人権学習シリーズ ちがいのとびら 私たちの多様性

更新日:2016年2月9日

多様な感情とその扱い

ねらい

 人々は多様な感情を持っています。その感情は自然なもので、善悪をつけることではないとわかってはいます。しかし、その感情を認められなかったり、表にあらわせなかったりということがあります。ここでは、多様な感情を自分自身がどう受け止め、どう扱い、そしてあらわしているのかを知ります。また、その多様な感情の扱い方によっては、人との対立を激化させたり、怒りとなって暴力にもつながるということを考えます。

基本概念

 感情の要因、感情、怒りの自覚と暴力

時間

100分

準備するもの

ワークシート「あなたの怒りの温度を計ろう」(参加人数分)
「怒りの分類カード」(参加人数分)
ワークシート「怒りの温度計」(参加人数分)
怒りの分類カードと同じ大きさの紙(参加者に数枚ずつ)
ホワイトボード

プログラムの流れ

お互いに、からだほぐしで気持ちと行動を知ろう
 「好き」という感情を自分の中で問うてみましょう。食べ物や趣味などの「好き・きらい」を表すとき、また価値観や違いを「好き・きらい」で表すときの自分の行動に変化はありましたか?それはなぜでしょう?感情に善悪はないとはいうものの、その感情を表すとき、人それぞれの表現はなぜ違うのでしょう?
 【アクティビティ】
 スタンドアップ アクティビティ

          ↓

感情の中でも怒りについてどう表しているでしょう?
 例えば、感情の中でも表現が難しい「怒り」は、言葉でその状態をどのように表すのでしょう?自分自身の「怒り」の温度差をワークシートで振り返ってみましょう。怒りについて、自分自身が示すサインやきっかけを知り、お互いに話しあってみましょう。
 【アクティビティ】
 怒りの温度計

          ↓

 「きれる」「むかつく」と表されている感情・感覚を変えるには・・
 感情「怒り」などが暴力として表れることを立体的にイメージし形にしてみましょう。その立体化した「暴力」の形や方向を1か所変えることで暴力の感情や見方を変えてみましょう。「暴力」を形から変えることで、感情や感覚は変わりましたか。
 【アクティビティ】
 暴力の状況を変える

アクティビティの進め方

スタンドアップアクティビティ(10分) 
 ウオーミングアップとして取り入れます。
 全員が椅子に座った状態で、ファシリテーターが次々と項目を出します。出た項目で自分が「好き」だと思うものは立って表します。座っていると「きらい」という表示になると抵抗を感じる時にはこの項目にはパスと両手で×と表してもよいと事前に伝えておきます。
  項目例:季節(春・夏・秋・冬)・食べ物・趣味(音楽・絵を描く・読書・スポーツ)・価値観(財産・活動・つきあい・テスト)など・・・。

 ファシリテーターの問いかけ
  「いろんな項目に対して、好きなことには好きと行動ができましたか」
  「こころでは好きと思っていても、なぜか立てなかったのはなぜでしょう」
  「では好きでもないのに、周りの多くの人が立つことで行動(立つ)になってはいませんでしたか」
  「気持ちと行動が違うことがだめだといっているわけではありません。ただ、もし、気持ちと行動が違うと知ったとき、なぜ、自分はこの行動でいるのかを自分自身が知っていることが重要です」

 
●怒りの温度計(40分)
 参加者それぞれの怒りの温度を計ります。ワークシート「あなたの怒りの温度を計ろう」を各参加者に配布し、1から8までの設問に、それぞれ記入してもらいます。
 グループ(4〜5人)になって座ってもらいます。
 記入した怒りの温度計の5つの言葉(気にさわる・イライラする・怒る・憤慨する・激怒する)の他に怒りを表す言葉を全体でブレーンストーミングで出し、板書します(むかつく、きれるなどの言葉やがまんする、無気力など内在化する言葉も加える)。
 「怒りの分類カード」を各参加者に配布し、カードにしてもらいます。また、板書された言葉も、分類カードと同じ大きさの紙に書き出してもらいます。
 ワークシート「怒りの温度計」を各参加者に配布します。それぞれが、「怒りの分類カード」を「怒りの温度計」のシートにおいてみてもらいます。
 グループの中で、「怒りの分類カード」をおいた「怒りの温度計」について話しあってもらいます。
 各グループで、それぞれが怒りの温度計を見ながら対立について話しあってもらいます。その中で、対立を激化・内在化させないためにできることを話しあい、発表してもらいます。

