第1 編道路構造物設計基準(4)

更新日:2010年3月24日

1−6     植樹帯
1−6−1 適用範囲
1−6−2 種  類
1−6−3 設置計画
1−6−4 横断面の構成
1−7     基礎材
1−8  コンクリート二次製品の取り扱いについて
1−8−1  コンクリート二次製品構造規格(案)
1−8−2  コンクリート二次製品適用の促進
1−8−3  近畿地建 企画部 技術調査課資料
1−8−4  特殊エプロン


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1−6 植樹帯

1−6−1 適用範囲

 道路法によって定めるところの道路を新設又は拡幅等の改築を行うにあたって緑化を図る場合、又は既存の道路の緑化を図る場合に適用する。

1−6−2 種  類

  1. 街路樹(並木)   −道路用地の中に列状 に植栽される高木
  2. 高            木    −樹高3m以上の樹木
  3. 中            木    −樹高1m以上3m未満の樹木
  4. 低            木    −樹高1m未満の樹木
  5.         芝           −芝生を造成する目的で植栽されるイネ科の草本植物
  6. 地  被  植  物  −地表面及び壁面を被覆する目的で植栽される植物(イネ科を除く)
  7. 草             花   −花及びそれに類するものを鑑賞する目的で植栽される草本植物

1−6−3 設置計画

  1. 植栽地の基本配置
     自歩道等に植樹帯を設置する場合は、道路構造令に記されている自歩道有効幅員を確保すること。
  2. 高木の植栽間隔
     日照、通風、見通しなどを考慮し、樹冠幅(通常4m〜6m)に約2mを加えた距離、すなわち6m〜8mとするのが一般的である。更に大きい樹冠幅となるときは、10m〜12mの植栽間隔とする場合もある。
  3. 低木の植栽間隔
     枝張りの大きさに応じて1平方メートル当りの植栽株数を決定する。
  4. 支  柱
     高木および中木には原則として支柱を設置する。支柱形式の選定については表1−6−1による。
     支柱形式適用区分                
  5. 配    植
     車道及び歩道の建築限界に留意し、下枝の高さ、枝張りなどが建築限界線を侵して交通の障害とならないようにするとともに、交差点部における視距の確保にも十分な注意が必要である。また交差点及び横断歩道付近では、安全な交通を確保するために必要な視界が妨げられないよう、配植に注意しなければならない。
  6. 土壌改良
     植栽地の土壌が不良で、表土の確保や利用が困難な場合は、土壌改良を行う必要がある。標準的な土壌改良を表1−6−2、表1−6−3、表1−6−4に示す。なお、現況が下表により難い場合は別途検討する。

種  別形    状    寸    法標 準 施 肥 量  (N施用量)
低  木15(g/平方メートル)
中  木H=1.5m〜2.5m 8(g/本)
高  木C=15cm以下12(g/本)
C=18cm〜20cm17(g/本)
C=25cm〜45cm23(g/本)
C=45cm以上28(g/本)

                        表 1−6−2 元肥の施肥量 ※N:窒素

                                                                                                   

種       別有  効  土  層  厚(単位:mm)
芝  生    ・    草  本200
低       木500
中       木700
高       木1,000
高       木  (大  木)1,500

                          表 1−6−3 有効土層厚

種       別混合比率
マ サ土80%
無 機 質 性土 壌 改 良 剤 (真珠岩パーライト等)10%
有 機 質 性 土 壌 改 良 剤 (バーク堆肥等)10%

                     表 1−6−4 土壌改良の施工基準

1−6−4 横断面の構成

1.歩    道

 歩道の中に植樹帯を設置する場合は歩道幅員、歩行者数、沿線条件などを勘案して決定するが、標準的な幅員は表1−6−5のとおりとする。

植樹帯標準図

植樹帯の標準幅員

2.中央分離帯

 中央分離帯に植栽する場合は分離帯の幅員が原則として1.5m以上あることとする。ただし、交差点付近の視距確保の妨げになる範囲は植栽しないものとする。

1−7 基礎材

  1. 基礎材は、上載荷重を均等に地盤に伝えるものであり、施工に際しては、十分締め固めて不陸を整形する。
  2. 基礎材の材料は栗石および再生クラッシャラン(RC)とし、その規格は下表を標準とするが用途にもっとも合致したものを使用するものとする。
      

