大阪エコエリア構想6/9

更新日:2023年3月10日

第4章 リサイクル施設の整備の方向

 

4−1 リサイクル施設整備について基本的考え方

  第3章において、廃棄物処理・リサイクルについての課題解決の方向として、(1)発生抑制・リサイクルの推進、(2)リサイクルや適正処理のための施設の整備、(3)規制・指導の徹底 の3つを掲げたが、普及・啓発や規制・指導といったソフト施策についても、最終的な受け皿となる適正処理・リサイクルのためのハード施設の整備は必要・不可欠であるとの認識に立ち、その基本的考え方を記述した。 

(1)当面必要なリサイクル施設の考え方

  廃棄物処理・リサイクルの課題とそれを踏まえて設定した「今後対策が必要な廃棄物の分野」を考慮し、府域に整備が当面必要となるリサイクル施設を次のとおり定義する。なお、大阪府域においては、各種施策の進展などにより一定の減量が進んでいるものの、依然として大量の廃棄物が排出されている上、種類の多様化が進んでいる状況であることから、「当面整備が必要な施設」に示した施設以外の施設についても、将来的に整備されることが望まれる。

 

(当面整備が必要な施設)

 府域に整備が必要なリサイクル施設の種類は、前章の検討を踏まえ、次のとおり設定する。

1) 「最終処分される量及び比率が高い廃棄物」を対象としたリサイクル施設

・ 建設廃棄物リサイクル施設

・ 廃プラスチック類リサイクル施設

・ 汚泥リサイクル施設

2) 「資源として有用性があり更に有効利用を進めるべき廃棄物」を対象としたリサイクル施設

・ 容器包装廃棄物リサイクル施設

・ 食品廃棄物リサイクル施設

・ 使用済自動車関係リサイクル施設

3) 有害物質を含む等特別な管理が必要な廃棄物の適正処理・リサイクル施設

・ 有害産業廃棄物処理・リサイクル施設

 なお、廃棄物処理法に該当する廃棄物ではないが、平成15年に施行された土壌汚染対策法の対象となる汚染土壌についての、適正処理・リサイクル施設の整備が必要である。

 

また、大阪府域に先駆的に循環型社会を形成し、他地域のモデルとすることを目指すことから、リサイクルの技術面又は廃棄物の収集・再生品の販売等のシステム面において先進性を有するものが望まれる。さらに、環境関連産業の振興を通じた大阪都市圏の活性化を目指すものであることから、原料(廃棄物)の確保と再生品の利用先、用地の確保など確かな経済性を有するうえ、既存産業と連携し、そのインフラを活用するものであることが必要である。

 

(2)リサイクル施設立地の考え方

  リサイクル施設の立地は、廃棄物処理法、都市計画法、建築基準法、大阪府環境影響評価条例などに係る諸手続きを経て決定されることは言うまでもないが、ここでは、「はじめに」に示した大阪エコエリア構想の策定主旨を考慮し、構想に位置付けられる施設の立地についての基本的な考え方を整理する。大阪府は、産業の集中による公害問題の深刻化に対応し、国の法整備に先駆け「大阪府公害防止条例」を制定するとともに、昭和48年には全国に先駆けて環境管理計画を策定するなど、環境問題の解決に積極的に取組んできた。このような経緯を踏まえ、本来、環境問題の解決に資するものであるリサイクル施設の立地に当たっても、周辺への環境影響を最小限に抑えるとの考え方が重要である。このため、

  ○ 集中立地による周辺環境・沿道環境への複合的・累積的な影響が最小限となるよう配慮する必要がある。    

  ○ 周辺に住居地域がある場合は環境影響を可能な限り回避・低減する必要がある。

 

  また、地球温暖化への対応として、二酸化炭素などの温室効果ガスの発生を抑制するため、廃棄物のサーマルリサイクルによる熱エネルギー等の有効活用の推進が重要である。このため、

○ 関連する廃棄物処理・リサイクル施設相互のエネルギー利用や、既存事業者へのエネルギー供給が容易となる施設配置を図る必要がある。さらに、大阪府域に、先駆的に循環型社会を形成するにあたり、環境関連産業を振興することにより、大阪産業の活性化を図るという考え方が重要である。このため、

○ 循環型社会形成のモデルとして、広大な未利用地である廃棄物最終処分場跡地を活用する必要がある。

○ 産業構造の変化により、臨海部を中心に発生している民間所有地を含めた遊休地を活用する必要がある。

○ リサイクルの取組みを一層推進するため、地域に密着したリサイクル施設の整備を計画的に進めている地域への施設配置が必要である。

 

このような考え方に基づき、リサイクル施設の整備にあたっては、

 ■ 大阪市臨海部、堺第7−3区等の堺市臨海部における廃棄物最終処分場跡地や民間所有地を含む遊休地

 ■ 地域エコタウン計画を策定するなど、リサイクル施設の立地を計画的に進めている地域

などへの立地が想定される。

 

