの自立を支援します」ということに関して、お示しいただいたように、支援学校の教育の充実はもちろん大切なことだが、前々から教育委員会でも報告していただいているように、一般高校で障がいがある人たちが増加してきているということがあり、センター機能というのがこれから非常に重要になってくるかと思う。センターに問い合わせていくという機能をどう充実させていこうとされているのか、もう少し具体的な案をお聞きしたい。
  もう一つ、やはりセンター機能が充実していたとしても、その学校でどのように障がいのある人たちを支えていくかという体制が必要だと思うが、支援学校ではない学校で、どのように障がいのある人たちを支援したり、学校の中の生活の充実だけではなく、その先の、卒業した後の就職等を支えていこうとされているのか。今、何か準備されていることがありましたら伺いたい。

(支援教育課長)まず、センター機能の充実の部分についてどうしていくかという部分について、現時点でも各支援学校の先生が、地域の小・中学校を中心に訪問して、助言等を行っている。のべ件数としては、昨年度は概ね数千件単位で、助言をさせていただいている。ただそれが、点での支援でならないように、来年度以降更に体制的にシステム的にきっちりできるような形を現在検討している。
次に、支援学校以外の学校について。当然支援学校以外のところでも、自立支援コースであるとか、共生推進校という仕組みがある。そういったところでは、いわゆる支援教育室というような形で、先生が担当を決めてチームで対応している例もある。全て万全という形では必ずしもないかもしれないが、先ほど申しました自立支援コース等では、校内体制をしっかりとっていただいている。
  ただそれで、全てがケアできるかというと、まだ他にもいろいろな学校に、発達障害を中心に、障がいを抱えている子どもがいる。そういった子どもへの体制をどういかにしていくのかというところは、教育庁の中でも我々が中心になり支援体制をより深めてまいりたいと思っている。

(岡部委員)まずセンター機能に関しては、それこそ大変活発な活動をされているということで、充実していこうとしていることはよくわかった。ただ、おそらく訪問するということが中心になっているかと思うが、コロナ禍ということも含むが、訪問に関しては、時間の制約の問題もあるし、交通費の負担が嵩んでいくと、内容を充実させたり、全てのところに行くということがなかなか難しくなってくるというようなことが起きてくると思う。
 
全てが解決できるとは思いませんけど、このような案件こそ、ICTを活用する形で、ICTで済むところはZOOM等で連絡を取っていったりという対応を増やしながら、訪問が必要な場合は訪問もというような形で、少しそういったところをシステマティックにされるということも必要かと思う。また府立高校に自立支援コースと共生推進教室があることは本当に大阪の特徴としてとても素晴らしいことだと思う、しかし、その設置校が限られているということと、設置校においても障がいのある子どもたちが隣にあるクラスの健常者の子どもたちとどれくらい、インクルーシブに交流しているのか。1年生の間はできても受験や就職が頭に入ってくると、分かれていってしまうということでは、インクルーシブ教育の本来の意味が実現されていない。受験や、就職といった社会に出るところでインクルーシブができて初めて、インクルーシブ教育の本来の目的が達成されると思う。そういった状況ができるように、すぐには難しいと思いますけどこれからもご尽力いただければと思う。

(教育長)高等学校課からもありませんか。

(高等学校課長)先ほどの岡部委員のご発言の中に高等学校での支援についても言及がありましたので補足的に発言させていただく。まず高校は、入学時に全ての保護者生徒に記入いただく高校生活支援カードという制度を数年前から設けている。
  
これが個別の生徒の個性や発達障がいも含めた障がいへのサポートの入口になっている。全体への手当としては、そういった学校生活を安心して送っていただくためにという趣旨で、全校にスクールカウンセラーも配置しているが、一方で個別の支援としては、先ほども支援教育課長からもあった、いわゆる自立支援推進校等の中から支援教育サポート校ということで、地域の核になる、そういう学校を府内で4校設けている。こういった学校から、相談あるいは先ほどICTも活用してというご指摘もあったが、訪問といったことを通じて、高校における支援教育に関して、進んだ教科指導等のノウハウも含めたそういう進んだ知見を一般的な高校にも共有をしているところである。
また、そういったところで得られた成果については、当然、全体への共有ということで支援教育フォーラムという取り組みを実施しており、これについては府内の私立高校の先生にも入っていただくというような工夫も行い、共有普及に努めている。

(岡部委員)支援教育サポート校の4校に関しては、これからも充実していただければと思う。先ほどおっしゃっていただいた支援カードについて、本当に大事な情報だと思うが、個人情報であるからこそ中学校とのやりとりが難しい点もあると思うし、あと、支援カードを書いてもらう、4月5月という時期は、本当に最初の頃なので、ソーシャルワーカーやスクールカウンセラーとすぐに相談できないといった、難しい点もあるかと思う。この点、サポートについてこれからも尽力していただきつつ、改善していっていただければと思う。