    区 分

    材  料

    規  格

    摘  要

    母  材

    栗石粒径5〜15cm栗石または割栗石
    再生クラッシャラン粒径5cm以下RC-40

    目潰材

    再生クラッシャラン粒径4cm以下RC-30

    母材と目潰材を兼ねる

    再生クラッシャラン粒径5cm以下RC-40
      
                   表 1−7−1 基礎材の標準規格
       
  3. 埋戻し及び盛土を行った箇所などゆるんだ地盤における基礎材は栗石を使用するのを原則とし、この場合は地盤に十分にくい込むようにランマーまたはタンパなどにより突き固めなければならない。
  4. よく締まった砂及び砂礫層など良質な地盤または路盤材がある場合は原則として基礎材は使用しない。
  5. 基礎材の厚さが15cm未満の場合は原則として栗石を使用しないものとする。
  6. 縁石、街渠、側溝、および集水桝などの基礎材は再生クラッシャラン(RC-40)を使用するものとする。
  7. 現地条件により基礎材として均しコンクリート(σck=18N/mm2(180kgf/cm2)、厚さ100〜200mm)を使用してもよい。

資料

 生コンクリートの適用範囲及び運用について:建設省(通知)、平成11年3月11日

 コンクリ−ト副産物の再利用に関する用途別暫定品質基準(案):建設省(通達)、平成6年4月11日

1−8 コンクリート二次製品の取り扱いについて

1−8−1 コンクリート二次製品構造規格(案)

 コンクリート二次製品の取り扱いは、「コンクリート二次製品構造規格(案)」(建設省・近畿地方建設局)に準じる。なお、側溝・水路については、「コンクリート二次製品市場製品図集(案)(側溝・水路編)H12.4」(監修 近畿地区建設技術開発普及推進協議会)を参照する。

・コンクリート二次製品構造規格(案)では下記の対象工種に対して構造規格(案)、設計計算を示してい・コンクリート二次製品構造規格(案)では下記の対象工種に対して構造規格(案)、設計計算を示している。

 対象工種

  1. 擁壁類
  2. 側溝類
  3. 暗渠類
  4. 護岸類
  5. 水路類
  6. 法面保護工類
  7. ブロック類

1−8−2 コンクリート二次製品適用の促進

 コンクリート二次製品は、建設コスト縮減や工事期間短縮、維持管理性の向上等の観点から採用を推進するものであるが、その適用に当っては上記「コンクリート二次製品構造規格(案)」に適合したもの、もしくは国土交通省内で運用され新技術として評価された新技術情報提供システム(NETIS)(http://www.kangi.ktr.mlit.go.jp/netis/netishome.asp)に登録されている製品を適用する。

1−8−3 近畿地建 企画部 技術調査課資料

 コンクリート二次製品構造規格(案)に基づき、市場製品のうち下記工種について構造チェックを行った結果をまとめ、事務連絡している。

近畿地建 企画部 技術調査課資料を、以下に添付する。

資 料
                                             企画部 技術調査課

1 本資料の運用について
  1. はじめに
     一般土木事業に係わる省人化・省熟練化等の推進には、現場打ちコンクリート構造物の二次製品化による効果は大である。しかしながら、現状の使用実態は必ずしも現状に即したものとはなっていない。
     その原因の多くは、現在市場に出回っている種々の二次製品には明確な基準がなく、個々の製品の構造等をチェックする必要があり、手間がかかること等である。
     しかし、これらの二次製品は、施工の合理化からも大型化、プレハブ化が要求されるとともに、ますます多様化する方向に進んでいる。
     今回、設計担当者の負担軽減のために、市場に出ている二次製品のうち、擁壁と側溝について、「コンクリート二次製品構造規格(案)」に基づき安定計算・構造のチェックを行った。その結果を以下に示す。
     ここに示されていない製品、設計条件が合致しない製品については、構造安定計算チェックフローを掲載するので、個々の現場条件によりこのフローに基づきチェックを行い使用すること。
      