 ファシリテーターの問いかけ
  「怒りを表すのにどのような言葉が出ましたか」
  「怒りの温度計を見て気づいたことはありましたか」
  「怒りの温度を下げるには、どのような方法がありますか」
  「対立を激化・内在化させないためにどうすればいいのでしょうか」

 出典:『対立は悪くない〜学校・地域の問題解決に活かす〜』「怒りの温度計」(特定非営利活動法人ERIC国際理解教育センター 2000年)

●暴力の状況を変える(40分)
 「暴力」を形としてイメージし、創作していきます。
 3人1組になって、今イメージをした「暴力」についてのイメージを話しあい、椅子と人でそのイメージをつくります。
  ※例としてファシリテーターが椅子を使って簡単なイメージをつくって見せるとわかりやすいです。
 できあがったら、今度はその形を1か所変えることで「非暴力」になるように、つくってもらいます。
 「暴力」から何を変える(動作や位置など)ことで「非暴力」になったかを全体で発表します。

 ファシリテーターの問いかけ
  「暴力のイメージを話しあいましょう」
  「話しあったイメージを人と身近な道具(椅子)とを使って表しましょう」
  「次に、その創作から1か所を変えて非暴力へイメージができるようにしましょう」
  「今の活動で、気づいたことはありましたか」
  「いろんな形や動作で、感情の変化はありましたか」

●ふりかえり(10分)
 自分自身の感情や感覚を知り、多様な感情の表し方や受け止め方を振り返ります。
 怒りの温度計が高くなるほど、低くなるのが難しくなります。怒りの温度が低い段階で自覚し、形や行動を変えることで感情はどのように変化するのかを話しあいます。

ワークシート

あなたの怒りの温度を計ろう

1.もし誰かがわたしのことを告げ口したら、わたしは・・・

  気にさわる   イライラする   怒る   憤慨する   激怒する

2.もし誰かがわたしのものを借りて、それを壊してしまったら、わたしは・・・

  気にさわる   イライラする   怒る   憤慨する   激怒する

3.もし誰かのせいで、ひどい目にあったら、わたしは・・・

  気にさわる   イライラする   怒る   憤慨する   激怒する

4.もしわたしがしてもいないことで責められたら、わたしは・・・

  気にさわる   イライラする   怒る   憤慨する   激怒する

5.わたしが話しているときにもし友達が聴いてくれなかったら、わたしは・・・

  気にさわる   イライラする   怒る   憤慨する   激怒する

6.もし誰かがわたしの家族のことをからかったら、わたしは・・・

  気にさわる   イライラする   怒る   憤慨する   激怒する

7.もし友達がわたしにとって重要な秘密を守らなかったら、わたしは・・・

  気にさわる   イライラする   怒る   憤慨する   激怒する

8.あなた自身のことで怒りを感じるものは_____________               

  気にさわる   イライラする   怒る   憤慨する   激怒する



「対立のエスカレーターを上がる怒り」『対立から学ぼう 中等教育におけるカリキュラムと教え方』46ページ

ワークシート「あなたの怒りの温度を知ろう」 /  [PDFファイル/847KB]

 

ワークシート

怒りの分類カード

 

怒る

 

 

イライラする

 

 

気にさわる

 

 

憤る

 

 

激怒する

 

 

腹が立つ

 

 

憤慨する

 

 

憤激する

 

 

ぐちる

 

 

無力感

 


「対立のエスカレーターを上がる怒り」『対立から学ぼう 中等教育におけるカリキュラムと教え方』45ページ


ワークシート「怒りの分類カード」 ・ ワークシート「怒りの温度計」 / [PDFファイル/829KB]

ワークシート

怒りの温度計

怒りは温度計と似ているところがある。
「冷やか」から「とても熱い」まで、温度の段階がある。
「怒りの温度計」を上に行けば行くほど、あなたは怒っているということ。
落ち着いて怒りの温度計を下げるように心がけよう。

          ↑
          ↑   激怒する
          ↑
          ↑   憤慨する
          ↑
          ↑   怒る
          ↑
          ↑   イライラする
          ↑
          ↑   気にさわる
          ↑






 


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このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 教育・啓発グループ

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