(岩下委員)基本方針6の「教員の力とやる気を高めます」の項目のところについて。教員の質を高めることで、教育復興、基本計画に上がっているほとんどの課題の向上に繋がると私は思う。
今回、採用選考方法の工夫、改善の取り組みによって、成果は上がっていることは事実である。同時に現場の教員の資質を高めることが重要。これには二つの視点があって、一つは人間性を高めること。もう一つは教科のスキルを高めるということ。既にそれぞれ研修はされていると思うが、一つ意見として申し上げたい。
   教員同士の研修は大切であるが、もう少し専門家を入れた研修、例えば、コミュニケーションが取りにくい先生が増えてきたということであれば、コミュニケーションに関する研修を行う必要があるのではないか。あと教員は生徒以外にも保護者、そして同僚、上司といった様々な方と関わり合う中で、人間力がないと、自分の力を出せなかったりする。この点、 例えば心理学の勉強を入れたり等専門家の力を借りることで、最終的には授業、教科のスキル強化にもつながるのではないか。
   授業のスキルについて、コロナ禍の中、オンライン授業をほとんどの学校でされたと思うが、私も実はある大学で体育の授業を行っているが、実技の授業をオンデマンドで行った。
そのときに感じたのは、専門的な知識のある人から基本に関するところについてビデオ等を使って伝えると、非常に有効であるということ。例えば体育の授業で言ったら、陸上や、バスケットボール、バレーボール等で、走りのフォームや、ボールの捉え方が違ってくる。このようなことを私は経験した。基本的なところに生徒が興味を持てるような授業を先生ができれば、子どもにもやる気の向上が見込めると思う。もちろんこれは体育だけではなくて、技術家庭等でもそうであろうと思う。
   要は、専門家の方はその形だけじゃなくて、コツを知っているということ。例えば英語だったら、ネイティブの発音等である。このような専門家の知見を取り入れて、教員の質を高めることによって、私は本当にこの計画における課題は、解決できるように思う。

(教育長)研修全般にかかるご提案ということで受けとめさせていただきます。

(教育センター所長)研修に関しましては、特に新採職員が悉皆で全員受ける研修について、今年度はかなり変則的になっているが、まずは人権意識をはじめとし、今言っていただいたような人間力や、あとコミュニケーションを取るようなスキル等も組み入れて研修を行っている。教科研修についても、教員は授業が一番大事だと思っている。 今年度、参集しての研修が当初はなかなかできなかった。今、会場にフルに受講生を入れることができない状況下ではあるが、教科の研修に関しては可能な限り参集研修を行っているところ。今後も専門の指導主事あるいは同じ教科で悩みを共にする者同士が繋がっていけるような方法を考えている。また、Web研修等が多くを占める中で、新採の養護教諭の「子どもたちのメンタルを支える回」についてだけは、子どもたちの不安が高まっている中で、どうしても参集でいろんなことを学ばせないとならないというので、他の研修に先駆けて集めて参集研修を実施した。やはり校内で1人、多くても2人の中で、子どもたちの不安が高まっている中で、やはり参集研修にしてお互いの情報も交換することもでき、本人たちも含めて効果的だったと考えている。

(岩下委員)引き続きご尽力をよろしくお願いする。

(竹若委員)全体的な感じからまず申し述べたい。例えば大阪の英語力の向上ということで、私は、個人的には府立学校の英語に関わって、生徒の力、英語科の教員のレベルは非常によく頑張っていいものが出来上がってきたなと思うが、一方で評価委員の先生方のご意見の中に、甘いという厳しいご指摘があった。大阪府教育委員会がめざしている方向性を出す中で、ある程度自己満足的な評価であるとする一方で、広がりが見られないとの評価であった。
  
そういう評価をいただいているわけだが、なぜそこまで求められるのかという点についても点検する必要があると思っている。
   特に英語力については、一度に向上するものではなく、年次的に数値的なものを求めていくしか方法がないと思うが、その上で、それではどうすれば、明示的に数値が上がるのか。具体的に目標を掲げて現場に下ろしているのかということも点検する必要があるかと思う。
もう一つは、特に小・中学校の関係で言いますと、昨年も例えば体力、運動能力に関わって府内の学校を、現場視察させていただいた。そこでの取り組みは素晴らしいものでありましたし、ある部分ではその学校だけではなく、その地域全体がそこに関わって、一生懸命子供たちの運動能力等を向上させる取り組みがみられた。
また、子どもの語彙力を向上するために、学校図書の向上ということから、府教委が派遣している、いわゆる特別加配の活用の仕方に関わって実際現場を見せてもらったが、これも素晴らしい取り組みであった。
   ただ、そういう取り組みがあるにもかかわらず、なぜ拡大していかないのか。府全体の平均で見ると、向上している部分がわずかであるとなると、そこにやはり拡大を求める施策というものをもう一度考え直す必要があるのかなと思う。
   これは答えを求めようとは考えていない。改めて検討いただきたいことであるが、従来からモデル校というのがあり、それを拡大していくというのは、どの教育委員会も同じ施策をとっていたが、その枠を広げて、例えば小・中学校であれば市町村単位で、逆にブロック単位で網をかけてみるということも一度考えてみる必要があるのではないか。当然予算的なこともあると思うが、その点を、今後この点検評価を生かしてお願いしたいと思っている。
私も現場をつぶさに見させていただいて、記憶にあるのが、小学校2年生の体育の授業のボール運動だった。36人ぐらいの学級だったのだが、どの子も小学校2年生でこれだけのボールが投げられるのかというレベルの技術を持っていた。授業が終わった後、担当の先生との個人的な話の中で、「貴方に教えてもらっている子どもは幸せですね」ということを申し上げた。そのぐらいの取り組みだった。
   そのようなこともあり、私はいつも思っているのだが、教員には、子どもの力を伸ばす使命感がある。基本的にはその使命感を、学校なり、個人個人ではなく、地域等全体で持ってもらうかという視点で、これから施策を進めていただきたいと思う。
   それから、次は府立学校の保護者における学校自己評価、点検評価ですか。このアンケートは、府全体のものなのか、それとも各学校が独自に考えているものなのか。

(高等学校課長)これは学校教育自己診断という形で全校実施しているものであるが、府教育委員会からの一定の雛形のようなものを示して、雛形を学校の実情に合わせて、ところどころアレンジしながら学校が実施しているというのが今の実態である。