  2. 設計・積算の省人化
     1、資料掲載の既製品は、前提とする設計条件に適合すれば、応力・構造チェックをしないで使用して良い。
       その他の製品は別添設計フローチャートに基づき個々にチェックを行い使用の可否を判断すること。
       
  3. 適用使用書等
     1、「道路土工 擁壁・カルバート・仮設構造物工指針」日本道路協会(1987)
     2、「コンクリート標準示方書」土木学会(1986)
     3、「土木構造物標準設計第2巻 手引き (擁壁類)」(社)全日本建設技術協会(1987)
2  設計条件

(1)擁壁工

1)対象構造物

 市場製品は多種多様の規格があり、全てのもの、全ての条件でチェックはできないため、次の条件でチェックを行った。

設計条件に適合する製品

画像です。設計条件に適合する製品

 別表−1以外の製品を使用する場合、また使用条件が異なる場合は別途応力等のチェックを行うこと。
  なお、組積み擁壁・枠組擁壁については、応力計算等課題があり今回の対象構造物から除くこととした。
  ただし、建設省及び認定機関が評価・証明したものは使用して良い。

2)  設計条件及び擁壁の安定及び構造の照査

  1. 擁壁の高さは、H=3mで、構造・応力計算のチェックを実施しているため、H=3mを超える場合は応力チェックをすること。
  2. 擁壁の下に、基礎コンクリートの施工を前提とする。(摩擦係数μ=0.6を適用)
  3. 背面盛土勾配は水平で、1tf/m2の荷重で応力計算を実施しているため、背面盛土勾配がある場合等は、別途応力計算チェックをすること。
  4. 背面盛土の土質定数は、土質試験によって決定するのが望ましい。
    今回は下表の値でC1、C2のみチェックを実施している。C3の場合は別途応力チェックをすること。
    背面盛土定数          
  5.  コンクリートの設計基準強度はσ14=300kgf/cm3とする。
  6. 照査条件

対象構造物の照査条件は以下のとおり。

擁壁類の照査条件

画像です。擁壁類の照査条件

別表−1
擁壁の適用条件と使用可能な製品名

画像です。擁壁の適用条件と使用可能な製品名

擁壁工   設計フローチャー

擁壁工の設計フローチャート

別途計算

(2) 側溝工

 1)対象構造物

   設計条件に適合する製品

次の条件のもとに安定計算・構造チェックを行った製品で、前提条件のもとで使用可

 別表−2以外の製品を使用する場合、また使用条件が異なる場合は別途応力等のチェックを行うこと。
 ただし、建設省及び認定機関が評価・照明したものは、使用して良い。
 なお、設計手法が確立されていない特殊形状については、破壊試験を実施し必要なモーメントを確認してから使用すること。

 2)設計条件及び擁壁の安定及び構造の照査

  1. 土圧を求める際の土の単位体積重量は、一般に1.8tf/m3を用いるが、道路側溝に作用する土圧は、粘性土ではなく締め固めた路盤材料であるため、2.0tf/m3とした。
  2. 活荷重による鉛直荷重を求める際の衝撃係数(i)は標準設計に準じて0.3とし、水平土圧を求める際の土圧係数(k)は、U型側溝の場合はランキン公式(0.333)、箱型側溝の場合は静止土圧係数(0.5)とすること。
      その他、温度変化・揚圧力・水圧及び地震の影響等は考えてはいない。
  3. コンクリートの設計基準強度はσ14=240kgf/cm3とする。
  4. 照査条件