 なお、施設立地にあたっては、以降に示す事業計画も含め、同種の廃棄物を対象とする施設間の立地調整や廃棄物処理の際に生じる熱エネルギーの有効利用促進などの観点からの立地調整が、今後の重要な課題である。

 また、ここでは主に環境面からの考え方を記述したが、これ以外にも安全性や土地利用上の支障など検討すべき観点は数多くある。

大阪市・堺市・泉大津市等の臨海部及び内陸のゾーンに、民間事業者主体による多種多様な廃棄物に対応したリサイクル施設等の整備

 図4−1 大阪エコエリア構想におけるリサイクル施設イメージ図

(3)施設整備促進のための構想の策定手法

本章において、当面整備が必要なリサイクル施設の施設種別や立地についての基本的考え方を示してきたが、環境関連産業の振興を促し、リサイクルに関する既存の取組みを発展させるためには、民間事業者の持つ高い技術力、資金力、事業意欲、ノウハウを最大限に活かしつつ、民間の意向等を自由に求めた上、構想を取りまとめるとの方法が最も有意義である。このため、大阪府における廃棄物リサイクル施設の整備構想の策定に当たっては、次の方法が適していると考えられる。

1) 民間事業者を主体とした施設整備とする。

2) 特定の立地候補地を想定せず、府域全域を対象に民間の参画意向を把握する。

3) 特定の廃棄物種を想定をせず、民間の参画意向を把握する。

 

4−2 リサイクル施設整備に係る支援制度

  リサイクル施設の整備を行う事業者に対しては、事業者の形態や事業内容などに応じ、該当する場合は補助制度がある。ここでは、経済産業省・環境省が所管するエコタウン事業等いくつかの国の補助制度について、概要を例示する。

 

(1)エコタウン事業

  経済産業省が環境省と連携し、平成9年度に創設したエコタウン事業は、(1)個々の地域におけるこれまでの産業蓄積を活かした環境産業振興を通じた地域振興、(2)地域における資源循環型社会の構築を目指した産業、公共部門、消費者を包含した総合的な環境調和型システムの構築を目的とし、地方公共団体がエコタウンプランを策定・承認された場合において、民間等の建設するリサイクル関係施設整備への助成やソフト面での環境産業見本市・技術展等への支援を実施するという事業である。

 

(エコタウン事業の概要)

1) 概要

「ゼロエミッション構想」を推進するため、平成9年度に創設された新たな環境まちづくり事業(経済産業省と環境省が所管)

2) 助成制度

     リサイクル関係施設整備(補助率1/3、特に新規性が高いものは1/2)

     プラン策定・普及啓発・情報提供等のソフト事業(補助率1/2)    他

3) 都道府県等の役割

原則として都道府県又は政令指定都市が「エコタウンプラン」を作成

政令指定都市以外の市町村は、都道府県と連名であることが必要

4) 指定地域

岐阜県/長野県飯田市/川崎市/北九州市/福岡県大牟田市/札幌市/千葉県/秋田県北部18市町村/宮城県鶯沢町/北海道/広島県/高知県高知市/熊本県水俣市/山口県/香川県直島/富山県/青森県の17地域

(2)その他の補助制度の例

1) 新エネルギー事業者支援対策事業(経済産業省)

 風力発電、太陽光発電、太陽熱利用、廃棄物発電といった新エネルギーを導入する自治体、事業者等に対する支援を行う。

 ・ 補助率  1/3以内 

 ・ 要件  廃棄物発電の場合は廃棄物依存量が60%以上

        1)RDF発電:発電効率23から28%

        2)ガスリパワリング型:発電効率20%以上

        3)その他:発電効率15%以上 

2) 食品リサイクルモデル整備事業

 「食と農の再生プラン」に位置付けられたゼロ・エミッションを実行するため、新素材・エネルギータイプ、連携推進タイプの多様なニーズに対応した今後のモデルとなる施設の整備について支援を行う。

 ・ 補助率     先進性・モデル性に応じ、1/2、1/3、1/4以内

 ・ 要件     先進性・モデル性に優れていると認められるもの

 ・ 事業実施主体  都道府県、市町村、事業協同組合、食品事業者等

 

 

表4−1 廃棄物処理・リサイクル施設の整備に係る主な補助制度

平成15年3月20日現在

所管

事業名

事業内容

対象施設

事業実施主体

補助率

 

 

 

 

 

 

経済産業省

 

資源循環型地域振興施設整備費補助金

【エコタウン事業】

地方公共団体が作成する「エコタウンプラン」をもとに、民間事業者による先進的なリサイクル施設の整備を促進。

 

・リサイクル関係施設

 

・民間事業者

 

1/2,1/3以内

 

 

民活法に基づく支援

【民活法特定施設の整備】

再生資源の利用の促進を図るために設置される施設のうち広く一般の需要に応じるためのものについて、民活法に基づく補助金、出資、無利子・低利融資、債務保証、利子補給を行う。

・容器包装リサイクル施設

・エコセメントリサイクル施設

・再生資源活用飼料化施設

・アルミニウム缶リサイクル施設

・古紙他用途利用施設

RDF発電・熱供給センター

 