(竹若委員)毎年かなりの回収率があると聞いているが、そういう回収率がある中で、ある程度70%を超える数値もいただいていることは喜ばしいことだが、一度そのあたりも、例年同じようなアンケートではなく、一度メスを入れてみたらどうかと思う。大変な手間のかかることであるが、やはり求めるものをレベルアップしていかないと、同じ答えしか返ってこないのではないかとも思うので、検討していただきたい。
  それから、ぜひ考え直して欲しいことなのだが、防災教育で中学校での実施率が低いとある。考えてみれば、地域の防災教育は、おそらく小学校単位でやることが多い。中学校になると、地元でやったことと同じということもあり、おそらく小学校単位でやっているということがあるので、その辺も点検評価の中で委員にもお伝えいただけたらと思っている。
  それから次はこれも考えてほしいことで、私が校長候補の面接をして感じたことであるが、例えば、学校経営計画策定時、学校計画、経営計画推進要項のヒアリングというものを一度、校長にプラスして教頭先生を軸に実施してみたらいかがかと思う。
   私も過去に面接を経験したことがあるが、教頭を相手にヒアリングしますと、教頭の質が変わってくる。自分が教頭としていかに計画を推進しているかということが見えてくるし、自覚が生まれるのではないかと思う。大変多忙の中で難しいかもしれないが、人材育成にもつながるので、一度ご検討いただきたい。
   それから最後に、評価委員の意見の中で、小中学生の学力の向上のところで、小・中学校の授業改善等について、小学校と中学校を一緒に捉えるのではなく、公私の特性に応じた政策を進めていくという点について、これはどういう意味なのか伺いたい。

(小中学校課長)小・中学校の特色は、教科担任制かそうでないかというようなところで色々とご指摘をいただいているところ。そのあたりは、小学校の授業作りでは教科を超えて考えられるところの良さ、また中学校ではその教科の専門性がある中で、やはり教科を超えて考えていかなければならない課題がある。昨今は、それぞれのいいところを捉えてやっていくということで進めてきたところあるが、今、高学年の教科担任制について、国でも議論されていますし、やはり、子どもたちの発達段階でもいろんな先生が教科を教えることの良さ等もあるので、そのようにご指摘は捉えて進めていこうと考えているところである。

(教育長)いくつかご提案もいただきましたので、しっかりと受け止めてやらせていただく。

(岩下委員)基本方針8について、先ほど竹若委員がおっしゃったところと重なると思うが、私も中学校に関して、地域との連携、自然災害を想定した避難訓練の実施率が低いというところは、昨年も多分会議で申し上げたが、昨年は多分16%だったのが、今年は少し上がっていると思う。毎年想定できないような大きな自然災害が増えていることと、あと高齢社会になってくるので、やはり、地域の人と連携してどんな訓練をしたらいいのかというのは非常に大切になってくると思う。そこで伺いたいのだが、今後、市町村と一緒に取り組むと書いてあるが、これについて何か方策はあるのか。去年も市町村と頑張ってやっていくというような書きぶりであったと思うが、あまり数字が伸びてないということは、何かやりにくい原因があるのではないか。原因やそれに対する改善方法のようなものがあればお聞かせ願いたい。

(保健体育課総括補佐)先ほどもお話がありましたように、我々も市町村教委の担当者からお聞きしましたところ、やはり小学校は自治会組織の範囲が中学校校区に比べて小さいことから地域と連携がしやすいという点が一点と、また保護者への引き渡し訓練等の方法でいろんな訓練をやっておられるが、一方で、中学校ではなかなか引渡し訓練が実施されにくいという点が、実施率が伸び悩んでいる原因であるというふうにはお聞きしている。とはいうものの、市町村によっては、活発に中学校校区でも訓練を実施されているところがあるので、その好事例を、実施率の低い市町村に具体的にお示しして、こういう活動もできますよというところをきっちりとお話していきたいと考えている。