   対象構造物の照査条件は以下のとおり。

側溝類の照査条件

画像です。側溝類の照査条件

別表−2
側溝の適用条件と使用可能な製品名
画像です。側溝の適用条件と使用可能な製品名

側溝   設計フローチャート

側溝 設計フローチャート

1−8−4 特殊エプロン

 横断防止柵や標識等の路上施設は、慣例的に縁石の車道側端から25cm控えた位置に設置してきましたが、車道に路肩がある場合には、道路構造令の運用と解説に示されているように路上施設を縁石の車道側縁端に設置することができます。これは、新設道路や改良を行う道路等では、路肩を省略する事(停車帯を設ける場合を除く)は極めてまれてであり、路肩があれば縁石上に車道部の建築限界がかぶらないためです。
 今後は、既存ストックを活用し、より広い有効幅員を確保するために、歩道幅員の狭い箇所において、縁石に横断防止柵の設置や縁石端部より標識柱・電柱の設置を行うなど、路上施設帯幅が最小限になるように設置位置には十分注意すること。

資 料

 歩道における安全かつ円滑な通行の確保について(通知)、平成15年5月13日

特殊エプロン設計計算書

1.設計条件

  製品名称                            PGF515A   PGF515B  PGF515C
  水平荷重(P種)                  P=0.390(KN/m)
  コンクリート単位体積重量       γc=24.5(kN/m3)
  支柱径                                   Φ=42.7(mm)
  支柱間隔                                l=3.0(m)
   
  転倒に対する安全率                 Fs > 1.2 (短期)
   
 材料強度
  コンクリート設計基準強度                       σck=24(N/mm2)        
  コンクリート許容曲げ引張応力度             σca=0.29(N/mm2)
  コンクリート許容せん断応力度(押し抜き)  τca=0.90(N/mm2)

形状図及び重心位置

製品

y(mm)

H(m)

b(mm)

d(mm)

X(m)

V(立方メートル/m)
PGF515A

150

1.070

150

75

0.288

0.109

PGF515B

200

1.120

180

90

0.285

0.126

PGF515C

250

1.170

180

90

0.273

0.136

2.安定検討

 設計条件の荷重に対しての安定計算を行います。
 なお、製品の両側には舗装を施すため滑動はしないものと考え、転倒のみ検討します。
 また、支柱の重量及び鉛直荷重は無視します。

製品Mo(kN・m)Ww(kN)Mr(kN・m)Fs>1.2判定
PGF515A0.4172.6710.7691.844OK
PGF515B0.4373.0870.8802.014OK
PGP515C0.4563.3320.9101,996OK

ここに、 Mo:O点回りの転倒モーション(Mo=P・H)
     Ww:重量(Ww=V・γc)
     Mr:製品自重による抵抗モーション(Mr=Ww・X)
     Fs:転倒に対する安全率(Fs=Mr/Mo)

3.構造検討

図.1の1に作用するモーメントを最も部材の薄い検討断面位置2(120mm)にさようさせて構造の検討を行う。
  M = P・l・(0.800+y)
 せん断については、支柱に水平荷重Pが作用した時の押し抜きの検討を行う。(図.2参照)

製品M(k・mm)W(立方ミリメートル)σc<0.29(N/平方ミリメートル)判定
PGF515A11115004.8*10^60.232OK
PGF515B11700004.8*10^60.244OK
PGP515C12285004.8*10^60.256OK

ここにW:断面係数W=2000*120^2/6=4.8*10^6(立方ミリメートル)
      σc:コンクリート曲げ引張応力度(σc=M/W)

押し抜きせん断面積図

製品

B(mm)

A(mm)

s(mm2)

τc<0.90(N/mm2)

判定

PGF515A192.7200240380.05OK
PGF515B222.7250345660.03OK
PGN515C222.7300381660.03OK

ここに、B:仮想破壊面(B=Φ+b)
         a:埋め込み長(mm)
    S:計算せん断面積(S=B・0.4a+d2・π/2+Φ・d-Φ・0.4a)
    τc:コンクリート押し抜きせん断応力度(τc=P・l・1000/S)

  以上の結果により、設計条件に対して安全です。

このページの作成所属
都市整備部 道路室道路環境課 交通安全施設グループ

ここまで本文です。