 

・民間事業者等

 

 

NTT-C無利子貸付等)

地域新エネルギー

導入促進事業

【新エネルギー導入促進事業】

太陽光発電、風力発電、廃棄物発電、廃棄物燃料製造、廃棄物熱利用等の新エネルギーの導入を促進

 

・廃棄物発電施設等

(発電効率:15%以上)

・地方公共団体

 

1/2,1/3以内

新エネルギー事業者

支援対策事業

・民間事業者

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

環境省

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

廃棄物処理施設整備費補助

【ごみ処理施設】

ごみの焼却等の処理を行う施設の整備を促進。

・ごみ焼却施設

・ごみ高速堆肥化施設

・灰溶融施設

・ごみメタン回収施設

・ごみ飼料化施設

・都道府県(RDF電等焼却施設に限る)

・市町村

・一部事務組合

・廃棄物処理センター

・民間事業者(PFI法に

基づく事業、以下同じ)

 

 

原則1/

 

 

【ごみ燃料化施設】

ごみの中の紙、木、プラスチック等の可燃性の成分を破砕後、固形化そ粒状にして固形化燃料(RDF)とする施設の整備を促進。

 

・ごみ燃料化施設

 

・市町村

・一部事務組合

・廃棄物処理センター

・民間事業者

 

原則1/

【廃棄物再生利用施設】

廃棄物資源化事業及び不用品の補修、再生品の展示のための事業を行う施設並びに資源ごみを保管するストックヤード施設の整備を促進。また廃棄物を原材料に加工する施設(焼却灰をセメントキルンになど)の整備を促進。

 

・リサイクルプラザ

・リサイクルセンター

・ストックヤード

・廃棄物原材料化施設

 

・市町村

・一部事務組合

・廃棄物処理センター

・民間事業者

 

 

原則1/

【リサイクルタウン事業】

分別収集回収拠点、小規模ストックヤード、簡易プレス機、電動運搬車両等の整備を促進。

 

・リサイクル関連施設等

・市町村

・一部事務組合

 

原則1/

【産業廃棄物処理施設モデル的整備事業】

廃棄物処理センター等公共が関与するモデル的な産業廃棄物処理施設の整備を促進。

・焼却施設

・最終処分場

・化学処理施設

・再生利用総合施設等

・廃棄物処理センター

・都道府県

・保健所設置市

PFI法に基づく事業者

 

/4以内

【PCB処理施設整備事業】

全国的なPCB廃棄物の処理体制の整備を図るため、国主導のもと関係自治体の協力を得て、環境事業団が行う広域・拠点的処理施設の整備を推進。

 

 

・PCB廃棄物処理施設

 

 

・環境事業団

 

 

定額(補助金交付)

 

ゴミゼロ型地域社会形成推進施設整備費

【エコタウン事業】

地方公共団体が作成する「ゴミゼロ型」地域社会の形成を目指した計画に基づき、民間事業者が取り組む廃棄物の再生利用に係る施設の整備を促進。

 

・廃棄物処理・リサイクル関連施設

 

・民間事業者

 

1/4,1/2以内

 

産業廃棄物施設整備法に基づく支援

 

 

【廃棄物処理センターによる施設整備】

複数の産業廃棄物処理施設と研究開発施設、共同利用施設が一群として整備される特定施設について、産業廃棄物特定施設整備法に基づく認定を受けた場合、無利子・低利融資、債務保証を行う。

・複数の産業廃棄物処理施設と研究開発施設、共同利用施設が一群として整備される特定施設

 

・廃棄物処理センター

・民間事業者

 

 

無利子・低利融資、債務保証

 

農林水産省

 

食品リサイクルモデル整備事業

【食品リサイクル関係施設整備】

先進的・モデル的な食品リサイクル施設の実証的な展示整備を図ることにより、食品循環資源のリサイクル施設の整備を促進。

・食品リサイクル施設(肥料化、飼料化、メタン発酵等)

・都道府県

・市町村

・事業協同組合等

 

1/2,1/3,1/4

以内

 

 

 

 

国土交通省

 

 

 

 

総合的な静脈物流システムの構築

【廃棄物処理施設等事業】

臨海部の低・未利用地等を最大限に活用し、エコタウン事業等と連携しつつ、係留施設や廃棄物海面処分場等の静脈物流関連施設の整備を促進

 

 

・廃棄物海面処分場等

 

・港湾管理者

(地方公共団体)

※国直轄事業あり

 

5/10(係留施設)

2.5/10(廃棄物埋立護岸)

 

【民活法特定施設の整備】

「廃棄物海面処分場で埋立処分される廃棄物等を減量化する施設」を、民活法特定施設に追加し、民間事業者の能力を活用した施設の整備を促進。

 

 

・廃棄物等減量化施設

 

 

・民間事業者

 

 

NTT-C無利子貸付等)

 

このページの作成所属
環境農林水産部 循環型社会推進室資源循環課 施設整備グループ

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