(岩下委員)とてもいい案である。ぜひ実施していただきたい。

(岡部委員)先ほど竹若先生が言われた英語力のところについて、私もそれに関してお聞きしたいこと、懸念を持っているところがある。
   まずこの数値ですが、どの問題の点数が高くどの問題の点数が低いのかという点が問題になってくる。TOEFL、TOEICでも、文法問題もあれば自分で話して自由に作文をしたり、議論をするというような問題もあるが、総合の点数だけではこれが見えない。どこが強いのかというところを見ていかないと、実際に喋れる、あるいは使える英語が学べているのかどうかというところまでフォローできないのではないかと思う。
   ただ英語を聞くとか読むとかはどちらかというとすぐにできるが、話すことと、書くことがなかなかできるようになっていかないというのがグローバル化の一番のネックなので、そういった意味ではリスニングが高いというだけでは話す力にはなっていかない。ならばやっぱり総合点数だけではなく、もう少し問題を細かく見ていって、話す力から議論する力に結び付いているかどうかというのを検証することが大事なのではないかということが一つ。
   あと、話す内容も大事である。それこそ、前にも申しあげたが、小学校中学校のように自己紹介ができるとか、相手の文化がわかるというレベルではもう世界の高校生とは渡り合えない。エネルギー問題がどうだとか、移民政策がどうだとか、そういう世界で起こっている社会問題をきちんと議論できないと英語が喋れるということにはならない。そういうことがGLHS(グローバルリーダーズハイスクール)でできているのかどうかということをきっちりと見ていく必要があると思う。
  ただただ英語圏への観光客を増やすだけではなく、しっかりと仕事ができる、国際活動ができる生徒を育てるためには、そこが大事なのではないかと考える。
   もう一つ、英語帝国主義でいいのかどうかという点も考えるべきところ。というのは、グローバル社会というのは私達の外にあるのではなくて、大阪がもうすでにグローバルだからである。その大阪のグローバルを考えたときに、英語だけでは太刀打ちできないという世界が広がっていることはもう皆さんご存知だと思う。もちろん、グローバル化というときに、世界にアクセスしていくためには英語は絶対必須である。しかし、英語だけに特化してよいのか。英語だけでグローバル化が語れるかと言ったら、日本のグローバル化は英語だけでは語れない。ポルトガル語であるとか、スペイン語であるとか、しかもスペイン本国で話されているスペイン語でない、ポルトガル本国で話されているポルトガル語でないものが大阪の公立高校で、中学校で、小学校で必要になってきている。
この現実を放っておいて外に出て行く人はグローバル人材とは言えないと思う。大阪で自分たちの足元をどう見ながら外に旅立っていこうとしているのかまで考えてのグローバル人材だと思うので、そういった意味で、先ほどなぜ英語力が伸びないのか考える必要があると竹若委員はおっしゃいましたけど、その際考えたときにぜひ、今申し上げた点について考えていただきたいというのが一点である。これはお願いなので、今のところのお答えは、また次の機会に聞かせていただければと思う。
   あと2点あるが、1点目は基本方針2のところの就職率のところ。数値として出してくるのは非常に大事なので、この数値を変えろということではないが、やはり就職させただけではなく定着していくというのが非常に大事。定着しているか、定着させるにはどうしたらいいかどうかについての活動は、府教委はモデル校を作って始めていると思うので、その点をいかにこれから伸ばしていくかというところを少しお伺いしたいというのが一点。
  もう一つが審議会で言われた意見で人権教育のところについて、「みんなが当事者であるという問題意識を持って学習する機会を捉え」という言葉があったが、この当事者意識というところに関して、道徳教育もそうなのだが、「そんな問題が起こっているんだ、かわいそうだな」というレベルで終わったら教育は途中で終わっていることになる。「いじめがある」と言ったら「そんないじめをしちゃいけない、自分はしてない」では駄目である。
   いじめが起こっていたら止められる人にならないと、いじめはなくならない。
   動ける人にならないといけないというところまで教育するにはどうしたらいいのか。
  「見ているだけでは、あるいはかわいそうっていうだけでは『傍観者』なんだ」、「『傍観者』というのは何もしてない人じゃなくって、『加害者』なんだ」という意識を持たないと、社会問題、格差問題、差別問題は解消されないと思うので、そういうところまで、子どもの教育はもちろん、先生の研修や、府教委の研修の水準を高めていくことが、人権教育を推進してきた大阪の一番の誇りだと思うので、そこはぜひこれからも向上させていただければと思う。3点目もお願いなので、2点目の就職のことに関してお伺いできればと思う。

(高校再編整備課長)就職の定着支援という件について、岡部委員が先ほどおっしゃった通り、支援を要する生徒が非常に増えている状況を踏まえ、昨年度具体的な取り組みを検討し、今年度から、モデル事業という形で実施している。その中身としては、就職した卒業生、その就労状況の確認、その上で、定着支援ということで、卒業後における福祉機関であるとか、労働機関への繋ぎ、それと就職後の状況を分析し、その結果を学校におけるキャリア教育や、あるいは進路指導へフィードバックしていくといった取り組みを現在進めているところである。
   岡部委員のおっしゃった通り、現在はモデル校1校において実施しているところであり、おおむね3年間のモデル事業ということで考えている。
   当然「モデル」という名称なので、これを拡大していくという想定で、現在考えているところである。今後の展開としては、現在、ようやく事業が緒に着いたところなので、その効果の検証といいますか、事業の内容や手法について検証、課題抽出いたしまして、より効果的な手法を今後どんどんブラッシュアップしていくことが必要であり、それを踏まえた上で、他の高校でも取り組みを広げていきたいと考えている。

(岡部委員)非常に素晴らしい取り組みだと思うので、続けていただきたいと思うが、一点気になっていることがある。私も人のことは言えないが、テストを受けて大学や大学院に入るということしかしてこなかった人間で、就職活動を体験してない形で教員をしているという人が大半だと思う。テストを受けるという以外の評価のされ方というのを考えてきていない場合に、就職活動を支援すると言っても、先生方は就職活動といえばテスト勉強だったということがあると思うので、その点、先生も自分の経験からはなかなか支援しにくいところがあると思う。これだけ忙しい先生たちにこれ以上の対応をいただくのもなかなか難しいと思うので、それこそ、キャリアカウンセラーの方ですとか、専門家の方に繋げるようなシステム、先生方のご負担が少しでも少ない形で子どもたちがスムーズに就職できるようなシステムを、一緒に整えていただければと思う。

(井上委員)感想と意見であるが、3ページの基本方針1について。竹若委員と岡部委員がお話されたことにも関連してくるのだが、自分の考えを明確にして書くということに関して課題が見られたというところが、やはり改善を要すると思っている。これは単に国語の問題だけではなくて、やはり先ほどの英語の話にも繋がってくると強く思う。
   私の経験であるが、30年前ぐらいにアメリカの大学に入学したときに、聞く、話す、読む、書く、の4つのうちどれが一番難しいと思うかと聞かれた。私は話すことと思っていたのだが、書くのが一番難しいと言われた。これはいろんな企業から派遣されている先輩の方々が一様におっしゃっていたことで、書くことができるということは、やはり自分の頭の中がしっかり整理できているということ。そうするとちゃんと話すことができるということだった。先ほど岡部委員がおっしゃったように、将来、本当にグローバルな人材として世界で活躍する、また大阪の中でも、これだけ国際化された中で活躍するということになってくると、やはり自分の考えをしっかりまとめていくことが必要になる。しかし、我々は日本人で英語のネイティブではないので、まず日本語でそういった思考の整理がしっかりできた上で、英語が乗ってくるということになると思う。
   アメリカ人、イギリス人でネイティブの英語を話せても、言っていることがよくわからないという人が結構いる。日本人でもそのような人はいると思うが、「あの人の言っていることはちょっとわからない」という人は、思考の整理ができてないということだと思う。自分の考えをしっかりと頭の中で整理できているか。そのような思考の整理ができる人はしっかり文章を書けると思うので、やはり小学校中学校のときから自分の考えを明確にして文章を書くことは、私自身が答えを持っているわけではないが、先生方に頑張っていただくしかないと思う。自分の考えを頭の中で整理するということは、さっきの英語のところであった、テストで英語ができるのではなくて、仕事でしっかり使っていくというところに繋がってくると思うので、ここで指摘された課題については、改善をしっかりやっていく必要があると思った。
   それと、英語のことにも関連するが、民間有識者の方で、英検準一級以上を保有する教員の割合が低すぎるというふうに書いてある。ここは以前にもこの場でも少し申し上げたと思うが、やはり英語の教員の方に対して支援をしっかりしないといけないと思っている。
  全ての科目の先生方が、自分の力を高めようといろんな教材を買われたり、いろんなセミナーを受けたりされているかもしれないが、やはり語学力というのは、常に特に「話す」「聞く」をしていかないと能力が上がるどころか維持もできないと思っている。
   語学力の維持という観点からは、周りの教員の方も日本人の先生で、他の教科の先生ばかりなので、英語をずっと喋っている環境ではないと思う。何か手当てをしないと、なかなか日本人の英語教員の先生の語学力を維持できないのかなと思うので、何かしら手当をお考えいただけないかと思う。
   それと、また民間有識者の方からのご意見として、教員の採用育成のところについて、教員研修として、民間企業での業務体験を行うことがいいのではないかというご意見があった点だが、これも一つの有効な方法だと思う。これは決して公務員、教員と民間の方と比べてどっちがいい悪いではなくて、仕事の進め方とか考え方が全然違うと思う。
   公務員とか教員は、いわゆるお金ということに関して、税金に基づいて事業を行っていくという考え方になるし、民間企業であると、営利事業であるから、売上を上げて利益を出していくという考え方になる。これはどちらが良い悪いではなく、考え方や仕事の進め方が違うと思いますので、ここはやっぱり経験なしに先生方に理解しろと言っても無理ではないかと思う。私が教員の気持ちをわかれとか言われてもわからないというのと一緒で、やはりやってみることは非常に大事と思う。
   全員は無理にせよ、一定、こういう民間企業での経験を、職場の核になる先生が持っているとよいのではないか。さっきのキャリア教育の話でも、岡部委員が触れられましたが、公の仕事に就く生徒もいるにせよ、大半の生徒は、民間企業に行くかと思うので、先生方も一生懸命その就職活動、面接の勉強もされていると思うのだが、そういったところは謙虚になって、わからないことはわからない、学ばないといけないということでやっていくとしても、それに対して、やはり教育庁がしっかり支援する制度を用意することが大事であると、このご指摘を見て感じた。
 それと、このICT環境の整備というところで、教育現場で教育ICTを使ってというところについて、教育長がおっしゃったように、これはいわゆるICTというか、デジタルの力で業務効率を上げていくと、それで少しでも先生方の労力を、負荷を下げていくことも大事かなと思っている。政府もデジタル庁を作るというようなことでデジタル化を進めるということになっているので、そうするとやっぱり現場からもそうだが、教育庁でも、例えばこの会議も、もう紙資料を止めてタブレットでやっていくことなども考えても良いのではないか。この配られた資料もわかりやすくインデックスをつけていただいているが、これも相当時間がかかるだろうと思うし、全て印刷していただくのは、私たちも委員としては非常にありがたいことであるが、今だと教育委員の皆さん全員がタブレットを持っていて、今いただいている資料もPDFでいただいているので、急激にというのは難しいですし、もしかしたら法律的な制限があるのかはわからないが、教育委員会会議からそういうことをやっていくということも考えられる。教育庁の中ではもう、ペーパーレス化の取り組みもどんどん進められていると思うが、現場サイドでも紙をやめましょうとか、あと何かデジタル機器を入れて、一時的には費用が掛かるにしても、中期的視野に立つと、この投資はやはり有効だなということがあれば、現場の先生からも声を上げていただいて、そのような機器の導入をどんどん進めていくというのは、時期としても、あれだけ新しい総理がデジタル化を進めるとおっしゃっているので、そういったところをご検討いただけないかなと思った。
 あと最後に、行政評価審議会、これは5人の先生方に3回、非常に多くの時間を使っていただいて、評価いただいている。これも非常にハードルが高いことだと思うが、現在、審議会の委員の方は大学の先生が4人と、PTAの方が1人となっている。今も、暫定措置ということで、民間の有識者の方の意見が入っていると思うが、審議会の委員にぜひ民間の方を1名入れていただきたいと思う。もちろん、1人民間の有識者を入れただけで全業種カバーできるわけはないけれども、なかなか大学の先生方だけではカバーしきれないことが世の中では起こっている。先ほど申し上げたように私も他の教育委員の方とか、教育庁の事務局の方と話していて、「自分の感覚とここは違うな」とか「こういう考え方をされるのだな」ということが非常にプラスになっているし、学びも多い。色々な視点から物事を見ていかないといけないことは非常に大事であるといつも感じている。そういった意味で、こういう行政評価審議会の委員の方々が決して駄目だと言っているのではなく、多角的な視点から評価として見ていただくということである。今だと参考資料ということで民間の方の意見が入っているが、正式に委員として入っていただければ、より広い視点で評価できるかなと思う。ただ、大学の先生方はご自身の研究にも資することもあるかと思うので、引き受けていただくのも、ハードルは低いとは言わないまでも、まだ引き受ける動機があるかなと思うが、民間の方は直接関係がないのでなかなか引き受け手が少ないかもしれないということも承知で申し上げているので、また検討していただければと思う。

(教育長)教員の英検準一級への支援について、何かやっているか。

(高等学校課長)特に受験をサポートするような制度そのものはない。ただ、いろんな課題認識等々ご指摘いただく中で、昨年度、どうして資格取得の数値が少ないのかということで、全体に対してアンケートをとった。先生方がどうしてそういう資格試験にチャレンジしないのかという理由をいくつかの分類で尋ねる、そんな形のアンケートを実施したのだが、取得していない理由で一番多かったのは、「時間がない」ということであった。
 2番目に多かった理由として、「受験するメリットがない」ということであった。このような理由で受験がなかなか進まない実態があるということは我々なりに把握している。
 一方で、当然ながら教員採用選考テストの中で、英語の専門的な力を測ることが前提になっていること、それから、近頃生徒に対しては、どこの学校においても、授業において4技能をバランス良く指導しなければならないというように、大きく改善をしなければならないという必要に迫られる中で、英語の教員の力というのは相対的には以前よりも伸びている実感は持っている。もちろん研修等も実施はしているが、そういった、教員の能力が一層向上するようなサポートについては、何らかの手立てを今後も考えていかなければならないという認識でいる。

(教育センター所長)本来であれば、今年度より、3年間の悉皆で、府立学校からその学校ごとに核となるような英語教員を推薦いただいて、年間10回の計画で、各学校で、自分たちで研修も出来て、学校の英語力の向上をけん引していけるような教員を育成する研修を計画していた。
 本人が英語を喋れるようになるという研修であれば、Web開催でもできたと思うが、その10回の中で、その学校の中でどのように先生たちの力を上げていくというのも重要な観点で、計画の立て方であるとか、先生たちのけん引をどのようにするかということも含めるので、参集研修とする必要があった。しかし、新型コロナの影響で最初の頃に参集ができなかったため、きっちり10回開催したいということで、今年度は研修の開催を断念し、来年度から3年間の悉皆で計画をしているところである。

(教育総務企画課長)井上委員よりおっしゃっていただきました行政評価審議会の委員に民間の有識者を入れるべきというところについて、我々も今回民間企業の方々お二人にお話をお聞きして、やはり学識の方々、それから教育に関わっている方々とは違う視点から有用なご意見をいただき、非常に参考になり、真摯に受け止めないといけないと思っている。  
 一方で、この有識者の意見について、地教行法の26条2項で、点検評価を行うにあたっては教育に関し「学識経験を有する者の知見の活用を図る」ということになっているので、基本は学識経験者ということになるが、その中に民間の有識者の方々も入っていただけるのかどうか、委員になっていただくことを了解いただけるのかも含め、今井上委員がおっしゃったように検討させていただきたいと思う。

(井上委員)この前のオンライン会議の件と同様に、時代に合わせて法律を変えてもらわないといけないのかなとも思う。現状では民間の方のご意見の扱いはあくまでも参考ということになるので、ちょっとお願いをしていきたいと思う。英語についても、さっきの話であったように、英検やToeicを取得する人を増やすことも大事だと思うが、やっぱり日々のサポートも重要であると思うので、さっきおっしゃったウェブというかスマートフォンで何かできますとか、そういったものでもやっぱり語学は毎日やってないと、技能を維持できないなと思う。英語だけでなく、他の教科の先生もそれいろいろあると思うが、例えば、スマートフォンのアプリ等で勉強しても一定のお金もかかってくるだろうし、そういったものを何か少しでも手当てができるだけでも違うのではないかと思う。
 語学は相当特殊な教科であり、先生が技能を維持できていないと、生徒に良い教育はできないと思うので、その辺りを、コストを今かけずにもできることはあるのではないか。またご検討いただきたい。

(教育長)教育行政全般にわたるテーマの評価について、委員の皆様には全般にわたる貴重なご意見をいただきまして、本当にありがとうございました。
 会議の資料のペーパーレス化については、やりたいところなのだが、なかなかデバイスの調達等予算的な制約があり、難しいところである。私としてはGIGAスクール構想をきちっと進めていく中で、府立学校で一人一台のデバイスということについては知事もおっしゃっていただいているので、大きな節目になるだろうと思っている。ただ、それはあくまでも予算要求をしてからの話ですので、すぐにはということはいかないと思うが、それを契機として、教員の日々の仕事のサポートという部分も含めて、ICT化を一気に進める唯一の機会ではないかと思っているので、その機会に考えさせていただきたい。

 【採決の結果】賛成多数により、原案どおり決定した。
(賛成者 酒井教育長、竹若委員、井上委員、岩下委員、岡部委員) 

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報告事項1 令和2年度(令和2年4月1日以降8月31日まで)における教職員の懲戒処分の状況について

 【報告の趣旨説明(教職員人事課長)】
教育長が専決した標記状況について、報告する件である。

 【質疑応答】
(岩下委員)不祥事の件数について、今おっしゃられた通り前年と同数ということであった。まずは不祥事の数を増やさないという前提で、毎年1件でも減少していけたらいいと思う。
昨年から策定されたワークシート集の活用は、不祥事防止の対策についてとても欠かせないものだと思う。やはり、この数字が増加していくというのではなく、前年度と変わらないということは、ワークシートが活用できている証ではないか。
   なお、今回の不祥事の内容について。体罰が2件、あと欠勤、個人情報の流出、通勤手当等の不正が目についたが、こちらは本当にワークシート集の内容を充実、高めることによって、改善できるのではないかと思う。
   特に体罰は絶対してはいけないということは教員である以上は、教職に就く前からもうわかっていることだと思いますので、ワークシートの内容をもっと充実させるということも考えて欲しいのだが、昨年からできたワークシート集の内容の見直し等に関しては、どのように考えておられるか。

(教職員人事課長)ワークシート集を作成したのが本年、令和2年の2月であり、現在活用を促しているところである。
今ご指摘がありました体罰についても、活用の事例としては、各教員に問いかけるような形でその事例の影響等を考えさせるようにしているところ。また、チェックのリストとしましては、「指導に当たって感情を抑えて冷静に行っているか」とか「体罰がその児童生徒の人格を傷つける行為であるということを認識しているか」というような点をチェックするような形にしている。
 これらの活用を通じて、意見を聴取し、適宜その点、そういう今申し上げたような点を修正加筆していきたいというふうに考えている。

(岩下委員)やはり人として当たり前のことができていない方がおられるのは、本当に教育に関わっておられる方としてとても残念である。ただ、それをこのワークシートに入れることによって、もちろん長期的な時間をかけないと効果が出てこない部分もあると思うが、すぐ防げることもあると思うので、こまめに進めていただけたらありがたい。

(岡部委員)体罰のア、イ、ウの項目に関して伺いたい。細かいことが聞きたいわけではありません。ちゃんときっと調査していただいてこれが適切と思われたのだということを前提にしているとは思うが、書いてある内容と処分がちょっと釣り合っているように思えない。また、一番気になるのは、やっぱり被害を受けた子どもがいるということ。減給や戒告では、その先生は学校に来るわけである。やっぱりこれだけの暴力を受けたのであれば生徒としては怖いだろうと思うので、体罰を受けた生徒へのケアが非常に気になる。
 異動もなく休業もなく、本当に先生たちだけの関係で処分の話が言われているだけで、一番気になるのは生徒へのケアである。やはり事案に対する処分がちょっと釣り合わない気がする。先ほども言ったように詳しい事情を知りたいわけではないし、個々の事案について個人情報を知りたいわけではないが、この釣り合わなさについて、適切かどうかというのをちょっと疑問に思う。この疑問について何か解消していただけるようなことがあるのであればお伺いしたい。

(教職員人事課長)この報告事項に書かせていただいている内容は極めて簡潔に概要だけ記載しているが、実際の処分の検討に当たっては、それぞれの生徒との指導の中身や行為の執拗さ、生徒に与えている影響や、保護者の謝罪の受け止め方等を総合的に勘案して検討をしているところ。児童生徒のケアという点に関しては、必要に応じスクールカウンセラーの先生方等にもご対応いただくとともに、児童生徒の状況により、例えばクラスを離すとか、支援学校でしたら部を離すとか、様々な状況にかんがみ、接触しないようにする等の対応をとっているところである。

(教育長)補足しますと、まずはその被害を受けた生徒そして保護者に寄り添い、生徒、保護者の気持ちに立って考えなくてはならないということを徹底することを申し上げている。これらの件は、これは指導上のいろいろな行き過ぎの話である場合もあります。
  おっしゃるように体罰暴力が絶対アウトであるのは当然のことであるが、処分においては、やはり、被害を受けた生徒保護者が謝罪を受け入れていただいているかどうかというのが最大のポイントであり、これについては、結果として、受け入れていただいているということもあって、今担当課長からありましたように、その後のケアはもうきちっとできているという報告を受けておりますので、それを踏まえた処分であるとご理解いただきたい。

(岡部委員)謝罪をし、それを受け入れていただいたという過程があることはとても大事なことですので、そこはよくわかるが、やはりそれでも怖いと思うっていうことが起こるのが被害を受けたということだと思う。その後のケアであるとか、あと、若い先生方なので、ついついということがもしかしたらあったのかもしれないが、行き過ぎだということを周りの先生方も、よくやったという感じがでないように、熱心だったということでは済まないということはしっかり言わなければならない。この先生を責めるとか、この先生を孤立させるとかということがあってはいけないが、同僚間でもやっぱりやっちゃいけない、よくないというような環境で二度と起こらないようにしていただければなというふうに思います。

(竹若委員)報告の中で前回指摘したこと、管理監督責任まで明記いただき感謝する。
こうして見ると校長というのは大変な仕事だと改めて思うが、そのぐらい学校現場で引き締めてやっていただくと大丈夫だと思う。
   毎回お願いしているように、突発的に起こった事案についてはなかなか防ぎようがない。ただ、意識を変えるってことではないですけども、気をつければ防げることはある。公金のことであるとか、個人情報の漏洩については、更にですね、厳しくご指導いただくようにお願いしておきたい。

(井上委員)この3番の「学校施設を無断で利用した」というところと、「無断で出張に行っていた」ということについて。無断で出張に行っていたというところについては、本当に管理者がしっかり先生の勤務の状況を把握してなかったってことかなと思うが、前段の方については、学校の施設の使用・管理規程がどうなっているのかという点を疑問に思った。通常先生方が勝手に施設を利用できるようになっているのかと。もしそうなっているのであれば、校長先生というより管理規程や使用規程の方が問題ではないかと思ったが。

(教職員人事課長)施設の使用につきましては、基本的にはその校長の承認のもと公共的な事業に使用するということに限定されている。本件の場合、自分が所属するNPO法人の資格講習会で、校長にも無断で行ったもの。休日であったのでいろんな保護者もおり、クラブの活動を保護者が見に来ていたりしたので、そういう中で目立たないような形になってしまっていた。校長もそういう形で気がつかず、結果として無断で使用させてしまっていた。無断で出て行ったことに関しても、授業の合間に、校長が気づかないうちにそういう講習会の講師に無断で出て行ったという状況があった。なかなか校長が全教員に目を光らせるというのは、難しいかと思うが、そういうことも含めた意識の醸成も含めまして、防止に努めていきたいと考えている。

(井上委員)休日までは監督しきれないというのは一定まだ仕方ないと思うが、平日に他の先生方に何も言われなかったのかなと疑問に思った。休日であれば、当該の先生の意識が低かったということに尽きると思うが。
もう一つ、岡部委員がおっしゃった1番のところであるが、先生側に立つと、生徒と接触させないっていうことで済むかなと思うが、生徒側からすると、やっぱりこの潜在的に恐怖感を覚えているということがあって相当ケアしてあげないといけないのではないかと感じた。
昔、元教員の方で教育委員をやっていた方と議論したのだが、「今、学校ではアンケートも取ってるし、保護者からの意見をしっかり聞いてるから、ちゃんと把握できてるんだ」というふうな話をおっしゃっていた方がいた。私はあえて申し上げるが、保護者の方も全部が全部やっぱりなかなか言いにくいのではないかと思う。保護者が皆全員そうだというわけではないが、私の経験からも、保護者は、先生に子どもを教えていただいてるので、やっぱり嫌われるより自分の子どもが好かれた方がいいと思うので、直接的に言いたいことは全て言えないだろうなと感じる。
アンケートとかさっきの話も出たが、無記名であろうが記名であろうが、保護者は本当におかしいなと思っても抑えて表現していることもあるだろうし、直接先生や校長先生に言いにくいことはあると思う。そういったことがあるというのを前提に、校長先生や、教員の方々には保護者の話を聞いていただきたいと思う。
なかなか保護者の立場から先生に全て言うってことは難しいのではないか、という前提に私は立っている。以前から、元教員の方とか教員の方といろいろ議論はしたことはあったのだが、本件の概要では私も判断できない。岡部委員もそれは重々承知の上でおっしゃったのだと思うが、そういった意味でのケアが必要な案件はこれから出てくると思いますし、やっぱり学校は、教員の方が保護者の方から聴取している意見が100%ではないという前提に立たないと何か間違ったことが起こるのではないかなと思う。

(竹若委員)体罰について、学校現場は、この事案が発生した後、いかに子どもの心のケアということに重点を置いて、そしてもう一つは、その教員との信頼関係が回復できるかどうかに一番力点を置いて指導をしている。そこにはスクールカウンセラーが入ったり、第三者が入ったりするわけですけれども、極端な話、信頼関係が壊れますと、もう不登校に陥ってしまったりとか、学校不信になるということは多々ある。
それが一番、このような事案が起こった後の対処の難しいところ。昨今いろいろな事案がありますけれども、先ほど教育長が申されたように、謝罪も含めて、後々の学校生活が子どもにとって楽しいものになるよう尽くしておるのが現状であろうと思う。

(井上委員)私はことさら体罰のこと言っているのではなく、何が申し上げたいかというと、アンケート、記名であろうとも無記名だろうと、例えば今回の事案に関しても、本当に保護者が全て言いたいこと言えますかというと、やっぱり抑制的になるので、そこについては慮ってくださいということ。決してこの案件が何か対処が間違っているとかではなく、竹若委員がおっしゃったようにしっかりやっていただいていると思っている。ただ、そういうことを前提に立って先生方に聞いていただかないと、本当は解決しないってこともあるかもしれない、ズルズル引きずる可能性があると思っている。

(教育長)学校の教員と立場と、生徒保護者という立場は、別に対立をしているわけではもちろんないが、やはり、学校教育の中という性格上、どうしても構造的なものがあるということを私たちも理解しながら、生徒に接する、保護者に接するということが重要だと私自身も考えている。

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 追加報告 第26回大阪府新型コロナウイルス対策本部会議の概要について

【報告の趣旨説明(教育総務企画課長)】
標記につき、教育委員会に関する部分(体育祭等の学校行事への対応)を報告する件である。

 【質疑応答】
(教育長)コロナウイルスで感染拡大防止という観点からいろいろ制約をかけざるを得ない状況の中で、体育祭、文化祭等で保護者がやっぱり子どもたちの姿を見たいという声が非常に高い部分もあります。一方で中止すべきじゃないかという意見もあるのも事実である。
そこは非常に難しい判断で、学校現場が板挟みになっているとの現状だと思うが、やると判断されているのであれば、こういう形で保護者のかたが入ってこられるように配慮をして欲しいという方向でメッセージを発したいというふうに考えておりますので、ご理解をいただきたい。

 【岩下委員の退任について】
(教育長)最後になりますが、今月末をもちまして、教育委員を退任されます岩下委員にご挨拶を賜りたいと存じます。よろしくお願いいたします。

(岩下委員)6年間長期にわたり、教育庁をはじめ関係者の方々には、大変お世話になりました。微力ではありましたが大阪の教育に携わることができ、いろいろなことを学ばせていただきました。本当に感謝いたします。
この貴重な経験を生かして、今後、社会貢献に努めていきたいと思います。
本当に今までありがとうございました。

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このページの作成所属
教育庁 教育総務企画課 広報・議事グループ

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